純「今日、なんか清澄のヤツが遊びに来てんだって?」

一「そうみたいだね、透華が言ってたよ」

純「タコス娘か誰かか?」

一「男子みたいだけど」

純「はぁ? 男子?」

純「清澄の麻雀部だろ? 男子なんて居たか?」

一「さぁ、ボクも話しか聞いてないから」

純「まさか、あの大将か」

一「流石にそれは無いでしょ……」

純「いずれにせよ、オレ達に挨拶も無しとはなぁ」

一「知らない人に挨拶されても気まずいしボクは別にいいかな。それにハギヨシさんの友達みたいだし」

純「ハギヨシさんの?」

純「執事が職場にダチ連れて来るなんて聞いたこと無ぇぞ」

一「そんなことする人じゃないでしょ」

一「たぶん透華か衣の命令だと思うけど」

純「なんか気になってきたな。ちょっくら挨拶してくっか」

一「ボクは別にいいや」

純「連れねぇの」

一「興味無いしね。ハギヨシさんの邪魔しちゃ悪いし」

純「それじゃ、智紀でも誘うか」

一「迷惑掛けちゃダメだよ」

純「おう」


……

ハギヨシ「申し訳ありません、京太郎くん」

ハギヨシ「わざわざこちらまで出向いて貰って」

京太郎「いや、全然大丈夫っすよ」

ハギヨシ「前日、透華お嬢様に京太郎くんのことをうっかり話してしまいまして」

ハギヨシ「是非、連れてこいと」

京太郎「へぇ、そうだったんすか」

ハギヨシ「……」

京太郎「……」

ハギヨシ「それでは、何をいたしましょうか」

京太郎「えっ」

ハギヨシ「いや、お恥ずかしい」

ハギヨシ「私、龍門渕家執事になってこの方普通の暇というのを経験事が無く」

京太郎「そうなんですか」

ハギヨシ「住み込みで働いてますし、基本的には無休ですからね」

京太郎「執事ってそんなハードな仕事だったんですか……」

ハギヨシ「あぁ、いえいえ」

ハギヨシ「私が好きでやっていることですから」

ハギヨシ「旦那様にはここに住まわせて頂いている恩もありますしね」

ハギヨシ「話が逸れましたね」

ハギヨシ「それで、休日というのをどう過ごせば良いのか少し分からないのです」

ハギヨシ「招いたこちら側がこういった状態で情けない」

ハギヨシ「京太郎くんには迷惑を掛けてしまいますね」

京太郎「いや、全然構わないっすよ」

京太郎「それに、歳は離れてても俺たち友達じゃないっすか!」

ハギヨシ「京太郎くん……」

ハギヨシ「いや、やはり京太郎くんを呼んでよかった」

ハギヨシ「私には勿体無いくらいの友人ですよ」

京太郎「言い過ぎですよ、ハギヨシさん」

京太郎「そういえば俺、以前から執事って仕事に興味があったんですよ」

ハギヨシ「成る程、そうでしたか」

ハギヨシ「それなら体験してみますか?」

京太郎「え、いいんですか?」

ハギヨシ「流石に屋敷で体験というわけには行きませんが……」

ハギヨシ「私の部屋で良ければご指導させて頂きますよ」

京太郎「うわ、マジですか! やったぁ!」

ハギヨシ「ふふ」

ハギヨシ「では、まずは何事も形からと言いますし」

ハギヨシ「早速着てみましょうか」


……

純「おーい、智紀ー」コンコン

智紀「純?」

純「おう、オレだオレ」

純「今日、ハギヨシさんの友達が遊びに来てるらしくてよー」

ガチャ

純「おっと」

智紀「興味がある……」

純「そう来なくちゃな」

純「一緒に行こうぜ、顔見に行くだけでも」

智紀「うん……あ、ちょっと待って」

純「どうした?」

智紀「カメラ忘れてた」

純「(カメラ?)」


……

京太郎「ど、どうですか?」

ハギヨシ「いや、私の古着とサイズが合って良かった」

ハギヨシ「とても良くお似合いですよ、京太郎くん」

京太郎「そ、そうですか? いやぁ、嬉しいなぁ」

「ハギヨシさん、オレです。井上です」コンコン

京太郎「ハギヨシさん」

ハギヨシ「すみません、暫く待っていて下さい」

ハギヨシ「今出ます」

「はーい」

ハギヨシ「どうかなされましたか」ガチャ

純「いやー、ハハ……」

純「特にこれといった用は無いんですけど」

ハギヨシ「?」

智紀「今、ご友人の方がいらっしゃってるとか……」ズイ

ハギヨシ「ええ、申し訳ありません。一介の執事が職場に私情を持ち込む様な真似を…」

純「いやいや、全然そんなの大丈夫っすよ」

純「ただ、ちょっと客人に挨拶したいなーって」

ハギヨシ「挨拶……ですか」

ハギヨシ「申し訳ありませんが、少々お待ち下さい」

智紀「はい、待ちます」


……

京太郎「あ、そういえ龍門渕さんには挨拶したけどそれ以外の人には一度も会ってないっすね」

ハギヨシ「すみませんが、お願いできますか?」

京太郎「いいっすよ」

ガチャ

純「お、来たか」

智紀「……」

京太郎「お邪魔させてもらってます、須賀です」

純「おう、透華から聞いてるぜ」

智紀「こんにちは……」

純「……って」

智紀「し、執事服!」

京太郎「あっ、そのまま出てきちまった」

智紀「しゃ、写真撮らせて貰ってもいい?」

京太郎「えっ…」

ハギヨシ「どうかなされましたか」ガチャ

純「ハギヨシさん」

智紀「……」

智紀「す、素晴らしい」

ハギヨシ「沢村様、何か?」

智紀「いえ、なんでもありません……」

智紀「ところで、須賀君とハギヨシさんのツーショットを撮りたいのですが」

純「何故そこで写真が」

ハギヨシ「写真、ですか……私は別に構いませんが」

京太郎「俺も別に大丈夫ですよ」

智紀「ありがとう……では」

智紀「まずは肩を組んで一枚」

純「(肩を組む必要はあるのか?)」

京太郎「か、肩を組んでですか」

ハギヨシ「こんな感じですか……失礼します」フワッ

京太郎「あっ、はい」

京太郎「(ハギヨシさん、なんか無駄に良い匂いすんだよなぁ)」

智紀「では、そのままで……」

京太郎「ポーズとかは?」

智紀「いえ、自然『カシャ』な感じで撮りたいので……」

純「おお、喋ってる途中に撮るあたりがプロっぽい」

ハギヨシ「沢村様の撮影技術は確かなものですからね」

智紀「ハギヨシさんには時々モデルになってもらってる……」

純「そんなことしてたのかお前」

智紀「……」コク

智紀「次は、普通に並んで貰えますか……」

京太郎「はい」

ハギヨシ「これで宜しいでしょうか」

智紀「須賀君、悪いけど少し間を開けて貰える……」

京太郎「これくらいですか」

智紀「ありがとう……」

智紀「(モデルの経験があまり無さそうな須賀君の場合)」

智紀「(間を開けると体が少しハギヨシさん側に傾くはず!)」

智紀「その執事服、似合ってる……」

京太郎「あっ、ありがとうご『カシャ』ざいます!」

純「ほぉー、あぁやって笑顔を撮るのな」

智紀「2人とも、ありがとうございました……」ペコリ

京太郎「あ、もういいんですか?」

智紀「十分……」

純「いや、それにしてもよく似合ってるよお前」

京太郎「あ、ありがとうございます!」

純「俺も着てみてーな、執事服」

智紀「……」ピク

ハギヨシ「井上様、私の古着で良ければお貸し致しますが……」

純「え、マジすか!」

京太郎「おおー」

智紀「……っふ」


……

智紀「それでは、純を中心にして……」

純「おう」

京太郎「めちゃくちゃ似合ってますよー井上先輩、すげーカッコ良いっす」

純「サンキュー!」

純「このままで良いのか?」

智紀「うん……」

純「……」

純「っうら!」ガシ

京太郎「うわわ」

ハギヨシ「おっと」

智紀「(来た! 純なら絶対2人の肩を組寄せると思った!)」カシャ

智紀「……っくふ」

純「どうした?」

智紀「何でも無い……」

智紀「それではもう一枚……」

純「おう……っておい!」

京太郎「沢村先輩、鼻血が!」

智紀「!」

智紀「私としたことが……」ガクッ

純「大丈夫かよお前」

ハギヨシ「私の部屋で申し訳ありませんが、どうぞ」

ハギヨシ「沢村様は鼻を摘まんで頭を少し下げていて下さい」

純「上向かなくて良いのか?」

ハギヨシ「はい。その説明はまた後で」

京太郎「あ、俺ティッシュ持ってますよ」

智紀「ありがとう……」

智紀「ん……ふが……」

純「すげー間抜けな顔だな」

ハギヨシ「それでは、部屋へどうぞ」

純「ハギヨシさんの部屋はじめて入ったぞ、オレ」

ハギヨシ「あまり面白いものじゃありませんよ。沢村様、椅子をどうぞ」

智紀「ふぁい……」

京太郎「ハギヨシさん、俺も何か手伝えることなんかあったら」

ハギヨシ「ありがとうございます、気持ちだけで十分ですよ」

ハギヨシ「ふふ、須賀君は執事の素質がありますね」

京太郎「えっ?」

ハギヨシ「先程もすぐにティッシュを沢村様に差し出していましたし、今もこうして力になろうとしてくれている」

京太郎「当たり前っすよそんなこと」

ハギヨシ「当たり前と思えることが大事なんですよ」

京太郎「ほ、褒め過ぎですって!」

純「お? 照れてんのかこいつ」ガシガシ

京太郎「うがががが」

「ハギヨシー、居るかー!」コンコン

ハギヨシ「衣様」ピク

純「オレ、出て来ますよ」

ハギヨシ「ご迷惑をおかけします」

智紀「ふみまへん……」

純「オラ、お前も来い」グイ

京太郎「おわっ」ヨロッ

純「開けるぞー」ガチャ

「純?」

衣「どうして純がハギヨシの部屋に……」

純「まぁ、色々あってな」

衣「それに執事服だ!」

純「似合ってんだろ?」

衣「うん! 凄く似合ってるぞー!」

京太郎「……」

衣「あ、清澄のも似合っているぞ!」

京太郎「あっ、はい! ありがとうございます」ペコ

衣「うむ、見事な礼だ!」

衣「採用!」

京太郎「は?」

純「何言ってんだお前」

衣「?」

衣「お前はハギヨシと共にここで働くつもりで来たんじゃないのか?」

純「そうだったの」

京太郎「いや、違いますけど」

衣「な、何!?」

京太郎「なんかすみません……」

衣「いや、早とちりした私が悪いのだ」

純「外で話もなんだし入ろうぜ」

衣「しかし、ハギヨシの許可が……」

「お待たせ致しました、衣様」ガチャ

ハギヨシ「主人を待たせる様な真似をしてしまいました。申し訳ありません」ペコ

衣「いいんだ。 ハギヨシは今日お休みなんだからな!」

ハギヨシ「しかし……」

衣「清澄の友人も居るのに仕事ばかりではダメだ……ほら、茶菓子を持ってきたんだぞ!」

純「もーらいっ!」ヒョイパク

衣「あっ、こら純!」

ハギヨシ「賑やかになって来ましたね」

ハギヨシ「折角ですし、皆でお茶でも」

衣「衣たちもいいのか?」

ハギヨシ「勿論です」クルッ

京太郎「……」コクッ

ハギヨシ「ありがとうございます」ニコ

ハギヨシ「皆様は向こうのテラスでお待ち下さい、すぐにお茶をお持ちしますので」

衣「でも、ハギヨシは今日は非番で……」

純「折角こう言ってもらってるんだ、行こうぜ」ヒョイ

衣「あ、こら! 持ち上げるな!」

純「智紀ー」

智紀「……」ガチャ

衣「智紀、何故ティッシュを鼻に……」

智紀「鼻血……」

衣「ふふっ、変な顔だ!」

智紀「私もそう思う……」

智紀「(衣、嬉しそう)」

ハギヨシ「京太郎くんも、先にどうぞ」

京太郎「……」

京太郎「あの、お茶淹れる所とか見させて貰っていいですか?」

ハギヨシ「……」

ハギヨシ「ええ、勿論」ニコ

ハギヨシ「しっかり技術を盗んでいって下さいね」

京太郎「いやいや、いきなり無理ですって! そんなの!」


……

衣「ハギヨシ、嬉しそうだったな!」

純「オレもそう思った、あまり感情出さない人だと思ってたんだけどなぁ」

衣「清澄の……」

智紀「須賀?」

衣「そう、須賀が来てからは凄く嬉しそうだ」

純「オレですら見てて分かるぞ」

純「やっぱ、1人だけ執事で他メイドだからなぁ」

衣「そうだ。衣もその事を思っていた」

衣「ハギヨシも、ある意味1人ぼっちなんだ……」

智紀「衣……」

衣「ふふっ、今頃2人は何を話してるんだろうな」

純「そりゃ、お前……」

純「男にしか出来ねぇ会話に決まってんじゃねえか」

智紀「(当然……)」

衣「いや、衣は違うと思うぞ」

衣「2人で執事について語り合ってるんだ!」

衣「きっと、須賀はハギヨシと一緒に働きたいはずだ」

衣「既に執事服も着ていたしな」

純「俺も着てるけど、これめちゃくちゃ動きやすいのな」

衣「私も着たいなぁ」

純「いや、お前は無理だろ……」

衣「あ、智紀はどう思う? 2人は何を話しているのか…」ニパー

智紀「……」

衣「智紀?」

智紀「……」ゴチン

純「おい、いきなりテーブルに頭打ち付けてどうした」

智紀「自分の思考の汚さに嫌気が……」ゴチンゴチン

純「あー……」

衣「やめろ、智紀ー!」


……

ハギヨシ「京太郎くんが持っていきますか?」

京太郎「え、いいんですか!?」

ハギヨシ「ええ、その方が皆様も喜びますよ」

京太郎「でも、殆どハギヨシさんが淹れたのに」

ハギヨシ「ほらほら、衣様たちを待たせてしまっては執事として失格ですよ」

京太郎「あはは、その通りっすね」ガチャ

京太郎「こっちの方向ですよね」スタスタ

ハギヨシ「ええ、先導しますので着いてきて下さい」スタスタ

京太郎「分かりましたー」

「あら、ハギヨシ」

ハギヨシ「透華お嬢様」

透華「だから、今日はオフの許可をお父様から貰っていると言っていますのに……」

一「ハギヨシさんも少しは休めばいいのに」

ハギヨシ「いえ、仕事では…」

京太郎「龍門渕さん、お邪魔してます」

透華「いえ、構いませ…」

透華「あ、あなた、その服装……」プルプル

ハギヨシ「(やはりまずかったですか、私としたことが……浮き足立っていたのかもしれません)」

一「へぇー、執事になるの?」

京太郎「えーと」

ハギヨシ「いえ、これは…」

透華「ちょっと失礼」ダッ

一「どこ行くの、透華」

透華「すぅー……」バーン

京太郎「いきなり窓を開け放って……どうしたんですか?」

一「さぁ?」

「いやっほぉぉおおおおおおおおぉぉおう!!!!!」

一「……」

京太郎「……」

ハギヨシ「……」

京太郎「本当にどうしたんですか……」

一「さぁ……」


……

透華「成る程、お茶会を」

ハギヨシ「ええ、良ければ透華お嬢様も国広様もご一緒に」

一「いつものメンバーじゃん」

一「おっと、違うか」

京太郎「あ、なんかスミマセン」

透華「須賀君」

京太郎「はい?」

透華「とても似合っていますわ」

透華「(ハギヨシと!)」

京太郎「あ、ありがとうございます!」

一「服装もそうだけど、ハギヨシさんとのコンビも似合ってるよねー」

一「まさに白と黒、光と闇って感じで…」

透華「一!!!」

一「え、ボク何か失礼なこと言った?」

京太郎「いや、俺は別に」

ハギヨシ「いえ」

透華「まさに白と黒。光と闇……その通りですわ!」

京太郎「……」

ハギヨシ「……」

一「あ、うん……」

京太郎「でも、嬉しいなーハギヨシさんとコンビに見られるなんて」

ハギヨシ「そうですか?」

一「ホントホント、お似合いだよ」

一「まるで、兄弟みたい。ね、透華?」

透華「兄弟……それもアリですわね」

一「さっきから本当にどうしたのさ……」


……

衣「透華!それに一も」

純「お、麻雀部勢ぞろいだな」

智紀「昨日ぶり……」

透華「衣、純、智紀」

透華「ごきげんよう」

純「おう」

智紀「透華もなんか嬉しそう……」

透華「そ、そう見えますか?」

一「さっきからおかしいんだよ本当……」

ハギヨシ「衣様、大変お待たせ致しました」

京太郎「お待たせしましたー」

智紀「……っふ」

智紀「(やっぱり)」

智紀「いい……」

純「何が?」

智紀「……」

智紀「気にしてない、という意味……」

純「あー、そういう意味ね」

一「(なんか違う気もするけど)」


……

透華「食べ終わったら、やはり運動ですわ」

純「お、いっちょやりますか」

一「またキャッチボールでもやるの?」

衣「私はなんでもいいぞ」

ハギヨシ「私は食器を片付けて来ますね」

京太郎「手伝いますよ」スタスタ

ハギヨシ「お願いします、京太郎くん」

透華「それにしても、仲良いですわねあの2人」

一「気を許してるのが丸わかりだよね、ハギヨシさん」

衣「仲がいいのは良いことだと思うぞ」

純「まぁ、いいじゃねえか今日くらい」

透華「攻めるつもりはありませんわ」

透華「寧ろ褒めて遣わしたい」

智紀「……」コク

衣「?」

純「は?」

一「気にしないで」


……

純「んで、なにすんの?」

透華「前と同じというのも面白くありませんわね……」

一「サッカーとか」

衣「サッカーやりたい!」

智紀「例によって人数が足りない……」

ハギヨシ「ただいま戻りました」

京太郎「戻りましたー」

透華「7人の上に男性2人ですし……」

純「1人チートみたいな人が居るしな」

ハギヨシ「折角の申し出、ありがたいのですが……私は遠慮しておきます」

衣「何故だ、私はハギヨシ達とも遊びたいぞ」

ハギヨシ「衣様……しかし、申し訳ありません」

ハギヨシ「私としては主人と競うということにどうしても抵抗を感じるのです」

京太郎「それじゃ、俺も……」

ハギヨシ「いえ、京太郎くんは参加して下さい」

京太郎「でも」

ハギヨシ「私の代わりをお願いしますね」ニコ

京太郎「ハギヨシさん」

透華「まぁ、そういうなら仕方ありませんわ……」

ハギヨシ「私は近くで見守っていますので」

純「3:3でやるか?」

一「やっぱ人数少ないねー」

京太郎「それじゃ、PK戦とかどうですか?」

純「おっ、ナイスアイデア!」ガシガシ

京太郎「うわわ」

衣「ぴーけー戦?」

一「キーパーと蹴る人を決めてひたすらシュートする遊びだよ」

衣「なるほどー」

京太郎「もちろん、俺がキーパーでいいっすよ」

純「おっ、いっちょ前に執事ヅラか?」

京太郎「いや、そんなんじゃないですって!」

一「ま、男子1人だし妥当だよね」

透華「それでキーパーは須賀君に任せするとして、誰から蹴ります?」

純「はいはい、オレ蹴る!」

衣「私は最後でいいぞ」

京太郎「最初は井上先輩ですか」

純「純でいいよ。ハギヨシさん、背広預かってもらえますか」

京太郎「あ、俺のもお願いします」

ハギヨシ「はい、お2人とも頑張って下さい」

純「おい、京太郎」

京太郎「はい」

純「客人だからとか執事の真似事してるからって、遠慮はいらねえぞ」

京太郎「分かりました」

純「よし、んじゃいくぞー」

純「うぉら、バナナシュート!」

バシュ

京太郎「バナナシュート!?」

ギューン

京太郎「ってただの直球じゃないですか!」パーン

純「曲げ方知らねえんだよ!」

一「あっ!弾いたボールが!」

透華「衣!」

智紀「!」ダッ

衣「うわ、うわわ……」

京太郎「やべ!」

純「チッ!」ダッ

パーン!!

衣「えっ…」

京太郎「ボールが空中で破裂した!」

ハギヨシ「……」フリフリ

京太郎「吹き矢っすか……」

純「何時の間にあの位置に……ってかやっぱり人間じゃねえ」

透華「助かりましたわ、ハギヨシ」

衣「ありがとう、ハギヨシ」

ハギヨシ「いえ、執事として主人を守るのは当然の事ですから」

ハギヨシ「どうぞ、新しいボールです」

京太郎「準備いいっすね、流石」

ハギヨシ「執事ですから」ニコ

一「次、透華蹴る?」

透華「一に任せますわ」

一「よし、じゃあボクが行こうかな」

京太郎「いつでもいいっすよ!」

一「純くんも言ってたけど遠慮は要らないからねー」

京太郎「はい」

一「んじゃ、行くよ~」

一「カミソリシュート!」

純「なんだその名前」

ヒュッ

京太郎「うわっ、曲がり方エグい!!」バッ

純「おっ、入った!」

一「透華、どうだった?」

透華「見事です。流石私の一ですわ」

一「へへ」

智紀「次、私でいいの?……」

衣「うん! 私は最後がいい!」

智紀「それじゃ、遠慮なく……」

京太郎「沢村先輩っすか」

智紀「うん……」

智紀「例によって遠慮は無しで……」ゴッ

京太郎「はい!」

智紀「ふッ!」シュッ

京太郎「!」

コロコロ…

純「……」

一「……」

京太郎「……」パシ

京太郎「あっ」

京太郎「なんかスイマセン…」

智紀「気にしてない……」

一「透華は?」

透華「私は監督ですから。衣」

純「(運動するんじゃなかったのか)」

衣「遠慮は要らないぞ!」

京太郎「(難しい人が来たな…)」

京太郎「(素直に止めるのも……なんかそれで可哀想だしなぁ)」

京太郎「(こんな時、ハギヨシさんだったら)」チラ

ハギヨシ「……」ニコ

京太郎「!」

京太郎「(そうだ、俺は今執事なんだ)」

京太郎「(執事なら主人を立てるのは当たり前だろ)」

京太郎「(手加減せずに主人を立てるんだ。俺ならやれるはずだ!)」

京太郎「さあ、来い!」

衣「その意気や良し!」

衣「行くぞ!」シュッ

コロコロ……

京太郎「うおぉぉぉぉお!!!」

純「全力で前に取りにいったぞアイツ」

京太郎「あっ」ガッ

一「躓いた」

ドグシャアァァア!!

純「思いっきりコケたぞ……大丈夫かあれ」

コロコロ…

透華「あっ、ボールが……」

智紀「一応ゴール……」

衣「だ、大丈夫か!?」ダッ

京太郎「……」

京太郎「ふっ…な、ナイスシュート……」グッ

衣「お、おう……」

一「(衣、引いちゃってるよ)」

京太郎「うわ、土で執事服が……」

純「あれまぁ」

ハギヨシ「いや、見事でしたよ京太郎くん」

京太郎「すみません、ハギヨシさん……借り物なのに」

ハギヨシ「いえ、もともと差し上げようと思っていたものですから」

京太郎「えっ!?」

ハギヨシ「よろしいですか? 透華お嬢様」

透華「こちらも元よりそのつもりですわ」

透華「我が龍門渕に汚れた執事服など必要ありませんから!」

シーン

京太郎「……」

京太郎「あ、あの……本当すいませんでした…」

透華「あ、いや今のは言葉のアヤというか……」アタフタ

智紀「……」サッ

一「ともきー?」

智紀「須賀君、今のはツンデレというもので……」

京太郎「?」

透華「説明せずとも良いですわ……」


……

ハギヨシ「さ、京太郎くんも座席に」

京太郎「ほ、本当にリムジンに乗せて貰って良いんですか!?」

透華「構いませんわ」

衣「さ、早く乗れ」

京太郎「く、靴は脱いだ方が……」

純「そのままでいいって」

京太郎「うわー!スゲー!長ぇー!ゴージャス!」

純「はは、なんか子どもみたいだなお前」

衣「子どもじゃない!衣だ!」

京太郎「え?」

衣「あっ」

衣「わ、忘れてくれ……」

透華「衣……」

純「(今のが条件反射ってやつか……)」


……

京太郎「と、いうわけで」

京太郎「ジャーン!執事服!」

咲「うわぁ、本当だ!」

和「似合ってますよ」

咲「京ちゃん、凄い凄い!」

咲「凄くいいよ!!」

京太郎「お、おう……咲、喜び過ぎ」

優希「私も合わせてメイド服着てきたじぇー!」

京太郎「おっ、いつぞやの」

まこ「お似合いじゃな」

久「……」

和「部長?」

久「これは、アレかしら……」

和「アレ?」

久「もっと俺を使って欲しいという須賀君のサインかしら!?」シャキーン

和「違うと思います……」



カン