http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338301131/



咲「聞こえなかったのかな? もう一回言うよ」

京太郎「あ、ああ」

咲「京ちゃんのことが好きですっ、私と付き合ってください!」

京太郎「うぉ……、聞き間違いじゃなかった」

咲「私は本気だよっ。ずっと好きだったんだから!」

京太郎「そうか……。俺は――」

優希「二人でなに話してるんだじぇ?」

京太郎「ゆ、優希!?」

咲「優希ちゃん……」

優希「部活終わったし、タコス食いに行こうじぇ! 京太郎、お伴せよ!」

京太郎「はぁ……、お伴って、また俺に奢らせる気だろ、お前」

優希「そうとも言う!」

京太郎「清々しいな……」

優希「それはシャレで言ってるのか?」

京太郎「違う。そんなつまらんこと言うか」

優希「とにかく行くじぇ!」

京太郎「ちょっ、急に腕引っ張るなって! 俺は咲と話が……」

優希「咲ちゃん?」

咲「私はいいよ……、二人で楽しんできなよ」

優希「そっか、また今度行こうじぇ」

咲「うん、そうだね」

優希「よし、行くぞ、京太郎!」

京太郎「だから待てって、おわっ!?」

優希「タ~コス、タコス~」

京太郎「咲っ、今夜電話する!」

咲「うん。ばいばい、京ちゃん」



―― タコス屋 ――

優希「ぷはぁ~、部活帰りのタコスは格別だじぇ~」モグモグ

京太郎「……残業帰りのサラリーマンみたいだな」

優希「部活でタコスぢから全部使ったから補充だじぇ」

京太郎「確かに今日の優希は凄かったな。部長も褒めてたぞ」

優希「ふふん。ところで、京太郎は食べないのか?」

京太郎「ああ、コレか。頼んだけど何か食欲ないから食べていいぞ」

優希「それでは、遠慮なくっ」バッ

京太郎「おい、袖っ!」

優希「あっ……」ガシャン

京太郎「割れたか……。ケガしてないか?」

優希「ケガはないけど、ジュースが制服に……」

京太郎「うわ、全部かかったか。染みになる前にトイレで洗って来い」

優希「でも、」

京太郎「いいから、早く行け。店には俺が謝っとくから」

優希「ごめん……」タッ

京太郎「すみません、グラス割ってしまって」

店員「お気になさらないでください。すぐに代わりをお持ちしますので」

京太郎「本当にすみません」

店員「いいんですよ。それより、さっきの対応、とてもカッコ良かったですよ」

京太郎「俺が、ですか?」

店員「ええ。ナイスフォローでした。彼女思いの彼氏さんですね」

京太郎「そんな、俺は彼氏なんかじゃないですよ」

店員「そうなんですか? ときどき一緒にご来店されて仲も良さそうだったので、私はてっきり……」

京太郎「俺はただの友達、いや、財布か? ……とにかく、彼氏じゃないです」

店員「でも、とてもお似合いだと思いますよ」

京太郎「……えっと、この話はそれくらいにして、タオルか何かもらえませんか」

店員「長話失礼致しました。今お持ちします」

京太郎「お願いします」

京太郎「……彼氏、か」

優希「……」トボトボ

京太郎「どうだ、落ちたか……って、やっぱ染みになったか」

優希「……お店の人は?」

京太郎「気にしないでいいいってさ。それより、お前、着替えあるのか」

優希「持ってないじょ……」

京太郎「だよな……。近所に服屋あったっけ」

優希「たぶんない」

京太郎「店の人に借りるか……、いや、そこまで迷惑かけられないな」

優希「どうしよう……」

京太郎「この際仕方がない、俺の学ラン貸してやる」

優希「えっ、でも、汚れちゃうじょ……」

京太郎「別にいい。どうせ、もうすぐクリーニングに出すしな」

優希「……ありがと、京太郎」

京太郎「それじゃ、出るか。店の人にちゃんと謝ってからな」

優希「うんっ」

店員「ありがとうございましたー」

優希「店員さん、笑ってたじょ……」

京太郎「許してくれたんだから感謝しろよ」

優希「それは分かってるけど……、絶対コレ見て笑ってたじぇ」

京太郎「ぶかぶかなのは我慢しろ。身長差あるんだから」

優希「それでも『とてもいいコートですね』は酷いじょ……」

京太郎「グラス割った代償としてなら安いもんだろ、それくらい」

優希「うぅ……、今度行ったときも笑われそうだじぇ……」

京太郎「そんなことないって。ただ、今度行ったときは少し高いの頼めよ」

優希「そうするじょ……」

優希「あ、あと、みんなには」

京太郎「内緒だろ。わざわざ言う必要ないしな。その代わり、一つ言うことを聞け」

優希「うぐ……、私の弱みを握った瞬間それとは、京太郎も悪人だじぇ……」

京太郎「そんなに大したことじゃないから」

優希「それで、私はなにをしたらいいんだじょ?」

京太郎「それはだな」

優希「う、うん……」ドキドキ

京太郎「今度からは食った分は自分で払え」

優希「え」

京太郎「結局、また俺が奢る形になったからな。でも、今回限りだ。次はないと思え」

優希「……それだけ?」

京太郎「だいたい、お前は俺を財布かATMかと勘違いしてるだろ。俺だって高校生なんだから、金持ってないんだよ」

優希「……私がお前の懐事情なんて知るかっ、もう帰る!」ダッ

京太郎「お、おい! 待てよ!」

優希「京太郎に期待した私が馬鹿だったじぇ!」

京太郎「俺の学ラン……」



―― 優希の家 ――

優希「本当に京太郎は馬鹿だじぇ」

優希「あの空気であんなどうでもいいこと言うとは……」

優希「あいつは本当にオトコなのか疑問だじぇ」

優希「そういえば、前にメイド服でパンチラサービスしたときも効果なかったし」

優希「やっぱり、私はそういう対象として見られていないのかな……」

優希「見た目ロリだし、胸ないし、子どもっぽいし、おっぱいないし……」

優希「オトコはアレか、何だかんだ言ってもおっぱいが好きか! 貧乳は負け組かっ」

優希「うぅ……、惨めになってきたじぇ」

優希「今日はもう寝るじょ……」

優希「あ、学ラン返すの忘れてたじぇ」

優希「……」

優希「京太郎の匂いがするじぇ……」

優希「京太郎……ぐすっ」



―― 京太郎の家 ――

京太郎「あいつ、なんで怒ってたんだろ」

京太郎「俺の言い方がキツかったのか? でも、普段の俺はもっと酷いこと言われてる気が……パシリとか」

京太郎「友達でも金のことはしっかりしたいだけなんだがなー」

京太郎「明日、また話すか。掘り返すみたいで気が進まないが……。落ち着いて話せば分かってくれるだろう」

京太郎「おっと、もうこんな時間か。明日も早いし、寝るか」

京太郎「おやすみ」


―― 咲の家 ――

咲「電話、まだかな?」

咲「京ちゃん……」





 翌日

―― 清澄高校 麻雀部部室 ――

京太郎「――あれ、部長以外まだ誰も来ていないんですか」

久「須賀君か。今日は早いわね」

京太郎「最後の授業が自習になったので、そのまま逃げてきました」

久「あら、須賀君も意外と悪なのね」

京太郎「その『も』には部長も入ってるんでしょうか」

久「そうね。私も悪いと言えば悪いわね」

京太郎「悪い学生議会長ですか。学園モノでありそうですね」

久「ん~、悪い部長のほうがあってるかも」

京太郎「どっちにしても悪いことは認めるんですね……」

久「まあ、今まさに悪いことしようとしてるしね」ボソッ

京太郎「なにか言いました?」

久「別に。……ところで、須賀君に訊きたいことがあるんだけど、いい?」スッ

京太郎「な、なんですか。あの、近」

久「須賀君の本命が誰か教えてもらえないかしら?」

京太郎「はい?」

久「本当に耳が悪いみたいね、もう一回言うからよく聞きなさい」

京太郎「はいっ」

久「須賀君が一番好きな女の子は誰なの?」

京太郎「えっと、からかってるんですか?」

久「私は本気よ」

京太郎「みたいですね。どうしても答えなきゃダメですか?」

久「断ったら、この場で私は悲鳴を上げるわ。犯されるってね」

京太郎「本当に悪い部長ですね……。分かりました、答えます」

久「うん。須賀君は素直でいいわ。それで、誰なの?」

京太郎「俺が好きな人は――」

優希「京太郎っ、昨日は怒ってゴメンだじぇ!」

京太郎「ッ!?」

優希「あとコレ、借りてた学ラン。返すじぇ」

京太郎「……おい」

優希「そのシワになってるのは昨夜着たまま寝ちゃったからでー、悪気はないんだじょ……」

久「……二人はそういう関係だったのね。知らなかったわ」

京太郎「えっ、ちょ、なんか勘違いしてませんか!?」

久「私の目をすり抜けて関係を築くなんて、やっぱり須賀君は悪い人……」

京太郎「俺の話聞いてくださいよ、部長!」

久「いえ、惚気話は結構よ。耐えられそうにないわ」

咲「惚気話……?」

京太郎「咲っ!?」

咲「惚気話ってなんですか、部長」

久「あのね、須賀君と優希が付き合ってるらしいのよ」

咲「えっ……」

久「びっくりしたでしょう。私もさっき聞いたばかりで驚いてるんだけどね」

咲「そうですね」

久「しかもね、優希は須賀君の学ランにくるまって寝てるらしいの。アツイわよね」

咲「そうですね」

京太郎「部長っ、誇張表現止めてください! 絶対勘違いされてる!」

咲「そうですね」

久「ん、宮永さん?」

咲「そうですね」

久「……須賀君と優希が付き合うことに賛成?」

咲「それは絶対に許しません」

優希「それでね、京太郎。私、昨日考えたんだけど……」

咲「京ちゃん、私も昨日ずっと待ってたんだけど、そのときに考えたんだけど……」

優希「私、京太郎のことが好きだじぇ!」

咲「私、やっぱり京ちゃんのことが好きみたい」

京太郎「マジかよ……」

久「あらあら、こういうのも修羅場って言うのかしら」

京太郎「部長っ、誰のせいでこうなったと」

久「まあ、私も須賀君のことが好きなんだけどね」

和「私もです」

まこ「わしも」

京太郎「和に染谷先輩!? いつの間に!? つか、絶対フラグ立ってねえ!」

久「細かいことは置いといて。それで、須賀君は誰を選ぶのかしら?」

京太郎「俺が一番好きな女の子は、咲です」

咲「京ちゃん!」

久「……理由を訊かせてもらってもいいかしら」

京太郎「咲はドジで放っておくとなんかやらかすし、すぐ泣くし、放っておけないんです」

和「でも、それは優希と大して変わらないじゃないですかっ」

優希「なんで、私じゃなくて咲ちゃんなんだじぇ……」

まこ「納得できんのう」

久「私も、このままでは引き下がれないわ。決定的な理由を言ってもらわないと」

京太郎「決定的理由ですか……、それはですね」

京太郎「咲は俺の幼馴染だからです」

和「たったそれだけで!?」

京太郎「俺は今まで咲と一緒だった。単純に、これからも咲と一緒にいたいし、いてほしいと思うからです」

咲「京ちゃん……、ありがとう、京ちゃん」

久「……幼馴染を選ぶなんてね」

まこ「ベタじゃのう」

優希「つまんないじぇ」

和「もういいです」

京太郎「えっ、あれ、みんなどこ行くんですか?」

久「お二人の邪魔しちゃ悪いからね」

久「退部させてもらうわ」

まこ「退部じゃのう」

優希「退部するじぇ」

和「退部します」

京太郎「ええっ、全国は!?」

久「もうどうでもいいわ。とても協力する気にはなれないし。それじゃ、ごゆっくり」

咲「やったね、京ちゃん! 二人っきりになれたよ!」

京太郎「あぁ……、そうだな……」

咲「好きって言ってくれてとても嬉しかったよっ、今度デートしようね!」

京太郎「そうだな……」

咲「今まで麻雀して遊べなかった分、しっかり遊ぼうね!」

京太郎「あぁ……」


こうして清澄高校麻雀部は全国大会に出場することなく、内部崩壊した。

BAD END



---
--
-


(部室に行く前から)

京太郎「今日最後の授業は自習か。逃げて早く部室に行こうかな」

京太郎「そうと決まれば、ん?」カサッ

京太郎「なんだ、コレ。手紙?」

京太郎「『放課後 学ラン タコス』……優希か」

京太郎「放課後、学ラン返したいからタコス屋に来いってことか?」

京太郎「部室で渡せばいいのに……、ああ、みんなにバレるのが嫌なのか」

京太郎「わざわざ手紙を入れたってことは、今日の部活は出ない気か、あいつ」

京太郎「先に行って待ってるんだろうな……。待たせると悪いし、自習終わったらすぐ行くか」

京太郎「やっと終わった。よし、行くか」

咲「あ、京ちゃんっ。あのね、私、」

京太郎「悪い、咲。今日の部活出れなくなったって部長に言っといてくれ」

咲「いいけど……、どこ行くのっ」

京太郎「すまん、急いでるから」

咲「待ってよ、誰かと会うの?」

京太郎「……そうだ」

咲「そっか……、引き止めてごめんね。早く行ってあげて」

京太郎「ああ、ごめんな、咲」

咲「いいよ、気にしないで」

京太郎「それじゃ」ダッ

咲「ばいばい、京ちゃん……」



―― タコス屋 ――

店員「いらっしゃいませー」

京太郎「ゼェ…ハァ……ハァ…、あの、」

店員「昨日のお連れの方が、あちらの席でお待ちになられています」

京太郎「え?」

店員「ずっと待ってるみたいだから、早く行ってあげて。お財布さん?」

京太郎「……はい」

京太郎「悪い、待たせたな」

優希「別にいいじぇ」

京太郎「あの手紙読んできたわけだが、もう少し何とかならなかったのか、アレ」

優希「京太郎が分かってくれたなら、それでいいじぇ」

京太郎「それで、俺の学ランは?」

優希「はい」

京太郎「なんか、シワ増えてないか……?」

優希「そ、それは、ハンガーにかけ忘れたからだじぇ! 許せ、京太郎!」

京太郎「いや、別に多少のシワは気にしないから許すよ。話は終わりか?」

優希「……まだだじぇ」

京太郎「うん。なんだ?」

優希「昨日、怒鳴って悪かったじぇ。京太郎は間違ったこと言ってなかったのに……」

京太郎「俺の言い方も悪かった。ちょっときつく言いすぎたな」

優希「そんなことはないじぇ。私が調子に乗ってたのは事実だし」

京太郎「自覚はあったのか」

優希「本当にごめんなさい。なにも言われなかったから、ずっと甘えちゃってたじょ」

京太郎「反省してるなら、それでいい。あまり気にするな」

優希「でも、京太郎が怒ってくれたとき、少し嬉しかったじぇ」

京太郎「嬉しかった……?」

優希「あのとき、京太郎が本気で私に話をしてくれたと思うと嬉しくなったじぇ」

京太郎「ヘンな奴だな、お前」

優希「だって、今まで京太郎が私と真面目な話をしたことはほとんどなかったから、私はその程度の友達かと思ってたじぇ」

京太郎「その程度がどの程度か知らんが、優希は上辺だけの友達じゃないぞ」

優希「そう言ってくれるのは嬉しいけど……。やっぱり、友達どまりかー、残念だじぇ」

京太郎「それは、どういう」

優希「もう、分かってるくせに白々しいじょ」

京太郎「……そうだな。はっきりさせるか」

優希「うん」

優希「昨日考えたんだけどね」

京太郎「ああ」

優希「京太郎はいつも嫌な顔せずに私の相手してくれるし、県大会で私がピンチのときにはタコス買ってきて助けてくれた」

優希「私って京太郎に助けられてるって今さら気づいたんだじぇ」

優希「部活帰りのタコスも色々言いつつも一緒してくれるし、もう京太郎抜きじゃ、ダメなんだじぇ」

優希「京太郎には、これからもずっと私の隣にいてほしいと思う」

優希「だから……、私と付き合ってください、京太郎」

京太郎「……」

優希「京太郎に言われた悪いところは直すからっ、他にも悪いところがあったら、それも直すからっ」

優希「だから、私を嫌いにならないでほしいじぇ……」

京太郎「嫌いにならないでって言われてもな……」

京太郎「優希は普段からうるさいし、俺をパシリ扱いするし、タコス買ってきてもまともに礼言わないし」

優希「……」

京太郎「悪いところが多すぎるんだよ、お前は」

優希「それは直すからっ、悪いところは全部! だからっ、」

京太郎「言うのは簡単だけど、悪いところはそう簡単に直るものじゃない。それは自分が一番わかってるだろ」

優希「うぅ……」

京太郎「それに優希は自分に甘いところがあるからな、直すって言われても信用できない」

優希「ぐすっ……、ゴメンじょ……」

京太郎「だから、俺が直してやる」

優希「えっ……」

京太郎「俺が一緒に優希の悪いところを直してやるって言ってるんだ。これからずっと、な」

優希「それって、」

京太郎「ああ。俺の彼女になってくれ、優希」

優希「ありがとう、京太郎っ。本当にありがとうっ……」

京太郎「うぉっ、いきなりマジ泣きしてんじゃねえよ!」

優希「だって……、だって嬉しくて……」

京太郎「だからって急に泣くなよ……、びっくりするから」

優希「ごめん……、京太郎」

京太郎「まあ、タコス食って落ち着け。ほれ」

優希「うん……」モグモグ

京太郎「うまいか?」

優希「こんなに美味しいタコスは初めてだじぇ……ぐすっ」

京太郎「だから泣くなって……」

京太郎「落ち着いたみたいだし、そろそろ出るか」

優希「うん」

京太郎「その前に、お前はトイレで顔洗って来い。ぐちゃぐちゃになってるぞ、いろんなものが」

優希「恥ずかしいじぇ……」タタタ

京太郎「すみません、お会計お願いします」

店員「全部で○○円です」

京太郎「はい」

店員「お釣りです。……ところで、どうやら仲直りできたみたいですね、お財布さん」

京太郎「何度も迷惑かけてすみませんでした」

店員「いえいえ、全然大したことではないですから、お気になさらず」

京太郎「そう言ってもらえると助かります」

優希「戻ったじぇ! これでいいかっ、京太郎!」

京太郎「おっ、普段のお前に戻ったな。よし、支払い済ませてるから先に出てろ」

優希「わかったじぇ!」ダッ

店員「ふふっ、本当に元気ですね、あの娘」

京太郎「はは……、もう少し、大人しくなるといいんですけどね」

優希「まだー?」

京太郎「もう行くから大人しく待ってろ」

優希「はーい!」

店員「では、またの御来店をお待ちしています」

京太郎「はい、また来ます。……っと、すみません、最後に一つだけ」

店員「なんでしょうか?」

京太郎「俺、あいつの財布じゃなくて彼氏です。今日からですけど」

優希「遅いじぇ、京太郎」

京太郎「すまん。それじゃ、帰ろうか」

優希「あ、ちょっと待って」

京太郎「ん、どうした?」

優希「さっきのタコスのお金、ちゃんと払うじぇ。いくら?」

京太郎「いや、いいよ」

優希「でもっ」

京太郎「お前を泣かせたお詫びだ。だから、今日の分は払わなくていい」

優希「……きゅん」

京太郎「きゅん?」

優希「不覚にも、ちょっとカッコイイと思ってしまったじぇ……」

京太郎「ぐっ……。そういうことは黙っとけよ……」

優希「おぉう、京太郎が照れてるじぇ~!」

京太郎「照れてない」

優希「赤い顔で言っても説得力無いじぇ~」

京太郎「うるさい、先に帰るぞ」

優希「逃げるな、京太郎っ!」

京太郎「放せって、暑苦しいから」

優希「タコスのお礼にサービスして当ててるんだじぇ!」

京太郎「なにをだよ……」

優希「おっぱい!」

京太郎「え、嘘だろ。俺はてっきり背中が当たっているのかと……うぐ」

優希「バカにするなっ、そんなこと言ってると大きくなっても触らせてあげないじぇ!」

京太郎「バカにはしてない、ただ勘違いしただけだ。それに、」

優希「それに?」

京太郎「優希は今のままで十分可愛い」

優希「うぐ……」

京太郎「お、効いたみたいだな。さっきの仕返しだ」

優希「それなら、京太郎だって、今のままで十分カッコいぃ……」

京太郎「俺が、なんだって? よく聞こえなかった。もう一回言ってくれるか」

優希「~~もういいじぇ!」ダッ

京太郎「おい! 待てって!」

優希「京太郎なんか嫌いだじぇ~!」


おしまい


---
--
-



咲「京ちゃん、明日までの宿題やった?」

京太郎「やべっ、忘れてた!」

咲「あのさ、もし良かったら教えてあげるから一緒に勉きょ……」

京太郎「悪い、咲。部長に今日の部活休むって伝えてくれ」

咲「あ……いっちゃった」

咲「部活に入ってから、あんまり京ちゃんと話してないな……」

咲「部長。京ちゃんは今日休みです」

久「あら、そうなの?」

咲「宿題が終わってないそうで……」

まこ「ほお。ところで優希は終わってるのか?」

優希「のどちゃんに見せてもらうじぇ!」

和「たまには自分でやってください」

久「じゃあ、須賀君がいないからちょうどいいわね」

咲「ちょうどいいって……?」

まこ「男子部員を増やそうかって話をしとったんじゃ」

久「須賀君一人だけじゃ何かと困るでしょ?」

和「それって雑用が、って意味ですか?」

優希「犬は一人で十分だじぇ!」

久「違うわよ。須賀君一人じゃ個人戦しか出れない。二年前の私と一緒なの」

咲「でも、それなら京ちゃんがいる時に話したって……」

まこ「ハーレムが崩れるといって賛成せんじゃろ」

久「ちょっと、まこ。そうじゃないの。決定的なのは須賀君の雀力の事」

優希「アイツはド素人だじぇ!新入部員が5人いたら補欠は必ずアイツになるじぇ!」

和「そんな理由で反対するでしょうか?」

久「あくまで可能性の話よ。でも、部員を募集すれば起こりうること」

まこ「あやつは笑って『別にいいですよ』と言うかもしれんが、内心穏やかではないじゃろ」

咲「それならなおさら京ちゃん本人に聞かないと!」

久「須賀君が反対すると思う?」

咲「それは……」

和「部の人数が増えるのは喜ばしいことですしね」

まこ「賛成した手前、退部しますとは気軽に言えんじゃろうしな」

久「それなら今のうちに私の独断で増やして彼の逃げ道を残しておきたいと思うの」

優希「私は反対だじぇ!犬は一人でいいじぇ!」

和「優希、これは個人じゃなくて部の問題です」

久「確かに宮永さんの言う通り、私の、私たちの独断が最善ってわけじゃないわ」

まこ「でも、京太郎をこのまま一人だけの男子麻雀部にはしとうない」

咲「それは……わかります」

咲「でも……でも!」

咲「私にはどうしたらいいかわかりません」

咲「でも、私は部長ではないし、部長の判断には従います」

和「私も従います。優希もいいですね?」

優希「いいじぇ……」

まこ「……」

久「ふう、わかったわ。しばらくこの件のことはなかったことにします」

久「じゃあ、普通に部活を始めましょうか」

二時間後ぐらい

久「じゃあ、今日の部活はこの辺で。あ、それと宮永さんは残ってくれる?」

咲「……はい」

優希「疲れたじぇ。のどちゃん、タコスを食べて帰るじぇ!」

和「たまにはそれもいいですね。では、宮永さん、お先に」

優希「咲ちゃん、また明日じぇ!」

まこ「優希はちゃんと宿題やるんじゃぞ?」

優希「忘れてたじぇ……」

久「宮永さん、あなたは新しい部員が来るのが嫌?」

咲「そんなこと……ない、です」

久「そう。じゃあ、男子部員を募集するわ」

咲「……」

久「宮永さん、あなたは新しい部員が来るのが嫌?」

咲「そんなこと……ない、です」

久「そう。じゃあ、男子部員を募集するわ」

咲「……」

久「嫌なら嫌って言っていいのよ?」

咲「部長が決めたことですから」

久「宮永さん、私は立場的には部長だけど偉くともなんともないわ

久「だって貴女たちが入部してくれなきゃ名ばかりの部長だったわけだし」

久「私は貴女に、貴女たちに感謝してるわ。もちろん須賀君にも」

咲「それなら……京ちゃんの、京ちゃんの居場所を奪わないでください……」

久「……そうね。宮永さんの言いたい事は良く分かるわ。でも、私は部長なの」

咲「……はい」

久「ごめんなさい。引き止めて悪かったわね」

咲「お疲れさまでした」

京太郎「だー、宿題が終わんねー。どーする俺?どーする俺?」

京太郎「そうだ、もう部活終わってるよな。咲に教えてもらおう」

TEL:咲

京太郎「頼む!咲様、出てくれ!」

咲「……はい」

京太郎「おー、咲か。悪いんだけど、宿題教えてもらってもいいかな?」

咲「あ、うん。いいよ」

京太郎「ありがたいぜ。じゃあ、10分後に咲の家に行くわ」

咲「うん、待ってるね」

京太郎「お邪魔しまーす」

咲「今日はお父さんいないんだ。そんな事言わなくても大丈夫だよ」

京太郎「いや、礼儀としてだな……」

咲「変なの。京ちゃんってそんな人だっけ?」

京太郎「俺は紳士だぜ?」

咲「ふふ。じゃ、宿題やっちゃおう?」

京太郎「おう!頼むぜ」

京太郎「終わったー。助かったよ」

咲「良かった。これで明日怒られなくてすむね」

京太郎「そうだ、咲。今日の部活はどうだった?また勝ったのか?」

咲「……」

京太郎「俺も強くならないとなー。と言っても男子部員は俺一人だけど」

咲「……」

京太郎「個人戦でもいいからいいとこまでいきたいよなー」

咲「……」

京太郎「……咲?」

咲「あのね、京ちゃん」

京太郎「どうした?久しぶりに負けたのか?」

咲「私、部活やめようと思う」

京太郎「そうかー、負けたのかー。まぁ、たまには……えっ?今、なんて?」

咲「部活やめたいの……」

京太郎「なにかあったのか?」

咲「京ちゃんも一緒に辞めよ?」

京太郎「咲、なにがあったんだ?」

咲「私、京ちゃんと一緒にいたい。毎日一緒にいたい」

京太郎「今でも一緒だろ?」

咲「そうじゃないの……」

京太郎「麻雀が嫌いになったのか?」

咲「違う。京ちゃんが大好きになったの」

京太郎「?……俺は麻雀部にいるぞ?」

咲「今日、こんな話があったの」

説明中

咲「京ちゃん、居なくなっちゃうの?」

京太郎「そうか……男子部員か。確かにずっと俺一人っていうのもな」

咲「嫌じゃないの?京ちゃんがずっといた場所がとられちゃうんだよ?」

京太郎「咲、麻雀は楽しいか?」

咲「……うん」

京太郎「俺もだ」

京太郎「咲だって初めは麻雀強くなかっただろ?」

咲「そうだね……」

京太郎「俺だって強くなる。新入部員が来たって負けないほどに」

京太郎「好きなことだから頑張れる。必死になれる」

咲「京ちゃん……」

京太郎「というわけで、だ。勉強以外に麻雀も教えて欲しい」

咲「う、うん!」

京太郎「よし、やるぜー!本でも買って基礎から叩き込むぜ」

咲「……頑張ってね、京ちゃん。私も側にいるから」



翌日、部室

京太郎「どーもー」

咲「私たちが一番乗りみたいだね」

久「早いわね、二人とも」

咲「こ、こんにちわ……」

久「あのね、須賀君、話があるのだけれど」

京太郎「男子部員のことですか?咲から聞きました」

久「そう……。須賀君は、反対?」

京太郎「へ?何言ってるんですか。大歓迎ですよ!」

京太郎「来年の団体戦で大将を務めるのは俺の役目ですから」

久「言うようになったわね」

優希「お、今日は犬がいるじぇ!タコス買ってくるじぇ!」

まこ「自分でいかんか。京太郎は今、大事な時じゃ」

優希「……分かったじぇ」

久「じゃ、早速打ちましょうか」

まこ「わしは後ろから京太郎の打牌をみとるけぇ」

和「じゃあ、入りますね」

京太郎「ほら、咲も」

咲「う、うん!」

京太郎「部長、背中が煤けてるぜ…」

久「悪待ちを押さえられた!?」

京太郎「御無礼」

和「捨て牌がきっちり迷彩に……」

京太郎「死ねば助かる……この牌を切っていく!」

咲「カン!」

京太郎「え?」

咲「ツモ、大三元。責任払いだよ、京ちゃん」

京太郎「」

まこ「京太郎……漫画しか読んでないんじゃな……」

京太郎「停電は!?停電は起きないのか!」

優希「制服の内ポケットから九萬が見えるじぇ……」

帰り道

京太郎「結局ラスった……」

咲「でも、打ち筋はすごく良くなったよ!」

京太郎「たまたまだよ。麻雀打ってるとちょっと憧れるから狙っただけだ」

咲「ふふ……」

京太郎「ごほん、咲」

咲「ん、なに?」

京太郎「その、だな、あー、返事をしてないと思って」

咲「なんの?」

京太郎「咲、俺もお前が好きだ。ずっと一緒にいたい」

咲「え……?」

京太郎「咲。昨日言っただろ?俺の事が好きになったって」

咲「え、あれは、その、勢いというか……」

京太郎「じゃあ、あれは嘘、なのか……?」

咲「あ、違う!嘘じゃない!ホントだよ!」



咲「京ちゃんだーいすき!」

END