咲の悩み事


  • 1日目


“愛”って何だろう?
“恋”って何だろう?

私は最近よくそんなことを考える。
別にそれは最近読んでいる本が恋愛小説モノばかりだから、とかそんな理由ではない。
その理由は、私に好きな人がいるからである。

私の幼なじみで、言い方を変えると腐れ縁。
毎日毎日「レディースランチが旨そうだから」と言う理由だけで私をお昼に誘う酷いけれど憎めない男の子。
きっと今日もまた誘ってくるのだろう。


「咲ー!」

「京ちゃんっ」


そう、京ちゃんもとい須賀京太郎だ。


「また寝てたのか、咲は」

「もー、今日は寝てないもん」

「そんなことよりさ、咲。今日のレディースランチも旨そうなんだよな、付き合ってくんねーか?」

「それだけのために私を誘うってどうなの。大体優希ちゃんだっているでしょ」


本当に心にもないことを言ってしまったと思う。
最近はいつもこんな感じだった。
きっと自分とは違って積極的にアプローチ出来る優希ちゃんが羨ましいのだと思う。
また、最近京ちゃんは、優希ちゃんばっかりに構ってるからむしゃくしゃしているのかもしれない。
この良く分からない気持ちが「嫉妬」なのかな?

それに、優希ちゃんはことあるごとに京ちゃんに抱きついたりアプローチしている。
私も優希ちゃん以上のアプローチをしないと優希ちゃんに京ちゃんを取られてしまうかもしれないというのは分かっている。
だけど、そうは言っても優希ちゃんが普段やっているような大胆なアプローチを自分がやっているのを想像すると、


(顔が熱くなってそれどころじゃないよぅ)


今の私はたとえば京ちゃんと手をつなぐことだってどきどきしちゃってそれどころじゃないと思うし、それ以外だって……

要するに私は恥ずかしくて思い切ったことが出来ないということなんだ。
――と、考えていると京ちゃんの


「あいつは和と弁当だろ、誘っても来ないって」


という言葉で現実に引き戻される。
私は、今日は京ちゃんと2人っきりと言う事実に少し嬉しく感じながらも、
京ちゃんの口から出た「和」という単語についてまた考え込んでしまう。


(そうだよね、京ちゃんは原村さんのことが好きかもしれないんだ)


ことあるごとに京ちゃんが原村さんのことを見て顔をにやけさせていることに私は気づいていた。
気になる相手のことだからこそ。そしてさらに、京ちゃんが原村さんの大きいおっぱいばっかり見ていることも知っていた。

(きっと、京ちゃんはおっぱい大きい方が好きなんだろうな……
でも、私原村さんみたいにおっぱい大きくないし…きっと私はまだこれからだと思うんだけど………そうだと良いんだけれど…)

もしかしたら京ちゃんは大きなおっぱいが好きなだけで原村さんが好きなわけではないのかもしれない。
だけれども、それはそれでおっぱいの小さい私には大きな危機といえた。


――と、京ちゃんが私の顔をのぞき込んで不思議そうに聞いてきた。


「咲…?どうしたんだ、急に黙ったりして」

「ううん、何でもないよ」

「よし、それなら食堂に行くぞっ」

「あっ、待ってよ京ちゃん!」

「早く来ないと置いてきますよ?」

「むー、私がいないと京ちゃんはレディースランチが食べられないんだよ!」

「おっと、そうだったな……じゃあ行きますか、お姫様?」


京ちゃんがかしこまって手を差し伸べてくる。


「っ~~、ホントに調子良いんだから!」



少し。

少しだけ。


ほんの少しだけ京ちゃんに「お姫様」って呼ばれたことににドキッとしちゃったことは、




……秘密なんだよ?


  *



「原村さんは好きな人とかっている?」

部長の「さあ、全国大会まで残すところ1ヶ月よ! 今日も張り切って打ちましょう!」
という言葉で始まった本日の部活も終わって、原村さんと一緒に家に帰っているときに私は思い切って聞いてみた。
本当はこういうことに詳しいのは部長や染谷先輩なのかもしれないけど、
部長は妙に勘がいいし、染谷先輩は家の手伝いがあるって言って部活が終わってすぐに帰ってしまったから聞けなかった。


「す、好きな人ですか!?」

「うん、そう」

「わ…私は宮永さんのこと好きですよ」


原村さんは何故か顔を真っ赤に染め上げて、とても小さい声でまるで絞り出すようにそう答えた。


(違うんだよ、原村さん。その“好き”は友達としての“好き”だから、私が今抱え込んでるものじゃないの)


私は原村さんがそういう反応を返すかもと、予想していたし、だからこそ初めからだめでもともと感が有った訳だけど、
やっぱり頼りにしていた原村さんが見当違いの答をしてきたことに、少しがっかりしてしまった。
でも、私はそれをあからさまに表に出すと原村さんを傷つけてしまうと思ったから心の中でため息をつきつつも、原村さんに返した。


「ありがとう、原村さん。私も原村さんのこと大好きだよ」


  *





チャプン……

「はあぁぁ~…」



家に帰って入浴中。そこでも私は悩む。
……なんか最近私、毎日お風呂の中で悩んでばかりだな、と思った。

それは毎日のぼせてしまうほどで、ついには3日前お父さんに「長風呂はあまり体に良くないんだぞ」と怒られてしまった。
だが今日、明日、明後日はお父さんが出張で家にいないので、心置きなく長風呂する事が出来る。

それは私にとって誰かに邪魔されないで独りで考えることが出来る時間があるということに等しく、とても都合がいいことだった。
…とは言ってもやはりこればかりは何分悩んでも、何時間悩んでも、何日悩んでも、簡単に答が出るものではなかった。


「京ちゃん…私どうすればいいの…」


と、私の手ははいつものように自分のおっぱい、その大きさに少しだけ自信のないおっぱいに伸びて、揉み始める。
初めはゆっくり、撫でるように、ほぐすように揉む。そして私は、その頂点にあるピンク色の突起に触れた。


「んっ……」


まるで微弱な電流が走ったような気持ちよさに思わず声が出そうになって、私は慌ててその声を押し殺そうとするけれど、
すぐに今日はお父さんがいないためその必要はないことに気が付いて、本能に任せることにする。


「ふあっ…………っんあ!」


私は、今自分の乳首を押したり引っ張ったりしているのは京ちゃんの指だというふうに考える。
そう考え始めだした瞬間、体を流れていた微弱な電流はいつしか微弱ではない、今までよりひときわ強いものになった。
だから、私の想像の中の京ちゃんがいじり初めてすぐに私の乳首はとても固く尖り初めていた。
自分でも比べる人がいないのでよくは分からないけれど、きっと感じやすい体質なのだと思う。


「んっ……ふあっ……っあ」


ついには、そろりそろりと私の想像の中の京ちゃんは指を私のおま○こに伸ばす。
そして、その指がおま○こに触れた瞬間、


「んああぁっっ……!!」


今までとは比べものにならないほど大きく強く鋭く、そして何よりも気持ちいい電流が体を駆けめぐる。
私のおま○こはお湯の中でも分かるぐらいに濡れていて、京ちゃんがそこをかき回すと
お湯の中なのに私の耳にグチョグチョという、いやらしい音が響くほどだった。


「ふあっあっ、んああっ……きょ、ちゃん…激しすぎるよぅ……っあ!」


今度は京ちゃんは無我夢中で私のおま○こをなめ回している。
お湯の中とかそういうこともお構いなしだった。
舌を挿れたり、クリトリスを吸ったり、私の感じるポイントを狙って攻めてくる。


「ゃやあぁぁ……っ!」


……やがて、私は自分の絶頂が近づいているのを感じた。
京ちゃんは自分のおち○ちんを取り出すと、私の中に強引に押し込んでピストン運動をする。
十秒ともつことなく、私はすぐに絶頂に達してしまった。


「んあああああああ…………っっっっ!!」


この瞬間、この一瞬だけ私は幸せな気持ちになることが出来る。
しかし、その一瞬が過ぎれば、私と毎日幸せな日々を送っている京ちゃんは消えて、
私の中には果てしない虚無感が残るのみとなってしまう。

「…………京ちゃぁん……」


例え毎晩毎晩、何度自分を慰めてもその想いは満たされない。
そして私は絶頂の後の束の間の幸福感を求めて夜な夜な自慰、オナニーに走ってしまうのだった。



  *




しばらくして、絶頂後の倦怠感が無くなった私は自分の愛液で汚れてしまったお湯を
捨てて(こういうのってなんか恥ずかしいよね)、パジャマに着替えると自分の部屋に戻った。
ベッドに飛び込んだ私はしばらくぼぅっとしていたが、浮かんで来るのは私の名前を呼ぶ京ちゃんばかり。


『咲、お前また寝てたのか?』

『それでな、咲。レディースランチが旨そうなんだよな』

『咲、お前麻雀出来るの?』


咲、咲、咲―――頭の中で京ちゃんがその名前を呼ぶ。
それは、いつまでも消えることないように思えたが、だんだんと小さくなっていき…遂には消えてしまった。


――もっと。

もっと私の名前を呼んでほしい。
その力強い低めの声で「咲」って呼んでほしい。

いつの間にか、私は自分の瞳から水滴が零れ落ちるのに気付いた。
私、こんなに京ちゃんのことが好きだったんだ。

幼なじみの男の子。小さい頃からよくお姉ちゃんを入れた3人で遊んでて。
だけど、今まではっきりと自覚したことはなかった。


この気持ちを。

愛を。


私は京ちゃん、須賀京太郎のことを愛している。改めてそのことに気づかさせられる。

――だけど。

消極的な私が京ちゃんと結ばれるなんて、そんな事は決してないのだろう。
そう思うと余計に哀しくなってきた。


「うっ、うっ……グス…京ちゃん……私、おかしくなっちゃうよぅ……」


私はたまらなくなってそう呟いてしばらくの間、俯いていた。
が、いつものようにやり切れなくなってしまい、やがてベッドの上で再び自分を慰め始めた。

京ちゃん、京ちゃんはきっと知らないよね。
私がいつもいつも読書中に寝ちゃってるのは毎晩毎晩、京ちゃんのことを想って
自分を慰めるあまり寝不足になって、だからつい昼休みにうたた寝をしちゃうんだってこと。

私は、決して満たされることはないのを知っていながら、それでも何もせずにいられないから、自分を慰め続ける。
本当は、こんなこと考えずに今は全国大会1ヶ月前だし、お姉ちゃんと仲直りするためにも、
また家族一緒に暮らすためにも、麻雀に専念した方がいいんだよね?しなくちゃいけないんだよね?

……でもね、それが出来ないの。いつ、何処にいても、何をしていても、貴方のことが気になるから。頭から離れないから。
…………私…どうすればいいんだろう?


――ねぇ……京ちゃん?





1日目終了