「・・・・だめ」
 勉強が手に付かず宮永咲は筆記具を放り出し天井を仰いだ。
(なんだか集中できないな)
 咲が勉強に集中できない理由、それはどうしても気になることがあったからだ。
(京ちゃんに恋人か・・)
 幼馴染の須賀京太郎に恋人ができた事、それ自体は祝福すれば良い事、実際咲も聞いたときは祝福したのだが・・・家に帰ってくると、何か大切にしていたモノが消えてしまった、そんな喪失感に苛まれた。
(寂しいけど、けど応援しなきゃ、ちゃんとおめでとうって言ったんだし・・でも)
 祝福はした、けど引っかかりも覚えた、それは幼馴染を心配する気持ちだろうか。
(衣ちゃん・・・いい子そうだし心配する必要なんて無いはずなのに)
 悪そうな人間なら心配にもなるが、でも相手は天真爛漫で悪意とは無縁そうな少女、だから心配する必要は無いはず、そのはずなのだが。
(優希ちゃんも納得してくれているから・・・だから・・)
 最初は京太郎と衣の関係に納得していなかった片岡優希も、一日経った今日には説得されたのかすっかり納得して、今まで通り・・いやむしろ京太郎と仲良さそうにしていた、だから何の問題も無いはずなのに、咲に心は晴れない。
(なんだろう、このもやもやする感じ・・)
 見上げた天井に浮かんだ京太郎の顔に手を伸ばす・・だが。
「あっ・・」
 近づいた瞬間、消え去る京太郎の顔、けれど胸のもやもやは消える事は無かった。
「はぁ・・」
 ため息をついていると部屋の戸がノックされた、今の時間自分の部屋に訪ねてくるのは父親位だ、仕方なく頭を振って余計な考えを飛ばして立ち上がると、咲は戸のノブに手を伸ばした。

「で、なんの用事なんだ?」
「今日部活は休み、なのに突然の召集」
 龍門渕高校麻雀部の部室にて集まったのは、衣を除く龍門渕麻雀部の面々だった。
「緊急事態ですから仕方ありませんわ、一あれを」
「う、うん・・・これなんだけど」
 一が純と智紀の前に一枚の写真を置く、そこに写っているのは京太郎の腕に笑顔で抱きついている優希の姿が写っていた。
「これって、須賀と清澄のタコス女か?」
「そう、純がタコスを盗み食いして、ペースを乱したあの子ね」
「わざとじゃねえよ、ってこの写真が何だって言うんだ?」
 純はその写真を見せられた意図が理解できず、見せた本人である透華に尋ねる。
「お分かりませんの?」
「分からないか聞いているんだろう」
「はぁ・・まったく」
 純の態度にやれやれといった感じで、呆れ気味にため息をついた透華は純の顔をじっと見て、もう一度ためいきをつく。
「はぁ・・やはり殿方は疎いですわね」
「誰が殿方だ俺は女だ!」
「智紀は何か感じたかしら?」
 純の抗議を無いものの様に無視して智紀に意見を尋ねる透華、智紀は純と同じ扱いを受けるのが嫌なのか、じっくりと写真を見つめ答えた。
「・・・仲が良すぎる気がする」
「そうか?」
 智紀の答えに首を捻る純、だが透華はその答えに満足げだ。
「智紀の言う通りですわ、このえっ~と・・」
「片岡優希さん」
 名前を度忘れしていた透華に、耳打ちしてすぐさまフォローする一。
「そう片岡さん、この二人いくら同じ麻雀部とは言え、少し仲が良すぎるじゃありませんこと?」
 透華の言葉に、再び全員の視線が写真に集まり、今度は全員でじっくりと見つめる。
「う~~ん、言われて見ればそんな気もするが、けど須賀とタコスは仲良いのはわかっているだろう、決勝の時も態々タコス差し入れしていたみたいだからな」
「そもそも、これは何時撮られた物なのか、という疑問が」
 写真には日付やそれの参考になるものは無く、最近であろう事はわかるものの正確な日にちまでは分からなかった。
「これは本日、清澄の方に行く用事があって、その帰りにたまたま撮影したものですわ」
「うん、その時ボクも一緒に居たから間違いないよ」
「それで、生で見た感想は?」
 純の質問も当然だろう、写真より生で見たほうがより関係がはっきりと見えるのだから。
「えっ~と・・・かなり仲良さそうには見えたよ・・・」
 若干躊躇して答える一、それを聞いた純と智紀の表情が曇る。
「おいおい、それってまさか・・・」「浮気・・?」
「いや、実際仲良い友達って可能性もあるしさ、別にこれが即浮気っていうのは・・」
「そうですわ、浮気が確定したわけではございません、片岡さんが一方的にアプローチしているだけかもしれませんし」
 一が京太郎を庇うと、透華も別の可能性を挙げた。
「まあ、その可能性もあるわな」
「彼はいつもどおりにしていたとしても、彼女はそう思っていない」
「それに、須賀君が衣を泣かせるような真似をするとは思えないんだ・・・」
「俺もそんなに悪い奴には見えなかったが」「私も悪い人でないと思う」
 遊園地デートの一件である程度の信頼は勝ち得ているのか、京太郎をあまり悪く言う者はこの場には居なかった、まさか二人目の恋人と言う発想をする者もさすがに居なかった。
「う~ん」×3
 考え込む一、純、智紀だったが、この写真と情報だけではそれ以上はわからない。
「まあ、このまま考えていても結果が出ませんわ、そこで明日全員で清澄に行きますわよ」
「おいおい、突然だな、っていうか行ってどうするんだよ、まさか全員で須賀を尋問か?」
「尋問するだけなら全員は要らない、色仕掛けなら私、力技なら純で十分」
「なんで俺が力技担当なのかはあえて聞かないでやるよ」
(ボクには智紀が色仕掛け担当なのが気にかかるけど・・)
 純はツッコミまずスルー、一は心の中でツッコミを入れるが話が逸れそうなので口には出さない。
「尋問なんてナンセンスですわ、明日交流戦という名目で勝負できるようにしておきましたので、勝ったらチームが負けたチームの言うことを聞くという条件を提示するんですわ、華麗に勝利して全員で須賀さんから訳を聞きだすんですわ、ほほほ」
(それを尋問って言うと思うんだが)(ツッコミを入れたら負け)(智紀が色仕掛けなら、ボクはご奉仕・・・って、ボク何考えているんだ!?)
 純と智紀はツッコミをせずにスルー、一は一人まったく別の事を考えて頬を紅く染めていた。
「いったい誰だよ、こんな作戦考えたのは?」
「一のアイデアですわ!」
 透華が一を指差すと、純と智紀が詰め寄る。
「お前は何を考えて・・」
「はぁぁ、透華が歩いている須賀君を、その場で連れ去ろうとするから仕方なく・・」
「すまん・・それよりは百倍ましだ」「身内から犯罪者を出すのは忍びない」
 ため息交じりで答える一、純と智紀も連れ去るよりは全員で交流戦をするほうがましに思えた。
「でもよ・・あいつ、負けたときの事考えていないだろう、きっと」
「まあね・・」「それは確実」
 三人は自分の勝利を疑わず高笑いをする透華を見て、揃ってため息を漏らした。

「と言う訳で、今日は龍門渕の人達と交流戦だからよろしくお願いね」
 京太郎を含む清澄麻雀部全員が集められたところで、部長である久の口から出てきたのはそんな言葉だった。
「また唐突じゃのぅ」「そうですね、昨日は何も言ってなかったじゃないですか」
「仕方ないわよ、申し込まれたのも昨日だから」
 突然の事に少しあきれ気味のまこと和に、久はあっけらかんと理由を話す。
「それで今日なのか・・唐突だじぇ」「龍門渕なら衣ちゃんもですよね」
「そうよ、けど他の四人も強いわ、特訓相手にはもってこいよ」
「じゃな」「そうですね」「納得だじぇ」「そうですね」
 やる気を漲らせる清澄麻雀部女子部員達、そんな中ただ一人男子である京太郎は、一人蚊帳の外といった感じで話を聞いていた。
「俺は相変わらず雑用ですね」
「まあ・・そうね、参加したいなら参加しても良いけど、どうする?」
「止めときます、面子足りていないならまだしも、交流戦なら女子同士の方が良いでしょう?」
一応交流戦ならば女子同士やるのが良いと思い、京太郎は自ら辞退を申し出た。
「まあ、そうじゃのぅ」
「いいじゃねぇか、龍門渕ならころちゃんもいるから京太郎も退屈しないじょ?」
「まあな、でなくても見ているだけでも勉強になるだろうし、退屈はしないだろう」
 とは言う京太郎だが、やはり一番の恋人である天江衣に会えると思うと心が弾んだ。
「いちゃつくのは良いけど、試合が無いか、試合が終わってからにしてよね」
「そうですね、試合中は避けて欲しいですね」「じゃあな、あんな見せられながら打たされるのは独り身には地獄じゃ」
「わかっていますよ、さすがにそんなことするわけ無いでしょう」
 苦笑しつつ答える京太郎だが、からかわれているのも満更でもない様子だ、そんな五人の会話にも加わらず、咲はじっと京太郎を見つめていた。
(衣ちゃんは京ちゃんの恋人、だから楽しそうにするのは当然・・・なのに、どうしてそれで胸がもやもやするの、なにこれ・・・気持ち悪いよ)
 それが何か解らないのは幼さ故か、それとも・・。
(お願い、もっと側にいてよ・・京ちゃん)
 幼馴染として友達として簡単に口にできそうな言葉、それが口にする事が何故かできないのは、その言葉が幼馴染としてではなく、別の何かからの来る言葉だからか。
「まあ、ころちゃんが相手してない時は私が相手をしてやるから安心するじぇ」
 そんな事を言いながら、無邪気に京太郎に抱きつく優希、他の部員が知っている京太郎なら優希を鬱陶しそうに払うところだが、そうではなく。
「まあいいけどよ、お前も試合だったらやっぱり手持ち無沙汰になるよな」
「おお、そうだったじぇ、まあ暇だったらって事で、よろしくだじぇ」
「ああ、そん時は相手してもうよ」
 普通に流す、むしろ優希の頭を軽くぽんぽんと軽く叩いて、優希の相手をするといっていた、そんな京太郎の態度に優希も楽しそうにじゃれ付いていた。
(やっぱり、昨日から変よね)(恋人ができたのにこの態度、本気じゃなかったかのぅ?)
(ゆーき、無理しているわけではなさそう、開き直って友達として仲良くなったんでしょうか)
 京太郎と優希が恋人関係になったことを知らない四人は、不思議そう仲良さそうな二人を見つめていたが、咲だけは少し違う思い出見つめていた。
(どうして、どうして衣ちゃんと恋人になったのに、優希ちゃんにそんな優しそうな顔をするの、なんで・・友情が深まったから、私にもそんな顔見せてくれなかったのに・・)
 疑問と同時に胸のもやもやしたものが更に増大するのを感じた咲、何故かはわからないがこれ以上見ているのが辛くなり、京太郎と優希から視線を逸らした。
「うん・・咲?」
「どうしたじぇ、京太郎?」
「いや、なんでもない」(一瞬咲に表情、ずいぶん辛そうだったけど・・気のせいだよな)
 京太郎は咲の表情に違和感を覚えたものの、それが何かまではわからなかった。

交流戦の話を久から聞いて十分ほどたった頃、麻雀部の扉がノックされた。
「どうぞ、入ってきて」
 久の声と共に扉が開く、そこに経っていたのは龍門渕麻雀部のメンバー。
「お邪魔しますわ!」
 先頭を切るのは、部長である龍門渕透華、その後に純、一、智紀と続いた。
「まずは本日の交流戦をお受け頂いて感謝いたしますわ」
「いいえ、こちらこそ、よく来てくれて嬉しいわ、まああんまり綺麗な所じゃないけど試合を楽しみましょう」
「そうですね、あまり綺麗とは言えませんわね」
 思ったことを正直に口にする透華の言葉に場の空気が凍りつく。
「と、透華!?」(うわぁ、いっちまったよこのお嬢さんは)(空気を読めない子)
(しょ、正直に言うか普通)(あらら・・)(ムカッときたじぇ!)(あるいみ龍門渕さんらしいけど)(人の学園の部室をなんだと・)(そんな・・・ひどい)
 一触即発な雰囲気になりそうだったが。
「でも、暖かそうな雰囲気で悪くはありませんわ」
 その言葉で大分空気は落ち着きを見せた。
「透華・・ほぉ」(最初からそう言ってりゃいいものを)(一言多いんだから)
(おおっ・・)(ほう・・)(そういわれては、文句が言えません)(気に入ってくれたみたいでよかった)
「京太郎、今のは褒められたのか?」
「ここが気に入ってくれたんだろう」
「そうか、ならいいじぇ」
 京太郎の答えで納得いったのか、優希から不満そうな気配が消える。
「ところで、衣は?」
「衣なら先にくると言って・・いいっ!?」
「どうしたの透華、あっ!?」「うん・・おおっ!?」「おやまぁ・・」
 龍門渕の面々が驚いたのは、京太郎の腰に優希が抱きついていたからだ、まさか恋人の居る男がここまで易々と、しかも堂々と抱きつかせているとは予想していなかった、四人は少々焦りながらも集まり話し合いを行う。
「ど、どういうことですの、あ、あんなに簡単に、も、もしかして須賀さんは・・」
「こりゃ、浮気が濃厚か?」
「いや、ほら、もしかし衣と付き合う前から、あんな感じかも知れないよ」
 一人京太郎を庇う一だったが、京太郎と優希の話をする姿を見ていると、ただ仲のよい友人という枠には収まらない気がした。
(ど、どうして・・須賀君は衣を悲しませるつもりなの、そ、そんなことしたら許さないけど、もしかして衣だけじゃ満足できないとか?、で、でもあの子も衣とあんまり体格かわらないよ、それならボクに言って・・)
「一顔が赤い」
 智紀の発言で透華と純が一の顔を見る。
「どうしたお前、まさか頭に血が上って」「おおおお、落ち着くのですわ一、まだ決まったわけじゃありませんから、おおお、落ち着きなさい」
「あっ、う、うん、大丈夫」(ぼ、ボク何考えて・・)
 一番慌てている透華に落ち着けといわれて、少し冷静になった一はもう一度、京太郎と優希を見る。
「と、とにかく、あれを衣に見せるわけには」「ええ、いきませんわ」「だな」「同意」
 幸い今この場に衣は居ない、だから優希を京太郎からなんとか引き剥がそうと透華達が画策していた、ちょうどその時。
「失敗失敗、迷ってしまったな・・あっ、京太郎!」
 道に迷っていた衣がある意味ベストなタイミング、部室に入ってきて真っ先に京太郎を見つけた。
「しまった・」「だ、だめですわぁ!」「くぅ、まにあわねぇ」「あっ!」
 透華達が声を掛けるよりも捕まえるよりも早く、衣は京太郎に抱きついた。
「京太郎!」
「よぉ衣、会いたかったぞ」
 今回は不意打ちでないので、しっかりと衣を抱きとめて恋人との再会を喜ぶ衣と京太郎。
「衣も会いたかったぞ・・あっ!」
 合えた事を喜びながらも微妙な違和感を覚えた衣が、視線をしたに下げると京太郎の腰に抱きついていた優希と目が合った。
(だめぇ!)(終わりましたわ!)(最悪だ・・)(修羅場突入)
 透華達は衣が傷つくことを覚悟した、次の瞬間。
「優希ではないか、元気だったか?」
「おう、元気バリバリだじぇ、そういうころちゃんは?」
「ふん、衣も元気だぞ、でも京太郎に会えたから元気百倍だな」
「さすがだじぇ、私も京太郎からもっと元気を貰うじぇ!」
 京太郎に抱きついている二人は、仲良さそうに話をしていた、あまりにも普通・・むしろ楽しげな会話に、問題が解決した事を知っている久達ですら驚いていた。
(納得はしただろうけど、あそこまで仲良くなれるものなのね)(納得したって言うのは本当みたいだじゃのぅ・・)(知ってはいましたが、こうしてみると安心しますね)
 久、まこ、和は問題解決したのが本当だとわかり胸を撫で下ろす。
(良いな、衣ちゃんも優希ちゃんも仲良さそうに、京ちゃんに抱きついて・・あれ、私何考えているんだろう?)
 京太郎に抱きつく、二人を羨ましいく思う自分の感情がやはりよく分からない咲。
「はぁ、呆けている場合じゃねぇだろう、おい!」
「あっ、そ、そうだね」「まさかの事態に放心していた」
「こ、衣、あなたその須賀さんの腰に抱きついている女性を知っていますの?」
 純の声で現実に引き戻された一と智紀は少しショックが残っており、透華は急いで衣と優希の関係を問いただす。
「うん、そういえば透華達には話してなかったな、優希とは一昨日に友達になったんだ」
「おう、片岡優希だじぇ、よろしく・・そこのタコス泥棒以外はよろしくだじぇ」
 タコスの恨みを忘れていないと言わんばかりに純を指差しながらも、他の面々には挨拶をすませる優希。
「誰が・・ああっ、あんときゃ悪かったよ、一応井上純って名前があるんだから覚えろよ、タコス娘」
「純もちゃんと覚えようね、ボクは国広一」「沢村智紀」「龍門渕透華ですわ、以後見知り置くとよいですわ」
 衣が友達と紹介した人間を無下にはできず、透華達もちゃんと挨拶をした。
「これで互いに紹介が終わったな、ののか、咲、こんにちは」
優希の紹介が終わると、衣は和と咲に挨拶をする、透華達はその間に再び集まって話し合いを始めた。
「ねぇ、抱きついていても怒らないよ、あれが普通なのかな?」
「わからんが、衣が友達と言って怒ってないんだから、俺たちがとやかく言うことじゃなんじゃないか?」
「衣が泣かないし文句も言わない、しかも友達であだ名で呼び合う仲、私はいいと思う」
「でも、気になるだろう」「そうだね・・やっぱり」
「こうしていても埒が明きませんわ、それも須賀さんに聞けばはっきりしますわ!」
「・・だね」「だな」「そうね」
 透華の言うとおり、これ以上考えても答えが出るとは思えず三人は頷いた。
「あっ~、もういいかしら」
 ちょうど話が纏まった所で、久が透華に話しかけてきた。
「ええ、お待たせして申し訳ございませんわ、ハギヨシ」
「はい、少々お待ちください」
 透華の合図でハギヨシがどこからとも無く現れ、手早く全自動麻雀卓と椅子を用意する。
「これで、同時にできますでしょう」
「準備ええのぅ」「確かに一つだと四人ずつしか出来ませんから」
「そうね、これなら待たなくても出来るわね、じゃあさっそく始めましょうか」
「お待ちを!」
 準備が整い早速始めようとする清澄の面々を制止する透華。
「なにかしら?」「なんじゃ?」「なんですか?」
「普通に交流戦をするだけでは、つまらなくありません?」
「そうか、普通にやるだけでも楽しいじぇ」「うん、私もそう思うけど」
「まあまあ、内容を聞いてみようじゃないの、それで普通じゃない交流戦ってどういうことをするのかしら?」
 久は透華の言葉に疑問を口にする優希と咲を宥めつつ内容を尋ねる。
「それは負けたほうが勝ったほう言うことを聞くんですわ!」
 透華は自信満々に発表するものも、清澄部員の反応はあまり芳しくなかった。
「ベタね」「ベタじゃ」「ベタベタだじぇ」「あまり奇抜なのもどうかですから、良いんじゃないんでしょうか」「そうだね」
 特に驚くべき内容でもなく、予想内の内容に清澄の女子全員落ち着いた反応だった。
「な、なんですの、この反応は?」 
(ある意味当然だな)(誰でも思いつく内容だから)(う~ん、まあそうだよね)
 反応に不満そうな透華と、反応を予想していた一達は納得していた、そして衣は。
「京太郎、言うことを聞くとはどういう意味だろうか?」
「う~ん、たぶんだけど、相手の願いを適えるって事じゃないか?」
「おおっ、願いを適えるとはまるでランプの精だな」
「いや、そこまでなんでもは適えられないと思うが・・・」
 相変わらず京太郎に抱きついたまま、目をきらきらと輝かせていた。
「その条件はええとして参考までに聞くけど、龍門渕の部長さんは誰を指名するんかの?」
「ふっ、私が指名するのは」
 まこに聞かれて透華かビシッと指差したのは当然、従来の目的である人物。
「須賀京太郎さん、あなたですわ!」
「えっ?」「ほぉぉ」「なんと!」「須賀君を・・」「ええっ、きょ、京ちゃんですか!?」
「えっ、お、俺!?」
 突然の指名に驚く清澄の面々、一番驚いているのは指差された京太郎自身だが。
(いや、私はてっきり・・・って、須賀君は天江さんの恋人だからかしら?)
(意外ちゃあ意外じゃ、でも・・まあ天江の恋人じゃからか?)
(なぜ須賀君なんでしょうか、あっ、もしかして天江さんを思って)
(もしかしてこいつも京太郎を・・)
(なんで京ちゃんを・・こ、この人も京ちゃんの事好き・・なのかな?)
「なんと、勝てば京太郎がどんな願いでも適えてくれるのか!?」
 恋人が願いを適えてくれるということで衣の目はさらにキラキラと輝く。
「さぁ、お受けいただけますでしょうか?」
「う~ん、そうね、まあいいちゃ良いけど、こっちも幾つか条件付けをしてもいいかしら?」
「どうぞ、なんでもおっしゃってくださいな」
「須賀君に言うことを聞かせるのはかまわないけど、もう少し条件をはっきりさせたらどうかしら?」
「と言うと、何か妙案がおありにあるのですか?」
「ええ、こんなのはどうかしら、1から5までの番号の振ってあるくじをそれぞれが引いて、1・2は左の3・4は右の卓でしましょう、
でそれぞれの卓の一位と5が決勝でやるっていうのは、そして最終的に勝った人が、須賀君とあと一人誰かに命令できるっていうのはどうかしら?」
「確かにそれだと勝ち負けが明確ですわね、良いですわ、では一回戦目は東風戦、二試合目の決勝が半荘でよろしいくて?」
「ええ、その条件で良いわ、それじゃあさっそくくじを作って」
「ちょ、ちょっとまった!」
 ルールが細かく決まろうとしていたところで、京太郎が部長同士の話し合いに割っている、自分の意思と関係なく商品にされそうになったら当然か。
「あら、どうしたの須賀君?」「なんですの、須賀さん?」
「お、俺の意思はどうなるんですか、そんな勝手に・・」
「あら、なら須賀君も参加する?」
「私は構いませんわ、それならば最下位の人間が言うことを三つ聞くに変更した方がよろしいかしら?」
 京太郎の抗議にも、久も透華も焦らずそんな事を提案してにやりと笑う。
「うっ・・そ、それは・・」
 京太郎が周りを見渡せば。
「俺はどっちでも良いぞ」「同じく」「ボクも良いかな」
 指をしきりに動かしてやる気満々の純、静かにやる気を漲らせる智紀と一。
「私はどちらでも、でも来るなら全力で、負ける気はありません」
 あまり条件自体に興味を示さない和。
「わしもどっちでも、京太郎が参戦してわしが勝ったら三日はただ働きじゃがの」
「あっ、それいいわね、なら私は・・そうだ部活以外の買い物をお願いしましょう」
 労働力として京太郎を必要とするまこと久。
(京太郎が出れば、三日間京太郎を独占できるじぇ、あ~んなことやこ~んなことも思いのままだじぇ!)
(勝てば、京太郎がなんでもしてくれるぞ、どうするか・・一日だっこも良いし、一日膝の上に乗せて頭を撫ぜてもらうのも・・・うう、迷うな)
(私達の誰が勝っても須賀さんに聞けるのは変りありませんわ、衣が勝った場合は隙を見て聞くことにしましょう)
 己が勝利を疑わず願い考える優希と衣、算段を企てる透華、そして。
(勝てば・・京ちゃんが言うことを聞いてくれる、そうすれば、この胸の・・良くわからない感じ、なんとかできるかな・・?)
 京太郎に何でも、そう思うと咲の胸が少し高鳴った。
「・・・・参加せず、一ついうこと聞きます、入った瞬間に飛ばされそうですから」
 猛獣の檻に投げ入れられた羊の気分を味わい、戦意を喪失する京太郎は久の出した最初の案を渋々承諾した。
「OK、じゃ始めましょうか」
「ええ」
 くじを引くために、それぞれに別れる清澄と龍門渕。
「はぁぁぁ、なにやらされるんだろう・・」
「安心しろ京太郎、今回も絶対に衣が勝つ!」
 不安そうな京太郎を安心させようと笑顔で必勝を誓う衣、そんな衣を見ているとため息をついている自分が情けなくなってきた京太郎はため息をつくのを止めた。
「ありがとな衣、頑張れよ」
「任せておけ、衣もくじを引いてくるぞ」
 自信満々な態度で京太郎から離れて、龍門渕の輪に加わる衣。
(衣なら変なお願いもしないだろうからな、龍門渕さんのお願いはなんか怖いんだよな、染谷先輩と部長は単純に大変そうだし、ふぅ・・龍門渕さんと染谷先輩と部長以外が勝つことを祈るか)
 勝負を降りた京太郎は、存在するかどうかわからない神様にただ祈るしかなかった。

 くじの結果、左の今まで部室に置いてあった1番卓には和、久、一、智紀が右の先ほどハギヨシが用意した2番卓には優希、まこ、純、そして透華が座っていた、自動的に決勝行きが決まったのは大将戦で戦った二人、衣と咲だ。
「咲と衣が自動的に決勝か」
「ふふ~ん、衣の相手は誰になるか楽しみだ」
 京太郎の膝の上に座り、上機嫌な様子でお茶を飲みながらそれぞれの卓を見る衣。
「東風戦なら私の天下、タコス泥棒にも目にもの見せてやるじぇ」
「あの時みたいにほえ面かかしてやるぜ」
「なんとでも言うがいいじぇ、勝つのは私だじょ!」
「何を言っていますの、勝つのは私に決まっていますわ!」
「まあ、ぼちぼちとはじめるかのぉ」
 それぞれがやる気をみなぎらせながら、2番卓の試合が始まる。
「さぁ、始めるわよ」
「どうぞ」「・・・・」「うん、始めよう」
 一番卓は静かながらも、内に闘志をみなぎらせて試合が始まる。
「始まったか・・咲もこっち座ったらどうだ?」
 一人たっている咲に声を掛けて、自分の隣の椅子を指差す京太郎、だが。
「京ちゃん・・・ううん、いいよ、私ここで見ているから」
(衣ちゃんと仲良くしている京ちゃんを、これ以上近くで見るのはつらいな)
「そうか」(咲の奴、少し様子がおかしいように見えるけど、気のせいかな?)
 咲の態度に変わったところを感じながら、観戦もまた修行と思い京太郎は勝負の行方を見守ることにした。

「ツモ、断幺九、三色、ドラ2、六千オールですわ」
「くっ、バカづきしすぎだ」「くそう・・追いつけなかったじぇ」「あちゃ~~」
「どんなもんですの、これが私の実力ですわ!」
 2番卓はバカづきした透華か完全に三人を飲み込んで試合を終えた。
「ツモ平和、七百オール」
「あっ・・」「逃げ切られた」「今回は普通の待ちか」
「三十六計なんとかってね、勝っているなら逃げるだけよ」
 1番卓は接戦だったが頭一つ抜け出していた久が、安い手だが逃げ切りを果たす。
「龍門渕さんと部長か・・・こりゃどっちが勝っても大変そうだな」
「京太郎、先ほども言ってであろう、勝つのは衣だ、そして京太郎にお願いを聞いてもらうんだからな!」
 勝負と商品が楽しみなのか、衣は嬉しそうに微笑んでいた。
(別に衣なら普通にお願いされたら聞いてやるんだけどな・・でも、あの二人に勝たれるよりはいいかもな)
「頑張れよ衣」
「うん、大船に乗ったつもりで構えておればよい」
 京太郎の膝から降りて勝負する卓に向かう衣、そんな衣の背を見る京太郎だったが、ふともう一人の対戦者の姿が視線に入った。
「咲・・?」
「・・・何、京ちゃん?」
 呼びかけられてから少し間が空いて、ゆっくりと京太郎の方を見る咲。
(いつもと雰囲気が違う、相手が相手だから緊張しているのかな・・でもなんか)
「京ちゃん?」
「えっ、ああ、悪い、咲も頑張れよ」
「うん、勝つよ・・絶対に」
 咲は笑顔で勝利を誓うではなく、表情は変えずにただその言葉を呟いたのみ、ただその短い言葉には強い・・いや異常な強さの意思を感じさせる。
(咲・・やっぱり、なんか変だな・・)
 何か起こるのではないか、そんな言い知れぬ不安が京太郎の胸に広がっていた。
 座席と親を決め準備が整い、二回戦が始まる。
「それじゃあ、さっそく始めましょうか」(さてさて、どんな勝負になるか)
「ええ、早く始めませんと時間の無駄ですわ」(勝って、あの片岡さんと須賀さんの関係をはっきりさせますわ、そして衣とどこまで進んでいるのかも)
「さぁ、やるぞ」(楽しい試合になりそうだ、だが京太郎が商品ならば勝つのは衣だ!)
(勝って、聞いてもらうんだ・・京ちゃんに、私のお願いを!!)
「始めましょう」
 咲が短く呟いた瞬間、その場の空気が急変した。
(何、これ、あ、あの時の衣と対戦した時みたい)(なんだこの異常なのは・・わからん、わからんがまがまがしい雰囲気を感じる)(これは・・異常事態)
(な、なんじゃこりゃ!?)(宮永さんの周りの雰囲気が・・そ、そんなオカルトありえません!)(な、なんだじぇこの雰囲気は・・咲ちゃん、変だじぇ)
(咲、やっぱりおかしいぞ・・)
 観戦して居る者もその異常さを感じ取り、凄まじい空気に冷や汗をかいていた。
(な、なんですのこれは!)(咲・・よね、今いるのって・・)
(これは・・・どうしたというんだ、これではまるで・・)
 対戦者達は、周りのものよりも遥かに異常な空気を感じていた、咲から発せられる黒いオーラの様な・・・そんな異常すぎる空気を。
「どうしたんですか、早く始めましょう」
「・・えっ、そ、そうね」
 咲の言葉で現実に引き戻された久はサイコロのボタンを押した。

 勝負は開始前の空気に負けないほど異常な、いや異様なものになっていた。
「嶺上開花、小三元、中、白、二千、四千です」
「なぁ!?」「これは・・」「・・・」
 本日三度目の嶺上開花で咲が上がり、他の者から点数を奪い取る。
「おい、おいおいおいおい」「ここまでとは・・」「異常」
 想像以上の事態に観戦していた者達も騒ぎ出す、それも当然か目の前で繰り広げられるのは異常な事態だった。
「宮永さん・・」「さ、咲ちゃん、なんか変だじぇ・・」「なんつぅか、いびせぃの」
 一位は今上がった咲が七万点でトップ、二位の衣が二万千点とぎりぎり粘っているが、透華と久は五千点を切っておりもはや勝負外のところまで追いやられていた。
(こ、衣を倒したから強いとは思っていましたけど、なんですこの異様な雰囲気は・・・まるで昔の衣を、いえ、それ以上ですわ!)
(どうしたの咲、あなたらしくないわよ、でもこの感覚はあの時の天江さんと似ているから、どうしても勝ちたい理由があるのかしら?)
(咲よどうしたというのだ、全然楽しそうじゃないぞ、あの時のお前はもっと楽しそうに麻雀をしていたじゃないか!)
(咲・・・お前どうしちまったんだ、)
 そんな他の者の気持ちなど知らず、咲は勝利にひた走る。
(ここで勝てば京ちゃんは・・・)
 それぞれの色々な感情が入り混じりながら、透華が親の大ラスが始まる。
「こりゃ、ほとんど勝負がついたな・・・」「そうだね、可能性があるのは連荘か、あるいは・・」「役満、しかも直撃のみ」
「あるいはダブル役満だじぇ」「それはさすがに」「あまりに可能性が低いじゃろう」
 外野が話している間に配牌が終わり、それぞれが自分の配牌を見る。
(だ、だめですわ、これではとてもダブル役満で逆転劇は・・・ううっ、め、目立てませんわ!)(駄目ね、でも最後の最後まで諦めないわよ)
(いける、これならこのまま!)
 透華と久は苦虫を噛み潰した様な顔をして、咲は自分の勝利を確信して微笑む、そして衣は。
(これは・・・咲はかなり良い手がきている、透華と清澄の部長はあまりか、衣はこの手感覚では微妙だが、いや、それはあくまで感覚の話、ここには衣を凌駕する者もいる、ならば・・)
 対戦者の手牌の気配を感じながら、何かを決意して勝負に挑む衣。
 ぽつぽつと何かが窓を叩く音に気付き、京太郎は外を見た。
「あっ、雨・・・・」
 いつのまにか空はこの場と同じように、暗く淀んだ色に変わっていた。
「ポン」
 五順目、透華の捨てた一萬をポンする咲。
(これは・・)(おそらく・・)(きたな)
 対戦者は全員気付いたこれはカンの嶺上開花の予兆だと、そして咲が二萬を捨てて、次の衣が牌を自摸る、衣は四順目までの捨て牌自摸切りを含む牌八萬と三萬二つずつ、そして今の自摸で手牌の中から捨てたのは三萬。
(衣の奴何考えているんだ、三萬はツモ切りじゃなくて、手牌から態々暗刻崩してまで)
位置的に衣の手牌が見えない京太郎には、衣の行動はいまいち理解できなかった、だが他の面々はそうではない。
(お、おい、衣)(まさか・・本当に)(衣なら不思議じゃない)
(ここで・・ですか)(さすがころちゃんだじぇ)(やっぱり天江も怪物じゃ)
(衣・・きていますわね)(天江さん、たぶん・・)
 衣が何をしようとしているのか理解していた、気付いていないは京太郎ともう一人。
(きた!)
 咲が自摸ると、それはさきほどポンした一萬。
「カン!」
 早速カンを宣言し、嶺上牌に手を伸ばそうとした・・その時。
「それだ・・」
 衣が上がりを宣言して自分の手牌を倒す。
「えっ・・?」
「槍槓、国士無双だ」
 普段の咲ならば、その捨て牌で気付いていたかもしれない、だが今は勝利しか見えていなかった、その結果。
「役満直撃で、咲が七万点から-三万二千点で、三万八千点で・」
「衣が+三万二千点で五万三千点ですから、逆転で衣が一位ですわ」
 勝利は咲の手から零れ落ちた。
「私・・負けたんだ・・・」
 あまりの事態に衝撃を隠せない咲、直撃でなければ逆転は無かった、勝負を降りていれば、あるいはポンやカンをせずにいれば負けなかったかもしれない。
(私・・・なにを・・・ちゃんと見ていれば)
「衣の勝ちだな・・・」
(ああ・・これで、京ちゃんに・・・)
 咲は改めて自分が負けたことを認識した。
「咲よ、如何したと言うのだ、前の・」
 衣が話しかけるが咲の目に衣は映っていない、その目に映るのはただ一人京太郎だけだ。
(もう・・駄目なんだ、京ちゃん・・)
 目の前にあった、ただひとつの可能性を失い目に涙を溜める咲。
「さ、咲・・」
 京太郎に名を呼ばれた瞬間、涙が溢れると同時に咲の感情が一気にあふれ出した。
「そんなの嫌ぁぁ!」
 突然叫び声を上げながら立ち上がり咲は部室を飛び出した。
「咲!」「くっ、衣も追うぞ!」「宮永さん!」
 咲を追って部室を飛び出す京太郎と衣と和。
「ちょっと、はぁぁ・・もう仕方ないわね」「私も追ったほうが良いかじょ?」「いや、ここは須賀達に任せるんが吉じゃ」
「あいつ大丈夫なのか?」「明らかに様子がおかしかったね・・」「確かに」
「衣は何かを感じ取っていたようですし、任せるとしましょう、いえ・・・任せるほかありませんわ」
 残された全員が、京太郎と衣それに和の健闘に期待しつつ窓から外を見ると、さきほどぽつりぽつりと降っていた雨は、音を大きく感じるほどに勢いを強めていた。

「はぁ・・はぁ」
 勢いで飛び出した咲だが、どこかへ行く当てがあるわけでもなく、ただ我武者羅に走って行き着いたのは、昼休みに一人でよく本を読んでいた木陰だった。
「私・・何しているんだろう、それになんでここに・・」
 考えながらその場にしゃがみこむと思い出すのは、ここでの出来事。
「そういえば、ここで本読んでいると、京ちゃんよく来てくれたよね、それでいっつも学食でレディースランチを頼んでくれって、あは、それだけだよ酷いよね・・」
 思い出しながら愚痴を零す咲、態々それを頼むためだけに学食に行く、そんなの嫌だと思っていた面倒だと、でも友達のお願いだから聞いていた、そう思っていたのだが。
「違う・・友達だからじゃなくて、京ちゃんのお願いだから聞いていたんだ・・・」
 それを口にして咲はようやく、今までの嫌な感情の正体を理解した。
「私、やきもち焼いていたんだ、あははは・・・馬鹿みたい、こんな、こんなことに今更気付かないなんて、遅いよ、おめでとうって言ったのに、優希ちゃんみたいに直ぐに反論もせずに今頃なんて・・・」
 空を見上げるが太陽も無く、ただ雨粒が落ちてくるのみ、咲にも雨粒が当たり頬を辿り零れ落ちる、でも零れ落ちたのは雨粒だけではなく。
「どうしよう・・・心配しているだろうけど、もどりたくないな・・・」
 このまま帰ってしまおうかとも思い、鍵を入れたポケットを探るが、そこには鍵が無い、どこかで落としたんだろう。
「あはは・・・とことん駄目だな、私ってば・・・こんなことなら」
 そこで言葉をつまらせる咲、京太郎に告白しておけばよかったなどと、絶対に言えない事に気がつく。
「気付きもしなかったのにそんなこと言えないよ、辛い、胸が痛いよ・・・優希ちゃんもこんな気持ちだったのかな・・・、教えてよ優希ちゃん、どうしたらこんな気持ちから立ち直れるの、ねぇ・・・教えてよ」
 当然、居もしない優希から答えが返ってくるはずもなく、聞こえてくるのは雨の音だけ。
(私、今・・世界に一人ぼっちなのかな、本当は見えているのは幻想で、この木以外は全部偽者で、それで・・・世界には私一人・・)
 そう思ってしまえば、直一層の寂しさに犯される。
「やだ・・やだぁよ、京ちゃん・・」
 その声もまた空しく響く・・・はずだった、だが。
「咲ーー!!」
「えっ?」
 咲の方に走ってくる一つの影、それは・・京太郎だった。
「咲ぃ!、居た!」
「京・・ちゃん」
「はぁはぁ・・やっと見つけたぞ」
 京太郎は咲の前で立ち止まり息を整える。
「ど、どうしたの京ちゃん・・・?」
「どうしたもこうしたもあるか、心配だからに決まっているだろう」
「ほ、本当に心配してくれたの・・?」
 京太郎の言葉を聴いて、ぱっと表情を明るくさせる咲、しかし。
「当たり前だろう、みんなも心配しているだろうから、戻るぞ」
(そっか、京ちゃんが迎えに来たのは、同じ部活の仲間としてか・・)
 嬉しさと悲しさが交じり合う複雑な感情、本当は迎えに来ただけで満足しなければならないのに、恋と知ってしまった咲の心はそれだけでは満たされない。
「ごめん、今は戻りたくない・・・」
「・・・・はぁ、じゃあこのまま帰るか?」
 我侭を言う咲に、あきれ気味にため息を吐きながら訊ねる京太郎。
「そうしたけど鍵なくしちゃって」
「おじさんは?」
「お父さん、今日は帰れないって」
「あちゃぁ・・・そりゃまいたな、俺も今日鍵忘れて誰かが帰るまで帰れないし」
 このままだと部室に戻るしかないが、京太郎も今の状態の咲を見ていると、戻ろうとは言いにくくなってしまった。
「家か・・どこか今すぐ行ってもいい家」
「ならば、衣のところに来るがよかろう!」
 悩んでいる京太郎の前に突如現れたのは、京太郎と同じように咲を探しに飛び出した衣だった。
「衣のところか・・・」「衣ちゃんの家・・」
「そうだ、衣のところならば着替えや風呂も直ぐに用意できる、車で行けばさして時間かかるまい」
「衣の邸か・・・咲はそれでも良いか?」
「・・・うん、私は良いよ」
 好きな相手の恋人宅、そこに行くことに多少の抵抗はあったが、それでも思うところもあった、それは・・。
(優希ちゃんは衣ちゃんの家に行って、納得できたみたいだし、それなら私も・・・)
 衣の家に行けば、あるはこのざわつく心も収まるのではないか、そんな淡い期待を抱いてしまったから。
「それでは行くぞ」
「ああ、部長には報告だけしておくぞ、心配しているだろうからな」
「えっ・・あっ、そ、そうだね・・・」
 連絡という言葉に少し表情を曇らせる咲、そんな咲の気持ちがわかるからか。
「安心しろ、俺が話すから」
「・・・ありがとう、京ちゃん」
 そう言って咲を安心させるのだった。

「須賀君、うん、そう見つかったのね、・・あっ、うん、わかったわ、了解伝えおくわ」
 京太郎からの連絡を受けて、必要な内容だけ話して電話を切る久。
「見つかったのかじぇ?」「無事なんか?」
「ええ、大丈夫、ただそのここには戻らないって・・・」
「家に直接帰る気か・・・」「分かるかな、あんな飛び出しかたをしたら」「戻り辛いのは確実」「そうですわね」
 咲の様子から、ここに戻らないと事を驚いたり攻めたりするものは居なかった。
「うん、戻ってこないことは戻ってこないんだけど、その・・鍵を無くしちゃったから、今日は天江さんのところに行くって言っていたんだけど、で天江さんが龍門渕さんによろしく伝えてくれって」
「衣の邸にですの、まあ良いでしょう、ハギヨシ車の準備を」
「はい、透華お嬢様もご一緒にお帰りになられますか?」
「私はここに残りますわ、あまり大人数で乗っていたらきっとあの清澄の大将さんも緊張してしまうでしょう」
「だね、あの状態じゃ、透華の言うことが正しいと思うよ、ボク達は後で帰るんだね」
「いいえ、一は衣達と一緒に帰って、衣達のお世話をお願いしますわ」
「えっ、でも・・そんな、あっ、そうか、女の子だからか」
 透華の言葉に驚いて躊躇する一だが、透華の考えを読み取ると納得した。
「ええっ、ハギヨシは優秀ですけど、やはり男・・・同じ女の方が多少は気が楽でしょうから、メイドで一番信頼して頼めるのは一、あなたですからお願いできるかしら?」
「もちろんだよ、ちゃんと透華の信頼には答えるから、安心して」
 透華たっての願いを一は嫌がる訳も無く、笑顔で引き受ける一。
「お願いしますわ」
「じゃあ、俺達は残りだな」「当然ね」
 純も智紀も今回の透華の提案はまともなため、愚痴も文句も漏らさずに従う。
 龍門渕メンバーで話が纏まると、今まで見守っていた優希が透華に話しかける。
「あ、あのぉ・・私も一緒に行ってもいいじょ?」
「あなたもですの?」
「咲ちゃんもころちゃんも大切な友達だじぇ、だから・・」
 理由を聞いて透華は少し考える、心配そうにしている優希を連れて行くべきか否かを。
「私からもお願いするわ」「わしからも頼む」
「わかりましたわ、ハギヨシ、一、片岡さんも一緒に行きますからそのつもりで」
 特に断る理由も無く、同じ部員の女性ならば話しやすいこともあるだろうと思い、久とまこにも頼まれのもあって、連れて行くように指示を出す。
「はい」「うん、まかせてよ」
「では、それでお願いしますわ」
「了解しました、では先に行って車の準備をしておきます」
 ハギヨシは相変わらず凄まじい速度で車を用意しに消えていった。
「片岡さん、行こうか?」「おう、お願いするじぇ」
 一と優希も二人揃って部室を後にした、それを見送ると久は携帯を取り出して電話をかける。
「どうした部長、どこにって・・ああ、和か」
「うん・・・・だけど駄目ね、電源が入ってないみたい」
「切っているんじゃろう、試合中に鳴らすのはマナー違反じゃから、わしが一走り行ってみてくるわ」
「お願いね、電源は入れておいて、和が戻ってきたら連絡するから」
「了解じゃ、行ってくるわ」
 和を探しに飛びしてゆくまこ、これで部室に残るのは久、透華、純、智紀の四名だけだ。
「さてと、後は結果を待つだけか・・・」
「では、一局如何です?」
 何もできることがなくなり、久が椅子に座って天井を仰ぐと透華はそう言って麻雀卓を指差した。
「ふぅ・・・そうね、しましょうか、そちらもいいかしら?」
「ああ、いいぜ」「私もかまいません」
 透華も久も今麻雀が打ちたい気分では無かったが、それでも今このまま何もせずに結果を待つよりは気がまぎれると思えた、それは純や智紀も同じだった。

 十分後、まこが和を連れて戻ってきた、戻ってくるまでにまこからある程度話を聞いていて戻ってきた和は落ち着いていたが、それでも久達が麻雀をしているのは信じられない様子で久に詰め寄って事情を聞く。
「なんで麻雀を打っているんですか?」
「もうすぐ終わるけど、和も入る?」
 久の提案に反応したのは和ではなく透華の方だ。
(の、のどっちと、あまり目立てる場面ではありませんが、決着をつけるチャンスですわ)
「結構です、今はそんな気分にはなれません」
「そう、残念」
(な、なんで、ですの・・折角のチャンスなのに、け、けど、今は仕方ありませんわね)
 あっさりと提案を蹴る和、それを聞いても全然残念そうじゃない久、透華は本気で残念がっていた。
「よく麻雀が打てますね、心配じゃないんですか?」
「そりゃ気にはなるけどね・・」
 心配する和をよそに、牌を自摸りそれをそのまま切る久
「大丈夫ですわ、須賀さんなら何とかしてくれますから」
「京太郎をえらい評価しとるんじゃのぅ、何か訳でもあるか?」
 まこに理由を尋ねられた透華はふっと口元に笑みを浮かべながら答えた。
「決まっていますわ・・・衣が好きになった殿方ならば、その程度の事できて不思議ではありませんわ、でしょう?」
「まあ、確かにあいつならどうにかしそうだな」「ええ」
 透華の言葉に純と智紀は笑顔で同意した。
「そうね、優希の時もちゃんとしてくれたみたいだし」
「そうじゃの」「確かに・・・」
「片岡さんですか・・・うん?」
 優希の名前を聞いて何かを感じながら牌を自摸る透華。
(はて・・そう言えば、私達はなぜ交流戦をしにきたんでしたっけ?)
 色々あって当初の目的が思い出せず、それに思考が向いてしまい、そのまま自摸切りする透華。
「ロン、三色同刻、赤三、八千点ね」
「あっ・・・・」
 久に振り込んでしまい固まる透華。
「こりゃたぶん、忘れているな」「ここにきた目的」
 純と智紀はちゃんと当初の目的を覚えていたが、本人たちの居ない中での疑問の解決は不可能だと理解していた。

 雨に打たれて体を冷やした咲と衣は、邸に着くと優希と一緒にお風呂に入ることになった。
「相変わらず広いじぇ、なぁ咲ちゃん」「ほらみろ、あれは透華の顔を模しているんだぞ」
「・・・・うん」
 優希と衣が話しかけるが、咲は返事をするも心ここにあらずと言った感じだ。
「ほら、背中流して上げるからじぇ」「衣は頭を洗ってやろう」
「・・・うん」
 やはり短い返事、手を引かれるまま置いてある風呂用の椅子に腰をかける咲、優希は背中を衣は頭を洗い始めた。
「お客さん、痒いところはありますか?」「目を瞑っていろ、シャンプーが入るぞ」
 言われるまま目を瞑る咲、目の前が真っ暗になると考えてしまうのは京太郎の事。
(私、何しているんだろう・・・ここに来て、衣ちゃんと優希ちゃんに洗ってもらって、それ以前に・・私どうしたの・・・奪いたいの?、それは無いか、だってそんなことしようとしたらきっと京ちゃん嫌われちゃうから)
「終わったから流すぞ」「こっちも、流すじょ」
 咲についたシャンプーとボディーソープをお湯で落とす衣と優希。
(暖かい・・・でも、寒いよ、寒くて・・・寒くてどうにかなりそう、誰かが側に・・違う、側に居て欲しいのは・・・)
 咲が心から願うのはただ一つ、幼なじみの少年が側に居て欲しいという、祈りというにはささやか願い。
「ひっく・・・」
(嫌だ・・そばにいてよ京ちゃん、私を置いて・・いかないで・・)
 咲の目から涙が零れ落ちる、ささやかな願い、だがそれを願えば願うほど、京太郎が遠くに行ってしまうそんな気がしてならない。
「ど、どうした咲、目にしみたか!?」「さ、咲ちゃん!?」
 突然泣き出した咲を見て衣と優希も焦る、シャンプーが目にしみただけならばどれほどましだっただろうか、それなら目を濯げば幾分かましになるだろう、だが咲の痛んでいるのは心だからどうしようもない。
「ち・・違うの・・しみて・・ひっぐぅ、ないよ、ごめん・・本当にごめん」
「咲・・」「咲ちゃん・・」
 なんとか声を振り絞り謝る咲だが涙と声のつまりは止められない、それで衣と優希は心配した表情で咲を見つめていた。
(衣ちゃんも優希ちゃんも悪くないのに、この二人は・・自分の気持ちに気付いて、ちゃんと言っていたのに、私は・・・今更になって気付いて・・・それを攻められるわけも無いのに・・)
「止まらない・・ひっぐ・・駄目・・・わからないよ、どうしたら・・えっぐ、いいのぉ・・」
(咲ちゃん、どうしたんだじぇ・・)(咲、もしかしてお前も・・)
「ねぇ、優希ちゃ・・んぐ・・はどうやっで・・納得できたのぉ、衣ちゃんと京ちゃんの関係に・・うぅ」
「そ、それは・・・」
 言いよどむ優希、まさか目の前で情交を見せ付けられたとは言えず、どうしたらいいか迷った末に口を開く・・・衣が。
「情交を・・・性交を見せ付けた」
「性交って、えっ・・そ、それって本当なの優希ちゃん!?」
 流石に恋人たちの交わりまで見せ付けられたと思わなかった咲は、驚いて一旦涙が止まる。
「本当だじぇ・・京太郎ところちゃんが、キスして愛し合っている姿をこの目で見たじぇ」
(キスに愛し合う姿、それなら私も・・・)
 咲は必死に想像する、京太郎と衣がキスしているところを愛し合っているところを、辛いだけ、でも・・京太郎が離れてゆくと感じると、ただただ心が寂しくなり孤独感に苛まれる。
「だめ・・諦めきれきれないよぉぉぉ、どれだけ想像しても諦められないよ、好きなの京ちゃんの事、そばに居たいの・・・」
(私、京ちゃんの事こんなにも凄く好きだったんだ・・)
言葉があふれ出すと同時に涙も溢れ出した咲、実際に見ていない以上想像で語るしかないのだが、それでも思いを断ち切れるとは思えなかった。
「それほどに、狂おしいほどに愛おしいのならば・・・何故告白をしない?」
「えっ・・」「ころちゃん」
 優希には分かった、その言葉の意味が、なぜなら自分も同じ言葉をかけられたから。
「そ、そんなの・・・だって京ちゃん・・・衣ちゃんの事すごく好きだもん、だから・・」
 無意味、無駄、無価値、咲の脳裏にそんな言葉が浮かんでくる。
「それだけではあるまい?」
 そんな咲の心内を見透かしたような衣の言葉、咲も理解していた、それらは言い訳だと、言うだけならば自由のはずだ、それなのに・・。
「咲ちゃんの気持ちわかるじぇ、怖いんだじょ・・これ以上京太郎と離れるのが」
 かつて同じ気持ちを持っていた優希は当然理解していた、その気持ちも、辛さも、苦しさも、不安も。
「うん、怖い・・凄く、側に居てくれた人が離れると思うと凄く・・」
「ならばこのまま告白をせずに明日帰るか、そうすれば莫逆之友で居られるかも知れんぞ」
「それは・・・」
 このまま帰れば、そうすればと咲も思う、思うが気付いてしまったこの気持ちを抑えきれる自信などどこにも無かった。
「告白すれば、どうなるんだろう?」
 幼なじみで、よく知っているからこそわかった、京太郎は絶対に衣を捨てないと、だから・・そんな幼なじみの側には居てくれなくなると、それが恐ろしくて体が心が震えた、だが・・。
「わからぬ、わからぬが運がよければ、衣や優希の様に恋人になれるかもしれないぞ」
「えっ・・、ど、どういうこと、京ちゃんの恋人は衣ちゃんでしょう!?」
 咲の驚くのも無理はないだろう、突然の二股に聞こえる言葉、それも本人達はなに一つ気にした様子もないのだから。
「情交・・だったかじぇ、それを見せられてころちゃんが恋人って事には納得したけど、私は京太郎を諦められなかったんだじぇ、それを言ったらころちゃんが好きなら告白しろって・・」
「えっ、で、でも、衣ちゃんは良いの、そんな自分の恋人に他の人ができても」
「心中穏やかでは無い、だが衣にもその狂おしい気持ちもわかるのだ、だから他に恋人が居てもよいとも思う、ただ愛しき者の側に居たいという気持ちに罪などあろうはずも無い、無論京太郎がよしとすればだがな、衣も京太郎の嫌がることを無理強いする気はない」
「あっ、そっか・・」
 いくら衣の許したとしても、京太郎に断られればおしまいである。
「私は・・衣ちゃんみたいに可愛くないし、優希ちゃんみたいに元気で明るくも無いから、京ちゃんが嫌がるかも・・・」
「咲は可愛いと思うぞ」「そうだじぇ、結構いい線いっているじょ」
「背も・・胸も・・お尻も・・・」
 衣と優希の言葉も今の咲の耳には届かなかった、一度不安に思うと次々に不安な理由が浮かんできて、思考がネガティブな方向へとひた走る。
「咲!!」
「えっ、は、はい・うぷっ!?」
 衣の大声に反応して咲が顔を上げた瞬間、勢いよくお湯が襲ってきた。
「うっ・・けほぉ・・けほぉ、な、なにするの衣ちゃん」
「何故勝負を諦める、あの時、団体戦決勝の時は諦めなかったでわないか、あの時、衣の支配から脱した咲は、逃げてなかったぞ、なのに今どうして逃げるのだ!」
「あっ・・・」
 団体戦決勝の日、あの日、あの場所は衣の支配下にあった、普通なら絶対に諦めてしまいそうなあの時でも、咲はあきらめなかった、楽しみたいと思ったからもあるけどそれだけではなく、欲したから、勝利を自分が望む形を。
 その言葉が咲を目覚めさせた。
「私・・なりたいよ、衣ちゃんや優希ちゃんみたいな、京ちゃんの恋人に、何番目でもいいの、恋人になりたい京ちゃんの側に居たい、そう思うから、告白したい」
 咲の目には涙はもう無い、その代わりに力が満ちてあふれ出しそうに優希には見えた。
「す、すげぇ、すげぇ気合だけじぇ、咲ちゃん」
「そうだ、その眼だ、悪鬼さえも吹き飛ばすほど気合を感じるその眼だ」
「うん、ありがとう衣ちゃん」
「礼を言うのは早いぞ、それに結果がどうなるかは予測不可能だ」
「うん、けど、私は私のできる全力を尽くすだけだから」
 全てを決めた咲はもう不安そうな表情はしなかった。
「では京太郎のところに行くぞ」
「うん!!」「おうだじぇ」
 三人は京太郎の部屋に向かうため、風呂から上がるのだった。

「それでは、私は透華お嬢様達を向かいに行ってまいります」
「うん」「行ってらっしゃい」
 京太郎が使用人用シャワー室でシャワーから浴びて着替え終えると、透華達を迎えに再び清澄に向かうハギヨシ。
「須賀君、お水ここに置いておくね」
「あっ、すみません国広さん」
「良いよ、透華にもちゃんとお世話をするように頼まれているんだから」
「そうですか龍門渕さんが、龍門渕さんって最初は怖いかなって思っていましたけど、優しいんですね」
「うん、目立ちたがり屋でちょっと誤解されやすいけど、透華は凄く優しいんだよ」
 自分の大好きな主を褒められて嬉しそうな一。
「さて、ボクは台所に居るから、何か用事があったら呼んでね、それじゃあ」
「はい」
 それだけ言い残すと一は部屋を後にした、それとほぼ同時に京太郎の携帯が鳴って、着信相手を見ると武井久と表示されていた。
「あっ、部長ですか、あっ、はい・・俺はいまシャワー浴び終えたところです、咲は衣と優希が大浴場・・みたいなところに連れてって温まっていると思います、一応大丈夫そうですけど」
 とはいえ車の中では優希が必死に話しかけるものの、咲はどこか上の空で、聞いているのかいないのかよくわからなかった。
「ええ、上がってきて少し落ち着いてから話します、あっ、鍵見つかったんですか、わかりました咲に言っておきます、はい、俺と咲は今日泊まろうかと・・・咲、家に一人だと可愛そうですから、はい、わかりました、それじゃあ」
 用件を済ませて電話を切ると、これまたタイミングよく扉がノックされた。
「京太郎居るか、衣だ、優希と咲もいるぞ」
「開いているからどうぞ」
 携帯をベッドの側に置きながら返事をすると、すぐに扉が開く音がして京太郎は振り返りながら話しかける。
「あっ、そうそう今部長から電話があって、家の鍵が見つかったって・・へぇ?」
 京太郎は固まった、入ってきたのは衣、優希、咲で間違いは無いのだが、その三人の格好が問題だった。
 まだ風呂から上がりたてだからか、体に湯気をまとい、肌はほのかに赤く色づいて見える、だがそれに負けない位に赤いのは三人の顔だった。
「えっ、えっ~と、その・・な、なんでその格好なんだ?」
 京太郎は理由を訊ねる、無理も無いだろう何せいきなり三人の少女が柔肌にバスタオルを巻いた姿で現れれば。
「こ、こうしたら京太郎が喜ぶと、優希が」「う、うん」
「その・・雑誌に彼氏を喜ばす格好って、書いてあったから・・どうだじょ?」
「いや、どうって・・その、それは・・やっぱり、こ、興奮するかな・・」
 この姿だけでも興奮するが、それが自分のためと思えば二重、三重の興奮を覚える京太郎。
「おおっ、やったな優希」「えへへ、大成功だじぇ」
 京太郎の喜んでいた姿に歓喜する衣と優希、咲も言葉には出していないが嬉しそうにしていた。
「それで、その衣や優希はわかるけど、咲もその格好をしているってことは、その・・」
 京太郎の問いで、今まで歓喜に染まっていた三人の表情が真剣な表情に変わった。
「そう・」
「ま、まって衣ちゃん、わ、私ちゃんと自分で言うから」
 返事をしようとした衣を止め、一歩踏み出し京太郎をまっすぐ見つめる咲。
「きょ、京ちゃん」
「お、おう・・」
 咲の緊張が感染したのか、京太郎も思わず身構えてしまう、そんな中で咲は必死に続けた。
「その・・こ、こんなこと言うとめ、迷惑かもしれないけど、衣ちゃんが恋人になったて聞いた時におめでとうって言っておきながら、今更何言っているんだって思うかもしれないけど、
で、でも、聞いた日、帰ってから・・ううん聴いた瞬間から凄く胸がもやもやして、それが今日ようやくわかったの」
 深呼吸をして、目を開いて、しっかりと京太郎を見つめる咲。
「わ、私は京ちゃんがす、好きなの・・幼馴染としてだけじゃなくて、お、男の人として好きです」
「咲はさ・・俺と衣と優希の関係を知っているんだよな?」
「うん、お風呂で聞いたよ」
「それでも、変わらないのか?」
「うん、それでも好きだよ、だからその・・私も京ちゃん達の輪に加えてほしいな、だ、駄目かな?」
 聞かれれば軽蔑されるかもとも思っていた京太郎にとって、咲の告白は予想外だった、それだけ咲は本気だと、そしてこの告白に驚いていない以上、衣も優希もこれには納得しているということがわかる、それらを理解すると京太郎の答えは自然と決まった。
「まあ、良いんじゃないか・・・俺も咲好きだしな」
「京ちゃん・・ひっぐ・・」
 ぶっきら棒に返事をする京太郎、その答えを聞いた咲の目から大粒の涙が零れ落ちる。
「えっ・・さ、咲、えっ~と」
「あっ、ご、ごめん、その・・嬉し過ぎて、つい・・平気だから」
 喜びがから溢れた涙を拭き取って、咲は京太郎に笑顔を見せた。
「おめでとう、咲」「咲ちゃん、おめでとうだじぇ」
「ありがとう、衣ちゃん、優希ちゃん」
 新たな仲間を祝福し歓迎する衣と優希、咲も嬉しそうにお礼を言った。

「・・京太郎」
「どうした衣?」
 とことこと京太郎の方に歩いてゆく衣、そんな衣を不思議そうに見ていた京太郎、そして京太郎の側に付くとジャンプ抱きつく、その反動で巻いていたバスタオルが外れて落ちるが、衣はそんなことを一切気にする風も無く、そのまま京太郎の唇を重ねた。
「あっ~~私もするじぇ」「あっ・・」(こ、衣ちゃん、だ、大胆だな・・)
 京太郎と衣のキスを見た優希は声を上げ、自分もしてもらおうと京太郎に近づくと同時にバスタオルが落ちるが、やはり気に止めることない。
「京太郎、私もしてほしいじょ」
「・・ああ、良いよな、衣」「うん、順番だからな」
 衣をベッドの上に下ろすと、優希が京太郎に抱きついて唇を重ねる。
「あっ・・あっ・・ああ」
 二人が京太郎の恋人だと言うことは理解しているとは言え、キス二連発に唖然とする咲。
(キ、キスしている・・衣ちゃんもそうだったけど、優希ちゃんも凄く幸せそうな顔をしているな・・いいなぁ)
 羨ましそうに京太郎と優希のキスを見つめる咲は、少し寂しげに右手の人差し指を噛んだ。
「ふぅ・・」「はぅ・・」
 京太郎は優希から唇が離すと、衣と同じようにベッドの上に下ろす、そしてじっと自分を見つめていた咲に声をかける。
「どうしたんだ咲、こないのか?」
「そうだな、しないのか咲?」「咲ちゃん、どうしたじぇ?」
「えっ・・良いの?」
 自分がしてもらえると思っていなかった咲は突然の誘いに驚く。
「幼馴染じゃなくて、恋人なら良いだろ、まあしたくないならむり・」
「し、したいよ!・・・あっ、こ、これは・・そのち、違うよ京ちゃん」
 京太郎は冗談のように言ったのだが、咲は思いっきり叫んでしまう、直後自分が何を言ったのかに気付いて恥ずかしさからか言い訳を始める。
「はぁぁ、そうか・・・俺は咲とキスしたかったのに」
 ため息をついて残念そうな態度を見せる京太郎。
「あっ、そ、そうじゃなくて、私も京ちゃんと・・」
 再び違う方向へと言い訳を始める咲、見ていた京太郎は。
「くっ・・ははははは」
「えっ・・あっ、ああ!!、私の事からかったの!?」
 耐えかねて笑い出してしまう京太郎、それでようやく咲は自分がからかわれたことしる。
「ああ、悪い悪い、だってお前があんまり予想通りの行動するからよ」
「ふっ、ふーん、そ、そんな意地悪な京ちゃんは知らないよ」
 笑いをこらえながら謝る京太郎だが、咲はいじけてしまい視線を逸らす。
「はぁ・・やれやれ、からかって悪かったから、いい加減機嫌直せよな」
「ふ、ふーん・・」
ため息をつきながら謝る京太郎、しかし咲も今この状況でからかれたのがショックだったのか、なかなか機嫌を直さず拗ねたまま。
「じゃあ、これならどうだ・・お嬢様」
「えっ・・」
 咲の頬に手を当て自分のほうに向かせると、そのまま咲の唇に自分の唇を重ねる京太郎。
(き、きき、き、キス・・いま、わわわ、私、京ちゃんとキス・・しているんだ・・)
 拗ねていた事も全て吹き飛ぶような衝撃が咲を遅い、永遠とも一瞬とも感じとれる時間、やがて唇が離れた。
「少しは機嫌直ったか?」
「あっ・・そ、その・・も、もう一回してくれたら直る・・・かな?」
「分かったよ・・咲」
 離れた寂しさからか機嫌を言い訳にキスを強請る咲、京太郎もちゃんとそれに応じてもう一度唇を重ねる。
(京ちゃんの唇・・あったかいな・・うん!?、えっ、口に何か・・ええっ!?、こ・・これって京ちゃんの舌!)
 口内に進入してきた異物に驚く咲、だがそれが京太郎の舌だと分かると受け入れる。
「うっ・・うう・・・うく・・」
 京太郎にされるがまま、自分の舌を弄ばれた咲の頭の中は真っ白になって、息をするのを忘れてしまう。
「ふぅ・・おっと・・・大丈夫か?」
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・う、うん」
 息をせずに居た咲は少し酸欠気味になり体勢を崩してしまい、京太郎は慌てて受け止めてベッドに寝かせる。
「ふふ、突然凄い接吻をされたから、混乱してしまったのだろう」
「確かにあのキス、最初の時はびっくりしたじぇ」
「う、うん・・・本当、凄かった・・・」
 自分達も経験があるからか、衣と優希は今の咲を見ても焦った様子はなく笑っていた。
「それで、どうするんだ、その・・・このままするんだよな?」
 咲の様子を気にかけて念のために訊ねる京太郎。
「ふっ、愚問だな京太郎」「当然、するじぇ!」
 それを聞いて京太郎は着ていた服を脱ぎ捨てる。
「わかった、それじゃしようか衣」
 当然の様に、最初は一番の恋人である衣を誘う京太郎だったが、衣は少し考えた末に。
「・・・いや、今日は咲に譲ろう」
 咲に順番を譲る、この行動には譲られた咲だけではなく京太郎や優希も衝撃を受ける。
「良いのか、それで・・?」「ころちゃん、良いのか?」「衣ちゃん、良いの?・・私何番目でも良いよ」
「よい、今回だけ特別だ、それに譲るのはあくまでも今回の順番であって、京太郎の一番の恋人の座は絶対に譲らないからな」
 それに関して絶対に引く気を見せない衣、それは咲も当然理解して納得していた。
「うん、分かっているよ、悔しいけど京ちゃんの一番は衣ちゃんだから」
「ならばよし、京太郎、ちゃんと咲を愛してやれ京太郎・・・それと後で衣も愛してくれ」
「分かったよ、あとでちゃんとな」
「きょ、京太郎!!京太郎!!」
 順番を譲った衣の頭を何故ながら笑顔で約束する京太郎、一人取り残された優希も必死に叫んで加わろうとする。
「優希も後でな、少し静かにしような・・」
「う、うん・・よろしくだじぇ」
 優希も衣と同じように、笑顔で頭をなぜられると静かになった。
「さてと、するぞ咲」
「う、うん・・そ、その・・や、優しくしてね京ちゃん」
(うっ・・そ、そんな顔でお願いされると、興奮して激しくなっちまいそうだな・・)
 恥ずかしそうにしながらお願いしてくる咲の可愛い姿に、京太郎は鼓動が高鳴り暴走しそうになる欲望をなんとか押さえ込む。
「なるべく優しくするよ・・・脱がせるぞ・・」
「うん、どうぞ・・」
 咲の体に巻きついていたバスタオルを外すと、スレンダーな咲の裸体が京太郎の眼前に晒される。
「そ・・その、お、おっぱいもお、おしりも大きくなくて・・ご、ごめんね」
「どうして謝るんだ」
「だ、だって、京ちゃんって・・その、原村さんみたいな、大きい人が好きなんでしょ?」
 咲は今までの記憶から、京太郎は巨乳好きと認識していた、それは正しいくもあり間違ってもいた。
(俺って、周りからそんなに巨乳好きと思われているのか・・まあ、実際好きだけど)
「はぁ・・まあ否定はしないけどな、けど小さいくても好きだ・」
「小さくても良いのだ、でなければ衣の胸を京太郎が喜んでくれるはずか無い」「そうだじぇ、私ものおっぱいだって好きだっていってくれたじぇ」
 京太郎がフォローしきるより早く、衣と優希が咲に噛み付く。
「あっ、そ、そっか・・そうだよね、よ、良かった・・・その・・京ちゃん、私のおっぱいも好きになってくれるかな?」
「まあ、咲が好きだからな、咲のおっぱいも好きだぞ・・」
「ひゃっ?」
 京太郎が咲の胸に手を触れると、咲は体に微量の電気を流されたような衝撃に襲われた。
「どうした・・気持ちよかったのか?」
「う、うんたぶん・・つ、続けて・・」
(い、今の気持ち良いんだよね、痛くなかったから・・)
 突然の感覚に戸惑いながらも、再び京太郎が咲の胸に触れるとやはりぴりぴりとしたものを感じる・・。
「あっ!・・ひゃう・!?」
(この声って、痛がっている訳でもくすぐったい訳でも無いよな、もしかして咲って、感じやすいのかな?)
 今度は胸を揉んでみると咲の明らかな反応を見せた。
「ひゃぁぁぁ!?、な・・なにこれぇぇ!?」
 強い快楽に驚いて混乱する咲、なので京太郎は一旦手を止めた。
「どうしたんだ咲は」「感じているみたいだじぇ」
「そうだな、どうやら咲は感じやすいみたいだな」
「そ、そうなのかな・・?」
 本人は良くわからない様子で、それも当然か比べるような相手が居たことなど無いのだから。
「それなら・・そろそろ、こっちもいいのかな?」
「えっ・・どっち、って・・そ、そこなの!?」
 京太郎が手を伸ばす先が股間だと言う事に気付くと、咲は驚きながら慌てて訊ねる。
「解しておいたほうが痛くないかなって思うんだが、それとも今日は止めておくか?」
「う、ううん・・・折角、こ、告白したのに、ここでちゃんとしてもらわなかったら後悔しそうだから、だから・・お願い京ちゃん」
「わかった、じゃあ・・触るぞ」
「う、うん」
 咲が覚悟を固めたところで、京太郎も咲の少しだけ毛の生えているおま○こに触れて、そのまま弄る。
「ひゃっぁぁぁぁ!?」
(な、なにこれ・・さ、さっきのより数倍強いよぉぉ、こ、こんなところど、どうにかされちゃうの・・)
「濡れているな、やっぱり感じているのか・・しかし」
 キスと愛撫で感じているのか、咲のおま○こはしっかりと濡れていた、京太郎も経験上初めてでこの濡れ方はやはり感じやすい体質なのだと思えてきた。
 京太郎は咲のおま○こを弄る指を止めず、指を膣内に少し入れて揉み解すように動かす。
 くちゃ・・くちゃ・くちゃ
「あひっっ!だ・・だめなんかへんにぃぃぃ!」
 動かされると、咲の頭に流れ込む快楽はさらに強さをまして、一気に限界まで持ってゆくと、咲の体を大きく揺らして、その後小刻みに体を震わせた。
「はぁはぁ・・はぁ、わ、私、どうし・・ちゃった・・の?」
 自分の体に起こった変化、そして襲ってきた感覚に戸惑う咲、それに答えたのは京太郎と衣だった。
「気持ちよくてイッタんだろう」
「そうだ、咲は京太郎の巧みな指使いで、気持ちよくなって絶頂を迎えたんだ、頭が真っ白になるような感覚だろう?」
「ううっ・・うん、・・そ、そうなんだ・」
 指だけで達したことを聞かされると、気恥ずかしさと京太郎に感じさせられた喜びが咲きの中で入り混じる。
「でも、咲ちゃんは気持ちよくなった時は『イク』って言ったほうが良いらしいじぇ」
「そう・・なの・・京ちゃん?」
「まあ、そう叫んだほうが気持ちいいらしいぞ・・俺も言ってくれた方が嬉しいかな」
「わかった・・・じゃあちゃんと言うね・・・」
 京太郎が喜ぶとわかると、咲は嫌がるそぶりを見せず言う事を誓う。
「さて、じゃ・・これからが本番だ、始めると途中で止められないかもしれないが、良いな?」
「えっ、そ、それって・・・」
「そうだ、これを・・さっき弄っていた咲の膣内に挿入する」
 京太郎は自分のペニスを手に持って咲に見せ付ける。
「お、大きい棒みたい・・そ、そんなの入る・・んだよね・・衣ちゃんも優希ちゃんもしているんだから、でも痛そう・・」
 衣と優希がしているから自分も大丈夫だと思えるが、それでもやはり凶器的な京太郎のペニスを見て少したじろぐ咲。
「最初は痛いじょ」「けど・・京太郎が好きなら、耐えられるはずだ・・」
 優希と衣が、それぞれ左右に分かれて咲に話しかける。
「そ、そうかな・・」
「ああ・・咲なら、大丈夫だ」「そうだじぇ・・咲ちゃんなら、大丈夫だじぇ」
 手を伸ばした衣と優希は、それぞれ先の片手をしっかりと握って励ましながら最後に声を合わせた。
「京太郎を愛しているなら耐え切れる!!」×2
「う・・うん、そうだね、京ちゃんの事大好きだもん!」
 二人に励ましと自分の心底から惚れているという気持ち、それらに自身を持ち自らを奮い立たせた咲は京太郎をしっかりと見つめて、今度はためらわなかった。
「京ちゃん・・わ、・・私に恋人の証を刻み込んでください」
 とても良い顔でのお願いに、京太郎も興奮と喜びがあふれ出す、そして。
「ああ、咲の初めて貰うな」
「うん、その・・私で気持ちよくなってください」
 それが止めになり、京太郎は咲のおま○こんにペニスを押し当てると、ゆっくりと挿入した。
 くちゃ・・くちゃ・・くちゅ
「うっ・うはぁ・・あぅ!・・」
 さきほどの愛撫で分泌された液体が、いやらしい音を奏でながらゆっくりと京太郎のペニスが咲の膣内に埋まってゆく、少しして・・強い抵抗を感じた京太郎は腰を止める。
「どうする、ここから痛いと思うけど・・ゆっくりいくか?」
「う、うん・・ゆっくりときて、京ちゃんのを・・ちゃんと確認したから」
「わかった」
 京太郎は腰に少し力を入れて、ゆっくりと咲の処女膜を突き破る。
 ぐ・・っぷじゅ・・ぷじゅ
「い・・いだぁ!!?」
「耐えろ、その痛みは京太郎を受け入れる痛みだ」「少ししたら、ましになるじぇ!」
「う・・うぐぅん・・」
「頑張れ咲・・もう少しだからな・・くぅ・・」
 左右の衣と優希に励まされながら、引き裂かれるような痛みに耐える咲、少しは衣や優希よりも体が大きいとは言え、やはり処女である咲の膣内はきつく侵入は容易ではない。
 しかし咲の我慢と衣と優希の励まし、そして京太郎の頑張りで徐々にだがペニスが咲の膣内に埋まってゆく。
「うっ・くはぁ・・・一番奥まで入ったぞ、咲」
「うっ・・あっ、ほ・・本当だ、痛いけど・・なんかお腹の中で京ちゃんを感じるよ・・」
 痛みからかはたまた喜びからか、咲の目には涙が溜まっていた。
「頑張ったな・・いい子だぞ」
「あっ・・う、うん・・がんばってよかった・・」
 褒められて頭を撫ぜられると、咲は嬉しそうにそして少し照れくさそうにはにかんだ。
「でも、これで終わりじゃないぞ・・」「そうだじぇ、京太郎にいっぱい動いて、気持ちよくなってもらって精液をいっぱいだしてもうんだじぇ」
「あっ、そ、そうなんだ・・じゃ、じゃあ京ちゃん、その・・動いてくれるかな・・」
 左右からのアドバイスを受けた咲は、そのまま京太郎にお願いをした。
「まだ痛いんじゃないのか?」
「う、うん・・・でも大丈夫、痛いけど、そんな耐え切れないほどじゃないから」
「そうか・・じゃ、これは痛みが引くおまじないだ」
 そう言って京太郎はキスをした・・舌を絡める・・キスを。
「これでちょっとはましになっただろう?」
「う、うん・・だいぶましになった・・それに京ちゃんの凄く熱いんだね、中から伝わってくるよ」
「ああ、じゃあ・・動くぜ」
 ズブ・・ズブ・・ズブ・・ズブ
「こ・・これぇぇ!!・・か・・かんじちゃうう!!」
 既に痛みはほとんど引いたのか、それとも痛みよりも快楽が大きくなったのか、咲は最初から気持ちよくなっていた。
「気持ちいいいのか、咲は感じやすい・・エッチな娘なんだな」
「いじぃぃ!わるぅぅいわないでょよぉぉ!!」
 悲しそうに抗議する咲だが、快楽には逆らえないのか声を上げて感じてしまう。
「安心しろエッチな咲も好きだぞ、うっぉ!」
 好きと言った瞬間、咲の膣内はきゅっとペニスを締め上げる。
「ふあぁぁ!!、な・・ならいいよぉぉ、京ちゃんがすきならエッチでもぉぉぉ!!」
 嫌われるかも、そんな危険が無いと分かると咲はさらに乱れ快楽を食らう。
「そうか、じゃあもっとエッチになっちゃえよ」
 ズブッッ!!ズブッッ!!ズブッッ!!
 京太郎が動きを激しくすると、感じやすい咲はいともあっさり。
「い、イクゥゥゥゥ!!」
「えっ・・くっ!?」(は、早い・・まだいくわけには)
 高らかに声を上げて絶頂を迎えた咲、咲の膣内は柔らかいがしっかりと京太郎のペニスを捕まえて締め付けた、がなんとか京太郎はそれに耐え切り射精することはなかった。
「あはぁぁ・・はふぅぅぅ・・・ご、ごめん・・ね京ちゃん・・はぁ・・一人で・・気持ちよくなっちゃった・・」
「いや、良いって・・でも、本当に感じやすいんだな」
 一人で達してしまったことをすまなそうにする咲に、気にしないように声をかけながら、その感じやすさに驚きながら感心する京太郎。
「その・・きょ、京ちゃんは私の・・なかは感じてくれているのかな・・」
 自分だけ達してしまったからか、咲の顔が今度は不安そうな表情に変わる。
「はぁ・・あのな、こんなに硬くて・・熱くなっているんだぞ・・気持ちよくないわけないだろう・・なぁ」
 慰めながら咲の頬にキスをしながら、少し腰を振ってペニスを主張する京太郎。
「あん!、わ・・わかるよ、じゃ、じゃあ、今度は・・京ちゃんが気持ちよくなって欲しいな、そ、それで精液を出してほしいな」
「じゃあ、一気にいくぞ!」
「う・・うんひゅう!!」
 ズブッッッ!!ズブッッッ!!ズブッッッッ!!
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ!!、すごいぃぃ!!ま、まらかんじちゃうぅぅぅ!!」
 激しく腰を動かされて、先ほど絶頂を見たはずの咲、そのせいで膣内が敏感になっており膣内に京太郎のペニスが暴れるたびに、大きな快楽を感じていた。
(ら、らめぇ・・京ちゃんが、次は京ちゃんが気持ちよくなるまで・・)
 声、表情、そして膣内の感覚から、咲の感じているのは京太郎もわかっていた。
「ほら、もう一回イっていいんだぞ」
 動かす腰を止めずに咲きに話しかける。
「ら、らめぇぇ!!・・きょ、京ちゃんもきもちいいいい!!」
「俺も気持ち良いよ、もうすぐ射精するからな・・・」
 京太郎が長持ちしないわけではない、さきほどの絶頂による膣内の痙攣、その残りと今ピストン運動を繰り返すと、それに合わせてさらに咲の膣内が締め付けたりして、限界が近かった。
「じゃぁぁあぁ、いってぇぇぇぇ!!きょうちゃんもいってぇぇ!!」
 その言葉が嬉しかったのか、咲の気持ちと交互するように膣内は激しい閉めて解放を繰り返す。
 ズブュュュュ!!ズブッッッッッッッ!!ズブッッッッっ!!
「だめぇぇぇぇ!!ま、またイッチュウヨォォォ!!」
「ぐっ・・お、俺ももういくぞぉぉぉ!!」
 再びの絶頂が強いからか、咲の膣内が京太郎のペニスを占め下る。
「き、きてぇぇぇぇぇぇ!!ぎ・・ぎもちよくなってたくさんしゃせいしてぇぇぇ!!」
「ああ、しゃせいするぞ!!」
 京太郎が気持ちよくなってくれているという満足感、そして激しい腰使いからくる快楽に、咲は再び絶頂に達する。
「きょうちゃゃゃゃゃん!!わたしまたいっちゃううううううううう!!」
 達した瞬間から、とてもきつく絶え間なく、きゅぅぅぅぅぅぅぅとペニスを締め付け手締め上げる、まるで精液をちょうだいとお願いされているようにも思えてくる。
「くっ!だすうぞぉぉぉぉお!!」
「きれぇぇきょうひゃん!!きれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!!
 大量の精液が搾り出されて咲の膣内にあふれ出す。
「あふひぃぃぃぃ!!やふぇるぅぅぅぅぅぅぅ!!」
 咲が喜んで京太郎の精液を受け入れていると言うのは、京太郎にも咲の手を握っている衣と優希にもしっかりと伝わる。
 ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!!
「ひゃぁぁぁあぁ!!まらぁぁぁくるぅぅぅいっちゃううう!!!」
 射精が快楽を生む、快楽が絶頂を生む、再び達する咲。
「うっ、うぉぉぉぉ!!」
 再びの絶頂に咲の膣内は京太郎のペニスを更に締め付けて、もっともっととお菓子を強請る子供が如く精液を強請っているようだった。
 ドクゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥン!!
「あひゃう!!・・も・もふ・・りゃめ・・あはぁぁあ!!」
 最後に精液をお腹が感じながら、呂律は完全に回らなくなってしまったが、それでも咲は気持ち良さそうに・・そして嬉しそうに笑っていた。
「はぁぁぁ、大丈夫か咲?」
 射精が終わって落ち着いた京太郎は、咲があまりに感じていたので心配そうに声をかけた。
「はぁぁぁ・・はぁぁぁ・・はぁぁぁ・・ら・・らいりょうふ・・はぁぁぁ・・きょうひゃん・・」
 息も切れ切れ、回らない呂律でなんとか答える咲は、一応大丈夫なように見えた。
「ならいいんだが、気持ちよかったぞ・・ありがとうな咲」
「あはぁぁぁ・・はぁぁ・・う・・うれしいけろ・・あまり・・なれられるろ・・かんり・・ちゃう・・はぁぁぁ・・」
 京太郎はお礼と感想を言いながら優しく頭を撫ぜると、嬉しそうにしながらも少し困った様子で苦笑いをする咲。
「おっと、それは悪かったな、じゃあ・・とりあえず抜くから少し休んで・・」
 京太郎は咲を休ませるために、ペニスを引き抜こうとゆっくりと腰を引く、だが。
「あっ、ら、らめぇぇ!?」
「えっ、ど、どうした?」
 慌てて動きを止める京太郎、だが次の瞬間。
「らめぇぇぇ!!」
 咲の叫び声としゃぁぁぁぁという音と共に、京太郎の腰辺りに生暖かい感覚が広がる。
「えっ、こ・・これって・・」
「おしっ・・こ」「もらしたのか・・?」
 絶頂の余韻か下半身に激しく刺激させられたからか、咲はおもしらしてしまった。
「うっ・・とまってよぉぉ・・」
 咲の悲痛な叫びも届かず、また咲自身も止めようとするが一度あふれ始めたものを制御することはできなかった。
 京太郎も突然の事に対応できず、全てが出し終わるまで身動きが取れなかった。
「・・・ううっ・・やだぁ・・」
 ようやく尿が勢いを失い、ほっとすると同時に激しい運動と快楽の疲れから咲は眠気に襲われる。
「咲・・」
「ご・・ごめんね・・京ちゃ・・ん・・・」
 咲の意識はそこで途絶えた。

ぴちゃ・・ぴちゃ
(なに、なんの音だろう・・)
「うっ・・」
 咲は浅い眠りのから誰かが何かを舐めるよう、そんな不思議な音で目を覚ます。
「うっ・・なに・・痛っ!」
 瞼を擦りながら起き上がると、鈍い痛みを下半身に感じた。
(あれ・・私どうしたんだろう・・)
「えっ、わ、私どうして裸、そ、それにこれ」
 意識がはっきりとしだすと、自分がバスタオル一枚で寝ていたのと自分の膣内から白濁色の粘り気の強い液体溢れているのに気付いた。
「あっ、咲ちゃんが起きたじょ」
「ぷはぁ・・起きたか・・咲」「よぉ、お目覚めかな咲お嬢様」
 咲の目に飛び込んできたのは、自分に笑いかけてくる優希と、京太郎のペニスから口を離す衣の姿。
「えっ、優希ちゃん、衣ちゃん、京ちゃん・・な、なんで・・あっ!」
 三人が裸なのをみて、京太郎に告白した末に結ばれたことを思い出す咲、それと同時に自分が粗相してしまった事も思い出してしまった。
「あっ、きょ、京ちゃん、さっきはご、ごめんなさい、私・・京ちゃんにお、おしっこ・・うぐぅ」
 お漏らしをした上に、それを京太郎に掛けるという失敗に謝りながら涙ぐむ咲。
「気にするなって・・・言っても無理だろうけど、なるべく気にするな」
「う、うん・・ところでその、こ、衣ちゃんは何をしているの?」
「うん、これか・」「うぉ・・」
 尿道に残った精液を吸い上げる衣、忙しそうな衣の変わりに優希が咲の疑問に答えた。
「あれはフェラチオっていうんだじぇ」
「えっ、フェラチオ・・って、そ、その京ちゃんのを舐めるんだよね?」
「・・うんく、そうだ、京太郎のおちんちんを舌や口全部を使って愛撫するんだ」
 口の中にある精液を飲み込み、楽しそうに答える衣。
「で、でも、おちんちんだよね、その・・おしっこの出るところだよね?」
 前の優希同様、排泄器官に口をつけるのに抵抗を見せる咲。
「う~ん、私も最初は気になったけど、でも京太郎を気持ちよくさせられるんだじぇ!」
「えっ、その・・フェラチオされるのって気持ちいいの京ちゃん」
 これも前の優希同様、やはり好きな相手を気持ちよくさせられるのには魅力を感じる咲。
「えっ、ああ、まあ・・かなりな、気持ちよかったぞ衣」
「うむ、京太郎が気持ちよくなってくれて衣も嬉しいぞ」
 満足そうな京太郎に褒められて嬉しそうな衣を見ていると、優希の言葉が嘘や大げさでないことを理解する咲。
「咲ちゃんも、フェラチオするのか?」
「えっ、そ、その・・・しようかな」
「じゃあ、こっちだじぇ」「う、うん」
 優希に手を引かれるまま京太郎の前に座る咲、眼前で見る京太郎のペニスは挿入前に見たときより迫力があり大きく見えた。
(す、すごい、こ、こんな大きいのが私の膣内に・・)
 ペニスが膣内にあったことを思い出し、咲はぶるっと体を震わせた。
「咲、どうした・・しないのか?」
「えっ、あ、あの・・優希ちゃんはしなくても良いのかなって」
 ペニスの迫力に少し怖気づいてしまい優希に話を降る咲。
「私はもうしたじょ、口とおま○こに一回ずつ精液を貰ったじぇ」
「えっ、京ちゃん、衣ちゃんにもさっき一回、それで衣ちゃんに二回、で私に一回で・・四回も射精したの?」
「違うぞ衣はおま○こに二回射精してもらっているから、さっきのフェラチオで六回目だな」
「ろ、六回も・・ふ、普通そんなにできないんじゃ?」
「侮るで無い、六回や七回では京太郎は納まらんぞ」
「この前、計十回だったけ・・・凄かったじぇ」
 無尽蔵な京太郎の精力に開いた口が塞がらない咲。
「・・十回も・・・凄いな」
「咲、したくないならしなくても良いんだぞ」
(うっ・・したくないわけじゃないんだけど・・抵抗が無いわけじゃないし・・け、けど)
 京太郎は咲を気遣い提案するが、咲も少し迷うがやはり京太郎が喜んでくれるという思いが強い。
「す、するよ・・ううん、したな、その私も京ちゃんを気持ちよくさせたい」
「良いのか、衣や優希にさせておいて言うのもなんだけど、おしっこも出るところだぞ」
「うっ、け、けど私も京ちゃんにお、おしっこかけちゃったし、京ちゃんも我慢できなくなったら、かけてくれて良いよ・・」
「えっ、あっ・・いや、それは・・・」
 さすがに放尿プレイをする気にはなれない京太郎だったが、ここで露骨にいやな顔をすれば咲を傷つけてしまうかもしれないと思い言葉を押し殺した。
「うん、そ、それじゃあするね・・その初めてで下手かもしれないけど、私・・頑張るから、き、気持ちよくなってください」
「あっ、うん・・頼むよ」
「よし、衣も手伝うぞ」「私も手伝うじぇ」
 必死な形相の咲に手伝いを申し出る衣と優希。
「ありがとう衣ちゃん、優希ちゃん、それで何からすればいいのかな?」
 咲は恋人として先輩の二人に、フェラチオの仕方を訊ねる。
「う~ん、じゃあころちゃんと私が左右から舐めるじぇ」「うむ、では咲はこの膨らんでいる亀頭の部分を舐めるよい、銜え込んで吸ったりするのも良いぞ」
「わかった、やってみるね、すぅ・・・はぁ・・あむぅ」
 やり方を教わり深呼吸をすると、意を決し亀頭を銜え込む咲、それを見て衣と優希も左右から舌を出す。
 ちゅぅぱちぇろちぇろ・・ぺろーんぺろーん
「うっ・・す、すげぇ・・三人にされるなんて・・」
 快楽の三重奏に思わず身悶える京太郎。
(これが京ちゃんのおちんちん・・・・銜え込んでいると口いっぱいに匂いが広がるな・・でもこの匂い好きかも)
(一人でするのも楽しいが、咲と優希と一緒にするもの楽しいな・・)
(おお、これだと京太郎の表情が一人でしている時よりも、集中して見えるじぇ)
 三者三様、それぞれの楽しみながらでフェラチオをして京太郎を気持ちよくさせる、咲、衣、優希。
「くっ・・さ、三人ともいいぞ・・」
「ふん・・」(ああ、これが京ちゃんが気持ちよくなっている時の顔なんだ・・、私の口でも気持ちよくなってくれているんだ・・よし、もっと頑張ろう)
 ちゅぅぅぅぅぅ・・れろれろれろ
 京太郎の声と表情で感じていることがわかると、咲の気持ちは高ぶりやる気が満ちてフェラチオする口にも力が入る。
「うっ・・くぅ、いいぞ咲・・上手いぞ」
(咲め・・京太郎の感じている顔を見てやる気を漲らせたな、負けんぞ)
(咲ちゃん・・・こっちだって負けないじぇ)
 手伝いをする筈が対抗心からそれらも忘れ、フェラチオを集中する衣と優希。
 ぺろーーんぺろーーーん
「うっ・・衣も優希も良いぞ・・」
 感じていた京太郎のペニスから先走り汁が分泌される。
(ちょっと苦くて・・匂いが濃くなって、で・・でも嫌いじゃないな・・)
 独特の味もあまり嫌そうな顔をせず、咲は先走り汁を舐めとる。
 れろれろれろれろ・・ぺろーーんぺろーーん
(うん、そろそろだな・・)
「くっ、早くて悪いが、そろそろ出そうだ・・・」
 衣の読み通り京太郎は限界が近かった。
「吸い上げろ、咲」「そうだじぇ咲ちゃん」
(ここで吸うんだ!)
 二人のアドバイスを受けて、しっかり銜え込んで思いっきり吸い上げる咲。
 ちゅぅぅぅぅぅぅ・・ぺろぺろぺろぺろ。
 咲が吸い上げると同時に、射精へと導こうと衣と優希は小刻みに舐める。
「くっ、イクぞぉぉ!!」
 ドクゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!!
「うぶっ!?」(えっ・・こ、こんなに出るのぉ!?)
 初めて口で味わう射精の勢いと量に驚きながらも、必死に口に収めようとする咲、だがそれをあざけ笑うが如く、射精は止まらない。
「くぅっ・・まだ終わらないぞ!!」
(えっ、ま、まだくるのぉ!?)
 驚いく咲に追い討ちをかけるようにペニスが脈打つ。
 ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!!
(だ、だめ・・凄い量で、それに・・匂いも凄くて・・・)
(咲・・頑張るな、でも・・)(さすがに初めてであれは無理だじぇ・・)
「あぶっ・・」

 衣と優希の予想通り、口の中には収まりきらず射精の勢いでペニスが飛び出す。
 ドクゥゥゥン!ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!!
「七回目で・・この量とは」「さ、さすがだじぇ京太郎」
 前に十回も射精させとは言え、七回目で衰えない射精に驚き顔や体に掛かる精液をぼんやりと眺める衣と優希。
「はぁぁぁ・・ふうぅ・・」
 射精が収まると少し息を吐いて落ち着く京太郎。
「うぶっ・・うんぐぅ・・・・」
 咲は口内に残る精液に飲み込む・・。
「咲、無理しなくて、駄目ならはいても良いんだぞ」
「そうだな、味は・・かなり独特だからな」「うん、正直私は少し苦手だじぇ」
 京太郎、衣、優希が心配そうにする中、精液を飲みきった咲は意外そうな顔で口を開く。
「あ・・あれ、そんなに嫌じゃないよ、ううん・・」
 自分の顔に飛んだ精液を指で拭って、それをそのまま口に運ぶ咲。
「う・・うん、私はこの味好きかな・・匂いはちょっと苦手だけど・・」
 精液の味と匂いをよく確かめて答えは変わらない咲。
「あの味が好きな人ってやっぱりいるんだじょ」
「でも良いではないか、飲んだら京太郎は喜ぶからな」
「そうなの京ちゃん?」
 衣に言われて不思議そうに訊ねる咲。
「まあそりゃ、飲んでくれたら嬉しいけど」
「そうなんだ、匂いはちょっと苦手だけど、京ちゃんが喜んでくれるなら好きになれそうだよ」
 そう言って微笑みながら、咲は顔に付いた精液をもう一度指で救って舐め取った、その仕草にドキッとする京太郎。
「そういわれると嬉しいな、それに気持ちよかったぞありがとうな咲」
「ちゃんと京ちゃんを気持ちよく出来てよかった・・」
 お礼を言われると、安心して胸を撫で下ろす咲。
「よかったな、咲」「立派だったじぇ、咲ちゃん」
「うん、ありがとう衣ちゃん、優希ちゃん・・・・本当に・・うっく」
「ど、どうした、なぜ泣く!?」「そ、そうだじぇ、あっ、もしかして痛んだのか!?」
 お礼を言う咲の目には涙が溜まっていた、突然の涙に狼狽する衣と優希。
「ち、違うの、これはその・・京ちゃんの彼女になれたんだって実感がわいてきて、嬉しくてつい」
「ほぉ・・・安心したじぇ」「そうだな、でもそれならば今こそ笑うべきだぞ、咲よ」
 涙の理由がネガティブなものでないと分かり安心した優希と衣は、咲が笑顔になれるように二人ともにこっと微笑む。
「うん、そうだね、ありがとう・・二人とも、二人がいたから、私は京ちゃんの彼女の一人になれたんだよ、だから・・・本当にありがとう、これから、よろしくね」
「うん、改めてよしくな咲」「よろしくだじぇ」
 咲と衣と優希は京太郎の恋人同士笑顔で固い握手を交わした。

「あっ、お父さん、実は今日友達の家に泊まることになったから・・えっ、お、男の子じゃないよ、女の子の家だよ、そう・・うん大丈夫、家の人にはちゃんと挨拶するから、うんそれだけ、じゃあね・・・はぁぁぁ」
「男の子じゃないか・・良いのかな?」
 咲は受話器を置くとため息をついた、そんな咲に苦笑しながら話しかける京太郎。
「う、嘘はついてないよ、ここは衣ちゃんの家だから」
 ここは龍門渕の別邸で衣が住んでいるから衣の家、それに間違いは無くそこに京太郎がいると言うだけ、咲は一つも嘘はついていない、ただ言葉が足りないだけ。
「まあ、間違いじゃないよな・・限りなく嘘に近い気もするが」
「うっ、京ちゃんの意地悪・・・ふん」
 京太郎の意地悪な口調に、咲は拗ねてそっぽ向いて歩き出す。
「あっ、おい、待てよ、悪かったって」
 機嫌を損ねてしまった咲を謝りながら追いかける京太郎、でも幼馴染として慣れっこなのか焦った様子はない。
「知らない、だって京ちゃん本気で悪いと思ってないんだから」
「いや思っているって、なんでもするから機嫌直せよ」
「・・・本当になんでもしてくれるの?」
 疑わしい視線で京太郎に問いかける咲。
「えっ・・・ああ」
「それじゃあ・・」
 反射的にもとれる京太郎の返事を聞くと、咲は楽しそうにある手案をした。

「昨日、勝手に飛び出して、ご心配させてすみませんでした」
 部室に女子部員全員が揃って、咲が最初にしたのは昨日の謝罪だった。
「う~ん、まあ私達は良いだけど」「そうじゃ、心配するんは同じ部員として当然じゃ」
「宮永さん、その・・・もう大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫、原村さんも心配かけてごめんね」
「それなら良いのですが」
 気にかけてくる和に笑顔で大丈夫であることをアピールする咲、それを見て安心した様子の和。
「それで、あちらの方には?」
「はい、その龍門渕さんには今朝、迷惑かけたことへの謝罪と後泊めてもらったお礼を言ってきました」
「それで、どんな反応したんじゃ?」
「えっ~と『別に気にすることではありませんわ』って、龍門渕さんって凄くいい人なんですね、私もう少し怖い人かと思っていました」
 似せる気があるのかどうか分からない声真似をする咲、しかしそれを聞いた他の部員にはしっかりとそう言っている透華が思い浮かんだ。
「あの人らしいはね」「そうじゃの、少し口が悪い気もするがええ人なんは間違いないの」
「咲ちゃん、改めて復活おめでとうだじぇ」
「うん、優希ちゃんも、心配かけてごめんね、それに昨日はありがとう」
 咲の様子を見て一安心した久とまこは、話をしている咲と和と優希から離れて話をする。
「大丈夫そうで、ほっとしたわ」「そうじゃの、しかし・・・咲のやつ少し変わったか?」
 まこの言葉に久は咲をじっくりと見つめて考える。
「そうね・・・少し変わったかしらね、なんていうか色っぽくなった?」
「問題を一つ乗り越えて女のとして成長したのかのぅ?」
 咲の変化を不思議そうに見つめる久とまこ、その時京太郎が部室に入ってきた。
「ちぃーす」
「おっ、京太郎だじぇ」「こんにちは、須賀君」「あっ・・・京ちゃん」
 京太郎の姿を見た途端、咲は笑顔で頬を染める。
「あれ・・今の表情っておかしくないかの?」「そうね、まるで・・ねぇ、咲、もう一つ聴いておきたいだけど、良いかしら?」
 咲の表情に違和感を覚えたはまこと久、疑問のままにはしておけないのか久はすぐさま咲に訊ねた。
「あっ、はい、何ですか?」
(とはいえ、なにかあったのって直接的には聞きづらいわね、答えづらいでしょうし・・なら)
 下手に聴けば、折角解決した問題を掘り返すかもしれない、その可能性を危惧した久は少し回りくどい聞き方をした。
「ねぇ、須賀君と天江さんって、どう思う?」
「う~~ん、私から見るとお似合いだと思いますけど、どうしたんですか?」
 質問の意図が理解できなかったからか、今度は逆に久に訊ねる咲。
「うん、いいの、ちょっと気になっただけだから」「そうそう、気にするな」
「そうですか」
 そういわれてそれ以上聞くのも、何かと思った咲はそこで話を終わらせた。
「咲、今日はもう帰るんだろう」
「うん、何も無いと思うけど、一応家の様子見ておきたいから」
「あっ、そうだったわね・・はいこれでいいのよね?」
 机の引き出しから、落し物の鍵を見せる久。
「あっ、はい、これです、ありがとうございます」
「いいのよ、それよりも気をつけて帰るのよ」
 確認が終わると、久は鍵を咲に手渡す。
「はい、それじゃあ失礼しますね」「あっ、咲を送っていくんで、俺もこれで」
「あら、そうなの、じゃあまた明日ね二人とも」
「須賀~送り狼になったらあかんぞ」
「なりませんよ、たくぅ・・帰るぞ、咲」「うん、京ちゃん」
「また明日なぁ~京太郎、咲ちゃん」
「また明日、宮永さん、須賀君」
 他の四人に見送られて、京太郎と咲は部室を後にした。
 二人が出た後で、久とまこは和と優希には聞こえないように、小声で話をする。
「しかし、さっきの咲の笑顔」「そうじゃの・・目茶苦茶嬉しそうな笑顔じゃったの」
 まるで好きな相手が現れた様な、そんな感じを久とまこはあの時の咲の笑顔から感じていた、だが・・・。
「でも、天江さんと須賀君がお似合いって」「そうじゃな・・こりゃ優希の時みたいに、友情が深まっと考えるべきなんかな?」
 よもや衣公認で恋人が増えているなどとは夢にも思わない二人であった。

「はぁ・・・しっかし、咲と手を繋いで帰るとはな」
 帰宅の途についた、京太郎と咲は学校を出た辺りで手を繋いでいた。
「だって京ちゃん、なんでもするって・・・」
 そうこれが、咲が昨日京太郎に意地悪された事を許す交換条件に使ったお願いである、ちなみに正式な内容は咲の家まで手を繋いで帰ると言うものだ。
「どうしても嫌なら止めてもいいよ?」
 京太郎の本気で嫌がることをする気は咲にも無かったが、それでもこれを楽しみしていたのか、どこか悲しげに京太郎に問いかけた。
「あっ~そんな顔するなって、嫌じゃないけどよ、ただ・・少し恥ずかしいだけだ」
「そっか、よかった」
 嫌がってないことがわかると、咲の悲しげな表情は嬉しそうな表情に変わった。
「でも、なんで態々こんな事頼むんだ?」
「うっ・・そのね、笑うわないし馬鹿にしない?」
「ああ、笑わないし馬鹿にしない」
「本当にだよ・・」
 咲はもう一度念を押し話し始める。
「実はね、昔お姉ちゃん、こうやって手を繋いで歩いてくれたんだ・・・」
「うん」
「昔は繋いでくれる人がいたけど今は居なくて、それに今日帰ったらお父さんが帰ってくるまで一人ぼっちだし・・・それを想像したら凄く寂しく感じて、それに・・捕まえてないと京ちゃんもお姉ちゃんみたいに・・」
「どっかにいっちゃいそうか?」
「う、うん・・」
 得て失い、再び得て、再び失うかもしれないという恐怖が咲の中には渦巻いていた。
「ごめんね・・・本当はこんな事お願いしちゃいけないのに・・でも今日だけは、お願い」
 繋ぐ手に力が入る咲、でもそれはどこか弱く、まるで子供が宝物を離さない様に必死に掴んでいるようにも感じられる。
 そんな悲願する咲を見て、京太郎は呆れてため息をついた。
「はぁぁぁ、馬鹿だな咲は」
「うっ、馬鹿にしないでって言ったのに・・・ひどいよ」
「そりゃ馬鹿にするよ、恋人になったのに何遠慮しているんだ、寂しいなら手ぐらいいつでも握ってやるよ」
 京太郎は咲と繋いで手に力を入れた。
「あっ・・・」
「衣が一番だけど、咲も俺の恋人になったんだから、少しは我侭言ってもいいんだぞ」
「・・・うん!」
 京太郎の言葉を聴いて、咲は力強く頷いた。
「それに俺だけじゃなくて、優希や和、部長に染谷先輩って麻雀部の仲間も居るだろう」
「うん、そうだね・・」
「それによ、恋人仲間で友達の衣だっているんだろう、あんまり寂しいなんていっているとあいつらに怒られるぞ『ふざけるな』って」
「あっ・・そうだね」
 冗談っぽい京太郎の喋りを聞いて、咲はようやく笑顔を見せた。
「ふぅ、やっと笑ったな、やれやれだ」
 咲の笑顔を見て、京太郎も安堵した。
「うん、ごめんね気を使わせちゃって」
「いいよ別に、幼馴染で恋人だからな」
「うん・・・ねぇ、京ちゃん、ありがとう」
「別にたいしたこと言ってないぞ」
 咲にお礼を言われて少し照れくさそうな京太郎。
「今さっきの事もそうだけど、それだけじゃなくて今日までの事を振り返ってもう一度お礼が言いたいなって」
「そりゃまたどうして?」
「だって、京ちゃんが私を麻雀部に誘ってくれなかった、麻雀部のみんなや衣ちゃんにも出会えなかった、だからそのお礼、本当にありがとう」
 凄く嬉しそうに楽しそうに幸せそうに、お礼を言う咲に京太郎も茶化す気も殺がれてしまう。
「ああ、ちゃんと受け取っとくぞ」
「私・・京ちゃんの恋人になれて、改めて今改めて良かったて感じるよ・・」
「そうか・・・そりゃよかったな」
 照れくささからかこの会話を早く流そうとする京太郎。
「うん、ねぇ京ちゃん」
「なんだ?」
「私は京ちゃんの事が大大大好きだよ!」
 それは京太郎が今まで見た中で、一番可愛くて素敵な咲の笑顔だった。
      終わり




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