団体戦準決勝第1試合が終わってすぐ、俺こと須賀京太郎はいつも通り買い出しを頼まれた。
大型モニター越しに熱戦を見て、その余韻に浸っていたというのに…部長め。
まあ…明日はウチが準決勝で勝ち抜かないといけないし、断る理由なんてある訳無いんだが。
むしろ、今日の試合以上に白熱した対局をして欲しいと俺は思う。
その為に何か出来るのは、悪い事じゃない。
麻雀はまあ好きっちゃ好きだ。けど、俺は所詮ド素人でしかない。
それに俺は男。
本来であれば、皆と一緒にいるのは難しい立場だ。
下心無しに女子ばかりの麻雀部に入ったとも言えない。
「何でお前はそこにいるの?」
そう聞かれた事も、何度かある。
実際俺は、特別麻雀に思い入れがある訳でも、何かしら事情があって部にいる訳でもない。
単なる気まぐれ。
ただ、自分がやりたいようにやってるだけだ。
それを麻雀部の皆が受け入れてくれてる。
それでいい。
小難しい話など何もないんだ。だから俺は、
「あそこにいるのが楽しいから」
と、笑って答えるのだ。
pipipipipipipi....
「…もしもし?」
『なるべく早く帰ってきてね?』
「分かってますよ、部長」
『後…今日は何だか眠れそうにないから、愚痴とかで良いなら後で話を聞いて欲しいな』
「こっちは構いませんよ。準決勝の前ですし、他の面子には中々言える事じゃないでしょうから」
『そう…助かるわ。場所はそっちの部屋でいいかしら?』
「大丈夫なんですか?」
『他の誰にも見られない場所がいいの…だからどうか、私を安心させて』
「…仕方のない人ですね」
最終更新:2013年10月14日 15:29