―――世の中には『こういうこと』をする人がいるということを、ニュースなんかでは知っていた

「ゃ……ぃゃ」

―――でも、まさかそれが自分に降りかかるなんて思ってもいなかった

「やめ、やめてくださ……」

―――抵抗しようとしたけど、怖くて声が出ない

「触らないで……いやぁ……」

―――お尻を触っていた手がスカートの中に伸びてくる

「ひっ、や、やだ……」

―――こんな嫌悪感も、自分がこんなにも弱いなんてことも、知りたくなかった

「おい!」

―――でも

「あんた、そんなことして恥ずかしくねーのかよ!」

―――世の中には『そういうこと』から助けてくれる、王子様がいるってことも知った


マホ「はぁー…………、ふぅー…………」

和「一体どうしたんですか?さっきからため息ばかりついて」

ムロ「和先輩、ええっと……実は」

マホ「和先輩!マホ、王子様にあったんです!」

和「はい?」

ムロ「その、電車でこっちに向かう途中に、マホが痴漢に遭いまして」

優希「じぇ!ち、痴漢!?」

咲「だだだ、大丈夫だったの!?マホちゃん!」

マホ「はい、触られはしましたし怖かったですけど、その人も捕まりましたし」

ムロ「で、その時助けてくれた人が……」

和「マホの言う王子様、というわけですね」

まこ「ほー、今時感心な若者じゃのう」

久「あなたも十分若いでしょうに……」

ムロ「その後も怯えて泣いてたマホにハンカチ渡してずっと慰めてくれまして」

久「あー、それは確かに王子様だわ、落ちない子いないでしょ」

和「で、ため息をついてるってことは……」

マホ「名前とか連絡先を聞こうとしたんですけど、『名乗るほどの者じゃないから』って走って行っちゃったんです」

まこ「それはそれは……」

和「残念、としか言いようがありませんね」

マホ「そうなんです…………はぁー……」


咲「それにしても京ちゃん遅いね」

まこ「そうじゃのう、忘れ物を届けてもらう身としてはアレじゃが、ちと遅いのう」

和「合宿所からここまでバス一本ですしね」

久「あー、それなんだけど、来たついでに買い出し頼んじゃって……」

優希「私もタコス頼んじゃったじぇ」

和「ゆーき……」

咲「部長はなんで他校の御用聞きなんてしてるのかなって思ったら……」

まこ「おんしら……」

久・優希「「テヘペロ☆」」

マホ「? 誰か来るんですか?」

久「えーっとね、忘れ物を届けにウチの男子部員が来てくれるのよ」

ムロ「男子もいたんですね」

久「ええ、一人だけね、須賀君っていうんだけど」

久「多分そろそろ……っと、噂をすれば、ちょっと迎えに行ってくるわね」タタタ

まこ「ちゃんとあやまるんじゃぞー!」 ワカッテルー!

マホ「須賀先輩かぁ……どんな人なんですか?」

咲「京ちゃんは誰にでも優しくて」

優希「結構かっこよくて」

和「何にでも一生懸命な人です!」

ムロ「ずいぶんと高評価なんですね」

まこ「まぁこの三人はいわゆる……のう」

ムロ「ああ、なるほど」

マホ「なんだか大人な関係です!でも、絶対マホの王子様の方がかっこいいです!」

優希「そんなことないじぇ!京太郎はなー……」


久「皆お待たせー!」

京太郎「どうも、遅くなりました」

ムロ「あっ」

マホ「!!」

まこ「留守番してもらってる上に、使いっ走りまでさせて悪かったのう」

京太郎「いえいえ、いい気分転換になりまし…うわっと!」ガシッ

マホ「……」ギュー

京太郎「あれ?君はさっきの……」

咲「え?え?」

優希「じぇじぇ!?」

和「SOA」

久「あらあらこれは……」ニヤニヤ

マホ「……須賀先輩」

京太郎「あれっ名前……まあいっか、何?」

マホ「マホは優希先輩みたいにすごく明るいわけでもないし、和先輩みたいに可愛いわけでもないです」

マホ「宮永先輩みたいに麻雀も強くないです」

マホ「憧れの人達は皆魅力的です……でも、それでも……」

マホ「マホは負けませんから!」

マホ「だから待っててくださいね!王子様!」


カンッ!(ちなみに京ちゃんは何のことか分かってません)