玄「あーあ、みちゃった。京太郎君もお姉ちゃんも馬鹿だなー、こんなところでやってたらいつか見つかるに決まってるじゃん」

玄の目には京太郎の泊まっている部屋で情事に耽る2人の姿が映っていた。

玄「さて、これはちょっと『お話』が必要かな?」

携帯で写真だけ撮ってあっさり引き下がる玄、2人はその姿に気付かずに情事を続けていた…


夜、京太郎の部屋に向かう玄。

『お話』をしに来たのであろうその手には刃物がキラリと光る。

コンコン

京太郎「はーい?どうしたんだ玄」

玄「ちょっと話をしたくて来たの。部屋に入れてもらってもいい?」

京太郎「おう」



京太郎「で、話ってなんだ?」

情事のときとは程遠い、のんきにお茶を煎れる京太郎の姿を玄が見つめる。

京太郎「どうしたんだ?こっちを見て」

玄「ねえ、京太郎君。私、見ちゃったのです」

京太郎「見たってなにを?幽霊でも見て怖くなってきたのか?」

笑いながら答える京太郎は、玄の手にある包丁にも気付いていない。ただ、様子がおかしいことだけはわかった。

玄「ううん、違うの。お昼のこと、私見ちゃったの」

京太郎「…お昼って、なんのことだ?」

玄「ごまかしてもだめだよ京太郎君。証拠もあるんだよ?」

携帯を操作して2人が睦みあっている画像を見せる。京太郎は呆然として動けなかった。

京太郎「……」

玄「それにね、私知ってたんだ。私と付き合う前からこういうことしてるんでしょ?」

京太郎「ごめん、本当にごめん」

玄「謝らなくていいの。お姉ちゃんのことも大事に思ってたんでしょ?まさか遊びでこんなことやってたわけじゃないよね?」

京太郎「遊びじゃない!ただ、好きなのは玄だけなんだ…」

玄「それもわかってる。遊びって言ったらコレで京太郎君のこと刺しちゃってたかも」

玄がクスクスと笑いながら手に持った包丁を見せる。京太郎はまたしても動けなくなってしまった。

玄「お姉ちゃんとも『お話』したいから、ちょっとまっててね?すぐ戻ってくるから」


十分ほどたったころ、玄が宥をつれて戻ってきた。宥はいつも通りの厚着をしているのに、顔が真っ青だ。

玄「お姉ちゃんも京太郎君もそんなに怯えないでよ。こんなもの持ってきた私も悪いけど」

包丁をぶらぶらさせながら言われても怖いだけだ…と京太郎は思ったが、口には出せない。

これから被告人2人と裁判官1人の裁判が始まるのだ。裁判官の心象を悪くしてもいいことはない。

玄「さて、京太郎君に言うことはそんなにはないよ。京太郎君は私のこと大事にしてそういうことをしなかったのだってわかってる。それにどうせお姉ちゃんが誘ったんでしょ?」

その通りなのだが、女の子のせいにして自分だけ許しを得るなんてことは京太郎にはできない。なので肯定も否定もしなかった。

宥「そ、そうだよ玄ちゃん。だから京太郎君を責めないであげて」

玄「私は最初から責めてるつもりはないんだけどなぁ…京太郎君には言ったけど、私と京太郎君が付き合う前からそういう関係だったのは知ってるしね」

宥「えっ!?」

玄「だから私はお姉ちゃんも責めるつもりは無いよ。関係に割り込んだのは私だから」

結局玄がなにを言いたいのかわからなくなってきた京太郎と宥は沈黙。玄が話を続ける。

玄「でも、これがお姉ちゃんじゃなかったら相手を刺してたかもね」

ケラケラと笑いながらそんなことをいう玄。京太郎と宥は青ざめた顔で下を向く。

玄「私はお姉ちゃんが大好き。だからお姉ちゃんに提案です!京太郎君を2人で分け合いましょう!」

京宥「「は?(えっ?)」」

玄「しょうがないよ、お姉ちゃんだもん。おもちも私より大きいし、京太郎君はおもち大好きだからね」

そういうことではないんじゃないか…?と思いつつ口には出せない京太郎

玄「それに私はお姉ちゃんのことも大好きなのです!だから、二人で分け合いましょう!」


玄「でもね、京太郎君は長野に住んでて、1ヶ月に1回くらいしかこれない。こんな状況じゃ分け合うもなにもないよね?
  だから、京太郎君は今日から松実館の住民になってもらいます。異議は認めません」

刃物をちらつかせながらそんなことを言われては何も言えない。が、これだけは言った。

京太郎「そんなこといったって学校とか親とかどうするんだよ…」

玄「そこはおねーさんにおまかせあれ!両親の許可は取ってあるのです!あとで確認してね。学校は通わなくていいよ?私達が養ってあげるのです。一生、ね」

ここまで言い切るということは本当に許可を出したんだろう、あの馬鹿両親…最後にさらりと重い言葉が聞こえたが気のせいだと思いたい。

京太郎はなにを言っても無駄そう(なによりさっきからちらちら光る包丁が怖い)なので黙ってうなずいた。

宥は展開についていけずにおろおろしてる。

玄「じゃあ、契約の証として、手だして?」

黙って左手を出すとガチャという音ともに手錠が嵌められた。もう片方は玄の右手首に繋がっている。

玄「お姉ちゃんも出して?」

宥はよくわかってないがとりあえず差し出す、やはり手錠が嵌められた。もう片方は京太郎の右手に繋がっている。

玄「これで契約完了だね!これから3人は一生一緒だよ。ちなみに鍵は私しか持たないから、私が学校やお仕事で離れるとき、手錠は部屋のどこかに括りつけておくね。京太郎君はもうお外に出さないよ」

京太郎「嘘だろ!?これからどう生活すればいいんだよ!」

玄「だから私達がお世話するって、食事もトイレも睡眠も、京太郎君の命も、私が管理してあげるから安心してね」



数ヶ月後、松実館の一室には手錠で繋がれた3人が暮らしているらしい、という噂が流れた。

玄「ね、京太郎君、お姉ちゃん、私たち幸せだね」