981 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 15:14:29 ID:rxBBtnxL

京太郎の手牌
1178899m789s789p ツモ7m

京太郎、親っパネのツモ。
だが、京太郎は牌を倒すことなく、チラリと一の方を一瞥すると、9sを切り飛ばした。

(なっ……なぜ和了らない!?)

純には京太郎の行動が全く理解できなかった。
いや、純のみならず誰一人としてここで和了らないのは理解できないだろう。
だが京太郎だけは、9s切りの先の未来が見えていた。
仲間を引き換えにして手に入れた、圧倒的な力によって。



一の手牌
333666m899s555p中

(鳴かなくても残るツモは1回だけ、張ったところで和了り牌が出る保障もない、なら……)
「ポン!」

9sを鳴いて8sを切り、中単騎待ちでのテンパイに受ける。
この時、一は流局直前ながらついに一向聴地獄……衣の支配から脱出できたと思った。
だが、その認識はすぐに改めさせられることとなる。
再び番が回ってきた京太郎は、すぐにツモった牌を横にして宣言した。



「リーチ」


982 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 15:15:57 ID:rxBBtnxL
衣と何度も打ってきたその場の者達は、すぐに気がついた。
今の一の鳴きにより、透華がツモるはずだった海底牌をツモるのは京太郎になった。

そして、一と透華は同時に悟った。
この局、自分は衣の力によって海へと引きずりこまれたと思っていた。
それが本当は、誰の力によるものだったのかということを。

衣の能力は一向聴地獄と海底ツモ。
そのうち前者が京太郎により成し遂げられたならば。

「……魔物……」

衣が呆然としながら呟く。
咲との戦いは楽しかった。不思議な力を持った、面白い打ち手だった。
だが、この須賀京太郎という男は違う。戦っていて楽しいなどとは微塵も感じない。ただその圧倒的な力に蹂躙されるばかり。
海底牌へ向かって伸びる京太郎の手は、まるで自分の心臓を鷲掴みしに来るかのように衣は感じた。

「ツモ。リーチ一発海底ツモ、純全三色平和イーペーコー……裏々。
 数え役満、16000オール。逆転だ」



        衣:41000
一:-3500         透:-4200
        京:66700



一時期7万点以上あった衣のリードは、南3での河底撈魚ドラ8の倍満直撃。
そしてオーラスでの数え役満ツモで、一瞬で吹っ飛んだ。

須賀京太郎VS天江衣、死闘の幕は下りた。


983 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/04(金) 15:16:47 ID:rxBBtnxL
「ククク……」

帰り道、自然と笑いがこぼれる。
以前の京太郎なら逆立ちしても歯が立たなかったであろう龍門渕のメンバーが、今は自分の足元にも及ばない。
最後の数え役満を和了った時、皆が世界の終焉を見るような目で京太郎を見ていた。
県内最強の打ち手、天江衣のあの恐怖で染まった表情を見て、たまらない優越感に浸れた。

「全ては……こいつのおかげだな」

上着のポケットの中、空になったツヨナールの瓶がカラカラと音を立てる。
これがある限り、自分は負けることはない。部長や和にも、二度と見下されることはない。
もっとも、もう麻雀部の面々とは会話することもなくなった。顔を合わせても話かけてすらこない。
そう、ただ一人を除いて。

いつからそこにいたのだろうか。
京太郎の背後から、声がかかった。

「やっぱり、ここに来てたんだね…………京ちゃん」

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