―早朝…

京太郎「んー…!」ノビー

京太郎「今日はいい天気だなぁ…お客さんもたくさん来そうだし…頑張るか!」フンス

玄「ふふふ、そんなに気合入れてると途中で潰れちゃうよ?」クスクス

京太郎「あれ、おはよう…ございます。玄…さん」

玄「あ、またさん付け」メッ

京太郎「いやーそう簡単に抜けるもんでもないです…ないよ」ポリポリ

玄「もー。私の旦那さんで館長さんなんだから、しっかりしないと!」プンプン

京太郎「そんなこと言われても…むしろ敬語がうまいってことでいいんじゃないっすか?

お客様とか板前さんにだって敬語なんですし」

玄「それとこれとは別なのです!」ンガー!

京太郎「わけがわからないよ」

玄「…まあそれはおいときまして、今日は力入ってるね?何かあったの?」

京太郎「普段通りではあるんですけどね。やっぱりいい天気だと気合も入る気がしまして…」

玄「ふふ、ちょっとわかるかも…京太郎くんが館長さんになってから若干売上も伸びてきたしそろそろ大繁栄かな?」クスクス

京太郎「そんなプレッシャーかけないでくださいよ…」

玄「ごめんごめん…でも京太郎くんがここに来てから確かに少しずつだけど伸びてるんだもん。ちょっと期待しちゃうよ」

京太郎「俺も経営は大学で一応しっかりと学んできましたから…役に立ってて嬉しい限りですよ」

玄「…ねぇ京太郎くん、本当に良かったの?」

京太郎「何がです?」

玄「京太郎くんなら何にでもなれたでしょ?高校の時だってずっと真面目に勉強してたんだし。それがいきなり路線変更で大学は経営学の方にいって…

そのあとわざわざこんな寂れた旅館に来なくても…さ」

京太郎「…憧れだったんですよ」

玄「え?」
 


京太郎「俺、玄さんが憧れだったんです。どんなに辛くてもずっと笑顔で前を向いて…

そんな人をとなりで支えたいって。そう思うようになったんです」

玄「京太郎くん…」

京太郎「だから、わざわざとかないですよ。俺は俺の意思で玄さんと結婚してこの旅館を継いだんです」

玄「うー…」グスッ

京太郎「あーもう泣かないで…これから営業なんですよ?」ゴシゴシ

玄「あうう…ありがと」

京太郎「いえいえ。ほら、行きましょう?」スッ

玄「…うん!」ギュッ



―――せーの…



「「松美館へ、ようこそ!」」

カンッ