京太郎「どうだ優希、新しいタコスの味は?」
優希「うむ!なかなかのなかなかだな!」
京太郎「そりゃよかった。今日は色々作ってきたから、どんどん食べてくれ」
優希「言われるまでもないじぇ!」
優希「…うっぷ」
京太郎「大丈夫か?」
優希「た、多分大丈夫だじぇ…けほっ」
京太郎「…胃薬買ってくるよ」
優希「きょ、京太郎…ごめんね」
京太郎「お互い様だし気にすんな。タコスを作りすぎたのは俺なんだし」
優希「う…うん」
京太郎「それじゃあ、ちょっくら行って来るわ」
優希「気をつけてね」
京太郎「さて…胃薬もそうだが、この余ったタコスはどうしたらいいんだろうか」
京太郎「俺一人じゃ全部は食べきれないし…」
それから、京太郎が胃薬を買って控え室に戻る途中のこと。
「お腹空いた…ダルい」
いかにも気だるそうな雰囲気をした女の子が、道のど真ん中に寝転がっていた。
京太郎「…あんな所で一体何やってたんですか?」
白望「お腹空いて動くのがダルかったから、つい」
京太郎「不審者と間違えられても知りませんよ、俺は」
白望「何と言われようと、ダルいものはダルいから仕方ない…ん?」
京太郎「どうしました?」
白望「君の持ってるその小袋から、何だか良い匂いがする」
京太郎「ああ、コレですか。ウチの先鋒に用意したタコスですよ」
白望「…良かったらそれ、食べさせて貰えないかな?」
京太郎「どうぞどうぞ。作りすぎて持て余していた所ですから…どうぞ」
白望「では遠慮無く…いただきます」
京太郎「…味はどうですか?」
白望「…」
京太郎「…小瀬川さん?」
白望「…もう一個、頂戴」
京太郎「…喜んで!」
白望(本当に嬉しそうだなこの子…まあいいか、タコス美味しいし)
京太郎(凄い勢いで食べるなこの人…ひょっとしたら優希より良い食べっぷりじゃないか?)
白望「…ごちそうさま」
京太郎「美味しく食べてもらえたようで何より」
白望「実際美味しいのだから当然」
京太郎「そう言って貰えると、雑用冥利に尽きます」
白望「…一応、マネジャーではなく部員の扱いなんだよね?」
京太郎「一応その通りなんですけど…現状ではそう言えやしませんよ」
白望「…そう」
京太郎「それより、もうダルさは無くなりましたか?」
白望「…お陰様で」
京太郎「それはよかった。じゃあ俺、そろそろお暇しますね」
白望「…また」
京太郎「?」
白望「また…機会があったら、タコスを食べさせて貰ってもいいかな?」
京太郎「勿論ですよ!」
白望「清澄が決勝に行ける様、私…応援してるから」
京太郎「…ただいま、優希」
優希「…」
京太郎「…遅くなってすまん。水と胃薬ならちゃんと買ってきたし、ほら…」
優希「…そんな事で怒ってるんじゃないんだじぇ」
京太郎「え、何だよそれ?」
優希「…宮守の小瀬川さんに、私が食べるはずのタコスをあげてたでしょ?」
京太郎「な、何でお前がそれを」
優希「…見てた」
京太郎「見てたってお前」
優希「だって帰り遅かったし…心配になって様子を見に行ったらアレだもん」
京太郎「…どうにもほっとけなくてな」
優希「小瀬川さんがタコス食べてるのを見てた京太郎、すっごく嬉しそうだったじぇ」
京太郎「生憎それは、誰であっても同じだし」
優希「でも私の前じゃ、そんな様子一度も見せたことなかったじぇ」
京太郎「…照れ隠し」
優希「え?」
京太郎「お前とは気兼ねなく接していたいからそうしたんだよ…言わせんな恥ずかしい」
優希「…京太郎」
京太郎「だからさ、あんまりこの件には拘るな」
優希「ごめん、多分無理」
京太郎「何でだよ?」
優希「…何でかははっきりしないけど、大事なものを盗られたようで嫌になるから」
最終更新:2013年09月01日 16:45