長野4校合同合宿中という設定で



未春「…」じーっ

朝―。私、吉留未春はふすまの陰から合宿所の調理場を覗いている。

お腹がすいて待ちきれないわけではない。わざわざ早起きしてここに来た理由は…

京太郎「そろそろ出来たかな…」

未春(見つからないように…)

私が密かに想う須賀京太郎君を見るためである。ただそれだけ。

未春(良い匂い…今日のごはんも美味しそうだなぁ)

京太郎(よしっ、こいつを盛り付けて、完成だ)

声をかけることはしない。こうして見てるだけで満足だ。


ドタドタッ

未春(もうみんな起きてきたのかな?そろそろ帰らないと…)

京太郎「あれ?吉留さん?」

未春「きゃああ!?」

京太郎「うおっ!?すみません!」

未春(すすす須賀君!?見つかっちゃった!)

京太郎「どうしたんですか?」

未春「えと、その、朝ご飯、出来たんだよにぇ!華菜ちゃんたち呼んじぇくる!」ダダッ

京太郎「え?は、はい!」

未春(見つかった上に噛んだぁ!最悪!)

ガラッ ドンッ

顔を真っ赤にして逃げ出した私は、前方不注意でふすまを開けた途端誰かにぶつかってしまった。

華菜「あたっ。あれ、みはるん?もう起きてたし?」

未春「か、華菜ちゃん…」

美穂子「おはよう、吉留さん」

未春「キャプテン。おはようございます…」

華菜「おー、須賀、おはよう!朝ご飯出来たし?」

京太郎「おはようございまーす。もう出来てるっすよ」

美穂子「おはよう。いつもありがとう、須賀君」

京太郎「いえいえ!あなt…皆さんのためなら軽いもんですよ!」

華菜「食べていいし?」

京太郎「わーっ!もうちょっと待っててくださいよ!」


未春「……」

華菜ちゃんとキャプテンが須賀君と楽しく話してる様子を、私はちょっと離れて見てるしかなかった。

あんな状況でも少し須賀君と話せた…それだけで喜んでた自分が空しくなってきた。

私は華菜ちゃんみたいに人懐こくないし、明るくない。キャプテンのような可憐さも無ければ、男を魅了するスタイルもない。

これじゃ、勝てっこない。

未春(せめて胸さえもう少しあれば…)ムニムニ

京太郎「吉留さんっ」

未春「はいぃ!?」

京太郎「おぉ!?あ、また驚かせてすんません」

未春「な、何?」

京太郎「朝ご飯出来てますから、どうぞ」

未春「あ…う、うん!」

放っておけばいいのに、わざわざ呼びに来てくれた。それだけで、嬉しい。

いつの間にか人が揃い始めてる食卓に急ぎ足で向かう。

未春「…ありがとう…」ポソッ

口元で囁いた小さな「ありがとう」。今度は目を合わせて、大きな声で言えたらいいな。