京太郎「今日はハオ一人だけなんだな。皆は出かけてるのか?」ハオ「ネリーと明華さんは駄菓子屋へ行きましたよ。三年生は監督と打ち合わせです」-----駄菓子屋のおばちゃん「全部で三百万円だよ」ネリー「内臓を売るしか!?」明華「おやおやぁ」-----京太郎「そっか。なんか新鮮だな、ハオと二人きりって」ハオ「たしかにそうですね。言われてみれば」京太郎「普段はネリーや明華さんにからかわれてばかりだからな、俺」ハオ「ふふ。モテモテですからね、京太郎は」京太郎「よしてくれよ。二人とも面白がってるだけだって」ハオ「どうでしょう」京太郎「きっとそうだよ。その点ハオは話しやすくて助かるぜ」ハオ「へ」京太郎「別に、だからネリーや明華さんがダメってわけじゃないんだけどな」ハオ「そっか、そっかそっかそっか。話しやすいか。そうなんだ」京太郎「…………」ハオ「えへへ」京太郎「ハオ?」ハオ「ふきゅ!? ななななな、なんですか京太郎!」京太郎「いや、なんかボーっとしてたから。体調でも悪いのか?」ハオ「いえいえ! いたって健康優良児です! 健やかふくよか!」京太郎「でもなんか顔が赤いし」ハオ「私、トマトがとっても大好きなんです!」京太郎「それならいいけどさ。体調が悪かったらちゃんと言ってくれよな」ハオ「きょ、京太郎は」京太郎「うん?」ハオ「京太郎は、私の体調が悪いと心配ですか?」京太郎「部員のコンディションを管理するのもマネージャーの仕事だからな」ハオ「それだけ、なんだ」京太郎「え?」ハオ「マネージャーじゃなかったら、心配してくれませんか」京太郎「ハオ」ハオ「なんでもありません。忘れてください」京太郎「…………」ハオ「…………」京太郎「それでも心配だよ。決まってるじゃないか」ハオ「…………」京太郎「…………」ハオ「そう。ですか」京太郎「うん」ハオ「…………」京太郎「ハオ」ハオ「…………」京太郎「さっきよりも顔が赤いけど、本当に大丈夫なんだよな?」ハオ「だ、大丈夫れす!」京太郎「でもやっぱり心配だよ」ハオ「問題ありません! 中国には四千年の歴史がありますから!」京太郎「それならいいけどさ。少しでも辛かったら俺に頼ってくれよ」ハオ「え?」京太郎「大したことはできないけど、医務室まで背負ってやるくらいは」ハオ「つ、辛いです! 私いま体温何度あるんでしょうか! はは!」京太郎「やっぱり強がってたんだな。真っ直ぐ歩けそうか?」ハオ「京太郎が三人に見えます!」京太郎「医務室まで運ぶよ」ハオ(京太郎の背中! 京太郎の首筋!)京太郎「気をしっかり持てよ。すぐに連れて行くからな」ハオ(えへ、へへへ。えへ。くんかくんか)京太郎(呼吸が荒いし、鼓動もなんだか激しいみたいだ。無理してたんだな、ハオ)
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