【吸血鬼・咲】
咲「京ちゃん…ごめんね」
そう言って咲は俺の首筋に貪りついた。文学少女に似つかわしくない鋭利は牙で皮膚を破き、その下を流れる血液を啜るのは何時も変わらない。そして俺自身に降り懸かる痛みも同様だった。フィクションじゃこの世のものとは思えない快楽を与えてくれるそうだが、現実はそう甘くはない。吸血鬼が存在してんだから…と高を括っていた昔の俺に注意してやりたいくらいだぜ。
咲「…ちゅ……んくっ、んくっ……」
まるで炎天下にジュースを飲むように。気持ちいいくらいに喉を鳴らして嚥下する咲はどこか艶めかしい。子供っぽくもあり大人の色香をも醸し出すのは些か反則じゃないか?って聞いちゃいないな。痛みに耐えること体感で10分。そろそろ意識を保つのが難しくなってきた。目が霞み、途方もない脱力感と倦怠感が俺の身体を蝕んでいく。
咲「んくっ……ちゅる、はむぅ……」
それでも咲は止めない。俺の全てを搾り出したいのかは知らないが、吸う力をより強めてより唇を密着させた。振り払おうにも力が入らない。声が出せない。何度も経験していることとは言えど、この恐怖は簡単に振り払えそうにはないか…。背中に両手を回され、しかも両足を腰に回されて全身でホールドされているこの状況に不思議と笑いが込み上げてくる。
咲「……ちゅぅ……ぷはぁっ……お腹いっぱい♪」
カンッ!
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