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 目隠しにボールギャグ。  後ろ手で縄に縛られ裸一貫。 「ふむ、やっぱり中々良い精気を持ってるわね」 「そうなのですよー」 「今時珍しい男子で異能持ち……」 「本人にはまだ自覚がないみたいですが、訓練次第で十分ものになりそうですね」  聞こえてくる声は年若い女性のもの。しかし、話している内容が京太郎には分からない。  ここが何処なのか、自分の身に何が起きたのか、記憶を探っても手掛かりの一つ出てこない。 「須賀京太郎」  名前を呼ばれ、ビクリと反応する。 「喜びなさい。あなたは姫様が房中術を学ぶ相手、御伽の方へと選ばれました」 「死なないように気を張らないとだめですからねー、精を漏らさないようにしないと明日の朝には木乃伊の出来上がりなのですよー」 「射精の意味じゃない、精気、生命力みたいなもの……つまり、気」 「須賀さんは類い稀な量の精を持っているので多分大丈夫ですから、姫様をよろしくお願いしますね」  少女たちの言葉が何を意味するのか理解が追い付かない。京太郎の意思など無視して事態は進行する。  周りから人の気配が消えた。  音一つない静寂の間。  心臓の音、呼吸の音、生きている証の音色が内側より響く。  匂いがした。  何処か甘い、痺れ溶かすような、酸いた香りがする。真っ暗な視界、不自由な体、誰かが目の前にいる。 「戴きます」  その言葉と供にナニか大切なモノが抜けていく。喪失の中、この世のものとは思えない法悦に京太郎の口からは涎が垂れ流れる。  言葉にならない喘ぎの声。  脈動し飛び出す体液。  甘酸っぱい香りに包まれ、押し倒され、誰かが上に乗った。重いと感じるよりも軽いと感じてしまう。  しっとり重なり合う肌。  一つとなり交じり合う。  もたらされる快楽と失っていく恐怖。生命の危機に萎えることなく、故に解放されることはなく、彼は喰われていく。  霧島の地に男児は入ってはならぬ。  霧島の地に神秘の女仙が住むと言う。  人の姿をした人ならざる者。  見目麗しきは怪異の常なり。  陰気が陽気を求むるは自然の理なり。  命が惜しくば彼の地に踏み入ってはならぬ。 「あっ、あっ、あっ、あっーー……」 「ふふ、御馳走様でした。気に入りましたので明日も戴きにまいりますね」 カンッ!

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