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「――あれ」
「? 鷺森先輩、どうしたんです?」
「京太郎――……縮んだ?」
「え゛っっ」
ひとつ年下の後輩は、とても背が高い。
反対に背の低い私は、かなり見上げないと顔もあまり見れないくらい。
だから、彼と会話するときはとにかく首が疲れるのだけど。
「べ、別に縮んでないっすけど……なんで急にそんな」
「だって、さいきん首、疲れな……」
「はい?」
そう、最近は何故か目線が良く合う。頭を上げなくても京太郎の顔を見ることができるのだ。
「会話しやすく、なったから」
「ああ……そりゃ単に、鷺森先輩と話すときはなるべく座ったり屈んだりするようにしただけっすよ」
「それは……私が疲れるから?」
「先輩、いつもキツそうなんでつい……どーしても身長差ありますからね、俺ら」
要は京太郎の気遣いらしい。
それは嬉しい、嬉しいのだけど。
(……私の方が、先輩なのに……気、遣わせて……)
座る椅子があるときはともかく、今みたいに中腰の姿勢を維持し続けるのは辛いだろう。
仮にも先輩として、後輩に不必要に辛い思いをさせるわけにはいかない。
(でも、身長差はどうしようもな……どうすれば……)
「……あ」
突然、ぴんと閃いた。
「京太郎、抱っこして」
「…………………はい???」
「だから、抱っこ。話したいときだけでいいから」
「え、いや、あの、せんぱ」
「たぶん、長時間じゃなければ今の姿勢より楽なはず……、?」
私的には最善でなくとも悪くない案だと思ったのだが、何故か京太郎は何やら尋常でない量の汗をかいて、えらく慌てた様子だった。
「……京太郎? ごめん、イヤ……?」
「や、あの、イヤっていうか、先輩は平気なんですか……!?」
「? 平気って」
「だって、つまり、俺が鷺森先輩をこう、抱っこするって……」
「そうだけど……」
高さが近くなった分、真っ赤に染まった京太郎の顔をよく見ることができた。
そういえば、身長差のせいであまりちゃんと顔を見たことがなかったけれど。
(……京太郎って、すごく、綺麗な顔してる)
(抱っこされたら――もっと近く――……)
瞬間、ぼっと顔が熱くなるのを感じた。
――……あれ、もしかして私、ものすごく恥ずかしいことを言ってしまったんだろうか。
「「……………」」
「…………ごめん……」
「い、いや、先輩が悪いわけじゃ……すいません……」
この後しばらくお互い妙に意識してしまって、周り(主にハルちゃんとか玄とか憧とか)にあれこれ疑われたりからかわれたりするのはまた別のおはなし。
カン!