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京太郎「はー、さむ……冬休みもそろそろ終わりか……あれ、あっちから来るのって」
久「あら? 須賀君じゃない、おひさー」
京太郎「お久しぶりです、今日はどうしたんすか? 受験勉強サボるのはマズいんじゃ」
久「やあねえ、サボってるわけじゃないわよ。ちょっと新年らしく神様にお願いに行こうかと思うのよねー。それに気分転換にもなるし」
京太郎「ってことは初詣ですか。でももう三が日過ぎてますけど」
久「だからいーの、丁度人も少なくなってるでしょ。人混みに巻き込まれたら余計にストレス溜まっちゃうじゃない」
京太郎「あー、分かります。俺も咲達と行ったんですけど、大晦日の夜だから凄い人で……ぶっちゃけ楽しかったけど疲れたっていうか」
久「でしょ? それに今なら露店もないし、余分な出費と脂肪を抑えられちゃうわけ。一石二鳥よねー」
京太郎「ははは、そういや優希のやつもタコス屋台で買いまくってましたよ。俺も結構使っちゃって」
久「そーゆーことよ。ただ、このプランには穴があるのよねー」
京太郎「穴っすか?」
久「そ。人垣ってそれだけで風除けになってあったかいでしょ? しかも昨日から気温も下がってるみたいで……ほら、私の手、冷たいのよね。触ってみなさいよ」
京太郎「はあ……うわっ! 滅茶苦茶冷たいじゃないですか!」
久「忘れちゃったのよ、ホッカイロ。あーあ、18の乙女が新年から身も心も寒くして独り参拝なんて、考えただけで悲しくなるわ」
京太郎「いやいや、部長ならそれでも絵になりますよ。やっぱ部長って美人ですし」
久「ふーん……わりと須賀君って軽いわよねえ」
京太郎「え、あ、いやー……」
久「んー……そうねえ、さっきから握ってるからよくわかるけど、須賀君って手は結構温かいのよね」
京太郎「は? はあ、まあ体温は高めかもしんないっすね」
久「なるほどね。じゃあ一つ提案なんだけど、実は念のためにお金は持ってきてて、懐はあったかいのよ」
京太郎「ならそれでコンビニでカイロでも――」
久「五円玉出してあげるから一緒に来てちょうだいな。なんと今なら五枚あげるわよ!」
京太郎「やっす! 駄菓子くらいしか買えないんですけど!?」
久「あらご不満? じゃあ、そうねえ……」
京太郎「いやいや、だって今の気温なら肉まんとか美味いっすよ。俺としてはそういうの奢って貰えると後輩冥利に尽きるかなーって」
久「五円玉五枚で一緒に初詣か、二百円で肉まん食べてそのままお別れか。須賀君はどっちがいいかしら?」
京太郎「二十五円でお願いします!」
久「OK、交渉成立ね! じゃあ行くわよ須賀君、まずは私の手から存分にあっためなさい!」
京太郎「うっす! つかつめた、ちょっ、首筋さわんな!」
久「あら生意気。先輩にその口の利き方はどうなのかしらねー」
京太郎「あとさっきから俺の事完全に風除けにしてますよね?」
久「ふふ、嫌なら嫌と言いなさい。どーなのかしら?」
京太郎「……早いとこ行きません? 帰りに喫茶店とかどうっすか」
久「そうねえ、定番だけど良しとしましょうか。あ、そっちは奢らないわよ」
京太郎「はいはい……手袋、しないんですか」
久「して繋ぐなら左手、しないで繋ぐなら右手。どっちを取るかは須賀君に任せるわ」
京太郎「まーた下らない事を。じゃ、こっちで」
久「はいはい。じゃ、行きましょ」
京太郎「あー寒い……部長、指柔らかくなりましたね」
久「牌を掴むことが少なくなったからかしら。でも代わりにペンだこよ。シャーペンが当たる所がね」
京太郎「あ、マジだ」
久「でしょ? あと須賀君、ちょっと屈みなさい」
京太郎「はあ。これでいいですか?」
久「ん……お年玉あげるから、目を瞑るように……」
カン