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咲「京ちゃん…今日も、ね?」 そう言って咲は妖しく微笑んで―― 唇を重ねた。 咲と京太郎は付き合ってはいない。しかし、普通の友人関係とは言えないだろう。 いつからだっただろうか。咲とこんな関係になったのは。 キスをしながら京太郎はそんなことを考えていた。 最初のきっかけは些細な会話からだった。 恋愛小説を読み恋人ができたときの練習だと言っている咲をからかう。 キスはやっぱり失敗したくないという咲に対して冗談のつもりで言ったのだった。 京太郎「俺が練習相手になってやろうか?」 いつもの軽口のつもり。 普段なら咲が呆れてこの話は終わるはず。 しかしその日は違った。 咲「――それほんと?」 そう言った咲の目には少女らしからぬ妖しい光が薄っすら浮かんでいた。 目の前の少女のいつもの弱気な空気とは違う、どこか妖艶な空気に彼は気圧される。 しかし京太郎はここで引けば幼馴染の少女に馬鹿にされるのではという思いから軽口を続けてしまった。 京太郎「ああ、ほんとだよ」 今思えばこの一言が二人の関係を普通の道から外した分岐点だったのかもしれない。 この時に素直に引いていれば、いつものように笑いあえたのだろうか。 しかしもう過ぎ去ったことを考えても仕方がないのだ。 それ以来、咲はことあるごとにキスを求めて来るようになった。 人目のつかない校舎裏、帰り道の路地裏、遊びに行った咲や京太郎の家。様々な場所で口づけをした。 京太郎は一度だけおかしいからこんな関係は止めようと言ったことがある。 しかし、咲は薄く笑い言い放った。 咲「なに言ってるの?京ちゃん。なにもおかしいことはないんだよ」 咲「だってこれは好きな人ができるまでの練習なんだから」 その目にはかつて笑いあった幼き少女の面影はどこにもなかった。 まるで獲物を締め付け飲み込もうとする爬虫類のようなその視線に背筋を凍らせた。 京太郎はそれ以来何も言うことができず中学を卒業し、高校生になった今でも関係は続いている。 そして、今日もまた…… 咲「……ん。……ふっ。」 咲は唇を軽く触れ合わせるようなキスを繰り返している。 その触れるか触れないかの微妙な感触に声を漏らす。 咲「……んっ。…じゅる。……っはぁ」 じれったい感触に耐えかねたかのように口の隙間からぬめりとした温かいものを滑り込ませてくる。 慣れた様子でそれを京太郎のものに絡ませて吸い付いていく。その感触を楽しむかのように。 時折とても苦しそうな、それでいて満たされたような吐息を吐き出しながら。 その甘美で淫らな様子を見つめながら京太郎は思考が鈍っていくのを感じていた。 そんなはっきりとしない思考の中で京太郎は繰り返し呟いていた。 京太郎(そう……仕方ないんだ……) 京太郎(好きになるまでの……予行練習なんだから……) 一度噛みついたら離さない。 甘い唾液の毒で動きを止めて 締め付け、骨を砕き、全てを飲み込む。 ――京ちゃんはもう私のものだからね カン…

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