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京太郎(……遅いなー) 時計をチェック。 いつもは約束の五分前までにきっちりやってくる彼女が、もう十分の遅れだ。 京太郎(まあ、まだ全然待てるけど。連絡無しだと、少し寂しいな) 自分もデートに遅れた時、彼女にこんな風に思わせているのだろうか。 寂しさをまぎらわせようと、遠くのイルミネーションに目を向ける。 京太郎(ずっと突っ立ってるのも……お、来たな) 目立つ金髪が、向こうの方から走ってくる。 えり「――ごめんなさいっ、遅れて!」 京太郎「大丈夫だよ、メリークリスマース」 優しく抱き止める。 京太郎「どうせ仕事だろ?大変だな、えりさんも」 良い子良い子と頭を撫でるが、イヤだったのか振り払われた。 えり「ごめんなさい、そうじゃなくって……。 確かに仕事上の付き合いではあるんだけど、ちょっとした飲み会みたいなものでね」 京太郎「……うん」 ――このあたり、学生の京太郎には社会人の都合がいまいち良く分からない。 えり「本当は、断れたんだけど……少し、飲んじゃって」 京太郎「仕方ないって、仕事の付き合いなら」 理解出来ない分、ぎゅうっと抱きしめてあげる。 えり「……だから、甘やかさないでっ」 京太郎「え?」 えり「いつも、あなたが遅れたらキツく言っちゃうのに……」 京太郎「……関係無いよ。せっかくのクリスマスに、もったいない事言わないで」 真っ直ぐ見つめて、言い聞かせるように。 京太郎「えりさんは真面目過ぎるんだよ。たまには素直に甘えて欲しい……俺が」 えり「……っ!ごめんなさい、こんな日に水を差すような事……」 京太郎「だーから、謝るの禁止。ほら、切り換えて。 今日は、プレゼントも用意してあるんだ。俺たちの一周年の記念に」 えり「……高いものじゃないでしょうね?」 京太郎「……今日のために貯めておいたんだから、高くないよ?」 えり「全く……クリスマスが終わったら、説教コースね」 口が滑ったか、と顔を苦くする京太郎。 えり「でも、今日は……」 京太郎「?」 チュッ えり「……甘えさせてもらうわ。ありがとう」 そうして二人、雑踏に消えていく。 今日は特別な日――街が恋人たちを、祝福していた。

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