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「こいとこいと……こいも!」 「たくさん買いますね」 「うん、皆ん分買っていかんと!」 ぽいぽいっと、修学旅行の時の枕投げの枕のように次々に物を渡される。 それを京太郎は、慣れた手つきで受け止めては、抱きかかえた。 「それにしても……多いような?」 「……そ、そぎゃんことはー」 「姫子先輩?」 「う゛っ、ちょいと多かったかも」 多すぎるプレゼントに突っ込みを入れれば、プレゼントを漁っていた姫子が呻く。 クリスマスという日、皆で集まって楽しみ夜。 そのことが姫子のテンションを上げ、この結果だ。 「この辺にしておきましょう。これ以上は、俺も無理です」 「あいあい……そいじゃ……少しだけ、どっかで休む?」 「はい」 : : : : 「夜が楽しみですね」 「うん。パーティー……楽しみ!」 あれから、手ごろなカフェに入り二人揃って休憩を取る。 二人は互いに暖かい飲み物を注文し、口にするとそのまま夜の話題へと移った。 新道寺の寮で今日、パーティーをするのだ。 「……本当に俺もいいんですかね?」 「よかよか。京太郎なら問題なかよ」 そのパーティーに京太郎も呼ばれていた。 煌、仁美、良子、哩に友清のいつものメンバーでもささやかな集まり。 本来であれば、喜んで参加するだろう……パジャマと言う単語がなければだが。 「むふふ……恥ずかしかと?」 「素直に言いますと……嬉しいです。けど、恥ずかしいです」 年近い女子の寝巻き姿。 しかも、クリスマスという特別な日の夜。 思春期の京太郎には、とても刺激が強いものであり、わくわく、どきどきと不安が混じったものとなっていた。 「誰か気になっ人は居っと?」 「いやー……それは」 「んー、花田? いつも一緒に居る友清? そいとも先輩達? そいとも――部長とか?」 「いえいえ、そういう気はっ!」 姫子が楽しげに問いかける。 それを京太郎は手を振って必死に否定した。 「……彼女とかは?」 「えぇ……その、そういう人は」 「ふーん、そっか」 姫子の容赦ない問いかけに少々落ち込む。 ぐるぐると目の前のコーヒーにミルクを入れスプーンで混ぜる。 「京太郎、京太郎」 「……えっ、あ、はい」 「どいがよかと思う?」 落ち込んでいれば、姫子がニコニコと笑いメニューを見せてくる。 そのメニューを京太郎は、少しばかり前へと乗り出し見た。 そこに書かれていたのはケーキの類のデザート。 甘い物が欲しくなったのかと思い、京太郎は真剣に選ぶ。 「あっ、これが――」 「んっ」 「あれ?」 一つ選び終え、それを指差した瞬間であった。 「ふふふ……一足早いクリスマスプレゼント」 「っ―――」 慌てて、今起きた事を再確認し京太郎は右往左往する。 自分の唇を指で触り姫子を驚き見た。 そんな驚きの表情で見られ姫子は、笑う。 そして指を一本立て唇の前に持っていき、片目だけを瞑りウインクして言う。 「皆には内緒」 甘い、甘い。 ケーキをまだ食べていないのに、ミルク入りコーヒーを飲んでいないのに――京太郎は口に甘みを感じた。 しかし、その甘さに不快感はない。 むしろ、胸が高鳴り、暖かくなり、自然と微笑がもれた。 カンッ!

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