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 ある夏の日のことだった。  俺が太陽の責め苦で陽炎を起こすほど熱された街路を歩いていると、  何やら怪しげな服装を爆乳美女が可愛らしく装飾された文字の書かれたスケッチブックを掲げている様に遭遇したのだ。  思わず面食らって足を止めた。立ち止まってしまった以上、顔を背けてそそくさと立ち去るのも気まずい。  とりあえず汗で服が湿り大変なことになりつつあるお胸様を見がてら文字に目を走らせる。  するとそこにはこんな文言が綴られていたではないか。              【アルバイト募集中♪】【^\600/h】 「――は?」  思わず二度見した俺を責める人はいないと思う。しかし何度見ても文句は変わらない。当たり前だ。  まさか、まさか援助交際というやつだろうか? 一時間600円であんなことやそんなことを?  ない、さすがにそれはない。俺は明らかに動揺し混乱している。カームダウン、落ち着け俺。  そうして心を落ち着けるために視線を下げる。張り付いて透けそう……  と思いきや生地が存外厚いのかまるでそんな気配が無い。  謂れのない怒りがにわかに湧き、心を落ち着けようと言う俺の試みは失敗した。  八つ当たり気味に顔を上げ美女の顔を睨みつけると。楽しそうに綻ばせた花の顔とも言うべき笑顔。  自分の理不尽な感情が恥ずかしくなりふいっと顔をそむける。  それが最大の失敗だったと未来の俺がいたら言うだろう。  ??『Gyu?』  なにやら透き通った蛇が視線に合わせて首を傾げるではないか。  幻覚に違いない。むしろ幻覚であってほしい。  そう願いながら一度目を閉じ、数秒か数分か、再び瞼を上げる。 ??『『Gyuo?』』  幻覚じゃない。今見えているのはところどころにノイズのような綻びが走る二匹の獣らしきもの。  水で出来た大蛇と炎で出来た大鷲。  って大鷲はさっきは居なかっただろ!? 京太郎「増えてるし!ガシッ えっ?」 ?「見えたのね? 合格よ。これを見てしまったならもう拒否権はないわ。   でも喜んでいいのよ。君の頑張り次第でご褒美があるかもしれないもの」  何が何だか分からない。俺は結構筋力には自信がある。体格だってかなり良い。  それなのに、目の前の美女はどうやって俺の肩を掴んでいるのだ?  160cm程度だろう女性とは思えない膂力。微動だにできない。  「あ」とか「う」とか意味のなさない呻きを漏らすしかできない俺の目を覗き込み、  不可思議な爆乳美女は裂けるような笑みを浮かべた。 霞「私は石戸霞。霧島神境の巫女にして妖祓い。コンゴトモヨロシク、ね?」  こうして俺は不思議な日常から足を踏み外し、さらに奇妙な非日常へと足を踏み入れたのだった―――― カンッ

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