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 六月某日、今日は梅雨間の晴れ。いよいよこの日がやってきた。  待ち遠しかった気も、怖かった気もする。日々の忙しさに流されていた私は意識する余裕もなかったけれど。 『こんにちは! は? 当たり前でしょう? そんなオカルトありえません、ってやつで。  こんな美人でしかも巨乳! 俺が見逃すわけないってか……? 泣いてるのか?』 『見つけたッ! はー、急に走り出すからびっくりしたぜ。え? そりゃそうだけど。断ってきたよ。  あいつのことはそういう目で見たことは……無かったわけじゃないけどさ。でも、今はもう違うから』 『待った! 俺から言わせてくれ。お前が好きだ。俺の恋人になってください……! へへっ、これでようやく一歩、だな?』 『ちょ、誤解だって! でも不安にさせた俺が悪かった。許してくれとは言わないけど、でも泣くのは止めてくれないか?  俺はお前の笑顔が好きなんだ。……別に泣き顔が嫌いなわけじゃないよ。より好きなのは笑顔だってこと』  取り留めも無く思い出を振り返りながら、石造りの床に敷かれた赤いカーペットの上をエスコートされながら歩く。  表情は自然と、彼の好きと言った笑顔になっているだろう。一歩ごとに実感が湧く。  友人、恩人、先輩。微笑み、涙ぐみ、満足気に。私を見送る顔が背後に流れていった。  彼の待つ場所にたどり着き、その手を取る。  互いにあらためて笑みを交わし、前を向く。祝福するように差し込む光が眩しい。 「――――汝、東横桃子。あなたは病める時も健やかなる時も夫須賀京太郎を愛することを誓いますか?」  軽く息を吸い込む。裏返りそうになる声を抑えるために一度開きかけた口を閉ざし、演壇に立つ男性を見据えて宣言する。                                   「誓います」 「結構。では指輪を交換し――誓いのキスを!」  彼を向きなおればその手を取り合い、そして顔に掛けられていた薄布を捲りあげられる。                            「愛してる、モモ」                                      「私もっすよ、京さん」  私達の顔が一つに重なる。  それに合わせて重厚な鐘が祝福の音を奏でだした。みんなも手を打ちあわせそれに続く。  自らの体質を恨んだ。世界を憎んだことだってある。でも。でも、今ではむしろ感謝しているのだ。  だってきっと。私は彼と出逢うために生まれてきたのだから―――― カンッ

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