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16歳の誕生日。昨日までとは少しだけ世界が変わって見えた。
シーツのすぐ傍にある体温にほっとしながら、同時に恥ずかしくもなる。
日付の変わるその瞬間に祝ってくれて、そのままプレゼントをくれて、一夜を過ごした大切な相手。
大人の階段を上ったことでちょっと浮かれ気味に口元が緩んで、眠る彼の金髪を撫でる。
遅くまで起きていたせいで、私も彼もお寝坊さんだ。
でも、休日だしこんな日も悪くは――
ピンポーン♪
彼を思う時間を邪魔されたことにちょっと「むぅ」と思いながら、私はインターホンに向かう。
寝癖を手で押さえつけて、乱れたパジャマをちょこっと整えながら扉の向こうに誰何の声を上げる。
久『ハロー、咲、押しかけプレゼントの配達よ』
まこ『おまさんはなんで茶化さんと気が済まんのじゃ? 咲、誕生日おめっとさん』
優希『咲ちゃん、今日はパーッといこうじぇ!』
和『もう、優希ったら。すみません咲さん、約束もなしに来てしまって』
普段ならば嬉しい友達の訪問に、だらだらと汗が流れる。
咲「ちょ、ちょっと待ってね。わ、私寝起きで何の準備もできてないから」
優希『咲ちゃんは今日のメインなんだから何も気にせずに祝われればいいんだじぇ』
和『咲さんが寝起きが悪いのはインターハイでたくさん見ましたしね』
咲「いや、そういう問題じゃないんだよ、うん。5分、5分だけ待って、お願い!」
言い切ると慌てて自分の部屋へと走り枕で彼を叩く。
咲「京ちゃん、起きて、今すぐ起きて! そして隠れて、早く、お願いだから!」
京太郎「わぷ、何するんだいきなり!? 痛くないけど叩くな! なんだよ一体!?」
久『いやあの咲、外まで丸聞こえなんだけど?』
まこ『これはタイミングをしくったのお』
優希『犬ー! お前咲ちゃんに何をした!?』
和『』(絶句)
この後、誕生日会が赤裸々尋問トークに変わったのは、宮永咲末代までの恥の一つだったという。
カン