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初めは見た目の癖に律儀なやつだと思った。 「…となりに?ふーん…名前?小瀬川白望。それじゃ…」 挨拶だけかと思ったらこれまた律儀に引っ越しそばも用意していた。乾麺だったけど。 次に会ったときはおせっかいなやつだと思った。 「…なに。…洗濯物?雨なのに干してるから?…ダルいしまた洗えばいいかなって…だめ?ダル…」 結局ダルくなってそのままにしてたらまた訪ねてきて怒られた。 その次は妙なやつだと思った。 「ん…作りすぎたからお裾分け…?んー…もらう…ありがと…」 貰った料理は思いの外美味しかった。後日容器を返す時に手作りなんて久しぶりだと言うと何か思い悩んだ顔をしていた。 その次は何となく世話焼きの友人に似てると思った。 「…その食材は?私の分のご飯?んー…まぁいいか…ダルくないし…」 了承したのに呆気に取られた顔をしていたのはどういうことか気になったがダルいので気にしないことにした。 ご飯は美味しかった。 その次…というかそれからは飽きない奴だと思った。 「…今日の?んー、何でもいい…困るって言われても、どれも美味しいし考えるのダルいし…」 部屋に来てご飯を作った日からズルズルとお互いの…とは言っても私は基本動かないので彼が私の部屋で過ごすようになった。 家事全般もやってくれるので楽だし、一緒にいてダルくならないので特に気にならなかった。 それから―――― 初めて会った時はスゲー美人さんだと思った。 「あ、えっと…隣に越してきた須賀京太郎と言います!これはその、引っ越しそばでして…」 口数の少なさから無口な人なんだろうなと思った。どこか胡乱な目つきも絵になって綺麗だった。 次は…何というか、失礼だけどポンコツ臭がした。 「や、お節介かなとも思ったんですけど、今雨降ってるの気づいてないのかなって思いまして…」 後で洗い直せば良いって言っていたのを何とか説得した。 はずだったけど後で買い物から帰ってきた時に何となく見るとまだ干したままだったのはさすがにキレた。 やっぱポンコツだわあの人。 その次は何か心配になる人だと思った。 「ちょっと晩飯のおかず作りすぎちゃいまして…傷む前に食べきれそうにないので良かったら。あ、はい。容器はいつでも」 後日すぐに返しに来たのは内心驚いた。きちんと洗ってあったのでさらに倍プッシュ。 その時ポロッと溢した食事情はさすがにやべぇと思った。 店屋物とインスタントと出来合いのフルコースはマズイって。 その次は無防備過ぎる人だと思った。 「…飯を作ろうと思いまして。あなたの分の。…え?部屋に…?…えっ?」 見ず知らずって程ではないとは言えあっさり招き入れるもんかよ普通… もちろんやらかすつもりはないけど危なっかしすぎるぞ… その次…というかそれからはどうにも放っておけない人だと思った。 「今日のご飯は何にします?…何でもは困るんですよねぇ…美味いって言ってもらえるのは嬉しいっすけど」 飯を直接作った日からはズルズルと通うようになり、俺の私物が少しずつ彼女の部屋に置かれるようになった。 反面、俺の部屋には彼女のものはほとんど無い。何故って?物の場所覚えるの面倒だからって。 この関係が始まってから当然と言うべきか家事全般は俺が引き受けるようになった。 自分の部屋の分もあるのでどれだけ大変かと思っていたが彼女は要領が良いらしく、俺がやる前からも部屋は片付いていたし掃除もそれなりに行き届いていた。俺が来てから?掃除してるのを見たことがない。 それから―――― 「ん…んぅ…?」 「あ、起きた」 「…今、何時?」 「大体十二時ぐらいですかね。昼の」 「ふうん…」 「そういや何か笑ってましたけど、良い夢でも見てたんですか?」 「ん…そうだね…楽しい、幸せな夢…」 「そですか」 「…ねぇ」 「なんです?」 「一緒に寝る?」 「…家事があるんですけど」 「そ…」 「…少しも食い下がろうとしないんですね」 「だって、ダルいし…それに」 「それに?」 「京太郎…断ったことないから…」 「いやいや、そんなわけ…あれ?んん?あれぇ…?」 「……」 「…ありましたね、そんなわけ」 「ん」 「…わかりましたよ、わかりました。家事は後回しにします。今やる必要があるわけでも無いですし」 「それでいい…」 「んじゃ、頭上げてもらえます?添い寝するってなったら膝枕じゃできませんし」 「…」 「白望さん?」 「やっぱり一緒に寝なくていい…このまま、膝枕で…」 「ちょっと白望さん!?その気にさせてそりゃないですよ!」 おちなしカンッ

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