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 彼は私の想い人。 「咲、レディースランチを食べたいんだ。また、頼むぞ」 「はあ、全くしょうがないね京ちゃんは」  少しおっちょこちょいな私を何時だって気にかけてくれいる。 「ははッ、ありがとうございますお姫様」 「調子が良いんだから」  幼い頃から互いに知っている幼馴染と呼ばれる間柄。  だからこそ、私は京ちゃんが思っている以上に彼のことを理解してしまっている。 「ねえ、京ちゃん」 「ん? 何だよ?」  彼が私を気にかけてくれている。  その理由は幼馴染だからだけじゃない。私があの人の妹だから。彼は私を通して姉を見ている。 「うんん、何でもないよ」  それに気づいたのは姉がいなくなり、数年後の中学時代。  思春期の真っ盛りで本格的に恋を煩った当時の私は今のショートではなくセミロングな髪型だった。  姉妹だから当然私たちはよく似ている。そして寝惚けた彼が私を見てあの人の名前を呼んだ。  ドキリとした。  その時の彼の眼差しは普段私に向けられているものとはまるで異なり、自ずとそこに含まれる意味合いを理解してしまった。 「そうか?」  代理品。  それでも良い。  あなたの隣にいられるなら。 「うん」  私を見て欲しい。  髪を切ったのはそんな理由。  残念がったあなたに胸を締め付けられた。それでも、少しは届いたのだろうか、この願いは…… カンッ!

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