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 --トントントン  指が机を叩いていく。その音は軽快よりも重厚に場をキリキリと締め上げる。誰もが口を開かず、相手の出方を窺うように黙して語らず。 (はあ、面倒だな……)  黒一点、渦中の中心にいるはずの少年須賀京太郎は重苦しい空気に内心で悪態を吐いた。 (俺、帰っても良いかな?)  緊迫する空気を破ったのは桃色の髪の少女だ。 「人のモノに手を出すのは泥棒だってことも習わなかったんですか?」 「は? 私の京ちゃんに粉を掛けたのはお前の方でしょ?」  応酬したのは幼馴染の少女だった。 「私と京ちゃんは小さい頃から仲良しで、中学に入ってからは相思相愛、お互いの体にある黒子の数まで知ってるよ」 (確かに咲とは何だかんだで一番寝てるけど、そこまでは知らないんだが……相思相愛って、そもそも俺はお前に告白されたこともしたこともないんだけれど? 好かれてたのか?)  京太郎の認識で咲は幼馴染であり、単なるセフレであった。事実、そこに愛やら好意の言葉が乗ったことは一度もないのである。 「京太郎は私のものだじぇ、押し倒されて何度も何度も愛し合った私のものに決まっているじょ」  タコスが大好きな少女が参戦し、場のボルテージが高まる。 (据え膳食わぬは男の恥、優希が誘ってきたから応えただけなんだけどな)  自ら下着を晒し、誤って押し倒せば今じゃなければ構わないと受け答える。  京太郎も男であり、可愛い女の子にそんなことを言われればその気になってしまうものだ。 「どうせその貧相な身体で誘惑したんでしょ?」 「咲ちゃんには言われたくないな、ペッタン子!」  団栗の背比べする二人を嘲笑いながら少女は挑発する。 「見苦しいですよ。彼は私のような豊満な女性が好きなんですよ。あなたたちは所詮はお遊び、気の迷い、本命は私ですから。告白だってされていますからね」 (確かに和の身体が一番好きだけど、本命もなにも遊び相手の一人なんだけどな、そもそも俺は何時の間に告白したんだ?)  言葉足らずで告白と勘違い、恋に落ちた和は思い違いをしていることに気づいていない。  睨み、罵り、口汚く、牽制しあう三人娘。  京太郎は冷めた目で見ていた。 (はあ、帰りたいな--)  彼の倫理感は壊れている。  幼い頃に壊されてしまったのだ。  何も知らなかった無垢なる少年に性の歓び、女の体、扱い方、全てを植え付けたのは年上の少女たちだった。  彼女らが長野から出ていかざるを負えなかった真実は妹との不仲が原因ではなく、親の仕事による転勤でもない。  数々の変態的行為が両親にバレたからだったのである。 「ふふ、京ちゃんの初めては私が美味しく頂いたんだよ」 「彼のテクニックは私たちが教えましたからね、もうすばらですよ」  性人すばらと淫売チャンプ。 「そんなに凄いなら私を満足させられるかもしれないわね」  二人から話を聞いた世界一位が動き出す。 カンッ!

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