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 私と京ちゃんの関係は複雑だ。  幼馴染と呼ぶことは正しいけれど、正鵠を射ていない。高久田くんの嫁さん発言も、近いけれど的外れだ。 「ねえ、京ちゃんってさ和ちゃんのことが好きなの?」  隣で横になっている彼に撓垂れ掛かりながら、彼の温もりに安心しつつも最近気になっていることを尋ねた。 「和か、どうしてそう思うんだ?」 「だって、京ちゃん何時も彼女のこと目で追っているから、好きなのかなって……」  もしもそうなら、私は邪魔なお荷物だ。  だが、彼との関係を見直すことが互いにとって健全だと自覚していながらも、それは出来そうにない。 「まあ、確かに俺は和に惹かれているのは事実だな」  予想通り、肯定の言葉にズキリと鈍い痛みが走る。嫌だよ、京ちゃんと離れるのは嫌だ、私は縋り付くように彼へと抱きついた。 「京ちゃん、お願い、捨てないで……」  私は京ちゃんに依存している。  彼女がいなくなり、お姉ちゃんもいなくなった。それでも、許して欲しくて東京に会いに行った。けれど、お姉ちゃんは会ってさえくれなかった。  傷つかないはずがない。  苦しく、悲しくないはずがない。  その傷みを埋めたくて京ちゃんに縋りついた。 「分かってるさ」  あの時、京ちゃんは私のためを思って一度拒絶した。流されるまま傷ついている女の子を抱くことは簡単なことなのに、それを否定したんだ。  彼は優しいと思う。だけど、私は優しくなかった。  そう、自分の命を盾に彼を脅迫したのだから。 「俺はお前から離れたりしないよ」  諦念の色を瞳に見た。  彼の優しさに漬け込んでいる私は卑怯なのだろう。それでも、彼を失いたくない。京ちゃんまでいなくなったら耐えられない。 「ありがとう、京ちゃん」  彼はやっぱり、優しく甘い。  私を至福に、蕩けた心地にさせて嫌なことは全部忘れさせてくれる。だからこそ、彼が苦しんでいるのを見るのは辛い。  自分の責任であると知っていながらも、白々しくそう思う。 「ねえ、京ちゃん」 「何だよ?」 「私、決めたよ。楽しみにしていてね」  京ちゃんが訝しげに見る。  私は疑問に答えてあげることなく、頭の中で算段を立てていく。  彼が私以外の誰かを好きになるのは仕方がない。私が重荷で自分を殺すのは心苦しい。  それなら、解決方法は一つだけだ。  和ちゃんをプレゼントしよう。  きっと喜んでくれるに違いない。  私は幸せ、京ちゃんも好きな娘と一緒になれる。和ちゃんも喜ぶように調整すれば、皆幸せだよね。 カンッ!

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