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美穂子「んっ もう……全然飽きないわね」 京太郎「好きなモノに一途ってことで許してよみー姉」 美穂子「きょうちゃんのせいでこんなに大きくなったのよ? 肩も凝って……」 京太郎「だからマッサージしてるだろ?」 美穂子「それは助かってるけど、それだけで済まないじゃない」 京太郎「そこはほら、みー姉が可愛いのが悪いんだ」 美穂子「他の子にも言ってるの、知ってるんだから」プイッ 京太郎「今はみー姉だけだよ」チュッ 美穂子「んっ……これで騙されるんだもの、私も悪いわよね。とんでもない人に引っかかっちゃった」 京太郎「腐れ縁だって諦めてくれよ。18になったらすぐ籍入れるって前から言ってるだろ?」 美穂子「はぁ。ほんと、馬鹿よね」 カンッ
  頑張れよ              応援してるからな  彼が遺した最後の言葉。  大将戦で最後の嶺上開花を打ち、  優勝を決めた私は雪崩れ込んできたチームメイト達に抱きすくめられながらも彼の姿を探した。 「きょ、京ちゃんは? 京ちゃんにもお礼を言わないとっ」 「誰ですか、それ?」「きょう……? そんな子いなかったわよね?」 「咲、和、優希、わし、久……かすりもせんの」「そんなことより表彰式だじぇ!」  背筋が寒くなった。確かに彼女たちは普段からあまり彼を快く思っていなかった節はあった。  だが存在を消すほどではなかったはずだし、めでたいタイミングでこんな悪質な冗談を言う人でもないはずだ。  それは、つまり―――― 「いなく……なっちゃった……?」  そんなはずはない。頑張れと言ってくれた彼の表情は今も鮮明に覚えて……覚えて……?  こぼれていく。表情も、仕草も、声も温もりも、彼の全てがさらさらと掴みどころのない虚無に還っていく感覚。  ○×△ちゃん。……? ☆¥◎? 誰か、誰かが私を私達をずっと支えてくれていたはずだ。  どうして! どうして思い出せないの!?  私は顔で笑って心では泣き叫んでいた。大事な人を誰かに奪われた、そんな確信があったのだ。 「咲」 「お、姉ちゃん……」 「今までごめんね」 「ううん、私が、私が悪かったのに」  涙を流す私を慰めるお姉ちゃん。紆余曲折ありつつも仲直りできた。それなのに何故か心は満たされない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「良かったっすか?」  黒髪の少女がそう問いかける。 「ああ。俺はもう、あそこには必要ないからな」  金髪の少年が、遠くを見る目をして答えた。寂しさと、達成感だろうか。一仕事やり遂げたという雰囲気が漂う。 「京太郎君。お疲れ様でした」 「小蒔さん。霞さんも、出迎えしていただいてすみません」  巫女服を着た二人の少女が現れ、それに頭を下げる少年。  それを嗜めるように新たに現れた人影が背を励ますように叩く。 「あんたは見事、神と妖の試練を成し遂げたんだ。胸を張りなさい」 「そうだよー。京太郎くん、かっこよかった。渋いってこういうのかな?」 「ダル……。やっとまたお世話してもらえる」  モノクルをかけた壮年の白髪の女性に、黒づくめの背の高い少女と気だるさを凝縮したような白髪の少女。 「塞さんじゃ満足できませんでしたか、白望さん?」 「あっちは京太郎じゃなきゃ無理」  白望にお世話してくれる人はもういるだろう、と首を傾げた少年だが言外に違う方の世話だと言い放つ少女。  少年としては男冥利に尽きるが笑みが苦くなるのは仕方のないことだろう。 「モモはどうするよ? 加治木先輩と良い感じなんだろ?」 「ゆみ先輩は私を見えてるわけじゃないっすからね。ワハハ先輩のがいくらか近いっす」  傍らに立つ少女を気遣うように訊ねた少年だが、その配慮も少女は一刀両断。  なんにせよ、これで少年の憂いは全て断たれたのだ。  万感の思いを込めて……宣言する。 「ま、それならいいさ。これで……念願の巨乳ハーレムは俺のもんだ!!」  女性が溜息を吐いたがそれは無視され、場を包んだ柔らかな笑い声にかき消されたのだった―――――――― カンッ

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