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 まこは家のお仕事、一年生の女子三人は少し来るのが遅れていた。  部室には私と彼の二人きり。  だから、想いがポロリと顔を出す。 「須賀くんって格好良いわよね」 「突然、何を言い出すんですか部長?」  不意打ちに、正面から向けられた言葉に気恥ずかしさを感じたのか、彼の頬にはほのかな朱色が差す。  そんな姿は年下の男の子らしく、可愛らしい。 「あら、照れなくても良いじゃない。結構、無茶なことをお願いしている自覚はあるのよ。でも、あなたは決して放り出さないし、全力で取り組んでくれている」  インターハイ優勝。  私は夢を叶えるために酷なことを強いている。 「本当に感謝してるの。須賀くんは間違いなく格好良いわよ。外面だけじゃなく、内面もイケてるわ」  本来は初心者である彼にこそ時間を使うべきだと分かっている。最も楽しく、伸び盛りの大切な時期。  だけど、私は目的のためにそれを犠牲にさせ、雑務を押し付けた。  夢のためには必要だから。 「今度はいったい何をさせる気ですか?」  照れは何時しか鳴りを潜め、褒めるほどに彼の警戒心が高まる。  言葉通りに受け取って貰えないのは自業自得の所業なのだろう。散々この手の煽ても使ったからかしら。 「何もないわよ、今回は」 「……………」  もしも、私が素直に胸の内を明かせば彼はどう反応するのだろう。  きっと冗談か何かだと疑われる。  恋って難しい。  だからこそ、信じてもらえないから私は本音を漏らせる。きっと、真面目に取られるなら素直になれない。  今はまだ、この距離、この関係が心地好い。  でも、インターハイが終わったなら…… カンッ!

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