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 幼馴染み。  幼い頃から互いのことを知っている間柄。  京ちゃんは幼馴染み。  彼はその中でも特別な、本当に特別な想いを寄せている私の大切な人。  色褪せない数々の思い出、気兼ねなく何でも話せ、困っていたら助けてくれる格好良くて優しい王子様。 「……どうして?」  ほんの少し道を違えるだけで彼は手の届かない遠くへと行ってしまう。  タコスが大好きな天真爛漫な少女と軽快な軽口を叩く息の合った恋人となる。  理想の美少女とも言える胸の大きなあの子と仲睦まじい夫婦となった。  主導権は何時だって年上の彼女に奪われながらも幸せそうに笑う未来。  落ち着いた雰囲気で妻の実家である雀荘を切り盛りして老いていく。  あるいは、両親を喪った寂しがり屋の小さな恋人、日本を代表する財閥令嬢の婿、影の薄い少女を見つける者、異能の姫に見初められ、星が好きな女の子のパートナー。  それとも、アイドルを目指す少女の背中を押し、旅館を守る女将の伴侶、異国の少女と世界を巡り、関西で元気に夫婦漫才を営んで、東北の田舎での静かな生活。  理解不能、一回りも年上のおばさんたちの毒牙に掛かり、麗しの執事と衆道を歩む。  最も理不尽で私の心を狂わせる。  血を分けた姉が京ちゃんを奪っていく未来には何度も心が壊れそうになる。どうして、お姉ちゃんなのか、私じゃないのか……  何度、何度繰り返しても、彼は私の本から去っていく。隣に他の女を侍らせながら行ってしまう。 「ねえ、どうして?」  幼馴染み。  何時からかそれは呪いの代名詞。  決して勝つことのない敗者の証。  ああ、辛いよ京ちゃん。  私を見て、私を愛して、お願いだから行かないで……  今回は桃色の髪の少女と歩き進む彼の背を、私は何時までも眺め続けた。 カンッ!

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