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最初は、咲さんと仲良くなるためでした
そのために彼女を一番知る彼に話を聞いたんです
京太郎「咲はいつも本を読んでるけどジャンルは意外と浅く広くなんだよな
だからこの辺を抑えておくと大体通用するし、分からなかったらあいつは聞けば説明したがるから」
中学時代を一緒に過ごしたというだけあって、彼の咲さんについての話は終わりがありませんでした
京太郎「人込みで十字路に出たら大体はぐれるから、手か服を持っておくと……」
仲の良さがよくわかる話ばかりで、私はいつしか嫉妬していました
京太郎「咲は辛いのがダメなんだよ、だからカレーも甘口しか食べなくて」
それも嫉妬してしまったのは、彼にではなく何故か咲さんの方にで
京太郎「小動物は好きなのに、大型のを見るとすぐに後ろに隠れてさ」
楽しそうに咲さんを語る彼の顔を見ると、胸がチクチクするんです
京太郎「レディースランチを頼む代わりにこの前も買い物につき合わされてさ」
なぜ私が咲さんの立場じゃないのかとか、そんなことばかり考えて
京太郎「……か、…どか、和、聞いてるか?」
和「すいません、少しぼうっとしてました」
京太郎「困るぜ、咲の面白エピソードは軽く108はあるんだからな」
笑う彼の顔を見ると、顔が熱くなるんです
和「じゃあ……」
京太郎「ん?」
和「咲さんみたいに、私とも思い出作ってくれませんか?」
この日、私は思いがけない一歩を踏み出した
カン