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 窓から差し込む月明かりに照らされたからか、それとも夜の冷たい空気に体が冷えたせいか、目が覚めた。  薄暗い中で時刻を確認すればまだ真夜中。  もう一眠りしようにも目が冴えてしまい寝付けない。それでいて身体は何処か気怠げだった。  原因は分かっている。  隣で寝息を立てる少女との行為。  快楽を貪り合う営みの余韻。 「なあ、咲。何時まで俺たちはこの関係を続けるんだろうな?」  返事は返って来ない。  それが分かりきっているからこそ、問うたのだ。起きているときにこの話題へ俺から触れることはないだろう。  小さく、弱々しい華奢な背中だと思う。折れてしまいそうな、儚さと脆さが同居している。  愛情を有しているのか。  庇護欲を駆られたからか。  欲望に流されているのか。  否、否、否、どれも違う。  俺が咲に抱いた感情は哀れみだ。傷ついていた少女に同情し、気にかけ、優しく接した。  それは問題が何一つ解決しない自己満足の行いだった。  しかし、咲はそれに綴り、溺れ、依存し、気づけば手遅れで、拒否することもできず、俺は受け入れたのだ。  それが間違いだったのかは分からない。  あの頃のこいつは、棄てられた犬、罪を犯した罪人、今にも壊れてしまいそうな、そんな少女だった。  咲が俺との行為を求めるのはある種の自傷行為なのだと思う。好きでもない男に抱かれ、快楽に耽溺する己の浅ましさを自嘲し、自己を否定することで精神の均衡を保つ。 「何時か、仲直り出来ると良いな……」  咲が救われるとしたら、照さんに赦された時だ。その時が来るまでは仕方がないから面倒を見てやる。 「はあ」  ポンコツなお姫様に構っていたら、俺に彼女が出来るのは何時になるのやら……ああ、巨乳の恋人が欲しいぜ。 カンッ!

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