「h77-26」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

h77-26」(2016/01/15 (金) 16:46:08) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

ハオ「……(どうして……)?」 U-15アジア大会準優勝……私の首に掲げられたのは金ではなく銀色のメダルだった。 優勝できると、信じて疑っていなかった。 私は強いと、絶対の自信を持っていた。 小学生大会でも優勝経験があり、中国国内では敵無しだった。 だけどそれは、所詮は大海を知らない井の中の蛙でしかなかったのだ。 敗北の原因は明確だ。 アジア大会で採用されていた国際ルールが、私の慣れ親しむ麻将のそれとは根本的に違っていたから。 リーチで得点が上がるのは何故だ、逆に何故鳴いたら得点が下がるのか、そもそも麻将で適用される役が無効とは何事か!? ルールの相違点を、言い訳を挙げれば、キリがない。 詰まるところ、私の勉強不足が招いた敗北に過ぎない。 だから、国際ルールを学ぶため、私は日本へ留学する事を決めた。 ハオ「那个(あの、すみません)……」 だけど、日本という国は私にとって行きづらい国だった。 元々イギリスの占領地だった故の気質なのか、香港では海外の者から声をかけられれば応える者が殆どだった。 しかし、日本人というのは薄情だ。 私が外国人であると解れば、まるで犯罪者とでも鉢合わせたかのように去っていく。 ハオ「Excuse me……(あの、すみません!)!」 広東語では通じないのかと、英語で訪ねてもそれは同じだった。 この頃、日本に来たばかりの私は日本語にまだ不慣れで、一応簡単な対応表はあるにはあったのだが、満足に読み上げることもできなかったのだ。 途方に暮れ、このまま永久に寮にたどり着けないのでは無いかと絶望していた…………そんな時だった。 京太郎「あー……What happened(どうしましたか?)?」 それはまさに、渡りに船だった。 日本人であるにも関わらず、金髪に鳶色の瞳の彼。 他のアジア人の例に漏れず黒髪に黒眼が一般的だと聴いていたが、彼のその容姿は非常に珍しい物であった。 だけどその時の私は、そんな事はどうでも良くて、話をできる者が現れた事に対して、珍しく神に感謝を心の中で捧げていた。 ハオ「Sir!Do you speak English(あなた、英語ができるんですか)!?」 京太郎「あー、イエス、but,little。オッケー?」 彼の話す英語はとても拙い物で、意志の疎通も中々に困難だった。 それでも、時間をかけてゆっくりと、私が理解できるまで逃げずに話し続けてくれた。 京太郎「ってな感じで。大丈夫ですか?オーケー?」 ハオ「thank you……thank you so much!!」 そんな彼と1ヶ月後に再開できるとは、この時の私は知らなかった。 京太郎、あなたはあの日の事を覚えていますか? 道に迷い、誰からも相手されずに見捨てられた私に声をかけてくれたことを。 あの時、私がどれほど嬉しかったか、京太郎には理解できますか? 京太郎のお陰で臨海高校の寮に無事に辿り着く事ができ、その1ヶ月後には入学式がありました。 周りはやっぱり日本人ばっかり、不安で心が締め付けられそうな気持ちでした。 そんな中で、クラスの中にあなたの姿を見つけた時の驚きや嬉しさ……もう、言葉にする事も困難な衝撃を、あなたは知らないのでしょうね。 あれから、京太郎にはたくさん助けて貰いました。 日本語に不慣れな私の手助けをしてくれて、日本語の勉強も手伝ってくれましたね。 まさか、麻雀部にまで一緒に入ってくれるとは思いませんでした。 京太郎は、今でもそうですけど、信じられない程麻雀が弱かったですね。 なのに…………何度も酷い負け方をしても、一度も勝てなくても麻雀部を訪れない日はありませんでした。 一度、その理由を聞いてなんと応えたか覚えてますか? 京太郎『だってこんなに面白いんだぜ?辞めちまう方がどうかしてる!』 私が好きな麻将……いえ、麻雀を好きになってくれて本当に嬉しかった。 それに、中国の麻将にも興味を持ってくれて、役やルールも全部覚えてくれましたね。 相変わらず弱かったですけど………… 京太郎、あなたのお陰で今の私がいます。 あなたがいたから、今でもこうして日本で麻雀を続ける事ができています。 あなたがいたから、私は日本を好きになることができました。 京太郎、あなたがいたから………… 京太郎「どうした、ハオ?こんなところに呼び出したりして」 ああ、やっぱり覚えていませんか…… でも良いんです、焦る必要は無いって、他でも無いあなたが教えてくれたから。 思い出のこの場所で、また一から始めたいから………… だから、あなたに教えてもらった日本語で言います。 ハオ「京太郎、私は……あなたが好きです!」 今日からは、恋人として私を導いてください…………! カンッ!

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: