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「どうしましょう……」 私、原村和は困っていました。 時節は年の瀬、この頃は麻雀の大会も差し迫った物はなく、来年に向けた調整期間といった時期。 憧から『お守りは一年経ったら供養に出すべき』と聞いた事もあり、 昨年、清澄受験にと優希と買ったお守りの供養と新調を…… と、私は近所の神社に来ていました。 しかし…… 「まさか、学業成就と間違えて恋愛成就のお守りを買ってしまうなんて……」 供養の後に新調したお守りは、買おうとしていた学業成就のお守り……ではなく、その隣の恋愛成就のお守りでした。 「これが勝負事のお守りなら優希にでもあげようかと思ったのですが……」 私は、麻雀にオカルトが関わる事を未だに信じては居ません。 ……しかし、それがオカルトを全て否定する事になるか?といえばそんな事はなく、 華も恥らう……と自称するのはさすがに恥ずかしいですが、女の子ですので、 恋愛ですとか、占いですとか、そういった事にも人並みの興味はあるのです。 「……ですけど、流石にコレは……」 買ってすぐさま供養に出すのも勿体無く、かといって他人に贈る物でもありません。 ……なんとも困った買い物をしてしまいました。 そうやって悩んでいた私はふと気づきました。 もしこの恋愛成就のお守りに効果があったとしても、 そもそも恋愛対象として見ている男性等居ただろうか?と。 クラスの男子?……論外です。話しかけもしないのに私にいやらしい視線を向けてくるだけです。 他校の男性?……難しいです。スポーツならともかく、麻雀部という物はとかく女所帯です。 なら……須賀くん?……そうですね、春頃には私(特に胸)にいやらしい視線を向けてきた物ですが、最近はそんな事も無いですし。 麻雀の腕前は私達と比べれば見劣りしてしまいますが、それでも私達に挑み続け、麻雀を楽しみ続ける姿勢は尊敬にすら値します。 私達も手伝うと言ったのに、インターハイ前だからと頑なに雑用を引き受ける須賀くんを見たときにはいじらしさすら感じてしまいました。 ………………あれ? なんだか私の知る男性で須賀くんだけが特別なような…… もしかして、コレは恋……という物なのでしょうか? 私の知る知識としてはもっとこう……劇的な展開といいますか、そのような類のことが必要だった気がするのですが…… ……でも、相手を想うのならそれは恋なのでは……? 「難しい、ですね……」 トクトクと心臓が鳴っています。きっと私の顔は赤くなってしまっているでしょう。 いままではなんとも無く日常を過ごせていたのに、意識してしまえばもう止まりません。 何気ない彼の笑顔が、さりげない彼の優しさが、積み重ねてきた日常が尊い物だったと私は気づいてしまったのです。 「……明日、ちゃんと須賀くんと話せるでしょうか……」 気づけば握り締めていたお守りに願いながら、私は家路についたのでした…… 学業成就のお守りは無いけれど、きっとこのお守りを糧に私は頑張れるだろうという確信がありました。 だって、学業を疎かにしてしまえば、父の言う通り転校してでも勉学に励まなければいけません。 いままでは麻雀と、優希や咲さん達と離れたくないという思いだけでしたが、 今はもう一つ…… カンッ!!

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