「h76-20」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

h76-20」(2015/12/03 (木) 20:17:36) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

変なものが見えるようになった。それは何かというと「数字」である。 数字そのものは変でも何でもないのだが、それが妙なことに、人の頭の上に見えるのだ。 気が付いたのは今朝、顔を洗ったあと鏡の中の自分の頭上にぽっかり浮かんだ「0」の数字を見た時。 その後、朝食で親と顔を合わせたり、登校中に道行く人たちを見たりするうちに、 どうやらこの数字はすべての人の頭に浮かんでいて、しかもそれが見えているのは自分だけらしいことが分かった。 ともあれ、数字が見える事は一応受け入れることができたのだが、今度はその数字が何を意味するのか気になり始めた。 沢山の人がいればいろんな数字が浮かんでいるかと思ったのだが、そんなことはなく。 登校中、それなりに多くの人を見かけたが、大概数字は俺と同じ「0」で、たまに「1」の人がいるくらいだった。 (『1』の人は何か特殊な能力の持ち主だったり……なんてな) そんな取り留めのない空想を巡らせているうちに学校に到着し、教室に入った。 「おはよーさん」 既に登校していたクラスの連中に声をかける。浮かんでいるのは軒並み「0」だった。 どうやらこのクラスは平凡人の集まりであるらしい。そして、その中にいる俺も「0」の平凡人。 「おはよう京ちゃん」 そこへ、背後から平凡な幼馴染の声。 俺は、挨拶を返そうと無造作に振り返り―― #aa(){{{           ┏━━┓           ┗━┓┃           ┏━┛┃           ┗━┓┃           ┏━┛┃           ┗━━┛         ,. : : ―――-- 、        /: : : : : : : : : : : : : ヽ、         .': : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ      /: ,: : : : :{: |: : ,:l: : |: : }: : : : :,      .': :.|: : :|: :/_j:_/:.!: : |-/、: : : : : :.      {: : |: : :|イ} }:/}/|: /}/ }:ハ:| : {、: :.      |: : :、 : 从ィ斧  /  イ斧Y:{: | ヾ}      |∧: r从:{ Vり     Vリ |∧{        Ⅵ、 \ :.:.:.:  '   :. 八 リ        ヽ}`ー、   ` ´  イ           从}≧=-- く       ,-r―--イ}     |::〉--―、:、       / {、::、::::::〈___/::/イ   ヾ       {- 乂\::、::{  /::イ/:/- 、 ,       | Ⅵ\:> ∨-<:_//   Ⅵ       |  /   ¨「__7 ̄´ { /   イ::|       |  {   /: :∧    /   /:::|       | 八 /: : : :∧   ,   /_-'」       |   Ⅵ_:_/ : 〉 /    ,: }}} ――絶句した。 「……」 「京ちゃん、どうかした?」 驚きのあまり固まっていると、咲は怪訝な顔をして、こちら覗き込んできた。 「……ああいや、なんでもない。おはよ」 平然を装って答える。 咲は不得要領の表情だったが、やがて自分の席について本を読みだした。 その様子は、普段の咲と全く変わることはない。 咲がいつも通りである以上、この数字は「普段の咲が持つ、他者に比べてずば抜けている特徴」を 反映しているものと考えるのが妥当だろう。 (咲のずば抜けてる所ねぇ……迷子になる頻度?  ……いや、違うか。あいつの迷子っぷりが、たったの3で済むはずがないし。あと考えられるのは……) 思案の末、結局候補に挙がったのは麻雀と、読書だった。 もしかしたあの数字は、麻雀の実力を数値化したものだとか、あるいは今週読んだ本の冊数だとか、 そういったものを表しているのかもしれない。 しかし、その予想は間違いであることが間もなく判明することになった。 1限目後の休み時間に和と優希を見かけたのだが、二人とも「0」だったのだ。 その一方で、他のクラスの男子に「1」の奴が二、三人いた。 これはどう考えても、数字=麻雀の実力説ではありえない。 ならば有力なのは数字=読書量説かと思い、読書好きが多そうな図書室を見に行ってみれば、 見事に全員「0」で、こちらの説もあえなく潰えてしまった。 (うーん、いい線行ってると思ったんだが、的外れだったかー) 少し意気消沈して教室に戻ると、そこには俺をさらなる混乱に陥らせる事態が待ち構えていた。 ――咲の数字が増えていたのである。 「なあ、咲」 「な、なにかな京ちゃん」 「ちょっと聞きたいんだけどさ、お前、この休み時間のあいだに何かあったのか?」 #aa(){{{             ┏┓┏┓             ┃┃┃┃             ┃┗┛┃             ┗━┓┃                 ┃┃                 ┗┛              ____           ,. : :´: : : : : : : : :`: : . 、        ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : :`: : .、       /: : : : : : : : : : : : : : : : :、: : : \: : \___,      ': : : : : : : : : : : : :|: : : :|: : |、-:、: : ヽ: :_:ヽ ̄      /: : : : : : : : : : : : : :l: : : :|: : | ヽ} ヽ: :}: :、 `\     .': : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : | ,イ、 }从: : 、     |: : : : : : : : : {: : : : : : :从:{\{ { r、 イ:{、:}\     {: : : : : : : : : :∨: : : : : : 、` ` : ヾ} 乂__    ,'|: : : : : : : : : : :∨: : : : : 、\  、   :.:.:.:.: {    / ',: : : : : : : : : : {^\: : : : :\` :.:.:.:.:.:.    ;     ∧: : : : : : : : : 乂 \:、_: :\  , ~~ ,     {  、: : : : : : : r、: :  ̄「`\  ̄       ,       \__: 、 ∨: 从   ::......___,..イ==- 、         `ー-_、\ }: : { \    / ̄´:::// `_ヽ::\        と二二_ヽ ∨、:ミ    /:::::::::::// /  \::\         /ィ-r、  }:::「'   _/:::::::::::/イ /    ∨:::::.         ´ ,、 Ⅵ   ,:::|_/ /:::::::::://:,Ⅵ       ∨:::}           ∧::、 ,:  Ⅵ、   /::::::::::/イ:/ 〉       ∨' }}} 「な、ナニかって、何のこと!?」 「あ、いや。何もなければいいんだけどさ」 「う、うん。何もないよ、ナニもなかったよ」 ……謎は深まるばかりである。 その後、数字のことは気になりつつも、手がかりはなく良い考えも浮かばず、 結局何の進展もないまま、放課となったので、俺は部室に向かった。 部室の扉を開け、中に入ると、他の部員はまだ誰も来ていない―― 「ん?」 ――かと思いきや、部室の一角に数字が浮いている。 近づいてみると、ベッドがこんもりと盛り上がっていた。 浮いている数字は「6」。咲だ。 「おーい、咲ー。寝てんのかー」 「……」 声をかけるも、反応がない。 咲はこちらに背を向けた体勢で横になっていて、顔が見えない。 覗きこむように近づいてみると、髪から覗く耳が真っ赤になっており、 聞こえてくる息遣いが何やら、荒い。 もしかして、熱でもあるのだろうか。 流石に少し心配なので、布団の上から咲の肩をつかんで揺すりつつ、声をかけた。 「おーい、咲。もしかして体調悪いのか? 大丈夫か?」 すると、布団の中の咲はびくりと身を震わせて、 #aa(){{{           ┃┗━┓           ┃┏┓┃           ┃┗┛┃           ┗━━┛ < カチッ…           ┏━━┓           ┃┏┓┃           ┗┛┃┃               ┃┃         /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::: \.........`ー、         ゙、 .   / /:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::: \.:::::、::::::\::::::::::::`ー、     ゙、  /   /:.:.:.:.::::::::::::: 、::::::、::、:::ヾ:、:ヽ::::::ヽ::::、:::::::::_,`>    ゙、      「んっ……あっ」     i:.:.::.:.:::::: :i.::::::,:゙、:::::゙、::、::::゙、>'ヽ、::::゙、ヽヾ' \      ゙、 ___ i:.:.:::::::i ..::::!:::::|ヽヽ:::::| ゙、V::!'´ヽハ::|::::::``ー=-       ゙、     |:.: ::::|::::::::i:!::::i ,:i;-‐/ |ハ! !i'´ ̄リヽ:、ヾ´ _, -‐ ´     ゙、 -―- ! :::::::::|::::::::::゙、Xゝィノ  ノ     ;;;;;;;;; ゙、|ヽ!          ゙、     ゙、、:::::::i::::::::::メ、. >,::''´     、 ""  } ___        ゙、     ゙、、::::::i:::::::::、゙、 i!  ;;;;;;;;    __   /            /    '´ ゙、::::::゙、、:::::゙、ヽ、 """    し'   /           /   /  ゙、::::::::゙、ゝ、_:\_            /|         ____  /     |::/ヽ::::ヽ  ̄ _,、__ _   __ ノ\r-----――'´:.:.:.:.|.|.:.|`ヽ.、  /     レ / レヽ:: ̄:::::::::::`ヽ       \、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.|.:.:|  ゙、\ ゙、      /   ./ `ヽ/リヾ!゛`〉       r'\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.|.:.:|  ヽ ゙、 \  ゙、ヽ        /       /:.:ヽ、_  /` _,..-‐'ヽ:.:.:.:.:.:.:.://:.:i  \゙、|   ゙、 ヽ       /        /:.:.:.:.:.:.:.:`ー-<      \:.:.://:.:./ /  \ }}} ――なんと俺の目の前で、数字が1増えた。 ……本当に何なんだろうか、この数字は。 カン おまけ 京咲@帰り道 咲「ふーん、人の頭に数字、かぁ。……へんなの」 京太郎「『へんなの』は余計だ。で、はっきり言ってお前の数字が一番謎なんだよ」 咲「私?」 京太郎「そう。他の人は『0』かせいぜい『1』なのに、お前の数字だけやたらでかいんだよ。      今朝見たときは『3』だったんだ」 咲「ふーん」 京太郎「しかも、お前の数字はなんかどんどん増えてくんだよ。最初の休み時間に『4』になって、      昼休みに『5』になって、最後の休み時間に『6』になってさ」 咲「え……」 京太郎「んで、放課後の部活の時はさ、俺が来たとき咲はベッドで寝てただろ?      見たらなんかお前顔赤いし息荒いしで、熱でもあんのかなと思ってさ、      一応揺さぶって声かけたら、目の前で数字が『6』から『7』に増えて――」 咲「……!」 京太郎「――そんで今に至るって感じなんだが……って、咲?」 咲「~~っ///」 京太郎「???」 もいっこカン ※数字は一日当たりの回数ということでお願いします

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: