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二人だけの部室の中で京太郎は和に静かに問いかける。 京太郎「それにしても、なんだってあんなこと言ったんだ?」 和「・・・嫌、でしたか?」 京太郎「あ、いや・・・そういう訳じゃないんだ。・・・その、俺だっていきなり和にいなくなられたらどうなるか分からないし・・・」 和「・・・・」 京太郎「ただ、和にしては珍しく火に油を注ぐような事したなぁってさ・・」 こんな会話をしてるのには訳がある。 今日の昼休みに女子達から京太郎と和の関係は、等と問い詰められた事に始まった。 最初は冗談半分だったのが段々エスカレート、騒動も最高潮に達そうかとした所に和によるとどめのこの一言。 和「私は、須賀君無しでは生きていけません!」  燃え上がる嫉妬の炎、怪我人が出なかったのが不思議なくらいだった。 男子A「ゆ、許さん!絶対に許さんぞ須賀京太郎!じわじわとなぶり殺してやる!覚悟しろ!」 女子A「よろしい、ならば戦争だ」 男子はおろか何故か女子にまで恨みがましい視線を浴び、放課後になっても全く落ち着きそうになかったのでホームルーム終了と同時に急いで廊下を歩いていた和の手をとって全力疾走で部室に移動して今に至る訳だ。 和「・・・」 京太郎「まぁ、理由を言いたくなければ無理に聞こうとは思わないけどさ・・」 和「・・・・・・ら、です」 京太郎「え?」 京太郎は声が小さくて聞き取れなかった。なんて言ったのか、再び聞こうとした時。 和「あの人達に、須賀君から離れて欲しかったからです!」 京太郎「な・・・!?和、それってどういう・・・」 和「・・・あの時、須賀君の周りに居た女の子達の距離が、その・・・・須賀君に近すぎて・・・」 京太郎(・・・えぇと、それってつまり) 京太郎「ヤキモチ妬いちゃって、物理的に距離とって欲しくて、って事か?」 和「―――――――ッ!!」 唐突に図星を突いたからか和は真っ赤になって黙ってしまった。悪いことを言ってしまったかと京太郎は慌てて言葉を続ける。 京太郎「その、ごめん。ただ、あの時そういうの意識してた訳じゃ・・・」 和「わかってます、私が勝手にヤキモチ妬いただけですから。・・・けど、知ってました?須賀君って女子に結構人気あるんですよ?」 京太郎「・・・へ?おいおい、そんなのありえな・・・」 和「同学年の男子に比べて、顔立ちも良くて体も逞しいですし、雑用や料理も出来ますし、何より雰囲気が落ち着いてるって・・・・まあ、胸の大きな人を見るとだらしない顔になるのが玉に傷だと私は思いますけど・・・」 京太郎「う・・・」 和「詰め寄ってた女の子達、何人かは個人差はあっても須賀君に悪い感情を持ってなかった筈です。・・・そんな子達がそれこそ、キスだって出来そうな距離に居たって思ったら、急に何にも考えられなくなって・・・」 京太郎「そう、だったのか・・・」 学校の女子達にどう思われてるか、なんて京太郎はこれまで意識したことも無かった。 長い付き合いのある咲は単なる幼馴染みとしか思っていなかったし 麻雀部では色々な女の子と出会う機会があったが、百合百合した雰囲気の女の子ばかりで、京太郎など眼中にないといった様子だったため 京太郎は自分が女性に興味を持たれる男ではないと無意識のうちに思い込む様になっていたのだ。 だからこそ、実際は和を傷つける、とまではいかなくてもヤキモキさせる事はこれまでにもあったのかもしれない。 実際、そういわれて思い返してみればそうかも、と思い当たる事も少なくなかった。 和「・・・ごめんなさい、勝手に嫉妬して、須賀君に迷惑かけて。イヤですよね、こんな性格の悪い――」 京太郎「止めてくれ、和!」 京太郎の声にビクッ、っと固まる和。 京太郎(悪いけど最後まで言わせない、和は・・・俺と同じ辛い事や悲しい事を溜め込むタイプだから、 このままだとどんどん自虐的になって悪い方向に行ってしまいそうだ。 俺の前で好きな子を必要以上に卑下する発言は許さない、例えそれが・・・本人だったとしても) 和「す、須賀君!?」 京太郎は有無を言わさず抱きしめる。それに対してじたばたと抵抗する和。 京太郎「絶対に離さないぞ、で、ちょっと俺の話も聞いてくれないか?」 和「・・・はい」 京太郎「・・・ごめんな、俺、他の子にどう思われてるか、なんて気にした事も無かったから。どうせ俺なんかには興味なんてないだろうって・・・そんな風に考えてて。 多分、ずっと和に余計な心配かけさせてたと思う。これから他の子と話したりする時はある程度、節度をわきまえる様に心掛けるよ。 今日の事だって・・・俺が多分、無意識に余計な事してたってのもあるからだと思うからさ」 和「・・・」 京太郎「それに、俺が胸を張って和の事が好きだ、って言ってればここまで大事にならなかったのかもしれない。コソコソしないで堂々と。 明日から、似たような事聞かれたら絶対にこう言うよ。『俺は、須賀京太郎は、愛する原村和無しでは生きていけません』ってさ」 和「・・・・・!」 京太郎「正直、明日から学校に居づらくなったりとかあるかもしれない。考えたくないけど、嫌がらせとかあるのかもしれない。けど、和の事は俺がしっかり守るから、だから・・・・明日からも、よろしくな?」 ・・・返事は無い。 けど、和が震えてるのが京太郎には分かる。 和「・・・ホントに、私で、良いんですか?」 京太郎「当たり前だ、言っておくけど咲や優希や部長や染谷先輩と比べてどうこう、なんて言わないでくれよ。皆が持ってない物を和は持ってるんだし・・・・何より、俺にはお前以外なんて考えられないんだ」 和「―――!・・・・あ、ありが・・・とう・・・・ありがとう・・・ございま・・・す・・!」 最後の方は嗚咽で言葉になっていなかった。 やっぱり、和は色々と溜め込んでたみたいだ。少しでも彼女の胸のつかえが、涙と一緒に流れてくれる事を京太郎は願うばかりであった。 和「・・・ありがとうございます須賀君、大分、すっきりしました・・・」 京太郎「そっか、良かったよ」 泣きに泣いたせいか、和は大分落ち着いたみたいだ。 京太郎「何かあれば直ぐ言ってくれよ、俺にできる事なら何だってやるから。 俺に言いづらければ咲や優希、部長や染谷先輩、嫁田の奴とか皆居るんだしさ。・・・その、俺を頼ってくれればまぁ一番嬉しいけどな」 和「ふふ・・・はい、分かりました。」 和は普段の調子が戻って来た様子で、もう大丈夫みたいだと京太郎は心の中で思う。 京太郎「じゃ、もう明日から大丈夫だよな?」 和「はい・・・一杯、泣きましたから。・・・それと、泣いたのって色々あったのと他に嬉しかったから・・・って言うのもあるんですよ?」 京太郎「え?」 和「ああいう風に・・・好きだ、俺にはお前しか居ない、って。・・・あなたに言ってもらえて、本当に嬉しかったから」 京太郎「・・・そっか」 そう言って見せた和の笑顔は満点、京太郎の方が逆に赤面してしまうくらいである。 京太郎(良かった・・・和には笑顔がやっぱり似合う) 京太郎「じゃ、そろそろ皆も来ると思うし部活の準備でもしようぜ。・・・あんまり自分の中に色々溜め込むなよ、和。一人で悩んだって・・・・逆に自分を追い詰める事になるから。俺や皆を頼ってくれ・・・頼る事は、恥ずかしい事じゃない・・」 和「はい、ありがとうございます・・・須賀君。そして、これからもずっと、宜しくお願いします」 京太郎「勿論、こちらこそ宜しく頼むぜ和!」 そして次の日。 結果から言えば京太郎の心配は杞憂だった。 朝、登校するなり昨日騒いでいた皆から謝罪を受けたのだ。 騒動の一部始終を知った久と咲を筆頭に優希やまこに嫁田、そして何処からか現れた謎の黒い執事がそれぞれのやり方で、放課後から今日にかけて事態を沈静化させといてくれたらしい。 女子A「リンシャンリンシャンリンシャンリンシャンリンシャン・・・・」 男子A「黒い執事が僕の・・・・・に!痛い!止めて~!」 ・・・・少しばかり錯乱している生徒が数名いたが自業自得というものだろう。 カン!

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