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「淡は流石だなあ」 キョータローの部屋に遊びに行ったある日のこと。 突然、キョータローが私に向かってそんなことを言った。 私はカピーちゃんを撫でる手を止めてキョータローに向き直る。 「いきなりなに?」 あっ、もしかしたらちょっと前の都大会で優勝したことを言っているのだろうか? むふふ高校102年生の凄さ、やっとわかったか!お菓子を貢ぐというのなら受け取ってもよいぞ。 「いや、カピーがそんなにすぐなつくのはじめて見た」 「ほへ?」 「わりと人見知りなんだよそいつ。だから優希とか和がうちに来ても逃げ回るんだぜ」 …そんなものなのだろうか。 ちょっと遊んでたらすぐになついた気がするが。 カピーちゃんのあごをくすぐると、ゴロンと腹を見せて寝転んだ。 かわいい。うりうり。 あれ、スルーしかけたが、今、私の彼氏は下の名前で女の子を呼んでいなかったか? 和と優希…確かキョータローの同級生だったような。 むー。面白くない。 「あっでもカピーがそうなるやつが一人いたな」 「へ?」 「咲だよ、咲。あいつにもいつも甘えまるんだよね。家族だと思ってるのかな?」 「…知らない」 私は手を止めて、プイと首を背けた。 朴念仁だと思っていたがまさかここまでだとは。 というか今の口ぶりだとよくこの家に来ているようではないか。 キュッ?と不思議そうな瞳を私に向けるカピーちゃん。 そして、キョータロー。 はあ…とため息をつく。色々きょーいくのしがいがありそうだ。 「あのねキョータロー」 私はベッドに腰掛けている彼に正面から抱きついた。 なんとか座位という体勢だ。たかみーが言ってた。 「お、おいいきなり」 「彼女の前で、他の女の子の話をするときは気を付けなさい」 彼の瞳をじっと見つめる。 キョータローは目を見開いたあと、眉を下げて「ごめんな淡」と言う。 …犬みたい。そう思いながら私は彼にキスをする。 「ちゃんと気を付けるんだぞっ!」 おしまい。

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