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北海道、秋が近付いてきた9月の休日の事。 ガサゴソガサ… 須賀京太郎はかなり焦っていた。 京太郎(やばい…『アレ』がねぇ…) 京太郎は汗を垂らし、自室の中をあちこち漁りながら唸っている。 京太郎「うーん…、確かにこの辺りに隠したはずなんだけど……」 ゴソゴソゴソ 京太郎「やっぱり無いなぁ…別の場所に隠したっけ…?」 そう呟いた直後。ガチャリ、とドアが開き由暉子が顔を出す。 由暉子「京太郎君、買出しに行こうと思うんですけど、何か買っておく物ありますか……って何焦ってるんですか?」 京太郎「い…いや、焦ってなんかナイデスヨ?」 由暉子「…というよりも、何か部屋の中が空き巣に入られたかの如く荒れてるんですが…」 京太郎「え?あ、ちょ…ちょっとした探し物を…な…」 汗をポタポタ流しながら話す京太郎の様子に、眉を少し寄せて訝しむ由暉子。 由暉子「探し物って……それにしてもさっき掃除したばかりなのに少し散らかしすぎじゃあありませんか?」 京太郎「ご…ごめんなユキ、見つけたらすぐに片付けるから…」 由暉子「もう…京太郎君ったら…、それで買出しなんですけど…」 京太郎「あーっと…特には無いかな」 由暉子「分かりました、それじゃ行ってきますね」 京太郎「うん、気をつけてな」 パタン 京太郎「ふ~~~~…、何とか『アレ』を探してるのにはユキに気づかれなかったな」 ほっとした顔で呟きながら再び探し物に戻る京太郎だったが。 京太郎(うん?でも、待てよ…?) 机の周りをもう一度探そうとした所でふと京太郎は手を止める。 京太郎(…ユキが掃除したって事はもしかしたらその時『アレ』を見つけて、あの真面目なユキならそのまま捨てるって事も……) そう考えるうちに、京太郎の顔の焦りの色が段々と濃くなっていく。 京太郎(まずい…まずいぞ須賀京太郎。…捨てられる事以前に『アレ』をユキに見つかるのは…爽先輩とかならまだしもユキの場合どうなるか…) ガチャリ 京太郎「ヒイッ!!?」 由暉子「そうそう言い忘れてたんですけど…」 何やら妙な笑顔を浮かべながら由暉子がゆっくりと入ってくる。 京太郎「な・・・なん・・・だしょうか…?」 由暉子「京太郎君のベッドの下にあった『あの本』ですけど、全て捨てておきましたから」 その言葉を聞いた瞬間、京太郎の顔から血の気がスッと引く。 京太郎「え…っと、その…由暉子さん……」 由暉子「京太郎君には私がいるんですから『あんな本』なんか全く必要ないですよね?」 愛らしい満面の笑みで言う由暉子。だが…由暉子から発せられているゴゴゴゴ…と聞こえてくる様な凄まじいオーラが彼女の心境を伝えてくる。 京太郎「は…はひ…」 由暉子の笑顔に答えるように、引き攣りまくった笑顔で答えるしか出来ない京太郎。 由暉子「よろしい、それじゃあ買い物行ってきますね」 京太郎「はい…行ってらっしゃいませ…由暉子様…」 パタン 再び一人、部屋に残される哀れな少年…須賀京太郎。 京太郎(終わった…) あそこまでの笑顔を浮かべる時の由暉子は大抵がかなり怒っている証拠である。 京太郎「はは…は……あはははははぁ………ハァ…」 取り合えず渇いた笑いを上げ京太郎は嘆息する。今日は由暉子によって処分された数多の『おもちコレクション』に対する言い訳と、どうやって由暉子の機嫌を直すかで悩まないといけないなと京太郎は思うのであった。 カンッ

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