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カチャリ、と部室のドアを開けて和が中に入る。居るのは部室のベットでぐっすり眠っている京太郎。 和「はぁ・・・やっぱりですか」 和が溜息一つ漏らして時計を見やると午後5時をいくらか過ぎた辺り。15歳の男子が眠るにはあまりに早すぎる時間。 和はズレていた布団をかけ直し、開け放たれていた窓を閉める。 和「いつも頑張りすぎですよ、須賀君は・・・」 和は知っている、京太郎が雑用をこなす傍ら寝る間も惜しんでネット麻雀をしている事を。 雑用なら自分や咲や優希に一言声をかけてくれれば喜んで手伝うし、練習にも付き合うというのに。 京太郎『俺みたいな初心者がこれ以上、皆の足を引っ張りたくはないしな』 と、言い張って聞かなかったのだ、この須賀京太郎という男は。 和は雀卓から椅子を引き寄せて、京太郎の隣に座り、何とも無しに頭を撫でる。 この人は全国大会の中で、私達を見守ってくれた、影から支えてくれた。 だからこそ、私は今でも長野にいる事が出来る。大切な友人達と一緒にいられる平穏なこの時がある、今はこれ以上は望まない。 ―――けれど、それでも 和「休みの日くらい、二人で何処かに出かけたりしたいんですけどね・・・いえ、それだけじゃありません。 出来る事なら、毎日一緒に下校をしたい、毎日一緒にお昼を共にしたい。 そしてそ・・・・その、須賀君が・・・の、望んでくれるなら、夜を共にしたって・・・か、構いません。 貴方に抱きしめて欲しい、貴方にキスして欲しい、私を貴方の色に染めて欲しい、貴方の物にして欲しい。 ・・・だって、貴方は、私の全てだから」 ―――せめて、 私の『心』から溢れた本音を眠る貴方に注ぐ行為を、今だけは許して貰えますか? 和「・・・夢物語なのは、判ってます。 だから、体にだけは・・・気をつけて下さいね」 京太郎の頭を撫でていた手を離し、そう言い残して和が部屋を後にしようとした、その時だった。 京太郎「・・・の、どか・・」 不意に、名前を呼ばれる。 ―――まさか、起きてた? 心臓が跳ね上がる思いで和が振り返る。 京太郎「ずっと、一緒だからな・・・」 その言葉を聞いた和は「須賀君…」とかすれる声で呼びかけるけど、返事はない。 寝言だろうか、彼の表情は影で見えず、和自身も近寄って確認する勇気も無かったのだが。 和「はい、絶対に離さないで、下さいね・・・お休みなさい、須賀君」 そう、返事を返して和は部屋を後にしたのだった。 彼女が去って、30分程経った麻雀部。 窓の隙間から夕焼けの明かりのみ差し込む、その部屋に。 京太郎「・・・今更、頼まれたって離すもんかよ、今の幸せを」 そうぽつりと呟いた京太郎が後日、和と休日を二人で過ごしたのは別の話。 カンッ

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