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京太郎「何でもいいから、そろそろ行動起こさないと……」14」(2015/08/17 (月) 20:40:11) の最新版変更点

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京太郎「ナンパしたのに結局やり込められた気がする……大阪恐るべし」 京太郎「ターゲット変更……次はあの子にするか」 京太郎「おねーさーん、俺と一緒に飯でもどうですか?」タッ 雅枝「すまんなお兄さん。急いどんや、ナンパなら他あたってな」タッタッ 京太郎「そんなツレないこと言わずに……」 雅枝「ほんま勘弁したってな」タッタッ 京太郎「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいですから」 雅枝「やからアカン言うとるやろ。何度も言わせんといてや」クルッ 雅枝「帰ったでー」 洋榎「おけーりーオカン」 絹恵「お帰りオカン」 雅枝「ご飯つくっとる間、そこでゆっくりしとき」 京太郎「は、はい……」 洋榎「………」 絹恵「………」 京太郎「………」 京太郎(こっ、子持ちぃぃ!!?) 洋榎「誰やねんアンタ」 絹恵「いきなりアンタは失礼やでお姉ちゃん」 洋榎「せやけど見てみー絹、コイツ……」ジー 洋榎「如何にもナンパ顔しとるで」 京太郎「な、ナンパ顔!?」ガーン 洋榎「じょーだんじょーだんや!あのオカンが連れてきたんや、そんなはずあらへんもんな!」 絹恵「……」 洋榎「ん?どないした絹、そんな顔真っ赤にして」 絹恵「ねぇ、お姉ちゃん……この人私がもろーてええんやろか?」 洋榎「は?」 絹恵「どないしよーお姉ちゃん!私、この人に惚れてしもたわ……」 洋榎「んな!?」 京太郎「!?」ギョッ 洋榎「ア、アホ抜かせ絹!どないしたんや!?」 絹恵「そう言われて分からへんわ!ただ、この人見た瞬間心臓がめっちゃはよーなったんや……」 絹恵「これまさか恋……」 洋榎「ちゃう!そんなチョロいでアカンで絹!!」 雅枝「アンタらご飯できたでー。テーブルのうえのモン片しといてや」 洋榎「ああ、ちょうどよかったオカン!」 雅枝「騒々しいなー、いつものことやけど。どないした?」 洋榎「絹がこのボンクラに惚れたとかアホなこと抜かしとるんや!なんか言ったってーな!」 雅枝「……なんやて?」 雅枝「ええことやん」 洋榎「は?」 雅枝「娘が恋愛するんは親としても嬉しいんやで?」 雅枝「オトンは怒るかもしれへんけどなー」 洋榎「なんでやねん!絹はそれでええんか!?」 絹恵「ええよ」ポッ 洋榎「…」 京太郎「ほうほう」 京太郎(俺はこのお姉さんを狙っていたつもりがいつの間にかその娘さんに狙われてしまったと?) 京太郎(ええー…なんだそりゃ) 洋榎「もー分かった!分かった認めるわもう!」 洋榎「で、お兄さんは絹の言葉に何て返事するんや?」 京太郎「!」ビクッ 洋榎「……妹泣かせたら許さへんで?」 雅枝「同感や」 絹恵「お、お姉ちゃん!オカンも!」 京太郎「って今しなきゃダメなんですか!?」 洋榎「当たり前やん。男なら決めるトコ決めんかい」 京太郎(んな無茶な……くっそもうヤケだ) 京太郎「じ、じゃあ……」 京太郎「それじゃ……」 絹恵「…」ビクッ 京太郎「お願いします」ペコリ 絹恵「……!」 絹恵「ほ……ほんまに?ええの?」 京太郎「はい。俺も最初はちょっと圧力かかってたんでヤケだったんですけど」 京太郎「絹恵さん?よく見ると美人だしさ」 絹恵「はうっ」カァァ 京太郎「それに、関西弁の彼女って、なんか可愛いじゃないですか」ハハ 洋榎「それうちも入るんかなー?」ワクワク 雅枝「よかったな絹。幸せになるんやで」 絹恵「うん!めっちゃ嬉しい!」 京太郎「はは……」 京太郎(大阪に遊びに来たつもりがおかしなことになったな) 京太郎(ま、まぁ結果的にナイスバデーな女の子と付き合えるようになったんだしいいか!) ―――――――― ハギヨシ「と、いった様子になっております」 透華「……なるほど」 ハギヨシ「いかがなさいますか?透華お嬢様」 透華「愚門ですわね。決まっていましょう」 透華「人の物に手を出すことがどんな報いを受けるのか……」 透華「そのお方には身を持って知ってもらいますわ」 ハギヨシ「かしこまりました」 透華「ハギヨシ、お金に糸目はつけませんわ。あらゆる組織にアポを取りなさい」 透華「解剖して薬漬けにして機械で弄ってすり潰してドロドロになるまで」 透華「いやそれでも足りませんわね…」ブツブツ ハギヨシ「…………」 ハギヨシ(私は透華お嬢様の忠実な執事……そこに一切の感情を入れることなど愚の骨頂) ハギヨシ(し、しかしあまりにこれは…いかがなものでしょうか) ハギヨシ「かしこまりました……透華お嬢様」 ハギヨシ「では名のある者を五名ほど用意し向かわせます」 ――――――― ―――――― 絹恵「なぁ、京太郎いつまでこっちおれるん?」 京太郎「一週間滞在予定なので、あと五日ですね」 絹恵「あとたった五日なんか……さみしくなるなぁ」 京太郎「大丈夫ですよ。またすぐに会いにきますって」 絹恵「ほんまに?」 京太郎「本当に」 絹恵「……そっか!なら次会う時まで寂しくないように」 絹恵「五日のうちにできることたくさんしとかへんとな!」 京太郎「はい!」 黒服「突然ですがすいませんそこのお二方、ちょっとよろしいでしょうか?」 絹恵「え?」 京太郎「?」 黒服「いや、厳密にはそこの女性に用があるのですがね」 黒服「……ちょっと死んでもらえないかと」ギラッ 京太郎(ナイフ!?) 絹恵「!」 京太郎「っ!危ない!!」 絹恵「ふん!!」ボッ 黒服「うげぁッ!!」 絹恵「いきなりなにすんねんボケ」バキッ 絹恵「あぶないやろー!!」ガッ 黒服「がッ!!」 京太郎(お、女の人の脚力じゃない) 京太郎(……ムエタイでもやってたのか?) 京太郎「き、絹恵さん……もうそれぐらいでやめてあげてください!」 絹恵「はあ!?」 京太郎「その人、もう半分ぐらい死んでますよ!」 絹恵「………!」ハッ 絹恵「ご、ごめんなさい!私……」 京太郎「いいんですよ。絹恵さんが無事なら俺はそれ以上なにも言いません」 黒服「……」 絹恵「そ、それでコイツどないしょーか」 京太郎「とりあえず縛って交番の前に置いときましょう」 絹恵「せやな………にしても怖かったわぁホンマ」 京太郎(俺はあなたの方が怖かったですがね。これからは絹恵さんは怒らせないようにしておこう) 絹恵「送ってくれてありがとな京太郎」 京太郎「今日はもう絶対家から出ちゃダメですよ!」 絹恵「分かっとる。心配性やなー京太郎は」 京太郎「あんなことがあった後じゃ心配になりますって……」 絹恵「大丈夫や、ちゃんと守るから安心し。京太郎はほんまにウチに泊まっていかんでええんか?」 京太郎「流石にそれはちょっと」 絹恵「お姉ちゃんもオカンもええって言ってるで?」 京太郎「お気持ちだけ受け取っておきます」 絹恵「むー」 京太郎「明日の朝一番に迎えに行くんで、それで勘弁してもらえませんか?」 絹恵「……絶対やで!嘘ついたら針千本のますで!」 京太郎「絶対に迎えに着ます。約束です」 京太郎「………」 トントン 京太郎「?」 純「よっ!」 京太郎「い……井上さん!?どうしてここに!?」 純「詳しい話は後だ!とにかく今は長野に戻って来い!」 京太郎「へ!?どうして?」 純「だから詳しい話は後だ!とりあえず今は素直にコッチ戻ってきてくれねーか?」 純「お前が長野に戻って来ればあの子の命は絶対に保障する。それは絶対だ!」 京太郎「……なんでその事を!」 純「はい、か、いいえか早く選べって!!時間がねーんだ!」 純(こんなことやってるって透華にばれたら……) 京太郎「……お、俺は」 京太郎「……分かりました」 純「よし、そんじゃすぐに!」 京太郎「でも連れて行きたい人が……二人程いるんですが」 純「……」 純「お、おい…まさかとは思うがオメー!」 京太郎「絹恵さんと洋榎さんを龍門渕に連れて行っていい条件なら、行きます」 純「はぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 純「ばっか言ってんじゃねーよ!んなこと!」 京太郎「ダメなんですか?もしダメなら理由を教えてください」 純(そりゃ透華がいるからに決まってんだろーが!) 純(そんな火にガソリンぶちまけるような真似してみろ……終わりだぞ) 純(いや待て……コイツのいる前で透華もそう派手には動けない筈だ) 純(木を隠すなら森の中って表現はどうかと思うが……そう考えたら逆に安全なのか?) 京太郎「井上さん?」 純「……わーったよ。連れて来い」 京太郎「!」 純「ただし、ちゃんと親を説得できんならな」 ――――――――――― 京太郎「というワケで、娘さんを僕にください!」 雅枝「…」 絹恵「ええええーーーー!!帰ったんじゃなかったん!?」 京太郎「気が変わりました」 洋榎「おいコラナスビ!絹はまだ高校生やしお前も高校生やろ!」 京太郎「あとできればお姉さんもください(安全の為に)!!」 雅枝「――」 絹恵「――」 洋榎「へっ?」 京太郎「俺、お姉さんの事も絹恵さんと同じぐらい大事に思っています!」 京太郎「だからお願いします!長野まできてください!」 絹恵「……お姉ちゃんどういう事やねん?」 洋榎「し、知らんわ!こんのパツキンてきとー言うなや!」 洋榎「オカンなんか言ったれ!!」 雅枝「せやなぁ……」 雅枝「二人にそれぞれ平等に愛情を分けることができるならええよ」 洋榎「アホちゃうかアンタ!絹はそれでええんか!?」 絹恵「……ええで私は」 洋榎「なっ!」 絹恵「麻雀は勝てへんけど……女としてお姉ちゃんに負けてる部分はあらへんもん私」 洋榎「おっ?」カチン 京太郎「お姉さん」 洋榎「なんや!?今取り込み中」 京太郎「俺は十分洋榎さんは魅力的だと思います。どうしてもダメですか?」ガシッ 洋榎「うっ……そ、そないな眼でみても」 洋榎「はぁ、しゃあないなー……そこまで言うなら」 京太郎「言うなら?」 洋榎「妹を守るのも姉の役目や。ついてったるわ」 絹恵「お姉ちゃん……」 洋榎「見とけや絹?さっきの言葉撤回させるからな!」 絹恵「じゃあ早く彼氏つくらんとなぁ」クスクス 洋榎「おぅ、表でろコラ」 雅枝「こんな娘達やけど、よろしく頼むで」 京太郎「はい。任せてください」 雅枝(できれば私も行きたいんやけどな……最近部活の生徒が倒れたりやらで忙しゅうてかなわんわ) 雅枝「ほな、確かに預けたでお兄さん」 ―――――――――― ――――――――― ―――――――― 咲「お帰り京ちゃん、久しぶりだね」 京太郎「おう咲。一週間ぶりだな」 咲「大阪はどんなトコだった?」 京太郎「そうだな、一言で言えば……混沌?」 咲「な、なにそれ?」 咲「……あ、そう言えば今日大阪から二人転校生が来るって!すごい偶然だね」 京太郎(帰りに井上さんから聞いたけど……絹恵さんが誰かに命を狙われてるって話も大概だけど) 京太郎(まさか透華さんが俺のこと好きだったなんてなぁ……) 咲「京ちゃん?」 京太郎(あんな可憐なお嬢様が……) 京太郎(……っといかんいかん!俺には彼女がいるんだ!) 咲「ねぇ、京ちゃん?まさかとは思うけどさ」 咲「あっちで彼女とか作ってないよね?」 京太郎「!?」ビクッ 咲「どうなの?」 京太郎「ど、どうしてそんなこと聞くんだよ?」 咲「京ちゃん前に時に言ったよね」 咲「"眼が離せない幼馴染がいるから女の子とは付き合わない"って」 京太郎「……言っ…たな」 京太郎(うわぁぁぁーーーしまったぁぁーー!んな事言ったのすっかり忘れてたぁぁー!!) 京太郎「えっと、それはだな咲!」 京太郎(な、なんて説明すればいいんだ!?) 咲「……ふふっ」 咲「あはは、ごめんね京ちゃん。ちょっと反応面白くてからかっちゃった」 京太郎「えっ?」 咲「本当は私だって分かってるよ。京ちゃん優しいからそういう事言ってくれたんだって」 咲「それに私は京ちゃんの一ファンに過ぎないからね」ニコッ 京太郎「………」 咲「さ、早くいこ京ちゃん!遅刻しちゃうよ!」 京太郎「咲は俺の事、どう思ってるかしらないけどさ」 京太郎「俺は咲のこと……」 京太郎「大事な"友達"だと思ってるよ!」 咲「……はぁ」 咲「友達、なんだね」ボソッ 京太郎「え?」 咲「ううん、なんにもないよ。早くいこう」 京太郎「いやでも今なにか言ったような……」 咲「いいから!!」 京太郎「うお!」ビクッ 咲「……ごめん。怒鳴っちゃって」 咲「私、先に行くね」タッ 京太郎「あ、おい咲!」 教師「であるからして、恋に狂った少女たちは男を呪ってー」 京太郎(ビックリした……あんな咲みたの初めてだな) 京太郎(はぁー、授業にも全然集中でじきねーし誰かに相談してみるか) 京太郎「天江さん」 衣「うにゅ?」クルッ 京太郎「お久しぶりです」 衣「おお、きょーたろーではないか!」ピョーン 京太郎「うおっと」ガシッ 衣「お前がいない間、ずっと衣は無聊を託っていたんだぞー」スリスリ 京太郎「……あの、天江さん」 衣「なんだ?」クンクン 京太郎「ちょっと相談したいことがあるんですけど、いいですか?」 衣「なるほど、友達と言ったらその娘は憤慨したと」 京太郎「はい……それでなんで怒ったかは俺には分からなくて」 衣「むぅ、衣は友達と言われたら喜ぶが……」 衣「すまない京太郎。衣には少し分からない」 京太郎「はは、いいんですよ。聞いてくれただけでもすっきりしましたので」 京太郎「今日はありがとうございました、じゃあ俺はこれで」 衣「気にするな。またいつでも来るがいい」 衣「………」ハッ 衣(待て。せっかく二人きりになれたのに、このまま帰していいものか……?) 京太郎「……」スタスタ 衣(千載一遇とはまさにこの事!かくなる上は) 衣「……待て京太郎!」 京太郎「?」 衣「その、衣は……衣は京太郎が好きだ!」 京太郎「はは、俺も天江さんのこと好きですよ」 衣「そういう好きではないのだ!」 衣「衣は一人の女として京太郎が好きなんだ!」 京太郎「えっ」 衣「一目惚れなどどいう言葉、信じてなどいなかったが……まさか自分自身が体験することになろうとはな」 京太郎「ちょ、ちょっと待ってください!」 京太郎(こ、告白は嬉しいけど俺には絹恵さんという大事な彼女がいるし) 衣「自分で言うのもおかしな話だが衣はそんなに気が長いほうではない」 衣「だから、今この時返事が欲しい………どんな返事でも衣は後悔しないから」 京太郎「……」 京太郎(変な事考えずに断るしか……変な事考えるなよ俺)ドキドキ 京太郎「さすがに三股は……」 衣「…」 京太郎「!」ハッ 衣「大層、荒唐無稽で面妖な単語が聞こえた気がしたのだが」 京太郎「い、いやいや!今のはちょっとした冗談ですって!」ハハ 衣「……」ジーッ 京太郎「うっ」 衣「……」ジトー 京太郎「す、すいません!実は俺他にお付き合いしてる女性が二人います!」 衣「……やはりか。あくまで机上の空論だったで外れてほしかったのだが」ハァ 京太郎「やはり?」 衣「なんとなくだが分かっていたよ」 衣「衣と透華が惚れたんだぞ?そんな男を他の女が放っておくものか」 京太郎「それは買い被りすぎじゃ……」 衣「一応聞いておきたいが、に誰と誰と付き合っているんだ?衣の知ってる者か?」 京太郎「ええと、どうなんでしょう?一人は愛宕絹江さんっていう大阪で知り合った人なんですが」 衣「愛宕絹恵か……衣は知らないな」 京太郎「もう一人は」 京太郎「大阪の姫松高校の監督さんです」 衣「監督!?大人とまで付き合っているのか?」 京太郎「はい……最初はただ連絡取り合う関係だったんですど、いつの間にか遠距離恋愛になってました」 衣(透華や衣、清澄の黒糖だけでなく短期間に西にまで手を伸ばしていたとは……) 衣(なんと恐ろしき魔性の男よ。衣ですら背筋が凍る) 京太郎「まぁ、三股でもいいのなら天江さんともお付き合いできますけど」 衣「なっ!」 京太郎「あっ、ちなみに三股なのは黙っててくださいね?こればれたら色々とまずいので」 衣「冗談じゃないぞ!衣は京太郎が他の女と仲睦まじくしてるところなど見たくない!」 衣「京太郎は衣だけの京太郎がいいんだ!」 京太郎「んー……そう言われてもなぁ」 京太郎(ここにも困ったお姫様が一人か。でも確かにそこまで好きになってくれるのは嬉しい) モブ「あ、こんなとこにいた須賀くん。おーい!」 京太郎「?」 衣「誰だお前は!今衣と京太郎は大事な話を!」 モブ「ハンドボールの遠征先決めるから、至急集合だってさ!」 京太郎「な、なんだって……!?」 京太郎「じゃ、じゃあ!全国の強い奴らと戦えるのか?」 モブ「うん!」 京太郎「……」 京太郎「……天江さん」ユラリ 衣「な、なんだ?」 京太郎「すいません、俺……」 京太郎「1にハンドボール、2にハンドボール、3に恋愛なので」 京太郎「この話はまた今度じっくり!」ダッ 衣「ふぇ!?」 京太郎「よっしゃーーー!ワクワクしてきたぞーーーーー!!」 衣「……」 衣「……衣、なにか悪いことしたのかなぁ?」グスッ ―――――――― 京太郎「で、遠征先ってどこよ?」 モブ「聞いて驚いてね。去年全国優勝した」 モブ「白糸台高校」 京太郎「!?」 モブ「なんでも、今年も前人未到の全国3連覇を果たそうとしているらしいよ」 京太郎「……ああ、知ってるぜ」ゴクッ 京太郎「ハンドボールやってる奴なら誰でも知ってる絶対王者校……!」 ――――――――― ―――――――― 顧問「相手は全国王者だ!だが胸を借りる気持ちではなく倒すつもりでいけ!」 京太郎「おぉ!!」 オオーー!! 京太郎「疾きこと風の如く」 ナンダアレ ハエー! 京太郎「侵掠すること火の如し!!」 ネットツキヤブッタゾ!? 京太郎「動かざること山の如く」 ディーフェンス!! 京太郎「動くこと雷霆(らいてい)の如し!!」 キエタ!? 京太郎「フハハハハハハ!!」 誠子「全国王者がこうもあっさりやられるなんて……」 淡「す、すごい……すごいよあいつ!!」」 菫「ハンドボールやれよ」 照「………」 淡「ねぇテルー!あいつやばくない!?」 照「……」ポー 菫「おい」       コレガ ゾーンカ!? 照「!」ハッ 照「……別に」     イヤチガウ!コレハ…? 淡「はっはーん」ニヤニヤ 照「な、何?」     テ,テンイ ムホウノ キワミダ!! 淡「さては……惚れたね?」 照「っ」カァー 淡「おお!テルーでもそんな顔真っ赤にするんだ」 菫「よせ淡」ポコッ 淡「いてっ」 菫「照、恋する乙女になるのはいいが分かってるな?」 菫「部長としてじゃなく友達として言うが、三連覇がかかった大会前に変な気は起こすなよ」 照「……」 照「分かってる」 菫「まぁ、そうか。そんな事お前が一番分かってるよな」 菫「変な事言ってすまな……」 照「だから私、麻雀辞める」 誠子「!?」 尭深「!?」 淡「えっ…」 菫「……おい」 菫「冗談でも言っていいことと悪いことがある。誰に聞かれてるか分からんぞ?」 照「冗談なんかじゃないよ菫。私本気だから」 照「麻雀にさえ縛られなくなったら私、あの人と仲良くしてもいいんだよね?」 菫「……」ガッ 照「殴りたいなら殴ってもいい」 京太郎「やっぱり楽しいな、ハンドボール。後半も頑張ろ」 ギャーギャー 京太郎「ん?なんだ騒がしいな?」 菫「お前にとって……照にとって麻雀は!そんなものだったのか!?」 誠子「待ってください菫先輩!暴力は……!」 京太郎「えええーーーー!」 京太郎「うわわわ!!ちょ、ちょっと待った!!」 バキッ 京太郎「ふごっ!?」ドサッ 照「!?」 菫「なっ!」 京太郎「いてて……」 京太郎(女性って普通平手じゃないのかよ!奥歯何本か折れたぞ!) 淡「さっきのパツキン!?」 京太郎「事情は知りませんが喧嘩はダメですよ。それも女性同士でなんて」 尭深「血が…!」 京太郎「大丈夫ですって、こんなもん唾をつけとけば治りますよ」 菫「な、なんと言ったらいいか……!本当にすまない、今すぐ保健室に」スッ 照「触らないで」バシッ 菫「っ!?」 照「この人に触らないで」 菫「……」 照「立てる?」 京太郎「なんとか……フラフラしますけど」 照「一緒に保健室行こう。私が支えて行く」 京太郎「すいません、ご迷惑おかけします」 菫「……私は部長失格だな」 誠子「そ、そんなことないですよ!なぁ大星!?」 淡「えっ?私?……あ、ああ!そーですよ菫先輩!」 尭深「!」オロオロ 菫「いいんだ。そんな気を使ってくれなくても」 京太郎「いたたたっ!」 照「ごめん。痛かった?」 京太郎「い、いや……ちょっと消毒が沁みただけですから続けてください」 照「分かった、なるべく優しくする」グリグリ 京太郎「いででででっ!!」 京太郎「それで、どうして喧嘩なんてしてたんですか?」ヒリヒリ 照「……話すと長くなる」 京太郎「あっ、無理に言わなくてもいいですよ。俺は所詮部外者なワケですし」 照「ごめんなさい。それと………できるなら菫を責めないでほしい」 京太郎「すみれ?」 照「君を殴った人」 照「だけど悪いのは全部私だから。菫は何も悪くない」 照(ただこの人に触ろうとした時は許せなかったけど……) 京太郎「責めるも何も、俺が勝手に割り込んだだけじゃないですか。だからあなたも悪くありませんって」 照「でも私があなたを傷つけてしまったことは事実。何か償いをさせてほしい」 京太郎「いや本当にいいです、悪いのは俺なんですから」 照「………」ジッ 京太郎「うっ」 京太郎(そんな事言われてもパッと思いつかねぇよなぁ……んー、それじゃ) 京太郎「腫れが引くまでそばにいてくれませんか?」 照「……そんなことでいいの?」 京太郎「はい。そんなことで十分嬉しいです」 照「分かった」 京太郎「……」 照「……」 照「お菓子食べる?」 京太郎「すいません、口の中が血だらけなので食べれません」 照「あ…そっか」 照「じゃあ、何か本読む?面白い小説あるけど」 京太郎「俺アウトドア派なんで本はちょっと……ごめんなさい」 照「……」 照「……えーと」オロオロ 京太郎(かわいいなこの人) 照「好きです、付き合ってください」 京太郎「……」 照「あっ」 京太郎「……はい?」 照「……」 京太郎「ジョークですよね?そうですよね?はは、もう意地が悪いなぁ!」 照「……うぅ」カァァ 京太郎(えええー……ジョークの反応じゃねーぞコレ) 京太郎「え、えーと……」 京太郎「いや、無理かな」 照「っ!」 京太郎「いきなりってのもありますけど……」 京太郎「あなたのこと、ちょっとそういう風には見られません……すいません」 照「……そう」 照「ごめんなさい、変なこと言って」 京太郎「いや、お気持ち嬉しかったです。ありがとうございました」ペコリ 照「……」 京太郎「い、痛みもひいてきたんで……じゃあ俺、これで戻ります」 照「……うん」 京太郎「それじゃ、お先に失礼しますね」 ――――――― 京太郎「ビ、ビックリした。いきなりあんまこと言われるとは思わないだろ普通……」 京太郎「でも可愛かったしちょっと勿体無かったかなぁ……ってダメだダメだ!俺には絹恵さんと郁乃さんがいるじゃないか」 京太郎「それにこれから後半戦なんだし、気持ち切り替えねーとな」 ゴツン 京太郎「ほわい!?」 ?「いたっ!!」 京太郎(や、やば!考え事しすぎて誰かにぶつかっちまった!) 淡「ううー……いたぁい!!」 京太郎「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」 淡「大丈夫なワケあるかー!」ウガー 京太郎「ヒエッ!」」ビクッ 淡「……ん?ああー!さっきのパツキンじゃん!」 京太郎「え?」 淡「丁度良かったー、菫先輩から"照だけじゃ心配だから様子見て来い"って言われてきたんだけど」 淡「その様子じゃダイジョブウそうだね」 京太郎「まぁ、だいぶ痛みはひきました」 淡「それで、テルは?」 京太郎「あー、えっと……まだ保健室に」 淡「ってことは置いてきたってこと?」 京太郎「……結果的にそうなる、のか」 淡「ふーん」 淡「あのさ、パツキン……」 淡「これで二人っきりだね」 京太郎「え?」 淡「とう!」ガバッ 京太郎「うわっ!?」ドサッ 淡「えへへ、マウントとったりー!」 京太郎「ちょ、ちょっと何するんですか!?」 淡「大人しくしてた方がいいよー。また傷口開いちゃうかもだし」 京太郎「すいません急いでるんで本当に勘弁してください」 淡「せっかく邪魔が入らなくなったんだし、色々はなそーよ」 淡「なんていうかさ、さっきの試合見てたら私パツキンのこと気に入ったし!」 京太郎(だからそんな時間ないっての!) 京太郎(とりあえず振り払ってでも逃げねーと……) 京太郎「やめろ!」ドン 淡「きゃっ!」 京太郎(今のうちに……!)ダッ 淡「あっ、逃げた!」 淡「待てこんにゃろー!!」 ―――――― 京太郎「はぁ……はぁ」ゼーゼー モブA「だ、大丈夫か須賀?顔色悪いぞ」 京太郎「大丈夫、大丈夫だ」 京太郎(血がたくさん出た上……全力疾走したら気分が)オエッ <後半戦スタートです! 京太郎(でもせっかく王者と闘う機会なんだ……!欠場するわけにはいかねー) ピーーーー!! <試合終了ー! 213-0で龍門渕高校の勝利です! 京太郎「いよっしゃああああ!!」 京太郎「王者に勝ったぞ俺ら!」 モブA「おう、これで堂々と長野に帰れるな」 モブB「全国王者っていっても大したことなかったなぁ」 モブA(ほぼ須賀一人で攻撃も防御もしてたけどね) 顧問「よーし、長野に帰って大会に向けてのミーティングだ。忘れモンないか?」 京太郎(やり残したことか……) 京太郎(なんかあったか?) 京太郎「んなもんないない、早く帰らなきゃ」 京太郎「さらば白糸台。中々に楽しかったぜ」 ―――――― ――――― 透華「お帰りなさいませ。遠征お疲れ様ですわ」 京太郎「ありがとうございます。なんとか学校の面子は保てましたよ」 純「聞いたぜ?なんでも無双したらしいな」 京太郎「あれ?まだ誰にも話してないのに耳が早いですね」 一「知らなかったの?あの試合テレビで全国放送されてたんだよ?」 京太郎「え゛っ……?」 智紀「全国にファンがいっぱいできてる」ポチポチ 純「はは、よかったな人気者」 京太郎(コケなくてよかった!ほんとによかった……!)ホッ 透華「今日はお疲れでしょう?そろそろ休んではいかが?」 京太郎「そうですね。流石に色々とやばい気がするので」 透華「明日はお休みとします。一日羽根を伸ばしなさい」 京太郎「えっ、それって勝手に決めていいんですか?」 透華「あなたのご活躍にお爺様もご満悦ですわ。喜んで休暇をくださるでしょう」 京太郎「はぁ……」 京太郎(まぁ、いっか。せっかく休みくれるって言ってんだし) 京太郎(明日は何しよっかなー) 京太郎(久々に清澄に顔でも出してみるか) 京太郎(優希や和、部長に染谷先輩元気してるかな) 京太郎(あいつもそう言えば清澄だったな) ――――――――― 久「あら、これ意外と美味しいわね」ポリポリ 春「それが自慢」 久「はい、あーん」 春「あむっ」 優希「転校生がきたと思ったらこれだじゃ」 まこ「アイツは女専門のたらしかえ」 京太郎「仲良くしてるようで、嬉しいです」 まこ「ま、部長は人に好かれやすいからのう」 まこ「……ん?」 優希「きょ、京太郎ーーーー!?」 久「へっ!?」 まこ「なっ!?」 春「!」 京太郎「お久しぶりです」 まこ「ったく、帰ってくるなら連絡の一つぐらいよこさんか!」ポコッ 京太郎「あたっ!す、すいません」 久「その割には嬉しそうねまこ」 久「須賀くん、噂は聞いてるわよ?随分と約束通り活躍してるそうじゃない」 京太郎「まぁ、ぼちぼち」 春「……」ギュッ 京太郎「お、おい!こんなとこでひっつくなって!」 まこ「なんじゃ二人とも知り合いだったんか?」 京太郎「まぁ、それは色々と……」 久「はっはーん」ニヤリ 京太郎「そ、そういえば和は?」 優希「……のどちゃんなら、最近学校にきてないじぇ」 京太郎「えっ?」 久「咲が……自分よりあなたを取ったことがよっぽどショックだったみたいでね」 京太郎「あっ……」 久「咲はどう?元気にしてる?」 京太郎「………」 優希「京太郎?」 京太郎「はい、そこそこ!」 京太郎「相変わらずのポンコツっぷりで、気苦労が絶えないですよ!」ハハ 久「仲良くはしてるみたいね、安心したわ」 京太郎「俺もみんなの元気そうな顔が見て安心しましたよ……和はいないけど」 京太郎(あっ!) まこ「……」 優希「……」 久「……」 春「?」 優希「なぁ、京太郎……」 京太郎「ん?」 優希「お前、清澄に戻ってくる気は無いのか?」 京太郎「……え」 優希「私は昔みたいに、京太郎と喧嘩して、咲ちゃんに麻雀でボコボコにされて、のどちゃんがいる頃に帰りたいじぇ……」 久「優希、それは……」 まこ「気持ちは分かるが京太郎にも京太郎の道があるんじゃ。それを邪魔しちゃいかん」 優希「今の麻雀部もはるるが来て賑やかになったけど、やっぱり私には京太郎がいないと何か物足りないじょ……」 京太郎「……俺は」 京太郎「すいません、今日は帰ります」 京太郎「またな春」ナデナデ 春「…」コクコク 優希「逃げるな京太郎ーー!どうなんだじぇ!?」 京太郎「すまん優希。俺は、あくまでハンドボール一筋だ」 優希「なっ!」 京太郎「ここで辞めたら俺を応援してくれてる人に申し訳ねぇよ」 優希「うう……」 京太郎「ごめんな優希」 優希「……も、もういいじぇ!京太郎なんか知らん!」 京太郎「じゃあ部長、染谷先輩……近いうちにまた顔出しますんで」 まこ「おう、時間に余裕があると時でええわ」 久「私たちも応援してるわよ。頑張ってね」 京太郎「はい、ありがとうございます」 ――――――― 京太郎(応援してくれてる人たちか……彼女の絹恵さんと郁乃さん) 京太郎(永水の石戸さん薄墨さん、滝見に………) 京太郎(龍門渕の龍門渕透華さんと天江さん、井上さんにも世話になったな) 京太郎(大阪じゃ洋榎さんや雅枝さんに出会って) 京太郎(白糸台じゃ結局名前聞けなかったけどあの綺麗な人と、カウントしていいか分からないちょっとアホっぽい子) 京太郎(そして清澄のみんな………と、幼馴染の咲) 京太郎(ちょっと怖かった人も交じってるけど、いろんな人に支えられてんだな俺は) 京太郎「か、海外留学っすか?」 教師「ああ。この前の白糸台との練習試合を見たらしくてな、是非どうかと」 教師「本当は白糸台の選手をスカウトするつもりだったらしいが」ハハ 京太郎「そんなこといきなり言われても……ちょっと」 教師「急がなくても返事は一週間後までに考えてくれればいい」 教師「それまでにご家族と話し合って決めることだ」 京太郎「は……はい」 京太郎(本場ドイツに行くことは全ハンドボールの夢だし、普通に考えて行かない手は無いないけど) 京太郎(でも流石に海外は国内とはワケが違うし……どうしたもんかな) 京太郎(それに色んな人に世話になりっぱなしで勝手に行くのはちょっと……) 京太郎(いや、やっぱり行こう) 京太郎(ここで自分から道を断ったら今まで応援してくれてた人たちに申し訳ねーよな) 京太郎「まぁ、流石に何も言わないで行くのはダメだし何人かに留学するって伝えないと……」 京太郎(って言ってもあんまり言いふらしても嫌味っぽくなるかもしれないから5人くらいにしとくか) 京太郎(5人も行っとけばその内誰かの耳にも入るだろ) ――――――― 久「私を呼び出すなんて、随分と偉くなったわねぇ須賀くん」 京太郎「はは……すいません。でも清澄じゃ言えないようなことなので」 京太郎(優希に聞かれたらただじゃすまねーだろうしなぁ……) 久「冗談よ冗談。相変わらず元気そうで安心したわ」 久「で、用件は何かしら?」 京太郎「はい、実は俺……ハンドボールで海外留学が決まったこと部長に伝えようと思って」 久「海外留学!?ワオ、やるじゃない須賀くん!」 久「……でも何でそれを私に言おうと思ったの?優希とか咲のが喜んでくれたんじゃない?」 京太郎「一番最初に背中を押し出してくれた部長に、一番最初言うのが礼儀だと思って」 久「ほうほう……じゃあまだ咲とかには言ってないんだ?」 京太郎「時間があれば伝えるつもりです」 久「分かった。優希とかには折をみて言っておくわ」 京太郎「よろしくお願いします」 京太郎「それと部長、今までお世話になりました」ペコリ 久「こらこら、もう部長じゃないでしょ」アハハ 京太郎「部長は部長ですよ。俺の中でそれはずっと変わりません」 久「そ、そう?」 久「……じゃあ、部長として最後に一言だけ」 久「あっちに行っても頑張りなさい!」バシッ 京太郎「いって!」 久「コケたりしたら清澄の雑用に逆戻りだからね?いい?」 京太郎「……はい!」 久「うん。よろしい」 久「日本に帰ってきたら、顔ぐらい出しなさいよ?」 ―――――――― 京太郎(なんだかんだ言って部長も俺の事、結構気にかけてくれてたのか……) 京太郎(この恩返しは活躍で返すとしよう) 京太郎(……んで、次は誰に言いに行くかな) 京太郎(次は龍門渕さんかな……こっち来てから色々と世話になったし) 京太郎(あと、俺の事好きって井上さんから聞いてたんだけど……どうなんだろ) 透華「……海外留学と?ドイツに?」 京太郎「はい」 透華「確かに国内であなたの実力を埋もれさせるのは酷というものですわね」 透華(ドイツは少し遠い気もしますが、まぁいいですわ。別荘も幾つかありますし) 京太郎「本当に、龍門渕さんにはお世話になりました!」ペコリ 透華「まぁそんな!顔をあげてくださいまし」 透華「あなたは我が龍門渕の誇りですわ。もっと胸を張りなさい」 京太郎「龍門渕さん……」 京太郎「本当にありがとうございました!俺、あっちでも頑張ってきます!」 透華「え、ええ!期待していますわ……!」 京太郎「じゃあ、俺はこれで」 透華「………」 透華(結局告白できないままですわね……なんて情けない) 透華(って、違いますわ!今言わなきゃいつ言うんですの私!?) 透華「好きでしたのよ!」 京太郎「うおっ!?」 透華「私、あなたを出逢った時からずっとお慕い申していましたわ!」 京太郎(うおお!やっぱりマジだったんだな。龍門渕さんが俺の事好きって……) 京太郎(けど……い、いざ言われると)アタフタ 透華「ですから京太郎さんが遠くに行ってしまうなんて、とても耐えられませんわ!どうか行かないでくださいませ!」 京太郎「えっと………」 雅枝「お茶でええか?」 京太郎「はい、お構いなく」 雅枝「そういや絹と洋榎はおらへんのか?」 京太郎「俺一人できました」 雅枝「ま、ええわ。それで大阪まできて言いたいことって、どないしたん?」 京太郎「……実は俺、ハンドボールで海外留学が決まったんです」 雅枝「ほぉー、そらすごいなぁ!絹には言うたんか?」 京太郎「いえ……中々言い出せなくて」 雅枝「やろなぁ。彼氏が海外留学て相当辛いもんな」 雅枝「で、なんで絹恵でも洋榎でもあらへんで私に言うたん?」 京太郎「雅枝さん大人ですし、絹恵さんから麻雀で海外に行ってたって聞きました」 京太郎「だから先輩として海外に行く上で何かいいアドバイスがもらえるかと思って」 雅枝「アドバイス言うてもなぁ………んー」 雅枝「あ、せや!」 京太郎「!」 雅枝「私がついってって教えたるわ」 京太郎「はい!?」 雅枝「海外初めてなんやろ?なら、暮らし方とか色々教えたる」 京太郎「いやいやいや!流石にそれは!」 雅枝「遠慮せんでもええ。京太郎が一人でやってけるようになったら私も戻るわ」 京太郎「そうじゃなくて、夫さんとか仕事とかどうするんですか!?」 雅枝「そこら辺は適当に片付ける」 雅枝「京太郎はハンドボールだけに集中しとけばええんや」 京太郎(……俺、愛宕さんの夫に刺されないな) ――――――――― 京太郎(ま、まさかこんな展開になるとは……) 京太郎(いやでも飯とかの問題とか生活環境の心配は無くなったって考えたら……結果オーライなのか?) 京太郎(そう考えたらちょっとは良い気がしてきたかも。とりあえず残りの挨拶回っとくか) 京太郎「絹恵さん、ちょっといいですか?」 絹恵「おおー京太郎!どないしたん?」 京太郎「ここじゃちょっと。場所を変えましょう」 京太郎「俺、ハンドボールで海外留学が決まりました」 絹恵「……えっ?」 京太郎「言うのが遅くなってすいません」 絹恵「それはええんやけど……京太郎」 絹恵「海外、行くん?」 京太郎「……はい」 絹恵「そ、そっか……そうなんや」 京太郎「……」 絹恵「……」 絹恵「なぁ、京太郎?」 京太郎「はい?」 絹恵「か、彼女として……応援しとるで」グスッ 絹恵「ほんま寂しくなるけど、京太郎が帰ってくるまで我慢するで……っ!」ヒック 京太郎「そんな泣かないで下さいよ……俺まで泣きたくなるじゃないですか」 絹恵「だ、だって……」 京太郎「俺、あっちで活躍して絹恵さんに相応しい男になって帰ってきます」 京太郎「だからそれまで待っててください」 絹恵「……」 絹恵「うん……待っとるから、ぜったい帰ってきてや………約束やで!」 ―――――――――― 京太郎(あっ!"お母さんはついてきますよ"って言うの忘れてた!) 京太郎(ま、まぁ……あの雰囲気でそんなこと言えなかったしな仕方ないか) 京太郎(……さて、最後は誰に言おうかな) ――――――― 京太郎「よっ、咲!」 咲「……」 京太郎(あ、あれ?聞こえてなかったのか?じゃもう一回……) 京太郎「咲ー!」 咲「……」 京太郎「……」 京太郎(あれ、もしかして無視されてるのか?) 咲「海外留学決まったらしいね、おめでとう」 京太郎「!?」ビクッ 京太郎「……な、なんだ知ってたのか」 咲「それで、私に何か用事かな?」 京太郎「あ、ああ!だからその海外留学することをお前に言っとこうって思って」 咲「どうして?」 京太郎「どうしてって、お前俺の為に全国転々としてたんだし言っとかなきゃって思って」 咲「……それだけ?」 京太郎「へっ?」 咲「ごめん京ちゃん、私もう行くね」 京太郎「お、おい!待てって咲!」 京太郎「まだお前に言いたいことが残ってんだよ!」 咲「……」ピタッ 京太郎「あのさ、咲……」 京太郎「なんでそんな機嫌悪いんだ?生理?」 咲「……」 京太郎「嘘だって、そんな怖い顔で睨むなよ!」 咲「京ちゃん」 京太郎「あ、はい」 咲「頑張ってね。京ちゃんの一ファン、あと"友達"として応援してるから」 ――――――――――― 京太郎(咲の奴、ゴミクズを見るような目で俺を見てたな) 京太郎(結局なんで怒ってたかずっと分からねーままだったし……) 京太郎(ま、いいや。とりあえず荷造り初めなきゃな) ―――――――― ――――――― 雅枝「京太郎ー!はよ起きんかい!」 京太郎「あ、あと五分……あと五分……」ムニャ 雅枝「もう朝ごはんも出来とるで。ぱぱっと用意して食わんかい」 京太郎「今日は朝飯抜きでいいです……」 雅枝「食うモン食わんと力もでらへんよ」 京太郎「朝飯食わなくても俺、強いですから大丈夫です……」 雅枝「いいからはよ起き!」ガバッ 京太郎「いやああーーー!変態ー!!」 雅枝「アホ言うなや。ほら、モタモタしとったらKGWが迎えにくんで!」 京太郎「分かりましたよっと………」 京太郎「それじゃ、いただきまーす」 雅枝「ぎょーさんあるから一杯食べ。ほんで元気付けて、今日も頑張ってき」 京太郎「はーい」 ―――――――――― 恒子「今年のインハイは龍門渕の圧勝だったねー!もうちょっと盛り上がると思ってたけどほぼ一強状態だし!」 恒子「去年凄かった白糸……なんたらと巫女さんのたくさんいる学校は何で今年出てないの?」 健夜「白糸台と永水だよ!それぐらい覚えようよ!」 健夜「……なんでも白糸台は暴力事件が表沙汰になっちゃって、出場停止で……」 健夜「永水は主力が欠けてしまったとかで、辞退したって聞いたよ」 恒子「うっわ、なにそれ!?でんじゃらす過ぎっしょ!」 K「ったく、お前15歳のクセにあんな年上美人と同棲なんて羨ましすぎだろ……」 京太郎「そうか?」 K「そうだよ。俺なんて相手がいないからエロチャぐらいしかすることないのに」 京太郎「確かに雅枝さんには感謝してるよ。いつもおいしいご飯作ってくれるし色々世話してくれるし」 K「それは下の世話もか?」 京太郎「それは秘密だ」 K「死んでく………ん?」 京太郎「どうした?」 K「なんかさ、あそこにいる女の子ずっとお前の方見てね?お前と同じ日本人っぽいけど」 京太郎「え?」 京太郎「……どこだよ」 K「……あれ?おかしいな」 K「確かにショートヘアの女の子がいたんだけど」 京太郎「エロチャのし過ぎで幻覚見えてんだよお前」ハハハ 京太郎「速く練習行こうぜ、遅刻したらまたどやされるぞ」 K「お、おう……」 カン

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