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『今年の誕生日祝い? んー……じゃあ今度の週末、ちょっと付き合ってよ』 ――などというものだから、てっきり荷物持ちをさせられるのかと思っていたが。 「ねーねー、これどーかな? どう思う~?」 「……ちょっと派手すぎねーか? ヒラヒラ多いっつーか」 「アイドルならこれくらいが目立っていいと思うんだけどな~……ま、そういうならこれはナシで」 ほぼウィンドウショッピングで、あちこち色々な店に連れまわされるだけだった。 それも、由暉子の新しい衣装の案を考えるための。 「じゃあこれは? こーゆーシンプルな清楚路線もアリだよね~」 「それはユキには地味すぎるような……」 「うわっ、キビし~。じゃ、次の候補探してくるわ。待ってて」 「あ、おい」 揺杏が店内の奥へと行ってしまい、京太郎はピンク一色な広い店内に男一人で取り残されることになってしまった。 (気まずい……) 相方がいなくなったせいか周りの視線が心なしか痛い。 かといって店の外に出るわけにもいかず、慌てて揺杏を追いかけた。 「! おい、ゆあ……」 やたらに広い店内を探して、ようやく揺杏の後ろ姿を見つけることができた。 声をかけようとしたところで、揺杏が何かに気を取られていることに気付く。 「…………」 揺杏がじっと見つめていたのは、マネキンが着ている服らしい。 大きなリボンとレースがかわいらしい、フリフリのワンピース。 サイズは女子の服にしては大きめに見えた。 「……気になんのか?」 「ひゃあぁっ!?」 「うおぁっ!?」 「び、ビックリした~……。ごめん、待たせた? ちょっと考え事してて」 「いや、こっちも急に悪かった……。で、気になんのか、この服」 「うぇっ? え、えっと……デザインは好きだけど、作るの大変そうだなあ」 「ユキじゃなくて、お前が着るとして」 「……は?」 ぽかん。 そんな擬音が聞こえてきそうな表情だった。 「いやいや、何言ってんの。私こーゆーの似合わないから」 「そうか? お前結構なんでも着こなせるだろ。サイズも揺杏にちょうどよさそうじゃんか」 「いやいやムリだって」 「いやいやイケるって」 「……マジで私には似合わないよ。キャラじゃねーし」 「でも、お前……」 「こーゆーかわいいのはユキが着てくれるからさ。それでじゅーぶん」 「…………」 「さ、次の店行こっ! 次あそこなっ」 「わ、ちょっ……」 誤魔化すように、揺杏はさっさと店から出ていってしまう。 「…………うーん」 (じゅーぶんって顔、してなかったけどな) -+-+-+-+-+-+- 「あ~、楽しかった! 今日は付き合ってくれてサンキュな」 「どーも。衣装できそうか?」 「おかげさまで! 今度の新作は期待してていいよ~」 「マジか、じゃあ超期待するからな。 ――あ、そうそう」 「? なーに?」 「誕生日おめでとう。ほれ、誕プレ」 「え」 京太郎に手渡された袋の中に入っていたのは、ピンクの水玉模様のリボンシュシュだった。 「あの服は流石に高くてな……服をプレゼントってのもどうかと思ったし。でもさ、お前やっぱこういうのも似合うと思うんだよな。よかったら使ってくれよ」 「……これって、あの店の……」 「好きなのと自分に似合うのは違うって思うのはわからなくもないけど……たまにはイメチェンもいいんじゃねーか?」 「…………」 「じゃ、また明日な!」 「あ……うん」 無事に揺杏を送り終え、走り去っていく京太郎。 その背中が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。 「……ありがと、京太郎」 -+-+-+-+-+-+- 「揺杏ちゃん、おはようございます」 「おはよー成香」 「あ、今日はいつもとシュシュ違うんですね。リボンかわいいですっ」 「……そう? ヘンじゃないかな」 「とっても似合ってますよ! それ、どうしたんですか?」 「ありがと。……たまにはイメチェンもいいんじゃないか、って思ってさ」 カン!

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