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 「おはようございます」  ゆっくり襖の開く音と若い少女声が二間四方辺りのこじんまりとした、僅かにイグサの匂いが香る部屋に響く。 部屋の主であろう金髪の少年は侵入者にも気づかず、まるで豚か獣かといった寝息を野に放ち四肢を大の字に広げ、 情けなく寝間着がズレ、その情けない見た目とは存外に鍛えられた腹を晒している。  そのぐうたらとし懈怠した少年の様子を髪をおさげにした巫女服の少女はニコニコと何も言わず眺める。 眺めるだけ、というわけではなく少女の足は着実と歩みを進めており、しかしそこから発せられる音が皆無なことで 少女の目的は少年の意識の覚醒を目的としたものではないと分かった。  金髪少年の枕元にまで少女は辿り着くと十人中十人は大和撫子のようだ、と比喩するかのような 美しく、かつ妖艶にも見える笑みを浮かべ、少年の頭を壊れ物を扱うかの如く柔らかく持ち上げ巫女服越しでも、 しかと知覚できるほどの程よく若いむちむちとした肉がのった太ももを少年の枕代わりに使用する。  太ももの上に乗った少年の頭を愛おしそうに撫で、もう片方の手でさり気無く少年の身体を恋人にするかのように優しく愛撫していく。 優しくも劣情が混じった愛撫は寝ている少年の身体の芯にまで届き、男の生理現象とも言える仕方の無いモノが姿を現し始めた。 「きゃっ、京太郎さまったら……。うふふ、仕方の無い御仁ですね」  少女は嬉しそうに、ふっくらとした真白い頬を桜色に染め、瞳をうるうると愛欲で塗りたくる。 少年を愛撫していた手が段々と下のほう、下のほうと劣情に突き動かされるかのように操られているが少女はそれに気づかぬほど、 狂喜し火照り始めた心と身体をどう処理しようかと悩んでいた。  小さく、艶のある唇はしきりに溢れ始めた唾液でテカテカと淫靡に光り始め腹部はキュンキュンと何かを求めるかのように疼く。 ――数年くらい、早く食べてしまっても問題ない、ですよね。それにそれに、霞ちゃんだって最近京太郎さんの身体を過剰なほど触ってるし。 他の皆も段々、大胆になってきたから京太郎さんも殿方ですし過ちを犯してしまうかもしれません。 そういった言い訳が己の理性を本能が懐柔し、仕方ない、仕方ないですよね、と少女の行動を誘掖する。  しかし、ここで少女は一つの過ちに気づく。この体勢では、満足に京太郎の秘部を触れないばかりか多少無理をしなければ手も届かないではないか、と。 ――は、はわっ、どうしましょう! 京太郎さんの御顔に少しお胸が乗っちゃいますけど、ま、まあ仕方ない、ですよね……?  誰にともなく問う少女は、盛り上がってたところをお預けされたことで一種の錯乱状態に陥っていた。  やがて少女は軽く項垂れると行為に及ぶのは諦めたらしく、今度はどうやって切ない身体を静めようかと苦悩していた。 小さく、喉から音が流れて外に出て行き、どうして膝枕しちゃったんだろうと自己嫌悪に苛まれる。 気持ちの沈下からか少女の身体は少し姿勢を崩し、撓に実った大きなおもちは少年の寝顔の上へと腰を据える。  少年の口からは苦しそうに声が発せられ瞼はピクピクと痙攣を始めたがそれに気づかず少女は余計深く落ち込み完璧にその巨大な胸の要塞を少年の顔へ押しやった。 「んぐっ、んぐ……!? むごごごご!」  さすがに息を塞がれ、寝苦しいといった話では収まらないほど胸を押し付けられれば目を覚ますもので、覚醒した少年は何事かと声を荒げ始めた。 「!? ああ、京太郎さんごめんなさいっ!」  ようやく己のしていた行為に気づいた少女は慌ててその状態から立ち上がり、長い時間正座をしていたのを感じさせないほどの猫のような俊敏な動きで、京太郎から離れようとする。 ゴンッ、と鈍い音と振動が部屋に響き、頭上にハテナを浮かべた少女だが頭を抱える少年を見てまたもや自分が犯してしまった過ちを認知する。 その後、少年の部屋からはひっきりなしに謝罪の声が聞こえてきたという。 屋敷の人間は当然気づいており、ああ、またか……そろそろ両の手では数え切れぬほどの数になったかな、と溜め息をこぼすのであった。 カンッ!

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