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あの夏から、もう2年の月日が流れた。 咲達が全力で闘い、そして勝てなかったあのインターハイ。 あれから2年。彼女達は自分の進む道を決めはじめていて……だけど、俺には何もなかった。 麻雀の腕は上がった。それこそ、彼女達の麻雀に喰らい付ける程度には。 ……だが、それだけだ。インターハイだったなら通用したかも知れないが、 そこまで辿り着けた時、俺の最後の夏はもう終わっていた。 「あーあ、進路どうすっかなぁ……」 咲達との仲は悪く無い。むしろ、彼女達は好意的に接してくれている。 漫画やアニメの主人公じゃないのだ。俺の事をちゃんと見てくれている事は分かる。 ……だが、それが。今の何もない俺には眩しくてたまらない。 いっそ、あの頃に戻れたら…… そんな戯れ言を考えていたのが、きっと全ての始まりなのだろう。 気がつけば、戻っていた。 あの夏に。いや、そこに至る過程で、切欠で、原点になったあの日に。 「あぁ、そうだ須賀くん。もし麻雀部に入ってくれそうな娘が居たら勧誘してきてね?」 懐かしい声が聞こえる。もう部室で聞くことも少なくなったその声が。 だから…… 「よっ、こんな所で読書か?」 「あ、京ちゃん。うん、風が気持ちよかったから……」 「ふむ……なぁ、咲。」 「なぁに?」 「麻雀部、入らないか?」 いつでも俺を見てくれていた彼女に、楽しさと、最高の友人をくれてやりたかったんだ。

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