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咲「そんな……京ちゃん、どうして……!?」 京太郎「どうしてだろうな…………」 どうして、こんな事になっちまったんだろ………… これまでを振り返り、理由を探るが応えは帰って来なかった。 京太郎「ああ、痛てぇなちくしょう……」 何せ、土手っ腹にナイフが突き刺さっているのだ、痛くて当然だ。 刺されるなんて初めての経験だが、痺れとどこか寒気の広がる様なこの感覚は痛みよりも嫌悪感や掻痒感の方が強かった。 咲「なんで…………なんで京ちゃんが庇うの!?」 京太郎「なんでって……ハハッ、やっぱ咲は馬鹿だなぁ」 咲「何を……」 京太郎「女を男が守るのに、理由なんて無いんだよ…………」 咲「こんな時に何言ってんの!京ちゃんの馬鹿ッ!!」 京太郎「馬鹿はひでぇなあ…………」 徐々に視界が霞み、意識も朦朧としてきた。 あー……こりゃ、死ぬのかねぇ?知らんけど。 「お前のせいだ……お前がいなければ京太郎くんは……!?」 俺を刺した少女がさっきから虚ろな目で叫んでる。 いや、ちょっと不正確か。 本当は、咲を刺し殺そうとしていたのだ、この娘は。 それを、すんでのところで俺が間に入った。 そしたらこのざまだ。 京太郎「そっか…………俺のせいだよな……」 死の間際に、漸くにして俺は気づいた。 京太郎「誰かが傷つくのが怖くて、答えを出さなかったから、それで傷ついて…………本末転倒も良いところだよなー」 咲「もう喋らないで!今、救急車を呼んだから……ッ!!」 いや、気づかなかったのでは無い。 認めるのが、答えを出すのが怖かったんだ。 それは、誰かが傷つくのが嫌だったというのもあるが………… 本当は、只単に俺が臆病だっただけなんだ。 京太郎「ごめんな、咲……俺、こんな時になってもまだきちんと答えを出せそうに無いよ……」 咲「もう良いから…………大丈夫だからっ!!」 京太郎「なぁ、咲…………」 咲「…………何?」 京太郎「今度…………生まれ変わりとかあったらさ……」 また、咲の幼なじみに産まれたいなぁ………… 咲「京ちゃん…………京ちゃん?……京ちゃん!駄目だよ!死んじゃ、京ちゃん!京ちゃーん!!」 京太郎「んぁ…………」 どうやら、嫌な夢を見たみたいだ。 俺が死ぬ夢。 俺が臆病だったばかりに、皆を…………咲を泣かせてしまった夢だ。 京太郎「あれ……?」 ベッドから降りると、身体に違和感があるのに気づいた。 自慢では無いが俺は180cm超と、日本人男児としてもかなり大きい部類だった。 それが、今はどうだろう? 150cmも無い程に縮んでいるでは無いか? 京太郎「どういう…………」 部屋にある姿見に目をやると、そこには少年が写っていた。 小学生くらいの、須賀京太郎を小さくしたような少年が………… 京太郎「はっ…………!?」 理解が追いつかない。 何が……一体、何がどうして何故こんな事に? 考えるが、一向に答えは出てこない。 「京ちゃーん!」 京太郎「え…………」 一階から、声が聞こえた。 「京ちゃん!今日は一緒にプールに行くって約束してたのに、忘れたの!」 その声の主は階段を駆け上がりながらそんな風に、俺を親しげに呼び………… そして、部屋に入ってきた。 京太郎「咲…………?」 咲「おはよっ、京ちゃん!」 カンッ!

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