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427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 17:05:38.66 ID:oajEjCSdO 和「ふぅ…早く帰らないと怒られてしまいますね……」 ピカ…ピカ… 和「あれ…なんでしょうかあの光は……?」 キイイイイ…… 和「あれ……段々光が大きくなって……いや、もしかしてこちらに向かってきている!?」 ピカァァァァン! 和「きゃあああああああああ!」 その光は和をのみ込み、彼女と共に消えていった そして彼女が目を覚ますと、そこは見た事もないような場所であった 和「ここは…どこでしょうか…?」 池田「ようやく目を覚ましたみたいだし」 和「あれ…あなたは確か風越の」 池田「華菜ちゃんだし!ようこそ宇宙軍へ…だし!」 和「宇宙…軍?なんですかそれは?それよりもどうして私はここにいるんですか!?」 藤田「それは私が説明しよう」 和「あなたは確か…藤田プロ!」 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 17:13:32.63 ID:oajEjCSdO 藤田「やあ…久しぶりだな原村和、元気そうで何よりだ」 和「どういう事ですか藤田プロ!どうして私をこんな所に監禁するんですか!早く家に帰してください!」 藤田「まあまあ…まずは私の話を聞いて欲しい」フゥ… 池田「耳穴かっぽじってよく聞くんだし!」 藤田「まずは自己紹介しなければな……私は宇宙防衛軍G部隊、隊長の藤田だ」 池田「同じくG部隊隊員の華菜ちゃんだし!」 和「宇宙……防衛軍?何ですかそれは」 藤田「宇宙防衛軍とはその名の通り、地球外生命体から地球を守る軍隊の事だ。主に地球にやってくる生命体の監視を任務としている。 …無論、時には戦闘も起きるがな」 和「地球外生命体?なにを言うのかと思えば…そんなオカルト」 藤田「あり得ませんってか?……よろしい、ならば窓を見てみろ。オカルトかどうか…自分の目で判断するんだな」ピッ 429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 17:44:37.59 ID:oajEjCSdO 和「窓?窓に一体何が……ってええ!?」ガバッ 藤田「フフ……綺麗な地球がよーく見えるだろう?私達は今、地球の外にいるのだよ」 池田「どうだ!びっくりしただろー!」 和「そんな……こんなのあり得ません…オカルトです…」ガクッ 藤田「確かに認めたくない気持ちは分からんでもないが……だが、君は確かに地球の外にいて地球を眺めているのだ…」 和「……なぜですか?なぜ私が地球防衛軍なんかに呼ばれたんですか! 私と一体なんの関係が――――!」 藤田「うむ、ここからが本題だ。実は最近、とある地球外生命体が地球に対して侵略を開始したという情報をキャッチしたんだ」 和「地球……侵略…ですか…?」 藤田「そうだ、我々はその生命体をクボ・コーチ星人と名付けた」 430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 17:58:41.08 ID:oajEjCSdO 和「クボ…コーチ星人ですか?」 池田「華菜ちゃんが命名したし!」キラッ 藤田「クボ・コーチ星人は脅威の戦闘能力で我々に対し、幾度となく攻撃を仕掛けている……もはや一刻の猶予もないのだよ」 池田「このままだと他の宇宙人もやってきて宇宙を舞台にした大戦争が起きちゃうし!」 和「宇宙…大戦争…という事ですか?」 藤田「そうだ、そんな最悪の展開を迎える前になんとしてもクボ・コーチ星人との戦いを終わらせねばならない」 和「だから……私をここに呼んだのですか?」 藤田「そうだ、原村和…君には我々と共に戦ってもらいたい…地球を守る戦士として」 池田「華菜ちゃんも地球の戦っているし!だからお前も戦うんだし!」 435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 18:19:14.57 ID:oajEjCSdO 和「む…無理ですよ…私なんかが宇宙人に勝てる訳がありません…」 池田「なにを弱腰になっているんだし!お前は地球がクボ・コーチ星人に侵略されてもいいのか!?」 和「ですけど!」 藤田「原村和……お前には大切な人がいないのか?」 和「えっ……?」ドクン 藤田「お前には守りたいもの…守りたい人がいないのか?その人がクボ・コーチにやられても構わないというのか?」 その時、和の脳裏に咲の笑顔が浮かんできた 和「………私にはいます!絶対に守りたい人が一人!」 藤田「じゃあ、お前は…その人のために戦えるか?」 和「――――戦えます!戦ってみせますとも!絶対にクボ・コーチの魔の手から守ってみせます!」 藤田「決まりだな………改めて地球防衛軍へようこそ原村和。我々は君を歓迎しよう」 池田「これからは私がお前の先輩だし!よろしくな、新人!」 こうして、原村和の戦争が始まった。 437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 18:47:26.09 ID:oajEjCSdO 【その次の日】 藤田「さて、原村和…訓練を始めるぞ!」 池田「ちんたらしてんじゃないし!さっさと準備するし!」 和「は…はい!」 藤田「先ずは反射神経を鍛える!これを見ろ!」スッ 和「これは……バレーボールですか?」 藤田「本来はゴムボールを使うんだが…お前はまだ新人だから怪我をする危険性がある。よってバレーボールを使う」 和「はぁ…ですが、バレーボールを使って何をするんですか?」 池田「簡単な話だし!全周囲から撃ち出されるバレーボールをよこるだけだし!」 藤田「池田の言う通りだ!しかしながら撃ち出されるスピードはかなり早い上、時には数個同時に撃ち出される事もある! 当たれば痛いぞ…覚悟は出来ているか!?」 和「は…はい!出来ております!」 藤田「よろしい!では先ずは池田が手本を見せる…池田、前へ出ろ!」 池田「了解だし!」スチャッ 439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 19:21:28.95 ID:oajEjCSdO 池田「おい、新人!今から華菜ちゃんが手本をみせてやるから、よーく見ておくんだし!」 和「はい!」 藤田「行くぞ~!」バシュン 池田「ふん、チョロいし!」ヒョイッ 藤田「よし、次いくぞ!そりゃ!」バシュン 池田「へへーん!当たらないし~!」ヒョイッ 藤田「中々やるな!それじゃあ次は二個いくぞ!」バシュン バシュン 池田「むっ、そりゃあ!まだまだだし!」ヒョイッ ヒョイッ 和「すごい……難なく避けていますね」 池田「どうだ新人!華菜ちゃんの凄さが分かったか!?」ヒョイッ 藤田「よーし!再び二個いくぞ!」バシュン バシュン 池田「はははは!余裕余裕!」ヒョイッ ヒョイッ バギャッ 池田「ぐはぁっ!?」ミシミシ… 藤田「すまんすまん!三個同時だったワハハハハ」 441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 19:38:51.59 ID:oajEjCSdO 池田「気をつけて欲しいし!凄く痛かったし!」ヒリヒリ 藤田「悪い悪い!次からは気をつけるよ!じゃあ次は三個だ!」 バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン 池田「な……なぁ!?そ…そんなたくさ」 バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ 池田「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」ミシミシミシミシミシミシ… 和「ちょ…ちょっと撃ち過ぎではありませんか!?」 藤田「ん~?どうやら機械が故障してしまったようだなぁ~?」 池田「そ…そんな……た…助け」 バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン 藤田「はははは、すまない池田…もう少し耐えてくれ」 池田「ぎゃは~!」バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ バギャッ 442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 19:59:04.04 ID:oajEjCSdO 池田「うう……」ピクッ ピクッ 藤田「おーい、池田ー!生きてるか~?……おっ、動いた生きてるな…助かって良かった良かった!」 和「ピクンピクンしてますけど……?」 池田「し……死ぬ所だったし…」 和「普通だったら死んでいると思いますが…」 藤田「まあ、池田はその耐久力の高さを買われて宇宙防衛軍にいるからな」 池田「どうだ、新人!華菜ちゃんの凄さが分かったか!」 和「はあ…ある意味ですごいと思いました」 藤田「さて、機械が壊れてしまった事だし…訓練は一旦中止としよう」 池田「……私はなんのために?」ガクッ 和「元気を出してください池田さん…」 池田「おい、新人!私の事は先輩と呼べ!」 和(………なんだか腹が立ちますね…) 445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 20:46:58.47 ID:oajEjCSdO そんなこんなで一通りの訓練を終えた和は初めての実戦を迎える事となった 藤田「敵は小規模ながらも、相手は狂暴なクボ・コーチ星人だ!油断するんじゃないぞ!」 池田「了解だし!新人、足手まといになるなよ!」 和「は…はい!分かりました!」 藤田「来るぞ!クボ・コーチ星人だ!」 クボ1「イケダァァ!」 クボ2「イケダァァ!コラァァ!」 池田「出たなクボ・コーチ星人!相変わらず狂暴な顔付きだし!」 和「なんだか池田先輩の名前を呼んでいますけど…」 池田「あれが奴の鳴き声だし!忌々しい叫び声で鬱陶しいし!」 藤田「無駄話はここまでだ!いくぞ!」チャキッ 池田「よし!一人残らず退治してやるし!」チャキッ 和「宮永さん……私に力をください…」チャキッ クボ軍団「イケダァァァァ!」 447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 21:18:20.79 ID:oajEjCSdO 池田「やってやるし!」パララララ クボ「ギャアアアアア!」 和「あれ…?弾が…発射されない!?」ガチャ…ガチャ… 藤田「どうした和!?」パララララ 和「銃の弾が…出ない…!」ガチャ…ガチャ… 池田「何やっているんだし!?全く役に立たない奴だし!」パララララ 和「あれ……どうして!」 藤田「バカ、貸してみろ!お前……何で弾が入ってないんだ!」 和「へ………確かそれは池田さんから渡された…」 藤田「池田ァ!お前何やってんだ!?」 池田「ご…ごめんだし!新人の銃の事を全く忘れてたし!」パララララ 448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 21:29:24.99 ID:oajEjCSdO クボ「イケダァァァァ!」 和「きゃあああ!?(宮永さん…!助けて…!)」 藤田「のどかぁぁぁぁ!」 ダァーン! クボ「ギャアアアアア…!」バタンッ 和「へっ………今のは一体?」 ダァーン! ダァーン! ダァーン! 和「すごい…クボ・コーチが次々と倒されていきます!」 池田「もしかして援軍だし!?それにしても一体どこから撃っているんだ…?姿が全く見えないし!」 藤田「この狙撃の命中精度の高さ……まさかアイツか!?」 京太郎「聞こえるかG部隊!こちらK部隊副隊長の須賀京太郎!苦戦しているみたいだな…手を貸そう!」 和「えっ……この声はもしかして須賀君!?どうしてこんな所に?」 京太郎「…………………」チャキッ ダァーン! ダァーン! 京太郎「……説明は後だ、今は目の前の敵に集中しろ!」 452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 21:58:05.16 ID:oajEjCSdO 【三十分後】 和「ふぅ……敵は撤退したみたいですね」 池田「まあ、華菜ちゃんの手にかかれば楽勝だし!」 藤田「誰のせいで苦戦したと思っているんだ!」 和「それにしても須賀君…どうしてこんな所に?」 藤田「そういえばお前達には言ってなかったな…須賀はK部隊の副隊長で、地球防衛軍随一の狙撃手でもある」 池田「そんな凄い奴なんだし…?」 藤田「ああ…アイツの狙撃の腕は信用できる……だが…」 和「どうかしましたか隊長…?何やら難しそうな表情を浮かべていますが」 藤田「――――いや、ここから先は私が言う事ではないだろう…それよりも早く帰還するぞ、敵の援軍が来る前にな」 池田「了解だし!もうお腹ペコペコだし!」 和「須賀君……何も言わずに帰ってしまいましたけど……どうしてなのでしょうか?」 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 22:11:58.81 ID:oajEjCSdO 【母艦】 池田「おい、新人!ちょっと付き合え!」 和「はい?どうしました池田先輩」 池田「いやねえ…どうやらさっきのK部隊の副隊長さんがこちらの母艦にいるらしいんだー、さっき私達アイツに助けてもらっただろ? だからお礼の一つも言っておこうと思ってな!」 和「須賀君がこの母艦に…分かりました、私も須賀君に色々と聞きたい事があります…一緒に行きましょう」 池田「よし!さっそく副隊長さんの行くとするし!」 タッタッタッ… 池田「確かここにいると思うんだけどな~?」 和「あ…もしかしてあそこではありませんか?明かりがついているみたいですし」 池田「おっ!じゃあさっそく……」 ざわ…ざわ… 和「あれ…なんだか騒がしいですよ?」 池田「どうしたんだろ~?ちょっと覗いて見るし」スー 456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 22:32:48.37 ID:oajEjCSdO 京太郎「どういう事だって聞いてるんだよ!オイ!」バキッ K隊員「つあ…!」ガシャーン! 池田「な…!いきなり暴力だし!?」 和「須賀君…!何をしているんですか…!?」 京太郎「捕虜に逃げられやがって……K部隊の恥さらしが!こっちはお遊びで戦争してんじゃねーんだよ!コラァ!らあっ!」ゴッ バキッ K隊員B「副隊長……もう許してあげてくださいよ…こいつは情けをかけて水をあげた所を襲われたんですから…」 京太郎「――――――情け……だって?」ギロッ 池田「う……な…なんだか揉めてるみたいだし」ガタガタ 京太郎「お前らなぁ……そんな生温い考えじゃ戦争に勝つどころか……すぐに弱みを突かれて何もかも奪われるぞ…」 和「須賀君………?」 京太郎「………俺のダチみたいにな!騙されて、殺されてからじゃあ全ては遅いんだよ!…情けをかけたら、この世界では生きる事は出来ないんだ…!」 458 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 22:43:52.10 ID:oajEjCSdO 和「須賀君…私の知っている須賀君と全然違う…」 藤田「これが須賀京太郎の問題点だ…」 池田「うわっ!?隊長、いつの間にここに来たんだし!」 和「隊長……須賀君について何か知っているんですか?」 藤田「ああ、知っているさ…アイツは私のかつての部下だからな」 池田「ええ、そうだったんですか?じゃあ、どうしてK部隊なんかに…」 藤田「……最初の頃のアイツは和が知っているような奴だったよ。お調子者で、どこか抜けていて、敵の事さえも考えてしまう優しい奴だった。―――あの事件が起きるまではな」 和「あの事件…?」 藤田「アイツには同期の友人がいた……アイツの話によると幼少からの付き合いだったらしい……名前は確か…井伊嫁助だったかな?イイ嫁さんだなァとよく京太郎をからかっていた…」 460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 23:24:25.26 ID:oajEjCSdO 池田「その人がどうかしたんだし?」 藤田「あれは、捕虜を捕まえた時だった。その捕虜は弱っていてとても話せる状態ではなかった。 軍は京太郎と嫁助の二人に捕虜の面倒を見る事を命じた」フゥー 池田「それで………?」モグモグ 藤田「二人共、敵の捕虜でありながらもよく面倒を見ていたよ……特に嫁助はな。だが、それはそもそも間違いだったんだ」 和「どういう事ですか、それって」 藤田「その捕虜が脱走したんだよ…嫁助を人質にとってな。嫁助は最後の最後まで説得したよ、だが―――京太郎の目の前で殺された」 池田「酷すぎるし…」ムシャムシャ 京太郎「んで、その捕虜はすぐに俺が殺したって訳だ」 池田「うわっ!?いつの間に!」ムシャムシャ… 和「須賀君…」 461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/19(金) 23:41:33.29 ID:oajEjCSdO 京太郎「人の話を盗み聞きなんて良い趣味とはいえねーなぁ」 和「須賀君…」 京太郎「よぉ、和。まさかお前が防衛軍にいるなんて思わなかったぜ…まぁ、俺には関係ないけどな」 藤田「須賀、久しぶりだな」 京太郎「これはこれは…G部隊の隊長さんじゃーないですか。壮健そうで何よりです」 藤田「お前の方も相変わらずみたいだな。……少しは手加減してやったらどうだ?」 京太郎「藤田さんには関係ないでしょう。それともあの悲劇を再び繰り返すおつもりかな?」 藤田「………………」フゥー 京太郎「和」 和「はい…?」 京太郎「昔のよしみで一つだけ忠告しておいてやるよ。…どんな状況であれ、敵には情けをかけるな…それが例え昔の仲間であろうとも、絶対にだ」 和「………須賀君」 池田(なんだか面倒くさい話になってるし)モグモグ 463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 00:00:20.94 ID:055FtIYcO 和が地球防衛軍に入隊してから数ヶ月が過ぎた 和「敵の全滅を確認しました!戦闘を終了します!」 池田「よし!ようやく終わったし!それじゃあ帰ろ…帰りましょう、和副隊長!」 藤田「今日も大活躍だったな和!お前が副隊長に任命されるのも頷ける話だ」 和「いえ、私はそんなに活躍してないですよ!皆が頑張ってくれたから勝利出来たと思います!」 池田「そうそう!私の活躍があったからだし!出世した後輩のサポートをするのも先輩である私の役目だし!」 お前「はクボ・コーチにいじめられただけだろう!偉そうにするな!」 和「まぁまぁ、池田隊員も頑張ったみたいですから…」 池田「おっ、さすがは副隊長!器が大きいし!」 465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 00:24:59.33 ID:055FtIYcO 【母艦】 池田「バグバグムシャムシャ」 和「そんなに早食いしたら喉に詰まらせますよ池田隊員」 池田「はひほいっへふんはひ!ふぁなふぁんふぁはははっふぁふんおふあへふえいふふわえはひ!」 藤田「口に食べ物を入れたまま喋るのはやめろ!」 和「もう、池田隊員ったら…」クスッ 和(宮永さん…あなたは元気にしているでしょうか?私は今、地球を…そしてあなたの笑顔を守るために戦っています…) 藤田「ところでお前達に朗報だ、先ほどクボ・コーチの本拠地と思われる基地を発見した」 和「ほ…本当ですか藤田隊長!」ガタッ 藤田「ああ、おそらく総力戦になるだろう。戦いに備えてしっかりと準備しておけよ!」 和「了解です!」 池田「ぐえ…………苦し…息が…!」トントン 藤田「お前は人の話を聞いていたのか池田よ?」 466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 00:58:41.64 ID:055FtIYcO 【クボ・コーチ軍、イケダァ要塞】 池田「うわぁ~!思っていたよりも敵が多いし!」 藤田「当たり前だ、何せ敵の本拠地だからな。あっちも必死なのだろう」 和「この戦いが終われば宮永さんに会える…!」 京太郎「よお、まさかお前らが生き延びてたなんて思ってなかったぜ」 和「須賀君……やはりあなたもここに」 池田「フーッ!やな奴が現れたし!」 藤田「そういえば我々G部隊とK部隊は同じエリアを攻める予定だったな」 京太郎「ええ、あまり足を引っ張らないように頼みますよ藤田さん。こちらとしても味方に撃たれるのは嫌ですからね」 池田「うるさいし!お前なんかに言われなくても、こっちはこっちで活躍するし!」 京太郎「………誰だお前?ペットはちゃんと檻の中に入れておけよな」 池田「ペ……ペットじゃないし!華菜ちゃんだし!」フーッ! 467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 01:21:47.38 ID:055FtIYcO 和「おう、和。まさかお前が副隊長に出世するなんてな!意外とやるじゃないか」 池田「無視するな~!」 和「須賀君、あなたはこの戦いが終わったらどうするつもりなんですか?」 藤田「和…?」 京太郎「この戦いが終わったら?…別にどうもしないな、また新しい戦いを始まるだけさ」 和「…須賀君はなんのために戦っているんですか?あなたの戦いに終わりは来るんですか!?」 池田「和副隊長……(また面倒くさそうな話になってきたなー)」モグモグ 京太郎「………………」 和「黙っていないで答えてください須賀君!」 ジリリリリリリ… 京太郎「そろそろ作戦が始まるみたいだな。それじゃあ俺は行くわ」 和「待ってください須賀君!私の質問に答えてください!逃げるつもりですか!」 469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 01:41:02.59 ID:055FtIYcO 京太郎「俺はただ…自分のために戦うだけさ。戦うなんてそれで十分だろ」 和「須賀君――!」 京太郎「和、俺が最初に言った事を覚えているか?」 和「えっ…?」 京太郎「…どんな状況であれ、敵には情けをかけるなよ…それが例え昔の仲間であってもだ……じゃあな」タッタッタッ… 池田「行っちゃったし…」 和「須賀君…あなたは一体何を考えているんですか…?」 【基地付近】 藤田「そろそろ作戦が始まるぞ!カウント3…」 和「宮永さん…あなたのために必ず勝利してみせます!」チャキッ 藤田「2!」 池田「忌々しいコーチをやっつけてやるし!」チャキッ 藤田「1!」 京太郎「……………」スチャッ 藤田「0!……行くぞ!長い戦いの…これで最後にするんだ!」 471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 02:08:35.16 ID:055FtIYcO クボ星人1「イケダァァァァ!」 クボ星人2「タルンデンジャネーゾイケダァァァァ!」 池田「予想通り、敵がウジャウジャいるし!」パラララララ 和「数に惑わされないでください!雑魚クボは敵に向かってくるしか攻撃パターンはありません!」パラララララ 藤田「和の言う通りだ!今は少しでも多く敵を倒して、他の部隊の支援をするんだ!」パラララララ クボ星人「イケダァァァァ!」 池田「副隊長危なーい!」 ダァーン! クボ星人「ギャアアアアア!」バタンッ 京太郎「やれやれ……やっぱり和は危なっかしい」チャキッ ダァーン! ダァーン! 和「須賀君…やはり須賀君の狙撃の腕はピカイチですね」パラララララ 池田「華菜ちゃんも負けてられないし!うおおおお!」タッタッタッ… 藤田「おい!何をしている池田!軽率な真似はよせ!」 池田「大丈夫大丈夫!華菜ちゃんには不可能はないし!」 473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 02:36:48.40 ID:055FtIYcO クボ星人「イケダァァァァ!ナメテンジャネーゾコラアァァァ!」ガシッ 池田「し、しまった!」 クボ星人「イケダァァァァ!ブッコロシテヤルイケダァァァァ!」ドゴッ バキッ ドガッ 池田「ぎゃああああ!」 和「池田隊員~!」 藤田「全く…池田はあそこまで馬鹿だったのか…」 和「ああ、池田隊員がクボ星人にボコボコにされている…早く助けないと!」 藤田「和副隊長、今は敵を倒すのが先だ!」 和「そんな…池田隊員を見殺しにするつもりですか!?」 京太郎『聞こえるか、こちら京太郎!今からウザネコ隊員を救助してやる!』カチャッ 和「須賀君!?一体何をするつもりですか!」 京太郎「なーに!ロケットランチャーで一気に敵を殲滅するだけさ……発射!」ズドン! ヒュウウウウ…… ドカァァァァン! 池田「ひいいいいいい!」 京太郎「よし、上手く命中したな」グッ 475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 03:01:49.53 ID:055FtIYcO 池田「ひどいし…私ごと撃つなんて…!」ピクピク 藤田「しかし、これで多数の敵を倒す事が出来た!やったな池田!」 和「普通だったら死んでますけどね…」 京太郎「さてと、狙撃に戻るとするかね」カチャ クボ星人「イケダァァァ!」 和「これで最後です!」パララララ クボ星人「ギャアアアアア!」バタンッ 池田「ようやく全滅したみたいだし……かはっ!」 和「大丈夫ですか池田隊員?」 池田「問題…ないし…まだまだ華菜ちゃんは頑張れるし…」シュウウウ… 和「…本当に大丈夫ですか?なんだか焦げ臭いですけど」 藤田「――了解!お前ら、これよりG部隊とK部隊は敵の中枢部へと侵入する!敵はまだまだいるから気をつけろよ!」 和「了解!」タッタッタッ… 京太郎「俺もいくかね……」タッタッタッ… 476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 03:32:02.60 ID:055FtIYcO 【イケダァ要塞 中枢部】 藤田「よし…周辺の敵は粗方片付けたな」 和「ですが、敵の総帥が見付かりません…どうやら逃げられてしまったみたいですね」 池田「なーに!こんだけ友軍がいるんだからすぐに見付かると思うし!」 ピリリリリリ 藤田「――――それは本当か!?分かった、他の隊員に知らせよう!」 和「藤田隊長…もしかして敵の総帥が見付かったんですか!?」 藤田「ああ…総帥は友軍の手によって捕縛された……我々の勝利だ!」 池田「本当だし!?ようやく…全ての戦いに決着がついたのか!?」 京太郎「こちらでも確認した……間違いないみたいだな」 和「ついに…ついにやったんですね私たち!」 477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 04:11:49.48 ID:055FtIYcO 藤田「さあ帰るぞ…帰って宴の準備をしないとな!」 池田「私も手伝うし~!」 和「もう、まだ敵がいるかもしれないんですよ?安心するのは早いと思います」 藤田「そう固い事を言うな和!お前は嬉しくないのか?ようやく自分の家に帰る事ができるのに」 和「それは…嬉しいですけど」 藤田「なら、もっと喜べ和!」 和「はい…」 藤田「それじゃあ帰還するとするか!和副隊長の言うとおり、敵が潜んでいるかもしれないから一応注意はしておけ!」 和(ようやく帰る事ができる…!宮永さんの所に…!) 京太郎「……………………」 和「…どうかしたんですか須賀君?戦いは終わったのに嬉しそうではありませんね…」 京太郎「いや……………別に」タッタッタッ… 和「…………………?」 478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 04:42:15.57 ID:055FtIYcO 【母艦】 池田「ふぅー!ようやく、家に帰る事ができるし!早くチビ達に顔を見せてあげないとな!」 和「池田さんには妹さんがいるんですか?」 池田「うん、三人の妹がいるんだけど今頃きっと私を泣きながら待っているに違いないし! 早く家に帰りたくて仕方ないよ!」 和「そうですか…池田さんは家族のために戦っていたんですね」 和(宮永さん…元気にしているでしょうか?ゆーきや部長、染谷先輩にも早く会いたいなぁ…) 藤田「さてと…そろそろ宴を始めると」 隊員A「た…大変です隊長!」 藤田「どうしたんだ急に…せっかく宴を始めようとしたのに」 隊長B「宴どころではありません!イケダァ基地が…イケダァ基地が…!」 池田「イケダァ基地がどうかしたのか?」 隊長A「イケダァ基地が…攻撃を受け、占拠されました!謀反が発生した模様です!」 藤田「な……なんだって!?」 479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 04:50:13.50 ID:055FtIYcO 池田「そんな!戦いはもう終わったはずだ!一体誰がそんな事を…」 隊員A「情報によりますと、今回の謀反の首謀者はK部隊副隊長の須賀京太郎との事です!」 和「す…が…君?」 藤田「なんだと……まさかあいつがそんな事をするなんて!」 池田「信じられないし!ようやく戦いが終わったと思っていたのにさー!」 隊員B「それに対して、軍では今回の事件に関しての対策を考えるために会議が開かれるようです!隊長も会議に参加せよとの事です!」 隊長「分かった!今いく!」タッタッタッ… 池田「あーもう!あの男…絶対に許せないし!にゃー!」 和「須賀君……どうして反逆なんか?」 480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 05:06:49.36 ID:055FtIYcO 【数時間後】 藤田「……我々に任務が下った」 池田「任務……だし?」 藤田「今回の任務はイケダァ基地の奪回…及び、今回の反乱の首謀者である須賀京太郎の身柄の確保だ」 和「やっぱり…そういう事になりましたか」 藤田「なお……首謀者である須賀京太郎の身柄の確保が難しいとされる場合、抹殺もやむ無し…との事だ」 池田「それはつまり、アイツを殺す事になっても構わないって事だし?」 藤田「そういう事になるな」 和「ちょっと待ってください隊長!それはいくらなんでもあんまりです!須賀君を殺すなんて…!」 藤田「私だって他の部隊に説得はしたさ!でも、駄目だった…アイツが交渉を拒み続けている以上、実力行使でいくしかない……それが上の決定だ」 和「そんな…そんなのってないですよ!なんで仲間同士で戦う必要があるんですか!?」 481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 05:18:51.72 ID:055FtIYcO 藤田「そんな事を私に聞かれても困る!…とにかく、もう決定した事だ!我々はこれよりイケダァ基地の制圧及び、反逆者須賀京太郎の捕縛に向かう!」 池田「あーもう!ようやく帰れると思ったのに~'」 和(だからあの時須賀君は…あんな表情をしていたんですね……) 和(でも、どうして反逆なんか…須賀君の考えている事が全く分からない…」 【イケダァ基地・中枢部】 K隊員A「副隊長!兵の配備を完了しました!」 京太郎「分かった…後は下がっていいぞ」 K隊員A「はっ!」ザッザッザッ… 京太郎「これなる事が俺に与えられた運命なのか……なぁ、嫁助…?」 482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 05:36:03.66 ID:055FtIYcO 【イケダァ基地】 池田「ねぇねぇ隊長…どうしても戦わないと駄目…かな?」 藤田「…もう作戦は進行している。もはやどうする事も出来ないだろう」 池田「……分かっただし。ごめんなさい隊長」 藤田「いや、いいんだ…私も池田と同じ気持ちなんだからな」 池田「これが本当の最後の戦いかぁ…なんだ嫌な気分だし」 K隊員「敵を確認!直ちに排除する!」カチャ 藤田「どうやら敵に見付かったようだな…!いくぞ二人共!」カチャ 池田「私は絶対にチビ達の所に帰るんだし!誰にも邪魔はさせない!」カチャ 和「須賀君…私は…あなたを説得してみせます!あなたが何を考えているのかは分かりませんが……こんなの絶対に間違ってますよ!」チャキッ 483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 05:57:32.66 ID:055FtIYcO K部隊「かかれ~!」パララララ 藤田「流石はK部隊!一筋縄じゃあいかなそうだ!」パララララ 池田「とくと見よ!華菜ちゃんの力を!」パララララララララ 和「私は須賀君と会わないといけない…!こんな所で立ち止まる訳にはいかない!」パララララ こうして、須賀京太郎率いる反乱軍との戦いが始まった 最初のうちは反乱軍が優勢だったが、次第に数でおされていき 次第に降伏するものが現れ始めた 藤田「よし!戦況は完全にこちらが優勢だ!和……お前は須賀の所に行くんだ!」パララララ 池田「あんの馬鹿の目を覚ましてやるんだし和副隊長!」パララララ 和「………分かりました!須賀君……今行きます!」タッタッタッ… 484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 06:23:22.87 ID:055FtIYcO 【イケダァ基地 中枢部】 和「須賀君!」 和の呼ぶ声に反応した京太郎はゆっくりと和の方に振り向いた 京太郎「和か…やっぱり来ると思ってたよ」 和「須賀君…投降してください!今ならきっと間に合うと思います!」 京太郎「間に合う…か、何が間に合うんだろうな…ハハハハ」 和「須賀君…もう一度言います!投降してください!私は…須賀君とは戦いたくありません!」 京太郎「悪いがそいつは出来ないな和」チャキッ 和「……どうしてですか須賀君!どうしてあなたが反乱なんか…!?」 京太郎「……許せなかったんだよ……生温い地球防衛軍がな」 和「生…温い?」 京太郎「今回のクボ・コーチ星人の総帥がどうなったのかお前は知っているか?」 485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 06:35:08.71 ID:055FtIYcO 和「クボ・コーチ星人の総帥ですか…?」 京太郎「聞いた話によると、クボ・コーチ星人と和平を結ぶんだと。信じられるか…勝ったのにも関わらず、共に歩む道を選んだんだぜ?あり得ないだろ」 和「平和の道を共にすすむ事のどこが悪いんですか!?」 京太郎「じゃあ、この戦争で死んだ人間は何のために戦ってきたんだ。嫁助は……何のために死んだんだよ」 和「須賀君……あなたは」 京太郎「俺は、絶対に許したくない。死んでいった人達の犠牲を無駄にするなんて事を許したくないんだ」 和「………どうしてなんですか須賀君」 京太郎「なんの話だ」 和「どうしてあなたは平和を拒絶するんですか!?」 486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 06:52:30.07 ID:055FtIYcO 京太郎「……………」 和「あなただって平和を望んでいたんじゃなかったんですか!宮永さんや他の仲間達を守るために軍に入ったんじゃないんですか!」 京太郎「藤田さんから聞いたのか」 和「はい…須賀君は皆の笑顔を守るため戦っているって…」 京太郎「………」 和「なのに、なんで……?」 京太郎「……確かに俺は皆の笑顔を守るために軍に入隊した…嫁助と一緒に」 和「…………」 京太郎「あの頃の俺は真っ直ぐに自分の道を進んでいたつもりだった…例え敵同士でも…分かり合えるかも知れないって幻想を抱いてな だけど…嫁助を目の前で殺された……俺の馬鹿で下らない幻想がアイツを殺してしまったんだ 嫁助が死んでから、俺は自分の道を見失っちまった…」 487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 07:02:19.49 ID:055FtIYcO 京太郎「空っぽさ…もう俺には何も見えない…信じたかった幻想も、皆の笑顔も、嫁助と語り合った夢も……何もかもが見えないんだ」チャキッ 和「須賀君何を!?」 京太郎「和…みんなにはよろしく伝えておいてくれ…」 和「やめて須賀君!銃を捨ててください!」 京太郎「じゃあな」 和「ダメぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 バァン……… 京太郎「……………」バタンッ 和「…………嘘よ、こんなの嘘よ!こんなオカルト…絶対にありません!絶対にあってはありません!ねぇ!起きてください須賀君!目を開けてください!」 京太郎「…………………」 和「いやああああああああああああああああああああああああああああああ!」 488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 07:13:44.54 ID:055FtIYcO 京太郎が死んでからしばらくの時が流れた。 池田は軍を除隊し家族の元へと帰り、藤田は軍に留まった。 原村和もまた軍を除隊し、普通の少女としての生活を送っていた 咲「原村さーん!一緒に学校に行こう!」 和「あっ、宮永さん。いいですよ!一緒に行きましょう」 チュンチュン… 咲「―――――でね!大変だったんだよ~!」 和「フフフ…そうだったんですか」 咲「それにしても京ちゃん…どこに行ったんだろう?」 和「はい…!?」ドキッ 咲「ずっと京ちゃんの事を見ていないからさ…ちょっと心配なんだ」 和「そ、そうなんですか」 咲「ねぇ、原村さんは何か知らない?」 491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 07:45:05.81 ID:055FtIYcO 和「……………」 咲「原村さん?」 和「…私には分からないですね。そのうちひょっこり顔を出すのではないでしょうか?」 咲「うーん…そうだよね!京ちゃんの事だからきっとそうだよ!」 和(……嘘をついてごめんなさい宮永さん。きっと私は一生、須賀君が死んだ事を秘密にしていくのでしょう。 でもこれは…罰なんです。あの時、須賀君を助ける事が出来なかった罰。 きっと私は十字架を背負ったまま生きていくのだろう――――)       第9話「スペース・ゲート」 次回   井上「なんじゃこりゃああああああ!」 492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 07:46:15.02 ID:055FtIYcO 気が付いたら朝になっていた 休憩する 513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 16:18:28.93 ID:055FtIYcO 衣「よーし!みんなー!あつまれ~!」 透華「了解ですわ~!」 一「今日の事件も楽勝だね!」 智紀「油断はいけない…犯人(ホシ)はどこにいるのか分からない…」 井上「いいじゃねーか!ちゃっちゃっと終わらせてメシにしよーぜ」 歩「すいませ~ん!遅刻してしまいました~!」 ハギヨシ「さて、今日はどんな事件が私を待っているのでしょうか」 彼女達は悪の手から街の人達を守る龍門渕警察!リーダーである天江衣(愛称はボス)をはじめ、透華(アンテナ)、一(マジック)、智紀(パソコン)、井上(ノッポ)、歩(メイド)、ハギヨシ(ハギー)の七人のメンバーが 平和を守るため、今日も悪者を捕まえるべく街中を駆け回るのである! 521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 16:31:06.48 ID:055FtIYcO 透華「ボス、今日もいい元気ですわね」シャッ 衣「ああ、そうだな~!今日もジュースがうまい」チュー 一「ボス、アンテナ!事件だよ!」 透華「どうしましたのマジック?なにやら慌てておりますけど」 井上「また銀行強盗事件が起きちまったんだよ…犯人はあいつだ」 透華「まさか……また現れましたの!?」 智紀「連続銀行強盗事件のリーダー……須賀京太郎…」 歩「なんて事でしょう…警戒していたのにも関わらず…また起きてしまいましたか…」 ハギヨシ「まさに神出鬼没、我々の警戒をすり抜けるとは…油断出来ない男です」 衣「よーし、お前達!さっそく現場に行ってこい!」 透華「さあ、行きますわよ!必ず須賀京太郎を捕まえてご覧にいれますわ~!」タッタッタッ… 524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 16:41:09.85 ID:055FtIYcO 【犯行現場】 歩「見事なまでに空っぽですね…」 井上「たくっ、俺達を馬鹿にしやがって!絶対に捕まえてやるからな!」 一般人A「お巡りさん!必ず犯人を捕まえて欲しいじぇ!安心して夜も寝られないじょ!」 井上「おうよ!任しとけ!」 歩「それよりもアンテナさん達はどこに行ったのでしょうか」 井上「ああ、アンテナ達なら京太郎が潜伏していたとされるアジトに向かったぜ」 一「大丈夫かなアンテナ達…まだ京太郎が潜伏している可能性があるかもしれないのに」 井上「まあ、アンテナたちなら大丈夫だろ!それよりも腹が減ったからメシでも食おうぜ!」 一「もうノッポったら…君は食べる事しか頭にないの?ちゃんと仕事をしなよ」 526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 16:49:24.59 ID:055FtIYcO 【京太郎のアジト】 智紀「すでにもぬけの殻……どうやら感付かれていたみたい」 透華「キー!忌々しいですわ!ようやく手掛かりを見つけたと思いましたのに!」 ハギヨシ「しかしアンテナ様、須賀京太郎はまだ近くにいるかもしれません…捜索してみましょう」 智紀「ハギーの言う通り……アンテナ、私は外を捜索してくる」 透華「分かりましたわ…パソコン、ハギー、くれぐれも油断しないでくださいまし」 ハギヨシ「分かっておりますよアンテナ様……それでは私も外の方を確認してきます」 透華「おーほほほ!私を侮辱した事を後悔させてやりますわ!」タッタッタッ…… 528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 17:02:38.62 ID:055FtIYcO 智紀「いない………やはり京太郎は既に逃げたみたい…」 ハギヨシ「油断しないでくださいパソコン様、敵は思わぬ所から現れるものですから…」 智紀「分かっている、ハギーの方こそ気をつけて」 ハギヨシ「パソコン様、私はアンテナ様の様子を見に行ってきます」 智紀「そう、気をつけて…」 タッタッタッ… ハギヨシ「アンテナ様…どこにいるのでしょうか…?」 タッタッタッタッ…… グサッ ハギヨシ「なっ……!?お前は…京太郎…!」 京太郎「へへへへ…俺を捕まえようなんて十年早いんだよ…!」 ハギヨシ「くそっ……!待て…!」 京太郎「じゃあな……勇敢なお巡りさん!」タッタッタッ…… 透華「ハギー!ハギー!どこにいるんですの~!?」 チャララ~ チャラララ~ チャラララ~ ハギヨシ「お母さん……青空……綺麗だなぁ……」ガクン ハギー刑事 殉職 530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 17:19:43.31 ID:055FtIYcO 【龍門渕事務所】 井上「くそっ!まさかハギーが京太郎にやられちまうなんて!」ガンッ! 一「落ち着いてよノッポ…気持ちは分かるけどさ」 井上「おい、アンテナ!どうして京太郎を見つけなれなかっだよ!」 一「やめなよノッポ!アンテナは悪くないじゃないか!」 透華「ええ、そうですわ!悪いのは全部私、私のせいでハギーは…」 衣「仲間割れはやめよ!」バンッ 一「ボ…ボス…」 衣「全ての元凶は須賀京太郎にあり、あやつを捕縛せぬ内の仲違いなど愚の骨頂!」 井上「わ……悪い、ボス。少し頭に血がのぼっていたみたいだ」 透華「私の方こそ申し訳ありませんわ…平常心を失うなんて私らしくありませんでしたわ…」 衣「それでいいのだ!」ニパー 533 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/20(土) 17:57:26.08 ID:055FtIYcO 智紀「皆……聞いて欲しい事がある」 井上「どうしたんだパソコン」 智紀「ついさっき、清澄銀行を須賀京太郎が狙っといると情報を手に入れた」 一「それは本当なのパソコン!」 智紀「…………コク」 透華「よく見つけましたわパソコン!あなたは使える子ですわ!それでは皆さん…清澄銀行に参りましょう!」 一「分かったよアンテナ!」 井上「待ってろよ須賀京太郎…!必ずお前にハギーを殺した償いをさせてやるぜ!」 智紀「運動はあまり得意ではないのだけど……」 歩「待ってくださいよ皆さ~ん!」タッタッタッ… 衣「帰りにアイスクリームを買ってきてくれ~! 」 こうして龍門渕警察の面々は清澄銀行へと向かった 535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 18:18:06.75 ID:055FtIYcO 透華「どうやら清澄銀行はまだ、襲われていないみたいですわね」 一「そうみたいだね…良かった」 井上「けどよ、もしかしたら奴が俺達が来るのに気が付いて他の銀行に向かったんじゃねーか?」 透華「あり得ない話ではありませんわね……パソコン、他に襲われる可能性のある銀行はありませんの?」 智紀「鶴賀銀行も襲われる可能性あり……」 透華「鶴賀銀行も危ないですのね?ならば、私とマジックが鶴賀の方に向かいますわね!ノッポとパソコンとメイドはここを任せましたわ! 井上「分かったぜアンテナ!気をつけろよ…アイツはどこから来るのか分からないからな」 歩「アンテナ様…どうか気をつけて…」 透華「大丈夫ですわ、それではマジック…鶴賀に行きましょう」 一「了解、アンテナ!」タッタッタッ… 537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 18:37:50.96 ID:055FtIYcO 井上「そろそろ銀行が閉まる時間だが…何も起きなかったな」 智紀「鶴賀に向かったアンテナ達の方も特に異常はないみたい…」 歩「やっぱり…私達の行動が気が付かれたのでしょうかね」 井上「可能性は高いな…結局無駄足かよ…メシでも食って帰るとしようぜ」 智紀「ノッポ……食べ過ぎは良くない」 井上「うるせーな!腹が減ったら戦は出来ないって言うだろうが!………ん?」 ブゥゥゥゥン… 歩「ふふっ…ノッポ様はいつも食事の事ばかり」 井上「あぶねぇ!メイド!パソコン!ふせろ!」ガバッ パララララララ 智紀「―――――――!」 井上「つあ………!」チュイン 歩「きゃあああああ!?」 539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 19:09:27.30 ID:055FtIYcO 京太郎「………………」ブゥゥゥゥン… 智紀「あれは……須賀京太郎…!」 井上「待ちやがれ…!ぐっ……」 歩「だ…大丈夫ですかノッポ様!―――私を庇ったせいで…」 井上「大丈夫……ちょっと腕をかすめただけだ…!それよりもアンテナに連絡しろ…須賀京太郎を発見したってな…!」 智紀「もう連絡ならした……それよりも怪我の治療をしないと…」 井上「チッ……情けねえなぁ……全く」 歩「ノッポ様……」 【事務所】 透華「結局……京太郎には逃げられてしまいましたわね…」 一「ノッポ……怪我の方は大丈夫なの?」 井上「大丈夫だ大丈夫!こんなかすり傷どーって事ねえよ!」 衣「とにかく無事で何よりだノッポ」チュー チュー 井上「ところでメイドはどこに行ったんだ?」 透華「メイドならさっき買い物に行くって出ていきましたわよ」 541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 19:32:12.05 ID:055FtIYcO 一「メイド…なんだか元気なかったよ」 透華「ノッポが怪我をしたの…自分のせいだと思っているのではないでしょうか」 智紀「可能性は非常に高い…」 井上「全く…あれは俺がやった事でアイツは何も悪くないんだけどな…」 衣「よし、メイドが帰ってきたら皆で元気付けてやろうではないか!」 井上「ボスの言う通りだな!メイド…早く帰ってこねえかなぁ」 【雑居ビル】 歩「買い物の途中でまさか須賀京太郎を見つけるなんて……」 京太郎「………………」タッタッタッ… 歩「ノッポ様が怪我をしたのは私のせいだ……!だから私の手で……須賀京太郎を捕まえてみせます!」 京太郎「………………」タッタッタッ…… 歩「一体どこに向かっているのでしょうか…?」 543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 20:11:19.10 ID:055FtIYcO 京太郎「………」カツーン カツーン カツーン 歩「上に登りはじめました……バレないように慎重についていかないと……」タッタッタッ…… 歩「どうしよう…やっぱり皆に言った方がいいのかなぁ……?」 歩「…いえ、これ以上は皆に迷惑をかける訳にはいきません!ノッポ様を傷付けてしまった償いを果たさないといけないんです!」タッタッタッ… 歩「あれ…?須賀京太郎が…いない?」 シーン…… 歩「まさか……見失ってしまった…!そんな訳ない、必ずどこかに…」クルリ 京太郎「……………」チャキッ 歩「しまっ―――!」 京太郎「good night」 ダァァァァン……… 歩「か……は…!」バタッ チャララ~ チャラララ~ チャラララ~ 歩「ごめんなさい……皆……私…死ぬ前に…塩むすびが…食べたか……」ガクン ―――メイド刑事 殉職 547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 20:38:35.20 ID:055FtIYcO 【事務所】 透華「メイド…あなたという人は…なぜ私達に一言も…!くぅ……」 一「グスッ……まさかメイドが…須賀京太郎に殺られるなんて…!」 井上「メイドの馬鹿野郎――!どうして逝っちまったんだ…!」 智紀「これで…仲間が二人も須賀京太郎によって殺害されてしまった…」 衣「仕事柄、仕方ないとはいえ……やはりつらいものだな…」チュー チュー 透華「これ以上、犠牲を増やす訳には参りませんわ…!死んでいったハギーとメイドのためにも…」 一「そうだねアンテナ!早く須賀京太郎を捕まえて二人を安心させてあげようよ!」 衣「皆の言う通りだ、暴虐の輩である須賀京太郎に目にモノを見せてやろう!」 井上「それにしてもこの塩むすびはウメーなぁ!」ムシャムシャ 552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 21:40:13.65 ID:055FtIYcO 智紀「――アンテナ、だった今京太郎が銀行を襲撃したという情報が入った」 透華「それは本当ですの、パソコン!」 智紀「間違いはない、京太郎は金を車に運んでいる最中らしい」 一「つまり、須賀京太郎がどこにいるのか確認できるって事だね」 井上「よっしゃあ!行こうぜ皆!今日こそ京太郎の野郎を捕まえてやる!」タッタッタッ 透華「ちょっと…お待ちなさいノッポ!私を差し置いて目立つなど……許せませんわ!」タッタッタッ 一「アンテナ、今は須賀京太郎を捕まえる事を考えようよ!」タッタッタッ 智紀「今度こそ逃がさない…!必ず私達が捕まえる……!」タッタッタッ 衣「皆頑張ってこーい!さーて、衣は一眠りしようっと」 556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:14:29.81 ID:055FtIYcO 【強盗現場】 部下A「ヘッヘッヘッ!今回の強盗も楽勝だったっすね兄貴!」 京太郎「まーな、だけど油断するなよ。恐らく奴らが現れるだろうがな」 部下A「奴ら…誰の事っすか?」 京太郎「最近、俺の事を逮捕しようとしている連中がいてな…二人ほど始末したんだが、まだ諦めてないんだ」 部下A「そいつはウザいっすね!兄貴も大変っす」 ウゥゥゥゥン! ウゥゥゥゥン! 京太郎「どうやら来たみたいだな、車を発進させろ!」 部下A「アイアイサー!」 ブゥゥゥゥン… 智紀「あの車に間違いない…!あれに須賀京太郎一味が乗っている」 透華「ようやく見つけましたわ~!もう逃がしません事よ!」 一「見て、アンテナ!車が動き出したよ!どうやらボク達に気が付いて逃げるつもりだよ!」 557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:37:50.03 ID:055FtIYcO 透華「キー!絶対に逃がしませんわ!必ずぶっころ……逮捕して差し上げますわ~!」 智紀「アンテナ……言葉が悪くなってる…」 一「京太郎の奴…絶対に捕まえてやる!」 ブゥゥゥゥン… 京太郎「もっとスピードを出せないのか?」 部下A「駄目っす!この車じゃあ、これが限界っすよ!」 京太郎「チッ……おい!ちゃんと運転しとけよ!」スゥッ 一「アンテナ!京太郎の奴が銃をこちらに向けてるよ!」 智紀「当たったらひとたまりもない…」 透華「上等ですわ!私の奇跡的なドライビングテクニックを見せて差し上げましょう!」キイイイイイ 京太郎「いい加減目障りなんだよ…消えろ!」ガォーン! ガォーン! 一「撃って来たよアンテナ!避けて!」 透華「そりゃああああ!当たりませんわ~!」キイイイイイ! 559 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:54:00.43 ID:055FtIYcO 一「ア…アンテナ!そんなに激しく動かさないでよ!ボクも乗っているんだからさ!」 透華「おほほほほほほ!何を言っておりますのマジック!?あのクソッタレゲドウのハナタレの銃弾に当たる訳にはまいりませんわ~!」キイイイイイ! 一「うわああああ!?」グラングラン 智紀「アンテナ……完全にハイになってる…」 京太郎「なんて動きをしてやがるんだあの車は…全く面倒くさいぜ!」ガォーン! ガォーン! 透華「お~ほほほほほほほほほ!クソッタレゲドウのアホタレの銃弾なんて、私達には当たりませんわよ~!」キイイイイイイイイイイ! 一「アンテナ……少し落ち着いてよ~!そんなドライブをしてたら車の方がもたないよ!」 智紀「マジック……今のアンテナには何を言っても無駄だと思う」 562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:29:13.17 ID:055FtIYcO 透華「おーほほほほほほ!後少し!後少しであのクソッタレゲドウに追い付きますわ~!」 バシュッ 透華「なっ!?」 京太郎「最初からタイヤを撃てば良かったんだよな」 キイイイイイイイイイイ… 一「くっ…!段々と車が離されていくよアンテナ!」 透華「きいいいい!なんて卑怯な野郎ですわ!」 智紀「このままでは見失ってしまう…」 京太郎「へへ…じゃーな!勇敢な刑事さん!」 一「どうしたらいいんだ!ようやく追い詰めたっていうのに…」 ギャァァァァァァァァァァン! 一「うわっ!?な…なんだよあの車!凄いスピードで走ってる!」 智紀「あの黒いカスタムカー………間違いない」 透華「ようやく来ましたわね…ノッポ!」 井上「うおりゃああああ!待ちやがれってんだ京太郎!」 568 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/21(日) 00:01:15.78 ID:jzMmHJayO ギャァァァァァァァァァン! 部下A「兄貴!もの凄いスピードで車が突っ込んでくるっすよ!」 京太郎「くそがっ!銃を撃っても全然よける素振りを見せねえ!」 井上「うおおおりゃあああああああああ!」 ガシャーン! 京太郎「くあっ!?」 部下A「ぶつけてきやがったっす!何を考えているっすかあの車!?」 井上「もういっちょおおおおおお!」ギャアアアアアアン! ガシャーン! 京太郎「チッ……このままじゃ車がもたないか…仕方ない!お前ら車から降りるぞ!こうなったら、一人一人始末してやる!」 部下A「で、ですけど兄貴!」 京太郎「迷ってる暇はねえ!近くに廃墟ビルが建っているからそこで迎えうつぞ!」キイイイイイ… 井上「おっ!ついに観念しやがったか!いや……どうやらまだやる気みたいだな」 572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 00:33:15.69 ID:jzMmHJayO 部下A「ぶっ殺してやるっす!」 部下B「兄貴に逆らった事を後悔させてやるっすよ!」 京太郎「そろそろ死んでくれやぁ!」ガォーン! ガォーン! 井上「くそっ!いくら何でも一人じゃ不利だ!」ダァーン ダァーン 透華「一人ではありませんわ!」ダァーン! 智紀「ようやく追い付いた…」 一「ノッポ!一気に畳み掛けようよ!」 井上「お前ら……よし!いくぜいくいくぜ!」ダァーン! ダァーン! 部下A「うわぁ~!」 部下B「やられたっす~!」 透華「京太郎はどこにいきましたの!?」 一「アンテナ!あそこに京太郎がいる!ビルの中に隠れるつもりだよ!」 井上「よし!俺達もビルの中に向かうぞ!」タッタッタッ… 574 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 00:47:10.13 ID:jzMmHJayO 【廃墟ビル】 智紀「マジックとノッポとはぐれてしまった…」 透華「気をつけなさいパソコン…京太郎は必ずどこかに潜んでおりますわ」チャキッ 智紀「分かっている…」チャキッ 透華「それにしても暗い場所ですわね……少し怖いですわ」 智紀「確かに…京太郎がいつ襲って来てもおかしくはない」 透華「あーもう!イライラしてきましたわ!」 智紀「アンテナ…イライラはいけな―――」 京太郎「……………」チャキッ 智紀「危ないアンテナ!」 ガォーン…… 智紀「う………く……!」バタンッ 透華「パソコーン!」タッ… 京太郎「…………ちっ」タッタッタッ… 井上「どうした!?銃声が鳴ったぞ!」タッタッタッ… 一「大丈夫かアンテ……パ…パソコン!?」タッタッタッ… 577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 01:05:20.13 ID:jzMmHJayO チャララ~ チャラララ~ チャラララ~ 智紀「だい…じょう…ぶ?アン…テナ…」 透華「しっかりなさいパソコン!なんで…私を庇ったのですか!」 智紀「体が……勝手に…動いた……ただ…それだけ…」ニコッ… 井上「おい!しっかりしろよパソコン!死んだりしたら許さねーぞ!」 一「そうだよパソコン!皆で一緒に帰るんだろ!?こんな所で死んじゃ駄目だよ!」 透華「そうですわパソコン!新しいPCを買ってあげますから…死なないでくださいまし!」 智紀「みん…な…………」 井上「どうしたパソコン!何か言いたい事があるのか!」 智紀「…………アイル……ビー……バック……」ガクッ 透華「パソコォォォォォォォォン!」 パソコン刑事 殉職 579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 01:18:55.06 ID:jzMmHJayO 一「許さない……絶対に許さないぞ京太郎!お前だけは必ず捕まえてみせる!」 透華「マジックの言う通りですわ!ハギー、メイド、そしてパソコン……この者達の無念を必ず晴らしてみせます!」 井上「よっしゃあ!いくぞ二人共!アイツはそう遠くに行っていないはずだ!」 一「分かったよノッポ!」タッタッタッ… 透華「ずいぶんと広い場所に出ましたわね…」 一「そうだね、アンテナ……隠れるには打ってつけの場所だ」 井上「十分に注意しないとな…!」 カランカラン 井上「な…なんだ!」カラカラ… 一「び、びっくりしたぁ~!ボクはてっきり京太郎が現れたのかと…」 透華「危ないマジック!」 一「えっ………?」 ガォーン! 一「くわぁ…!」バタンッ 580 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 01:30:38.20 ID:jzMmHJayO 透華「マジック!大丈夫ですかマジック!?」タッタッタッ… 一「あ……足を撃たれた…!」ズキズキ 透華「マジック……!今止血して差し上げますわ!」ビリビリ… 京太郎「………やれやれ」カンカンカン… 井上「野郎…!アンテナ、マジックの事を頼む!俺は京太郎の方に向かう!」 透華「分かりましたわ!…くれぐれも無茶をしてはいけませんわよ…ノッポ!」 井上「わーってるよアンテナ!心配すんなって!必ずアイツを捕まえてみせるぜ!」タッタッタッ… マジックをアンテナに託したノッポは全ての元凶である京太郎を捕まえるべく 彼の後を追いかける 586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 01:58:40.89 ID:jzMmHJayO 井上「もう追い詰めたぞ須賀京太郎!いい加減観念しやがれ!」チャキッ 京太郎「へへ…!誰かお前達に捕まるものかよ!」ガォーン! ガォーン! 井上「ちっ……!何で分からないんだよ馬鹿!」ダァーン! ダァーン! 京太郎「ぐはぁ…!」ガチャーン…… 井上「急所は外しておいた…これで終わりだ…大人しくしやがれ!」 京太郎「捕まってたまるか!捕まってたまるかよ!」チャキッ 京太郎は懐からナイフを取り出した 井上「やめろ……もうお前は何をしても無駄だ…」 京太郎「うおおおおおおお!」タッタッタッ 井上「――――この馬鹿野郎があああああ!」ダァーン! 京太郎「く……そ…まさか…この俺…が…」バタンッ 井上「……終わった…な」 589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 02:18:53.41 ID:jzMmHJayO 井上「……さてと…帰るかな…」タッタッタッ…… ガォーン! 井上「………え?」シュウウウウ… 京太郎「へへ……油断しちゃあ…いけない…なあ……ぐふっ」バタンッ 井上「……あれ?俺…………」ポタポタ… シーン…… 井上「――――――なんじゃこりゃあああああああああああ!」バタンッ 透華「ノ…ノッポ!」 一「嘘…だろ…ノッポ…ノッポぉ!」 井上「死にたくねえ!死にたくねえよおぉぉぉぉ!」ツー… 一「しっかりしてよノッポ!ノッポ!」 井上「死にたくねえよぉ…死にたく……ね……え…」ガクッ 透華「………ノッポ?ノッポぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 ノッポ刑事 殉職 597 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 03:28:35.45 ID:jzMmHJayO チャララ~ チャラララ~ チャラララ~ 一「京太郎との戦いは終わったけど…多くの仲間を失ってしまったね」 透華「ええ…失ってしまったものがあまりにも多過ぎますわ…ハギー、メイド、パソコン、………そしてノッポ」 衣「……けれども、その者達の志は消えたわけではない。彼らの意志は我々の心の中で永遠に生き続ける事だろう」 透華「ええ……そうですわね」 須賀京太郎との戦いは終わった。しかしこれで、安心できるわけではない。いずれ第二、第三の須賀京太郎が現れるだろう。 しかし彼女達は決して屈しない!街の平和を守るため、龍門渕警察は走り続ける!        第10話「逃れられませんわ!」 次回について少し相談したい事がある 600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 03:37:37.34 ID:jzMmHJayO 最後の話は決まっているんだが、今回の電子のようなのがきたら書けなくなるかもしれない そうなる前にもう最後の話にするべきか、それともまだまだ話を続けるべきか少し迷っている 605 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 03:57:20.52 ID:jzMmHJayO >>601 1000を目指しているので次スレは考えていない >>602-603 落とされる前に書き続ければ問題はないか… 最後の話にするのはやめておく なら次回  睦月「ココロのスキマ、お埋めします…?」 これより休憩させていただく 617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 11:40:21.56 ID:jzMmHJayO 【鶴賀麻雀部】 妹尾「…でさ~!声をかけられて困っちゃいましたよ~!」 蒲原「ワハハー!かおりんは本当にモテるな~!羨ましいぞー!」 睦月「うむ」ポリポリ… 蒲原「むっきーはそういう経験とかないのか?」 睦月「ふぇっ?わ…私ですか?」 蒲原「ワハハー、正直むっきーが男に声をかけられるなんて想像できないんだよなー」 妹尾「ちょっと智美ちゃん、そういう事は言っちゃ駄目だよ~」 睦月「わ……私は…」 蒲原「ワハハー、正直むっきーの方がモモよりもステルスのような気がするんだよな~!」 睦月「そんな…!蒲原先輩…」 妹尾「だからやめてあげようよ智美ちゃ~ん!智美ちゃんが言った事は気にしないでね睦月ちゃん」 睦月「…………ハァ」 蒲原「ワハハー、どうやらゆみちんが来たみたいだな!じゃあいきますかー!」 619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 11:51:13.55 ID:jzMmHJayO 【その日の帰り道】 睦月「私がモモよりもステルス、か……確かにそうかもしれない…」 睦月「……私だって好きで空気な訳じゃないのに…」 睦月「……やっぱり私には個性がないから…空気扱いされるのだろうか…」 睦月「………私も欲しいなぁ…モモや佳織みたいな個性が…」 ?「ホーホッホッホッ……何やらお困りのようですね」 睦月「えっ…?」 彼女の目の前に現れたのは全身黒スーツの男。男は不気味な笑い声をあげながら睦月に近づいてきた 睦月「あの……あなたは?」 京太郎「ホーホッホッホッ、失礼…私はこういう者です」スッ 睦月「ココロのスキマ、お埋めします…?須賀京太郎さん……というのですか…」 京太郎「ホーホッホッホッ、良かったら私にお話を聞かせていただけませんか?」 620 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 12:06:49.77 ID:jzMmHJayO 【BARタコ巣】 京太郎「……なるほど、津山さんは自分の存在感の無さに失望をしている訳ですか…」 睦月「はい……最近では影の薄い後輩よりも薄いと言われてしまいまして…」 京太郎「津山さんは自分の存在感の無さの原因が自分に個性がないから…と思っているのですね」 睦月「はい、私にも個性があれば…と思ってはいるんです」 京太郎「なるほどなるほど、よく分かりました!そんなあなたにピッタリのものがありますよ」ガサゴソ… 睦月「えっ………これは口紅?」 京太郎「はい、この口紅は塗るだけで自分の存在感をアピールできる口紅です!良かったらいかがでしょうか?」 睦月「しかし、私にはお金が…」 京太郎「いーえ、お金はいただきません!津山さんの手伝いが出来れば構いませんので…」 睦月「はぁ……ありがとうございます…」 621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 12:17:56.50 ID:jzMmHJayO 京太郎「ただし、あまり使い過ぎてはいけませんよ……よろしいですね?」 睦月「はい…分かりました…」 京太郎「ホーホッホッホッ……それでは私はこれで…」 【次の日】 睦月「口紅をもらったものの…本当にこれで目立つ事ができるのだろうか?」 睦月は口紅を眺めながら手のひらで転がす。あのセールスマンの言った事がイマイチ信用できない睦月。 睦月「なんだか胡散臭いような気もするけど…でも、口紅を塗るだけだし……」 睦月「……まあ、騙されたと思って塗ってみよう…どうせタダでもらったものだし…」 ヌーリヌリヌリ… 睦月「さて、そろそろ学校の時間だな……行ってきます!」 タッタッタッ… 623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 12:42:46.49 ID:jzMmHJayO 蒲原「ワハハー、そんでさ~!その20メートル蛇ってのがテレビで……」 妹尾「ええ~?本当にそんなのいるのぉ?なんだか嘘くさ……」 睦月「失礼します」ガラッ 蒲原「おっ、来たかむっきー………んん?」 睦月「どうかしましたか蒲原先輩?」 蒲原「なんだ~?なんだか今日のむっきーはいつもと違うぞ~?」 妹尾「確かにそうだよねぇ…なんていうか存在感があるというか、気になってくるというか…」 睦月「そ……そうですか?」 蒲原「ワハハー!良かったら買ってきたお菓子でも食べるか?ジュースもあるぞ!」 睦月「蒲原先輩…急にどうしたんですか?」 蒲原「ワハハーいやね、なんだかむっきーの事が気になって仕方ないんだよ~!」 睦月(もしかして……この口紅の効果かな…?) 624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 13:10:49.95 ID:jzMmHJayO 睦月「ふぅ…疲れた。今日は皆に話をふられて大変だった…」 睦月「どうやらこの口紅の効果は本物みたいだが…まだ信じられない」ヌーリヌリ… 男「ねえ、きみきみ!」 睦月「は…はい!?わ…私ですか?」 男「そうそう!君、可愛いね!良かったら近くの喫茶店で話でもしない?」 睦月「あ…いや……その…」 男「いや~!君みたいな存在感のある女の子に出会えるなんてラッキーだなぁ!俺って運がいいな!」 睦月「ご……ごめんなさ~い!私、用事がありますので~!」タッタッタッ… 男「あっ、ちょっと君~!?」 タッタッタッ… 睦月「ハァ……ハァ…!あれがナンパというものか…初めての事でビックリしてしまった…」 睦月「でも、これで確信する事ができたな…この口紅の力があれば私も……ふふふふふ…」 625 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 13:50:03.01 ID:jzMmHJayO 【数日後】 睦月「…という事だったんですよ!」 蒲原「ワハハー!今日もむっきーは面白いな~!」 妹尾「他に話はないんですか?もっともっと睦月ちゃんの話が聞きたいなぁ!」 睦月「ハハハ…この前ですね…」 ゆみ「睦月、お前に話があるって人が来ているぞ」 モモ「あっ、先輩」 睦月「私に……一体なんでしょうか?」タッタッタッ… 蒲原「ワハハー、早く帰ってこいよむっきー!」 妹尾「行ってらっしゃーい」 【鶴賀学園・校庭】 ?「あなたが津山睦月さんですね!?ようやく見つけましたよ!」 睦月「はぁ……失礼ですけど、あなたはどちら様でしょうか?」 スカウトマン「私はトイトイプロダクションの者です!今日、津山さんにお話があって来ました!」 睦月「トイトイプロダクションって…確か芸能界で有名な…!?」 626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 14:17:13.10 ID:jzMmHJayO スカウトマン「はい!あなたを我が社のアイドルとしてスカウトしに来ました!」 睦月「え…ええ!?私が…アイドルですか!」 スカウトマン「はい!あなたの事は有名になっているんですよ!存在感抜群の女子高生がこの学園にいるって!」 睦月「はぁ……」 スカウトマン「津山睦月さん!あなたにはスターの素質がある!我々はいつでもあなたが来るのをお待ちしております! それでは私はこれで…」 男は一通り説明をした後、一礼して去っていった。 睦月「私が……アイドル…?なんだか夢みたいだ……」 蒲原「ワハハー、まさかむっきーがスカウトされるなんてなー」 睦月「か……蒲原先輩!?いつの間に…」 蒲原「ワハハー、すまんすまん!何の話か気になったから盗み聞きをさせてもらったぞー!」 630 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 14:39:17.41 ID:jzMmHJayO 妹尾「やったね睦月ちゃん!まさか睦月ちゃんがスカウトされるなんて…でも、睦月ちゃんならやっていけると思うよ」 モモ「おめでとうっす、むっちゃん先輩!むっちゃん先輩が活躍するのを楽しみにしてるっすよ!」 ゆみ「ああ、お前が麻雀部にあまり来れなくなるのは少し寂しいが…今はお前の出世を喜ぶとしよう」 睦月「皆……うむ、私なりに精一杯頑張ります!」 そして、数ヶ月の月日が流れた。 【ライブ会場】 ギャラリーっ「むーっきー!むーっきー!むーっきー!」 ワァァァァァァ… 睦月「みんな~!むっきーで~す!私なりに―――?」 ギャラリーっ「せいいっぱあああい!!」 睦月「それじゃあ……いきますよぉ~!」 トイトイプロダクションに所属した睦月は、会社を代表するアイドルになっていた。 632 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 15:33:00.73 ID:jzMmHJayO 【ライブ終了後】 睦月「ふぅ…今日も疲れたなぁ…」ゴクゴク… マネージャー「いや~!今日も良かったよ睦月ちゃん!この調子で次のテレビ収録もしっかりと頼むよ!」タッタッタッ… 睦月「………ふぅ」 マネージャーが部屋から出た後、睦月は溜め息を吐いて鞄からあの口紅を取り出す。 睦月「もうそろそろ無くなりそうだな…」 睦月がアイドルとしてやっていけたのは、この口紅の力があったからであろう。 しかし、その口紅も残り僅かとなってしまった。 睦月「この口紅がなくなったら私は……そうなる前にまたあのセールスマンに会わないと…」 須賀京太郎、口紅をくれた男に会ってまた新しい口紅を手に入れるなければならない――そう思いながら 睦月は口紅をポケットの中にしまうと楽屋を後にした。 634 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 15:53:40.86 ID:jzMmHJayO 睦月「もし…口紅がなくなったら私はどうなるのだろうか…?」タッタッタッ… 睦月「……いや、考えるのはよそう…今はあのセールスマンに会う事を考えないと…」 京太郎「ホーホッホッホッ、久しぶりですね津山さん」 睦月「その声は…もしかして京太郎さん!」クルリ 京太郎「ホッホッホッ、どうやら口紅の力でアイドルになったみたいですね!私の口紅がお役に立てて良かったです」 睦月「はい、口紅を私に譲ってくれた京太郎さんには感謝しています!」 京太郎「それは嬉しいですね!しかし…もう口紅が無くなりそうだとは私は思ってはいるんですが…」 睦月「はい…京太郎さんの言う通り、口紅を使える回数が少なくなっています…だからこそ私は京太郎さんを探していたんですよ!」 636 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:17:01.98 ID:jzMmHJayO 京太郎「ホッホッホッ、つまり…津山さんは新しい口紅が欲しいとおっしゃるのですね?」 睦月「はい!お願いします京太郎さん!新しい口紅を…私にください!」 京太郎「残念ながらそれは出来ませんね津山さん」 睦月「な……何故ですか京太郎さん!?」 京太郎「その口紅は一つしかないんですよ…ですから、あなたの持っている口紅が無くなったらそれで終わりです」 睦月「そんな……口紅がなくなったら私はどうすれば分かりません!口紅があったから私は…」 京太郎「津山さん…口紅の力に依存するのはもうやめた方がいいと思われます。自分の力で頑張れないのなら……アイドルを引退するべきです」 睦月「そんな――!?それはいくらなんでもあんまりですよ!」 637 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:40:41.25 ID:jzMmHJayO 京太郎「ホーホッホッホッ!津山さん、あなたはもう十分に良い夢を見たではありませんか!これ以上、求めるのは贅沢というものですよ!」 睦月「嫌です!やっと皆が私の事を見てくれるようになったのに!やっと幸せになる事ができたのに…」ポロポロ 京太郎「ホーホッホッホッ!それ以外の幸せだって沢山あると私は思いますけどね!とにかく、私は警告しましたよ!それでは私は失礼します」 睦月「待ってください京太郎さん!」 京太郎「ホーホッホッホッ!」タッタッタッ… 睦月「………アイドルを……引退なんて……また空気と呼ばれる日常に戻れっていうの…?」 睦月「でも、口紅がなくなったら私は……アイドルとして頑張る事はできるの…?」 睦月「私は―――どうしたら…」 644 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:37:58.01 ID:jzMmHJayO 京太郎と会ってから数日後、睦月はついに決心した。 睦月「決めた、私はアイドルをやめる……これが潮時というものなのだろう…今日、マネージャーに言おう!」ガチャッ マネージャー「睦月ちゃん!ビッグニュースだよ!」 睦月「マネージャー、あの……私」 マネージャー「実は全国生中継のコンサートがあるんだけど……そのトリに睦月ちゃんが選ばれたんだよ!」 睦月「それは…本当ですか!?」 マネージャー「うん!うん!このコンサートが成功すれば、我が社のイメージアップにも繋がり睦月ちゃんの 人気も爆発的に上がる事間違いないよ!」 睦月「マネージャー、私はあの…」 マネージャー「睦月ちゃんが日本を代表するアイドル…いや、もしかしたら世界に進出する事だってあり得る話なんだよ!」 睦月「私が……世界の?」ドクン… 646 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:07:22.10 ID:jzMmHJayO マネージャー「トイトイプロダクションからスターが誕生するなんて、  本当に鼻が高いって社長も言っていたよ!」 睦月「マネージャー…!私は…」 マネージャー「頑張って社長の期待に答えないとな! それじゃあ今日も頑張ってね睦月ちゃん!」タッタッタッ… 睦月「…………」 【その日の夜】 睦月「結局…芸能界をやめる事をマネージャーに言う事が出来なかった…。 私のバカ」コチンッ 自分の不甲斐なさに睦月は自分の頭を小突く。しかし、それと同時にある感情が睦月の中から生まれていた。 睦月「でも、もし…全国生中継のコンサートに出れば……」 チク…タク…チク…タク… 睦月「…よし、このコンサートを終わらせた後にマネージャーに言おう。 それからでも話は遅くはないだろう…」 647 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:33:46.92 ID:jzMmHJayO 【コンサート当日】 睦月「……あれ?」ガサコソ … 睦月はコンサートが始まる前に口紅を塗ろうとしたが、探しても探しても見つからない。 睦月「なんで…?どうして……何故鞄の中に入ってないの!?」ガサコソ… マネージャー「睦月ちゃーん!そろそろ出番だよ~!」 睦月「……そうだ、別の鞄の中に入れておいたんだっけ…忘れてた」ホッ ガサコソ…… 睦月「……………………ない」 ガサコソ ガサコソ ガサコソ ガサコソ ガサコソ ガサコソ ガサコソ ガサコソ ガサコソ 睦月「ない…?ない…!ない…!?ない、ない、ない、ない、ないぃぃぃぃぃぃ!」ガサコソ… 睦月「なんで…!なんでないの…!?あの口紅がないと私は…私はぁぁぁぁぁぁ!」バァン! 649 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:50:03.57 ID:jzMmHJayO マネージャー「何をしてるの睦月ちゃん!もう皆待ってるよ!」ガチャッ 睦月「マネージャー……私…私!」 マネージャー「ほら~!いつまでもそこに立ってないで早く行った行った!」 睦月「どうすればいいの…!?口紅が…口紅の力がなかったら…私は何も出来ないのに…」 タッタッタッ…… 睦月「―――こうなったらやるしかない。口紅なしで…やるしかない…。それしかないんだ…このコンサートさえ終わればなんとでもなる…!」ゴクリ 睦月(一生のお願いです神様…私に力を、力をください!お願いします!) 【コンサート会場】 むーっきー! むっーきー! むっーきー! むっーきー! 蒲原「ワハハー!さっきからむっきーコールが止まないぞー!」 652 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:15:32.20 ID:jzMmHJayO ゆみ「ああ、睦月から貰ったスペシャルチケットだが……買うとかなり高いらしいな」 モモ「そうっすね、即日完売したって聞いているっす」 妹尾「すごいよねぇ!睦月ちゃん…もう私達の手の届かない世界にいるんだよね…」 蒲原「ワハハー、なんだか嬉しいような寂しいような…」 ゆみ「そろそろ睦月の出番みたいだぞ」 司会「さあ、今回のコンサートも終わりが近付いて参りました!ラストは最近お茶の間を騒がしているアイドル……むっきーこと、津山睦月さんです!」 ワァァァァァァァァァァァァ! モモ「凄い声援っすね!耳が痛いっす!」 蒲原「ワハハー!盛り上がってきたなー!むっきー!」 妹尾「頑張って睦月ちゃーん!私達も応援してるよー!」 睦月「あ…………う…」ドキンドキンドキン 653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:42:18.61 ID:jzMmHJayO 睦月(駄目だ…!身体が全く動かない……頭もガンガンする…)ガチガチ 司会「それでは津山睦月さん…どうぞ!」 ギャラリーっA「むっきー!頑張ってくれむっきー!」 ギャラリーっB「俺を殺してくれむっきー!俺の魂をヘヴンへと誘ってくれ!」 蒲原「ん…?なんだかむっきーの表情が固いなぁ…どうしたんだろ」 妹尾「やっぱり緊張しているのかな…?」 モモ「むっちゃん先輩、頑張ってっす!」 ゆみ「大丈夫だ…睦月ならきっとやってくれるだろう」 むーっきー!むーっきー! むーっきー! 睦月(心臓が痛い…!張り裂けそうだ…!吐き気がする…気持ち悪い…!) むーっきー! むーっきー! むーっきー むーっきー! 睦月(お願いやめて!私の名前を呼ぶのはやめて!お願いだから…私を見ないで!見ないで!見ないで!) 665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:37:01.36 ID:jzMmHJayO 睦月(やっぱり私には無理だったんだ…!もう私には…) ドクンッ…… 睦月(え……何、今のは?) ドクンッ… ドクンッ… 睦月(さっきまで聞こえていた私を呼ぶ声が聞こえなくなった……むしろなんだろう…… 頭の痛みが消えて…心地よい風が通ったような感じ…) スゥ…… 睦月(歌える……今の私なら…歌えるかもしれない!) 妹尾「あれっ、睦月ちゃんの表情が…変わったよ」 ゆみ「ああ……さっきとは明らかに違う…何かを決意したような表情だ」 蒲原「頑張れむっきー!私達がついてるぞ~!」 666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:38:06.60 ID:jzMmHJayO 睦月「いーまーをーぬけだーそーうー…」 モモ「始まったっす!」 ワァァァァァァァァァァァァ! ギャラリーっA「むっきー万歳!むっきー万歳!」 ギャラリーっB「母なる存在…!観音様・・・! おお…おお…美しい…美しい…!」 睦月(歌える…私は歌える…!自分の力で歌う事ができる…!) 妹尾「睦月ちゃん……凄く輝いてるね」 蒲原「ワハハー!なんだか涙が出てきたぞチキショー!ワハハハハ!」 ゆみ「いわゆる男泣き(女だが)というものだな…」 睦月「それが~どーうしーたのー!」 ギャラリーっB「ウリィィィィィィ!むっきぃぃぃぃぃぃ!」 こうして睦月のコンサートは無事、成功し…その次の日に彼女はファンに惜しまれながらも芸能界を引退した…… 667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:39:54.41 ID:jzMmHJayO 京太郎「ホーホッホッホッ!どうやら津山さんは自分の力で自分の道を切り開く事ができたみたいですね~! きっと彼女なら明るい未来に向かって歩く事ができるでしょう…。さて、私はこれからあの子の所に行かないと…」タッタッタッ… 【風越女子 校庭裏】 京太郎「池田さん!あなたは約束を破りましたね!ちゃんと自分の力だけで麻雀に勝つって言ったのに!」 池田「ごめんだし!次からは気をつけ…」 京太郎「ドォ――――――ン!」 池田「アヒャアアアアアアアア!」 京太郎「ホーホッホッホッホッホッホッ!」       第11話「ステルス・む・む・むっきー」 次回   マホ「これが……ギャング抗争…!」 677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:54:17.61 ID:jzMmHJayO パラララララ ダァーン ダァーン ガォーン ガォーン マホ「こ…これがギャング抗争…!」ガタガタ… 優希「何をしとるんだじょ新人!的になりたいのかバカ!」 マホ「ご……ごめんなさーい!」ピューン 【一時間後】 和「ようやく雑魚を片付けましたね宮永さん」 咲「お疲れ様原村さん……それにしても最近、敵の襲撃が激しくなっているみたいだね」 タコス「それだけ敵が焦っている証拠だじぇ!おい、新人!今日も役に立たなかったな!」 マホ「ごめんなさい……」シュン… 和「優希、そんな事を言ってはいけませんよ!  マホ…あなたはもう清澄ファミリーの一員なのだから、その自覚はちゃんと持ってくださいね」 マホ「はい!ファミリーの役に立てるように頑張ります!」 咲「じゃあ皆、ボスの所に戻ろう!」 681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:06:57.81 ID:jzMmHJayO 【清澄ハウス】 久「お疲れ様、四人共。今日はもうゆっくり休んでいいわよ」 まこ「ボス、会議の時間じゃ」 久「今日は確か…同盟を結んでいる風越ファミリーとの交渉だったわね」タッタッタッ… マホ「あの~、聞きたい事があるんですけど…よろしいでしょうか?」 和「なにかしら、マホ?答えられるだけ答えるわ」 マホ「その……清澄ファミリーって風越ファミリーと同盟を結んでいるのは分かってはいるんですけど… 清澄と敵対しているファミリーって龍門渕ファミリーの他にどこかありましたっけ…?」 優希「なぬっ!?お前は自分の所属するファミリーの事すら分からないのか!」 マホ「ご、ごめんなさい!」 咲「まあまあ優希ちゃん、仕方ないよ…マホちゃんはファミリーに来たばっかりなんだから」 682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:24:23.62 ID:jzMmHJayO 和「マホ、私達清澄ファミリーに敵対しているファミリーは三つよ。龍門渕ファミリーはもう知っているわね?」 マホ「はい、分かっています!」 和「もう一つは鶴賀ファミリー……小さいながらも力のあるファミリーよ」 優希「とはいっても鶴賀は他のファミリーからの攻撃を受けているからボロボロだじぇ!」 和「優希の言う通りです……今は龍門渕ファミリーを潰して戦力を増強するのが私のファミリーの意向ですよ」 マホ「残り一つのファミリーはどんなファミリーなんですか?」 和「……その組織の名前はガースーファミリー……現在、この街を支配する巨大なギャング組織です。 裏社会のドンと呼ばれる怪物・須賀京太郎の下で数多の組織を吸収してきた一番危険なファミリーですね…」 マホ「な…なんだか凄そうなファミリーですね…」 685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:35:30.92 ID:jzMmHJayO 咲「…………」タッタッタッ…… マホ「あ、あの~どこに行くんですか咲さ~ん?」 和「マホ、宮永さんの事ならそっとしてあげなさい」 マホ「ふぇっ?どうしてですか和さん?」 優希「咲ちゃんと京太郎は昔からの付き合いだったんだじぇ……」 マホ「そうだったんですか…じゃあ咲さんはなんでガースーファミリーの方に…」 和「言葉を慎みなさいマホ、あなたは同じファミリーの人間を信頼出来ないっていうの?」 マホ「ち、違いますよ!もちろん…咲さんの事は信頼しています!」 和「なら、宮永さんを疑うような言動はやめるように……口は災いの下ですよ?」 マホ「気をつけます…」シュン… 優希「それじゃあ腹が減ったから、皆で港の近くにあるタコスショップに行こうじぇ!」タッタッタッ… 和「もう、優希ったら……」 686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:51:53.74 ID:jzMmHJayO 【清澄と風越の会議】 久「……それで、そちらのファミリーの方はどうだったのかしら?」 キャプテン「……あまり穏やかではありませんね」 久「それはどういう事かしら?」 キャプテン「数日前…ガースーファミリーとの交渉の場を設けるため、使者として深堀を行かせたんですけど……」 ドスンッ 久「これは……何かしら?ドン・美穂子…」 キャプテン「はい…今日、ガースーファミリーの方から送られて来たんです……開けてみてください」 ガチャ…ガチャ… 久「これは防弾チョッキ……。でも何で…チョッキの中に魚が入っているのかしら?」 キャプテン「それは深堀の防弾チョッキです……つまり深堀は魚の餌になったって事ですよ」 久「……なんて事…!」 キャプテン「どうやらガースーファミリーは、他のファミリーと交渉するつもりは微塵もないらしいのです…」 689 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:12:47.91 ID:jzMmHJayO 久「傲慢ね……流石は裏社会のドンと呼ばれるだけあるわ…」 キャプテン「ドン・久……今やガースーファミリーは私達のファミリーでさえも吸収せんと動いています。 私達はこれまでもバランスを取りながら上手くやって来たではありませんか?」 久「つまり、あなたは協力してガースーと戦おうって言いたいのね…」 キャプテン「このままだと、ガースーによってファミリーが一つずつ潰されてしまうでしょう。 しかしながら、ファミリーが協力すればいかにガースーファミリーであろうとも、手出しは出来ないはずです」 久「確かに一理あるとは思うけど…難しい話だとは思うわ」 キャプテン「すでに鶴賀ファミリーと龍門渕ファミリーにも交渉の手紙を送りました…」 久「呉越同舟という訳ね……それで二つのファミリーの反応はどうだったの?」 690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:22:54.48 ID:jzMmHJayO キャプテン「鶴賀の方は賛同するとの事ですが……龍門渕の方は嫌がっているみたいです」 久「無理もないわね、私達と龍門渕ファミリーは敵対している最中だから」 キャプテン「しかしながら、ガースーファミリーの力はあまりにも強大……龍門渕の方も重々、理解しているとは思うのですが…」 久「龍門渕のドンである透華は自尊心の塊みたいな人物だから、説得なんて無理じゃない?」 キャプテン「今も交渉の手紙を送っている最中です… このままではマズイという事にドン・透華が分かってくれたら良いのですが」フゥッ… 久「時間がかかりそうね…その間にガースーファミリーにやられなければいいんだけど…」 まこ「とりあえずこの防弾チョッキはよそに片付けるとしようかのう」 702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:25:54.90 ID:0jRLgPvrO 【タコスショップ】 優希「ふぅ~!やっぱり海を見ながらのタコスは格別だじぇ!」ムシャムシャ マホ「今日も良い天気ですね~!まるで平和そのものです!」パクパク 和「そうですね……出来ればこんな平穏がいつまでも続いて欲しいものです」 タコス「マスター!スペシャルタコスのおかわりを…」 ドォン! ドォン!ドォン! 和「なに!?今の爆発は!」 マホ「あっちの方から聞こえて来ましたよ!!」 和「行ってみましょう!」 タコス「ぐぐふんがとっと…」モガモガ 和「ゆーき!いつまでもタコスを食べてないで早く行きましょう!」 タコス「もんがー!」モガモガ タッタッタッ…… 704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:40:58.11 ID:0jRLgPvrO 【広場】 マホ「こ…これは!」ゴクリ 三人が目にしたのは黒焦げになった車の残骸だった ハギヨシ「大丈夫でしたか…衣様!?」 衣「うわ~ん!怖かったよ~!」 和「どうやら車に爆発が仕掛けられていたみたいですね…」 マホ「あわわ…なんて恐ろしい事を…」 ハギヨシ「あの…あなた達は何者でしょうか?」 マホ「はい!私達は清澄ファミリーの者です!」エッヘン 優希「なっ………この馬鹿!ちょっとこっち来い!」ガシッ マホ「ど…どうしたんですか?」 優希「お前は馬鹿だじぇ!?この状況で自分からギャングである事をあかす馬鹿がどこにいるんだじょ!?  相手が龍門渕のファミリーだったらどうするつもりだ!」 マホ「ご……ごめんなさ~い!」 705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:51:05.22 ID:0jRLgPvrO ハギヨシ「清澄…ファミリーですか。あいにくですが我々は…」 衣「グスッ……なんだこのペンギンは…?」 和「これはですね…エトペンといって私の友達なんですよ」 衣「友…達?」 マホ「どうしたんですか和さ…」 優希「しー!お前は黙っているんだじょ!」 マホ「は、はい!」 衣「お前は私を慰めてくれるのかー?」グスッ… 和「もちろんですよ。…大丈夫でしたか?もう安心してください」 ハギヨシ「衣様、彼らは清澄ファミリーの…」 ガォーン! ガォーン! マホ「きゃあああ!?な、なんですか今の銃声は?」 ガースー雑魚「あらあら、衣さん!ファミリーのために悪いですけど死んでくださいよぉ~!あいややややや!」ガォーン! ガォーン! 和「あのスーツの色は…ガースーファミリーの!」 706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:59:19.25 ID:0jRLgPvrO ハギヨシ「なるほど、この爆発はガースーファミリーによるものでしたか」カチャッ 和「マホ!その子を頼みます!」カチャッ マホ「分かりました!それではこちらに…」 衣「あ…ああ!分かった」 優希「ガースーなんてぶっ殺してやるじょ!」カチャッ ガースー雑魚「殺れるものなら殺ってみてくださいよ~!」ガォーン ガォーン ハギヨシ「お前達に衣様をやらせはしない!」ダァーン! ダァーン! ガースー雑魚「ぎゃああああ!当たってしまいました~!」バタッ 和「あんな小さな子供を襲うなんて……絶対に許しません!」ダァーン ダァーン 優希「どうしたどうした!?この優希様にびびってんのかぁ!ああん!?」パラララララ ガースー雑魚「ひいいいい!痛い!」バタッ 707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 06:12:21.70 ID:0jRLgPvrO 【一時間後】 和「ようやく片付ける事が出来ましたね」カチャッ 優希「全く、雑魚は所詮雑魚だったという訳だじぇ!」 衣「もう終わったのか?」 マホ「みたい…ですね」スゥッ ハギヨシ「お怪我はありませんか衣様」 衣「うむ、私は大丈夫だ。賊の始末…誠にご苦労であった」 マホ「あれ…さっきとは雰囲気が違うような…」 衣「貴様ら、確か清澄ファミリーとかいってたな」 和「はい、そうですけど……?」 衣「なら、この私を知らないはずはないのだがな…まぁ、いい」 ハギヨシ「衣様…そろそろ」 衣「わかった、それでは衣は失礼するぞ……縁があったらまた会えるだろう」 タッタッタッ…… 優希「一体なんなんだじょ、あのお子様!急に偉そうにして!」 708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 06:29:11.81 ID:0jRLgPvrO 【ガースーハウス】 ガースー雑魚「はい、誠に遺憾ながら衣暗殺に失敗してしまいました!」 京太郎「そうか……もう下がっていい」 ガースー雑魚「はっ!」タッタッタッ… 京太郎「やれやれ……面倒くさいねぇ…全く!」グビグビ 京太郎「鶴賀といい、風越といい、龍門渕といい、清澄といい……このガースーファミリーのドン・京太郎を馬鹿にしやがって…!」ガシャーン! 京太郎「まぁ、いいさ…最後に笑うのはこの京太郎だ…フフフ…ハハハハハ!」 【清澄ハウス】 マホ「今日も大変でしたね~!」 優希「全く…タコスを食べるために港に行ったのに、とんだ災難にあってしまったじょ!」 和「それにしてもあの女の子…一体何者だったのでしょうか?」 709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 07:15:41.01 ID:0jRLgPvrO 【会議室】 久「一体どういう事なのかしら…今まで同盟に反対していた龍門渕が急に賛成にまわるなんて…」 キャプテン「さあ……しかし、これで鶴賀・龍門渕・風越・清澄の四連合が出来上がりました」 まこ「これで、ガースーファミリーに対抗できるって訳じゃな」 久「龍門渕が賛成にまわるのは意外だったけど…私達としては喜ばしい事ね」 キャプテン「それでは……」 【料理店】 マホ「まさか清澄ファミリーと他の三ファミリーが連合なんて……びっくりしましたよ!」 和「他の二つはともかく、龍門渕ファミリーが賛成にまわるなんて…どうして急に…」 優希「オーナー、タコスをくれタコスを!」 710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 07:39:34.68 ID:0jRLgPvrO マホ「けれどもこれで、ガースーも私達に手出しは出来なくなりましたね!」 和「確かにそうですけど…なんだか嫌な予感がします」 優希「タコスうまー」 ピリリリリリ ピリリリリリ 和「はい、……まこさん、どうしたんですか慌てているみたいですけど…」 まこ『大変じゃ和!うちのハウスが……ガースーの襲撃を受けておる!』 和「―――!それは本当ですかまこさん!?分かりました、今すぐに戻ります!」ガチャッ 和「ゆーき!マホ!今すぐにハウスに戻りますよ!」 マホ「何かあったんですか和さん?」 タコス「タコスうまうま」 和「私達のアジトが……ガースーの襲撃を受けているんですよ!」 マホ「そ…そんな!私達のハウスが…ガースーに…?」 和「そうです!食事をしている暇などありません!行きますよ!」タッタッタッ… 優希「もっとタコスが食べたかったじょ…」タッタッタッ… 712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 07:54:12.82 ID:0jRLgPvrO 【清澄ハウス】 パラララララ ガォーン ガォーン まこ「くそっ!なんて数の兵隊じゃ…和達はまだこんのかい!」 清澄兵士「まこ!ボスは無事に避難させました!」 まこ「よくやった!後は和達が来てくれたら…」ダァーン ダァーン ガースー雑魚「あらあら、ボディががら空きですねぇ!」カチャッ まこ「しまっ―――!」 ガォーン! ガースー雑魚「あひやややややや!」バタッ 和「大丈夫ですか、まこさん!遅くなってすいませんでした!」 まこ「和…マホ、優希…!全く、来るのが遅いんじゃボケ~!」 マホ「あわわわわ…!私達のハウスが燃えていますよ!」 優希「くそ~!ガースーファミリーめ許さないじょ!」パラララララ 713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 08:07:46.79 ID:0jRLgPvrO まこ「どうやらワシらの他に鶴賀と風越と龍門渕の方も襲撃を受けておるらしい…!」ダァーン ダァーン マホ「ええ~!?何で急に…やっぱり連合したのが原因でしょうか!?」ダァーン ダァーン 和「でしょうね……連合すればガースーも手出しはしてこないと思っていましたが…まさか直接ハウスを狙ってくるなんて!」ガォーン ガォーン ガースー雑魚A「痛いですぅ!ひぃやあああああ!」バタッ ガースー雑魚B「こうなったら逃げましょうっと~!」タッタッタッ… ガースー雑魚C「これは逃げではありません!戦略的撤退ですよ~!」タッタッタッ… マホ「みてください!ガースーファミリーが撤退していきます!」 まこ「どうやら諦めたみたいじゃの…やれやれ」 和「ですが……ハウスの被害はかなり深刻ですね」 優希「許せないじょガースーファミリー!この落とし前は必ずつけさせてもらうじぇ!」 715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 08:40:44.71 ID:0jRLgPvrO マホ「これから私達どうなるんでしょう…ハウスはボロボロですけど…」 和「……分かりません。ですけど、このままやられっぱなしというのは…あり得ないでしょう」 優希「やっぱり…ガースーファミリーとの全面戦争は避けられないのかな…?」 マホ「あうう……嫌な響きですね全面戦争って」 【夜の港】 ザァァァァ… ザァァァァ… 咲「……やっぱりここにいたんだね京ちゃん」 京太郎「……咲か。海はいいな…全ての生命の力を感じるよ」 咲「京ちゃん、やっぱり……全面戦争を仕掛けるつもりなんだ…」 京太郎「ああ、だからこそ…四ファミリーのハウスに襲撃を仕掛けたんだ」 咲「……もう止められないの?」 京太郎「………だろうな、もう止まらないよ…咲」 咲「もうあの頃の京ちゃんには戻れないの…?」 717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 08:55:35.58 ID:0jRLgPvrO 京太郎「ガキの頃は楽しかったよな咲……毎日お前と一緒に遊んで、時には喧嘩して…」 咲「お嫁さんごっこもしたよね」 京太郎「ああ、それもあったあった!本当に楽しかったよな」 咲「京ちゃん」 京太郎「咲…俺とお前はもう違う道を進んでいるんだ。そしてその道は決して交わる事はない」 咲「………」グスッ 京太郎「咲、いずれ大きな戦いが起こるだろう…悪い事は言わない、ギャングをやめろ」 咲「京ちゃん!私は!」 京太郎「警告はした、次に会う時はこの港か…それとも殺し合いのステージか…それまで壮健にな」 タッタッタッ…… 咲「京ちゃんの…馬鹿!馬鹿!バカァ!」 718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 09:16:11.93 ID:0jRLgPvrO 【数週間後】 パラララララ パラララララ ガォーン ガォーン マホ「うひゃあ……まるで戦場ですね」 和「『まるで』ではありません、これは戦争です…ジ・ハードです!」パラララララ 優希「咲ちゃん……結局ファミリーをやめちゃったじょ…」 マホ「みたいですね…ボスは何も言わずに許しましたけど…どうしてでしょうか」 和「今はそんな事を気にする必要はありません……今はガースーを、須賀京太郎を倒すべきです!」パラララララ ガースー雑魚A「ひいひいひい!」バタッ 優希「のどちゃん……分かったじょ!」ダァーン ダァーン マホ「マホは必ず……この戦いに生き残ってみせます!そしていつか必ず……ギャングスタに…なるんです!」ダァーン ダァーン ダァーン 719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 09:44:16.51 ID:0jRLgPvrO 豪雨の如く流れる銃弾、街中に響き渡る爆発音、耳をふさぎたくなるような叫びと悲鳴。 阿鼻叫喚の地獄の戦場を咲は遠くから眺めていた。 咲「京ちゃん…私はギャングとかドンとか…そういう事はどうでも良かった。またあの頃に戻れれば……それで良かった」 マホ『京太郎はどこですか!大人しく出てきてください!』 咲「少しずつ…ゆっくりと……」 京太郎『死にたい奴だけかかってきやがれ!俺は…ドン・京太郎だあああ!』パララララララララララ 咲「あなたが消えていく―――――」 この日、ガースーファミリーは崩壊を迎えた       第12話「どっきりギャングに囲まれちゃう!」 最終話 京太郎「俺達の…………存在を!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1393242317/ 優希「ふっふっふー、今日も学校に一番乗りだじぇ!」 優希「からっぽの下駄箱に最初に靴を入れる快感……未踏の新雪に足あとを残すのに近いものがあるな!」 優希「んあ、あっちの下駄箱に何か入ってるじぇ」 優希「これは、便箋? まさかラブレターか? まったく、今どき乙女チックな子もいるもんだじぇ」 優希「さて、そんなラブレターをもらったハッピーボーイの名前は……須賀……」 優希「……京太郎ぅ!?」 優希「た、大変なことを知ってしまったみたいだじぇ……」 優希「まさか京太郎にラブレターを送る子がいるなんてびっくりだじょ」 優希「いやでも、ああ見えて京太郎はタッパあるしタコス作れるし……ぐぬぬ」 優希「って、なんで私が京太郎にラブレターが来たからといってぐぬらねばいけないんだじぇ!」 優希「と、とにかく! これは麻雀部の一大事だじぇ!」 優希「すぐにでも開封して内容の確認と差出人のチェック――」 優希「――はさすがに京太郎宛と言えどもできないじょ……」 優希「とりあえず部活のときにのどちゃんや咲ちゃんに報告するじぇ!」 放課後・麻雀部部室 優希「む、のどちゃんや咲ちゃんどころか、部長や染谷先輩もまだ来てないのか」 優希「京太郎も来てないのは好都合だじぇ」 和「一人で何をブツブツ言ってるんですか、ゆーき」 優希「おお、のどちゃん! よく来たな!」 和「部室なんですから当然です。それと、部長と染谷先輩は用事があって随分遅れてくるそうです」 優希「ということは、今日はしばらく一年生だけになるな!」 和「そういうことになりますね。宮永さんと須賀君が来たら四人で対局しましょう」 優希「そう、問題はその京太郎だじぇ!」 和「……? 須賀君がどうかしたんですか?」 優希「実はなのどちゃん、今日の朝、京太郎の下駄箱にラブレターが入っていたんだじぇ!」 和「はぁ。そうですか」 優希「むぅー、のどちゃんは反応が薄いじぇ!」 和「だって、ラブレターということは須賀君のことが好きな人がいるということでしょう?」 和「異性を好きになるという感覚はよくわかりませんが、祝福すべきことだと思いますよ?」 優希「で、でも、それで京太郎がその子と付き合い始めて麻雀部をほっぽり出すようになったら雑用がいなくなって困るじぇ!」 和「その雑用の半分ぐらいはゆーきがやらせてるものじゃないですか。それをやめればその点については困りません」 優希「ぐぬぬ……」 和「それに、須賀君が誰かと付き合い始めたからと言って麻雀部に来なくなると決まったわけではありません」 和「まあ、私が見る限りでは須賀君が来なくなることはないと思いますよ。実を結んでるかどうかはともかく、向上心は本物ですから」 和「それとも、ゆーきには須賀君が麻雀部に来なくなると言い切れるほどやる気がないように見えていますか?」 優希「そういうわけではないじぇ……でも……」 和「なら、須賀君が誰かとお付き合いしても問題ないでしょう」 ガチャッ 咲「――きょ、京ちゃんが誰かと付き合うってどういうこと!?」 和「あ、宮永さん。須賀君と一緒ではないのですか?」 咲「京ちゃんは掃除当番だから、それが終わったら来ると思うけど……それより、なんで京ちゃんが!?」 和「落ち着いてください。須賀君がラブレターをもらったというだけです」 優希「そ、そうなんだじぇ!」 咲「うう、そんな……だって京ちゃんだよ? そりゃ寝坊したときに迎えに来てくれたり高いところの本とか取ってくれるけど……」 優希「ちょっと待つじぇ咲ちゃん。その発言は見過ごせないじぇ」 咲「あ、いや、違うよ? そういうこともあるけどそれはたまになんだよ?」 優希「たまにでもズルいじぇ! 私なんかパンチラしても無反応だったというのに!」 咲「優希ちゃんそんなことしたの!?」 和「あの、本題は須賀君がラブレターをもらったという話ですよね。いささか離れすぎじゃないでしょうか」 優希「そ、そうだったじぇ。とにかく、これは看過できない問題だじぇ!」 咲「そうだよね!」 優希「よかった、咲ちゃんならことの重大さをわかってくれるって信じてたじぇ!」 咲「もちろん! 京ちゃんに彼女なんて、その、とにかく駄目なの!」 和「はぁ。二人はそんなに須賀君のことが好きなんですか?」 咲「な、何言ってるの原村さん!?」 優希「そうだじぇ! 私が犬なんかにそんな、ありえないじぇ!」 和「だって、須賀君にラブレターが来て焦る理由なんてそれぐらいじゃないですか」 和「それに、今の会話を聞いてたら誰でもそうとわかります」 優希「のどちゃんが容赦ないじぇ……」 咲「うう……」 和(正直言って今更ですが、二人には黙っておきましょう。どうやら本気でバレてないと思っていたようですし) 咲「優希ちゃんもそのラブレターの人も、なんで京ちゃんを……? あんな鈍感で朴念仁なのに……」 優希「それはこっちの台詞だじぇ……。あんな無神経でお馬鹿なのに……」 和「さらっとひどい事言ってますよね、二人とも」 咲「だって京ちゃん、バレンタインにハート型のチョコ送ったのに『桃の形のチョコなんて珍しいな』とか言うんだよ!?」 優希「タコスの礼にたまには私が手料理を振る舞ってやろうというのに」 優希「『いや、全品タコスになりそうだから遠慮するわ。なんか怖いし』とかありえないじぇ!」 和「……二人も二人なら須賀君も須賀君、ということですか」 優希「それにしても咲ちゃんはズルいじぇ……。バレンタインなんて、何歩も先を行かれてる気がするじぇ」 咲「優希ちゃんこそ、いつも京ちゃんの手作りタコスなんて……羨ましいなぁ」 優希「クラスメイトに夫婦なんて呼ばれてる咲ちゃんには負けるじぇ」 咲「あ、あれはさすがにちょっと恥ずかしいよ……」 優希「でもどうせ満更じゃないんだじぇ!」 咲「それはその……そうなんだけど……優希ちゃんだって――」 ガチャッ 京太郎「すいません、遅くなりました……ってあれ、部長達はまだなのか」 優希「京太郎!?」 咲「京ちゃん!?」 和「部長達は用事で遅くなるそうです。今日は私達四人で打ちましょう」 京太郎「あー、そうなのか。この四人で打つのも久しぶりだな!」 優希「そんなことより! きょ、京太郎はどうするつもりなんだじぇ?」 咲「ど、どうなの、京ちゃん。その、付き合っちゃうの?」 京太郎「付き合う? 何のことだよ」 優希「とぼけても無駄だじぇ! 今朝京太郎の下駄箱の中にラブレターが入ってたのを見たんだじぇ!」 咲「え、それって――」 京太郎「下駄箱の中って……今日は咲からの手紙しかなかったぞ?」 優希「さ、咲ちゃん? まさか、ラブレターの差し出し人は咲ちゃんだったのか!?」 和「それはないでしょう。だったら宮永さんがあんな反応するはずがありません。……どういうことなんですか、宮永さん」 咲「そ、その、昨日京ちゃんにお願いがあったから、手紙を書いて下駄箱に入れておいたんだ」 咲「ほら、私携帯持ってないから連絡できなくて……」 京太郎「ああ、あれ昨日から入ってたのか。悪い、昨日はバイトに遅れそうで急いでたから気づかずに帰っちまったんだ」 和「それをゆーきがラブレターと勘違いした、と。ゆーき、あなたって人は……」 優希「しょ、しょーがないじょ! 下駄箱に入ってたらラブレターだと思うに決まってるじぇ!」 咲「よかった……京ちゃんにラブレターを送った子はいなかったんだよね」 優希「むむ、咲ちゃんが話された時点で自分のだと気づいていればこんなことには……!」 咲「だ、だって京ちゃんが渡されたとしか言われなかったし!」 優希「でも心当たりぐらいはあったはずだじぇ!」 咲「そんなこと――」 和「もう、二人とも……」 京太郎「その、話の流れがよくわからないんだが、解決したんだよな?」 和「はい、当初の問題は。でも須賀君、覚悟した方がいいですよ?」 京太郎「え?」 和「……」チラッ 優希「ぐぬぬ、こうなったら麻雀で決着をつけるじぇ! 一位になった方が犬を好きにできるってことで!」 咲「ま、負けないから! 京ちゃんのために……全部、倒す!」ゴッ 和「今日の二人は、きっと普段より強いですから」 カン!

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