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「そう言えば、 iPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです」   何時だったか、優希に向かってそんな事を言ったことがある。 勿論、本気では無く、冗談で言った言葉だ。 ところが、その話がどうも一人歩きし…………どういう訳か、一年の時の全国大会を機にその噂が全国で広がり…… いつの間にか、原村和はレズビアンという方程式が出来てしまっていた。 確かにiPS細胞は不妊治療でも用いられ、理論上は女性の細胞から精子を、男性の細胞から卵子を造ることも可能であり、私の言った戯れ言も強ち出鱈目という訳ではない。 しかし、当たり前だが、未だにiPS細胞はその様な用途では使われていない。 それ以前に、日本では同性での結婚が許されていません。(東京のどこかの区では事実婚の制度が条例で認められているとは聴きましたが) にも関わらず、ほんのちょっとの信憑性から、私がそれを望んでいると勝手に思われ…………………… 男性とキスどころか、手を握った事が無いまま、私は28歳になってしまっていた。 いや、待ってほしい。 私は父と同じ弁護士の道を志し、清澄高校を卒業した後に大学の法学部に入学した。 それで4年、次に法科大学院で2年、司法試験をパスしてから司法修習で1年…………つまり、弁護士としてデビューしたのは26歳の時です。 それまでずっと勉強に集中していて、法律が恋人だった私に色恋沙汰なんて、そんなオカルト有り得なかったんです。 それから、父の事務所で経験を積みながら…………今に至る訳なのですが。 先日の事です。 原村父「そうだ、和、お前もそろそろ結婚を考えた方がいいんじゃないか? 一度くらい、恋人を家に招きなさい」 その時は思わず父をビンタで叩いてしまったのですが………… 考えてみれば私は28歳、世間的に結婚適齢期の末期で、アラサーと呼ばれる年齢です。 そう、あの小鍛治プロの弄り言葉で笑っていた時からもう10年以上の歳月が何時の間にか経っていたのです………… そんな風に、結婚について考えながらも、自身の風評に悩む日々を過ごすある日のこと。 父のツテで、有名企業の経営者や芸能関係者、果てには麻雀プロが出席する大規模なパーティーに招待されました。 和「弁護士の、原村和と申します」 シャチョー「原村和…………ああ!あの三年連続で全国大会に出場した清澄高校の!」 10年経っても、清澄高校の原村和というレッテルは剥がれず (おい、原村和だってよ…………)ヒソヒソ (ああ、あの……)ヒソヒソ (確か、レズ何だっけ?)ヒソヒソ (勿体無いよなー、美人だし、弁護士だし、胸でかいのに……)ヒソヒソ 和「………………」 私がレズであるという誤解も、未だに付いてまわっているのです。 和「らいたい!何で私がれズらと聴いたくらいれアプローチをかけてこないんれすかーっ! ちょっと揺さぶっらりする勇気はないのかよー、このオクビョーモノー!」ウイーヒック 柄にもなく、ワインを自棄飲みしてしまい、私はすっかり酔っ払ってしまっていました。 恥ずかしながら、この時は意識が朦朧としており、足下がお留守になっていて…… 和「はらっ?」 階段で足を踏み外してしまいました。 天地が逆転し、突然の事態に状況が飲み込めないまま、私は自由落下を始めていました。 ?「っ…………!?あ、危ないっ!!」 和「んー…………」 どうやら階段から落下すると同時に気を失ってしまったようで、酔いが醒めると同時に意識も覚醒していた。 ?「あ、大丈夫ですか?」 男性の声が、頭上から聞こえた。 和「え…………あれ、確か私、階段から……」 ?「ええ、すんでのところで助けられたから良かったですけど、ヘタしたら頭からぶつけてた所ですよ…………」 和「す、すみません…………そ、そのありが…………と、ご……」 助けてくれた男性にお礼を言おうと顔を見上げると………… 和「す、須賀くん!?」 京太郎「え?」 京太郎「え、あ……和?」 和「はい!え……どうして須賀くんがここに?」 京太郎「ああ……今さー、芸能界にいて……こんな事やってんだよ」 差し出された名刺には…………事務所と思われるプロダクションの名前と、牌のお兄さん 須賀京太郎の文字が。 和「…………牌のお兄さん?」 京太郎「ああ、ほら。ちゃちゃのん…………佐々野さんがやってる牌のお姉さんの男版でさ…… 解説ってより、悪手とか危険牌を放銃する、やられ役なんだけどさ…………まあ、そんな事をしてる」 和「なるほど…………テレビは殆どニュースしか見ないので存じてませんでしたけど……それで、このパーティーに」 京太郎「ん、そう言うこと。 そう言う和は?」 和「私は、父のツテで…………」 京太郎「バッチ……ああ!そっか、弁護士になったんだっけ!」 和「ええ…………」 久し振りに会った須賀くんは以前にも増して優しくて………… それで、ちょっぴり、カッコ良くなっていた。 京太郎「んー………………なんかここも騒がしいし、外に出ないか?」 和「え?」 京太郎「隣のホテルの一階に良い雰囲気のバーが有るんだ。 あ、酒はもう駄目だぞ!あんなに酔うまで飲むヤツに飲ませるモンは無い!」 和「私だって……」 京太郎「ん……?」 和「私だって、酒に頼りたい時だって有るんですよ…………」 京太郎「………………まあ、その話もゆっくり聞くよ」 そうして、須賀くんに導かれるままに、私達は隣のホテルへと足を運んでいました………… (注:京太郎視点) 和「らかられすねぇー!わらしは、レズなんかじゃーないんれすよぉー!!」ウィー 京太郎「って、結局飲んでるし…………」 和「聞いてますかー!須賀くーん!!」ヒック 京太郎「聞いてます!聞いてますからっ!耳を引っ張らないでえーっ?!」 久し振りにあった旧友。 何か嫌な事があったのかと、パーティー会場から連れ出したのまでは良かったが………… 京太郎「バーじゃなくて、喫茶店か何かの方が良かったな……」 和「わらしらってお付き合いくらいひてみたいれすよー!」 京太郎「エー、和だったら相手なんて選り取り見取りだろー(棒)」 和「らって、らってぇー!みんなわたひをレズらって言ってえ! 告白してくるのはみんな女の子で、男はまったく寄ってこないんれすよー!!」 京太郎「そ、そうなのか…………」 和「あーもう!こーなったら須賀くんっ!!」ガタッ!! 京太郎「は、はいっ!」ビクッ 和「須賀くんがわたひを貰ってくらはいっ!!」 京太郎「は…………いや、待て待て待てえっ!!気をしっかり持つんだ!れいs」 和「んっ…………」チュッウー... 京太郎「んーっ!?」 そのキスの味は、調合に失敗したカクテルみたいな、悲しい味がした……………… 和「んっ…………」パチクリ 目が覚めると、そこは知らない場所だった。 和「あれー……私はー……」 確か、パーティーに出席して、酔って、須賀くんに再開してー………… 和「それでまたお酒を飲んじゃって…………痛っ!」ズキン どうやら、二日酔いになってしまったようで、ジワジワと熱の籠もった痛みが頭を襲った。 和「うー…………それで確か愚痴を聴いて、も……らっ……て………」 その拍子で……き、き……ききききキスを私からしてーっ!? 和「いやあああああっ!!!」 京太郎「ど、どうした和かっ!?」 和「す、すすすすす須賀くんっ!?ど、どどどどどうしてえっ!?」 京太郎「お、落ち着け。ここは、俺の家だ」 和「須賀くんの家…………ど、どうして私が須賀くんの家にっ!?」 京太郎「いや、昨日酔いつぶれてそのまま寝ちゃって……コッチ(東京)の住所知らないから、とりあえず俺の家に……」 和「何をしたんですかっ!」 京太郎「何もしてねえよ!!」 和「何で何もしなかったんですか!!」 京太郎「えーっ!?俺にどうしろと!?」

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