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豊音「わぁー! 雪だよー」しゃこしゃこ 塞「ほらほら、そうやって燥がない。珍しくもないでしょ」 豊音「えへへ。だって久しぶりだから。みんなで此処に集まるの」 この季節は あいつを思い出す 後ろから雪玉をぶつけられたんだっけ あいつは慌てふためいた様子で 私に謝って来て…… そうやって知り合ったんだっけね 塞「ま、約一名欠けてるけど?」 豊音「……えへへ。でも、テンションちょー上がるよー」ふらふらー 塞「解らないでもないけどねー……とりゃっ」ぴゅっ 豊音「わぁっ! ちょー冷たいよー……塞ぇ?」にや わしょわしょ 塞「ま、待って。どうしてそんな雪玉大きくしてるの!? トヨネがそんなん持ってると割と本気で怖いんだけど!」 豊音「とぉーっ」びゅっっ 塞「きゃぁっ……」ぐりゅん 塞「って、あたた。無理に体曲げたから腰が痛い~……」 豊音「だ、大丈夫っ!? ご、ごめんね塞~……!」たたたっ 胡桃「何歳になってもそのノリか……」 塞「あはは……」 胡桃「でも、塞は本当よく笑うようになったね」 塞「え? 何? いきなり」 胡桃「いや、別にっ。何でもない」 胡桃の言いたい事は解った 胡桃は私が立ち直れない時期にずっと励ましてくれてたから あいつが以前 女子が作ってきてくれる弁当についてのロマン? だか何だかを語りだして その時はみんな引いてたんだけど 私は家に帰ると無性にやる気になっちゃって 翌日は案の定というか 弁当を作ってきてたのは私だけじゃなくって ま そりゃそうだよね・と 今思うとヤケ気味だったのか 私は太るの覚悟で二人分平らげたっけな そうして半歩退がって 私はあいつとあの子が 仲良くなってくのを見続けたまま 時が経って そのままあいつは あの子と消えていって――…… だから胡桃には随分と助けられたな こんな風に思い出しても 今ではあいつの事であんなに悩んでた意味がわからないや あいつの一挙一動に心がかき乱されてた時期を思うと 今の方が なんて過ごしやすいんだろう 胡桃「あ。ようやく着いたね。シロの家」 シロ「……」ちらっ 豊音「シロー!」たったったっ  シロ「ちょ……トヨネ……危ないって……」 豊音「大丈夫だよー。久しぶりだね、シロ」 胡桃「背伸びた?」 シロ「……伸びてないし……ダル」 シロ「ほら……」がちゃ 塞「お邪魔しまーす」 そう言えばあいつはシロにも懐かれてたから この家にもよく出入りしてたっけ あいつは何回シロの部屋に入ったんだろう  もしかして私より多かったりするのかな ―― 胡桃「ふぅー炬燵きもちいいー」 こうやってみんなで炬燵で温もってると 昔・胡桃があいつの股の間に好んで座ってきてたことを覚えてる あいつは胡桃のアタマを撫でながら受け入れてたけど 今思うと胡桃には絶対変な考えあったねー……顔赤くしてたからねー…… 塞「胡桃、シロの膝の上に座らないの? 昔みたいにさ」けらけら 胡桃「塞の上に座ろうかな?」にこっ 塞「えーでも重そうだし――いたっ。いたたたゴメンゴメン!」 胡桃「もう、失礼過ぎだから! 私は昔と全然体重変わってないのに――はっ!」 胡桃「うう……」 塞「あははは……何ともいえない……」 豊音「あれぇ?」きょとん 豊音「何だろう? このお手紙――……」そー シロ「!」 シロ「……別に読んでもいい」 豊音「えっ!? そんな、でも、悪いよ~」 シロ「別に良い。昨日届いた――」 シロ「エイスリンからの手紙だから……」 「「!!」」 豊音の表情が一気に緩んだ ばばっと封筒を開けて中を読んでる 私も 今日来れなかったエイスリンの 思わぬ手紙に心が躍ってる 胡桃「……塞?」 胡桃が私を見て 表情を強張らせた どうしたんだろうと思って理由を訊こうとしたけど豊音のテンションに阻まれた 豊音「み、みみみみみみんな!!!!! ちょー重・大・発表だよーっ……!」 胡桃「ちょっと、静かに! 近所迷惑だよ!」びしっ 豊音「ご、ごめんねー?」しゅん 豊音「でもでも、ほんとに凄いんだよー?」ふりふり 塞「……なに? なんて書いてあったの?」 豊音「ほらっ」すっ 豊音はその手紙を私たちが読みやすいように炬燵の机に置いた その手紙には あまり文章は書かれていなかった まず日本に移り住んでくるってことと おっきな写真に ふたり エイスリンと あいつ その写真の下に―― 豊音「『結婚することに、なりました』――」 豊音「だってー! わぁ~! ぱちぱちぱち~!」ぱちぱち 「「「……」」」 胡桃「わー……エイちゃん……いい笑顔……!」かぁ 豊音「日本で暮らすんだよね……会いに行こうよー」うきうき シロ「それは……うん……」ぽりぽり 塞「……はは」 大丈夫 切なくない もう何とも思ってない 塞「結婚一番乗りはエイスリン、だったかー」はは 塞「末永くお幸せに、って感じ、だね」 だから 大丈夫 ありったけの祝福の気持ちで 二人の  幸せを  祈ることが    出来る 胡桃「塞……?」 塞「ど、どうしたの? 胡桃」 胡桃「大丈夫……?」 塞「あはは、何が? 何か、心配されるようなこと、あったっけ?」ふるふる 胡桃「塞」 胡桃「大丈夫だよ」ぽす 塞「ちょっと。やめてよ。そんな、胡桃にアタマ撫でられるなんて、悪い冗談だよ……」 塞「……ほんと、悪い冗談だよ……」つー 胡桃「……」なでなで 塞「胡桃っ……」ぎゅっ ぽろぽろ 希望は捨てた筈だった 思慕の情なんて 捨てた筈だった もう関係ないと だから覚悟していた あいつが 何処で誰と幸せになろうが 関係ないと そうやって過去を吹っ切って生きる 覚悟をしていた 揺るがされた―― 写真一枚・言葉一つ見ただけで 切ないと 思ってしまった 羨ましいと 悔しいと 妬ましいと 思ってしまった 覚悟を 揺るがされてしまった―― 塞「……ほんと、下らない」ずるっ 塞「私、まだ、希望を持ってたのかなぁ」 塞「私は、まだ……京太郎を――……」ぽろぽろ 胡桃「塞……」さすさす 塞「…………………………………………って!」 塞「私が泣いてちゃダメか!」ぐしぐし 塞「あいつら、これからずっと二人で歩いてくんだから……祝福しないとね!」えへへ 胡桃「……塞」 シロ「……いいんじゃない」 塞「えっ?」 シロ「塞……まだ、京太郎のこと好きなんだ……」 豊音「え、塞は京太郎くんのことまだ好きなの!? ご、ごめんねー……」 塞「い、いやいやいや……もう大丈夫だから! 逆にごめんね? 折角エイスリンたちが結婚するっていうのに、こんな空気……」 シロ「……謝らないでよ、塞。まだ……終わってないよ」 塞「あはは……励ましてくれてるの?」 シロ「違う。怒ってる」 塞「何……だって……?」 シロ「だって、本当に終わるのは……気持ちが切れたときだから」 シロ「まだ切れてないんでしょ。京太郎を好きな気持ち。じゃあ終わってないよ……当たり前の事……」 シロ「塞がそうやって、自分を押し殺してるのを見ると、イライラする……私はただ、それだけ……」 塞「……シロ。私――」 豊音「そうだよー? 手紙には日本で住むって書いてあるし、全然いけるよー。頑張ろうね、さえーっ」 豊音「エイスリンさんもきっとわかってくれる! 許してくれるよー」 胡桃「ちょちょちょ、ちょっと!! トヨネ、何言ってるの!?」 豊音「だ、だってえ。正々堂々ならいいと思うんだけどなー。好きな人が被ったら奪い合いで」 豊音「奪うってのは後から来た人の特権だよね。今時結婚したから安全なんて甘いよー」 塞「……トヨネ。私、いいのかな」 シロ「塞がその気なら、私が代わりに、エイスリンに言っとくから……塞はまだ、京太郎を諦めてないって」 塞「――!!」 胡桃「シシシ、シロ?? ダルくないの???」 シロ「……ダルいけど。仕方ないから」 いいんだろうか 相手は結婚して 新しい人生を歩き出すって時なのに と自問自答しつつ 私はもう そういう気分になってた 走り出したいって 無理だ もう 我慢出来そうにないって 私だって京太郎が欲しい 京太郎を喜ばせたい その腕で 抱き締めて欲しい!! でもこんなのは卑怯だ そのつもりならずっと前にそう言っとけって思う筈だ 何で今更って 叫びたくなる筈だ  汚い 汚い―― 私なんかに京太郎は振り向いてくれるだろうか――? でも いいんだ 負けて元々だし もう 止まれそうにないから だから こんな私を どうか エイスリン どうか私を――許さないで欲しい 塞「……いいよ。シロ。私からエイスリンに言うよ」 塞「『京太郎をもらいにいく』って」にこっ 塞「私の挑戦を受けて立つなら、日本に来て、二人で暮らしててよ、って」 塞「そして京太郎にも、きみを奪うってねっ!! 足許を見てなかったら、やっちまうぞってね!!」きっ 胡桃「さ、塞ぇぇ……本気? 恨まれるよ?」 塞「上等! 何とでも!」ごっ 胡桃「……はぁ。エイちゃんになんて謝ればいいんだろ……」 胡桃「でも……」 塞「……ありがとうね、みんな」にこにこ 胡桃「……なるようになるか、なぁ……」はぁ ―― エイスリン「キョウタロウ! イッショニ オベント タベヨ?」くいっ 京太郎「え? って、エイスリンさん……その弁当、エイスリンさんが作ったんですか? マジで楽しみです!」 エイスリン「エヘヘ……アーン! トカスル?」 京太郎「しませんよ! 外国人ノリの冗談きっついなぁ……」 エイスリン「ムー……」ぷくー 京太郎「かわいく頬膨らませたってダメっすよ! そ、そんなん、恥ずかしーじゃないっすか……」でれでれ 京太郎「じゃ、じゃぁ、あそこで喰いましょうか! エイスリンさんの弁当!」うきうき エイスリン「オベント オベント♪」たったったっ ざりっ 胡桃「塞……いいの?」 胡桃「そのお弁当箱、いつもより大きいけど。塞も京太郎に作ってきてたんでしょ? お弁当」 胡桃「京太郎ならきっと――」 塞「ん……いやいや。いいのいいの」 塞「……うん。いいんだ……」 ―― 塞「エイスリン、今度こそだね……」 塞「ふふ……ようやく私から、きみに会いに行くからね……京太郎」 今ようやく 心が本当に踊っている 今度は 正々堂々 私も この想いを ぶつけにいくからね カンッ

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