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久「クリスマスなんてものは害悪なのよ!!」 雀卓に拳を叩きつけて、部長がジオン総帥みたく言説を振りかざし始めた。 何言ってんだこの人……妹に射殺されても知らねえぞ…… 久「日本人なら神道でしょうに!クリスマスデートをして除夜の鐘を2人でついて2人で初詣に行くなんて日本人として恥ずかしくないのかしら!」 京太郎「ものっそい僻んでますね……」 読んでいた『手のかかる子供のしつけ方』にしおりを挟んで閉じる。 便利な本だ。別に他意はないが。別に誰かさんのお世話に使ってるとかではないが。 咲「でもそれって、割と色んな人が言ってますよね」 和「よく聞くフレーズですが、大体は恋人同士のあれこれに文句を言うために引用されています」 優希「今回も御多分に漏れずそうだじぇ」 久「ムキィーッ!」 三人娘からの呆れたような視線を受けて部長はますますヒートアップした。 双方かなり大人げない。日本人らしさを強調するなら、もっと落ち着きを見せるべきじゃなかろうか。 まこ「おんしらも容赦ないのう……とはいえ、3つとも大体の人は当然のことと思っとるじゃろう」 眼鏡を拭きながらまこ先輩がそう言った。 なんだかこの人が言うと含蓄がある気がするよな。 まこ「男と行くも自由じゃし、3人で行くのも自由、いっそここの面子全員で行くのもいいかものう」 咲「あ」 和「それはちょっと」 優希「先約があるのだ」 久「ファッ!?」 まこ「おうおう、意外な展開」 あー……そういやそうだっけな。 久「だ、誰とよ!? 一体私の知らない間にどんなイケメンを誑し込んだのよあなたたちッ!」 咲「部長も知ってる人ですよ」 まこ「ふむ、男と……であっとるのか?」 和「ええまあ、そうなります」 久「誰よ誰よ誰よッ! 副会長とかハギヨシさんとか!? まあこの2人ならあなた達とそういう関係でもちょっとホッとするけどっ!」 優希「ホッとするって部長……えっと、全部ハズレだじぇ」 その言葉に、一瞬沈黙があり、全員の視線が俺に向いた。 久「キリキリ吐きなさいよオラ」 京太郎「イテテテテテ!」 いきなり右腕極められるとは思わなかった! どんだけ鬱憤溜まってんだこの人! まこ「これこれ落ち着かんか……なんじゃ、4人で行くということか?」 和「いえ、そういうわけではなく」 咲「クリスマスは私と」 優希「除夜の鐘はこの優希ちゃんとだじぇ!」 和「そしてその足で、初詣には私と行ってもらう予定です」 久「選り取り見取りじゃないのよォ!!」 あ、右腕の感覚がなくなった。 大丈夫かこれ。俺もう麻雀打てないんじゃないかこれ。 まこ「ふむ、意外とやる男じゃのう京太郎」 京太郎「ははは、俺も4人で行けばよかったと思うんですけどね、それなら2人きりを順に回したいと」 3人娘がそろって顔を背けた。 何やら思案顔でまこ先輩は眼鏡を装着。 まこ「ならその後……バレンタインは一緒に付き合いんさい、買いたいものかあるけえ」 京太郎「代官山のレストランかよ」 どこまで予約対象を広げる気だこの人。 久「な、なら私は……あれ? めぼしいイベントがない?」 優希「リオのカーニバルがあるじぇ」 京太郎「さすがにそこまでは面倒見きれない」 和「成人の日をご存知でしょうか」 京太郎「や、俺たちには関係なくね?」 咲「袴はいてバイク乗り回して禁煙を始める日だっけ」 京太郎「ごく一部の地域に絞っちゃったなそれは」 久「ちょ、ちょっと京太郎君! 考えなさいよいい感じにイチャイチャできるイベントの日!」 胸元を掴んで俺をガックンガックン揺さぶってくる部長。表情が必死過ぎて正直怖い。 京太郎「えー……ハロウィン」 久「300日オーバーの予約待ちッ!?」 結局卒業式終わってからどっか行くことになった。 カン!

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