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塞「ねぇ、今日が何の日か知ってる?」
京太郎「ポッキーの日、ですよね?」
塞「そうそう」
塞「でもね、私ポッキー持ってくるの忘れちゃったの」
京太郎「買ってきましょうか?」
塞「ううん、その必要はないわ」
塞「ほら、ちゃんと代わりを買ってきたから」
京太郎「……小枝ですか?」
塞「そそ」
塞「同じ棒状のチョコのお菓子だからいいかなって」
京太郎「長さがずいぶん違いますけどね」
塞「まあまあ、そんな細かいことは気にしない、気にしない!」
塞「それに、1って文字自体ポッキーみたいに長いイメージないでしょ?」
京太郎「そういう感性は人それぞれだと思います」
塞「京太郎君はどう思う?」
京太郎「ポッキーの日って浸透するくらいなんだから長いんじゃないですかね?」
塞「……京太郎君嫌い」
京太郎「というジョークだったのさ!」
塞「もちろん私も冗談だよ?」
京太郎「……なんかずるいですね」
塞「ふふっ」
塞「ところで京太郎君、ポッキーといえばどんなゲームを思いつく?」
京太郎「ゲームですか?」
塞「うん、ゲーム」
塞「ポッキー黒ひげ危機一髪とか、ポッキージェンガとか、ポッキーチャンバラみたいに、ポッキーを使った遊びで何か思いつくもの」
京太郎「それらのゲーム初耳なんですけど」
塞「えー? うっそー、京太郎君おっくれってるー」
京太郎「はい?」
塞「今やポッキーを使った遊びはこれらに限らず多種多様な遊びがあるんだよ?」
塞「都会の方ではポッキーが社会現象になるくらいなんだから」
京太郎「……嘘、ですよね?」
塞「嘘じゃないよ!」
塞「ポッキー野球とか、ポッキー相撲とか、ポッキー大富豪とか、ポッキー――」
京太郎「やっぱり嘘ですよね!?」
塞「……うわぁ」
京太郎「何で俺がドン引かれてるんですか!?」
京太郎「ポッキーを使った遊びなんて大半の人がポッキーゲームしかしりませんよ!」
塞「ポッキーゲームって?」
京太郎「……だから、ポッキーゲームですよ」
塞「ポッキーゲーム……ポッキーを指の上に何秒立てられるか競うゲーム?」
京太郎「誰かやってそうですけど、そんな名前はないです!」
京太郎「そうじゃなくて……ほら、二人でやるゲームで」
京太郎「互いにポッキーの端を咥えて食べ進めていって……って奴ですよ」
塞「へぇ~」
塞「じゃ、やろっか?」
京太郎「……へ?」
塞「だって、せっかくのポッキーの日だよ?」
塞「ポッキーで遊ぶ遊びがあるならそれして遊びたくない」
京太郎「え、いや……」
塞「……あっ、そういえばポッキー買ってくるの忘れたんだった」
塞「そういえば、ポッキーの代わりに小枝買ってきたんだった!」
塞「仕方ないからこれでポッキーゲームしよっか、京太郎君!」
京太郎「確信犯だこの人!」
塞「確信犯だなんてまさか!」
京太郎「嘘つけぇ!」
塞「実は3日前くらいから計画してました」
京太郎「やっぱり!」
塞「はっ!」
塞「違うよ京太郎君。今のは京太郎君が「嘘吐け」っていったから吐いただけだよ!」
京太郎「そんな意味で言うわけないですよね!?」
塞「京太郎君なら、あるいは」
京太郎「塞さんは俺を何だと思ってるんですか!?」
塞「あはは」
京太郎「何その笑い方!? すごい気になるんですけど!?」
塞「そんなことより小枝ゲームしようよ、京太郎君」
京太郎「急に話変えた上にめちゃくちゃ開き直りましたね!?」
塞「いいじゃん、さきっちょだけ、さきっちょだけでいいから!」
京太郎「変な言い回しやめてください!?」
塞「変な言い回しって……やだもう……京太郎君のえっち」
京太郎「今の言い方はどう考えてもそういう風にしか見れませんって!」
塞「……どうしてそんなに拒否するの?」
塞「私はただ京太郎君とゲームがしたいだけなのに……」
京太郎「……」
塞「そして、すっごいキスして、あわよくば押し倒して――」
京太郎「思考が駄々漏れです、塞さん」
塞「……いくら私でもこの京太郎君への溢れ出る思いは塞げなかったみたいだね」
京太郎「格好良く言われましても」
塞「ああ、もう、とにかく!」
塞「セッ……小枝ゲームしようよ!」
京太郎「今何を言いかけたんですか!?」
塞「せ、接待小枝ゲーム」
京太郎「何をどう接待するんですか!?」
塞「絶対に小枝から口を離さないでいる……とか?」
京太郎「確かに接待してた!」
塞「あー、もうっ! ごちゃごちゃうるさいよ、京太郎君!」
塞「どうして私と小枝ゲームしてくれないの!? 私とじゃ嫌なの!?」
京太郎「いや、嬉しくないわけないですけど」
京太郎「でもほら、ここ部室ですし」
塞「そうだね、京太郎君」
塞「ところで、あちらをご覧ください」
京太郎「……皆さん小枝持ってますね」
塞「そういうことだよ」
京太郎「ごめんなさい、用事を思い出したので帰ります」ダッ
塞「逃がすな、追え!」
―カン―