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「ごめんなさい…浴衣を着るのに時間がかかってしまいまして」 「待たせて…怒った?」 「いや全然。二人とも超可愛くてむしろ得した気分」 (原村和です、今日は同じ大学の須賀京太郎くんと滝見春さんの三人で縁日に来ています) 「和の浴衣はそれ、紫陽花柄か?落ち着いた雰囲気がすげー似合うな。髪もアップにしててなんかこう…いいな」 「ふふ。おだてても何も出ませんよ」 「手厳しいね。…春はやっぱ巫女服なんだな、余所の神社でそれはアリなのか?」 「問題ない…」 「何だそれ。お…髪、いつもの巻きポニテじゃなくて編んで横に流してるんだな。新鮮だ」 「京に可愛いって言って貰いたくてがんばった…どう?」 「ああ、すんげー可愛い」 「よかった。嬉しい…」 (今まで胸の大きな女性とは縁に恵まれなかった彼ですが) (大学で再会した彼女にはいつの間にか懐かれていました) (彼女は私同様、周囲に愛想を振り撒くのが苦手なタイプだった筈なのに…京太郎くん恐るべし) (京太郎くんの『おっぱい大きい女子に甘えられたい』願望を凄い勢いで叶えていく彼女) (なんですかその願望。何で私に望まないんですか) (散々私がつれない態度取ったからですね、ええ分かってます) 「京、あれ食べたい」 「どれ?何でも好きなの買ってあげるよ」 (春さんは彼を京、と愛称で呼びます) (そう言えば私が漸く彼の事を下の名前で呼べるようになったのは高三になってからでした) (なのに春さんは呼び捨てどころか愛称で呼びます。…羨ましいとかじゃないです。本当ですよ、ええ) (それにしても上手に甘えるなあ…京太郎くん嬉しそう…) 「美味しい…京も、あーん」 (あーん頂きました。私だってやった事ないのに!) 「俺にもくれるのか?あーん…旨いなコレ」 (神様、素直になれずに三年間彼に対してすげない態度を取り続けた私への罰ですか!?) (だとしたら謝ります!だから高校の頃に戻して下さい!両思いですよ、ベストカップル間違いナシです!) 「京、ほっぺに食べかす付いてる。動かないで…ん、ちゅっ」 「☆!%※◎?」 (ああーーッ!?今ほっぺとか言って唇の端に口付けました!いえ、あんなの殆どマウストゥーマウスですよ!) (私だって合宿とかで寝てる時しかちゅーした事ないのに!) (て言うか今、自分で『ちゅっ』て言いましたよ!そんなあざといの彼大好きに決まってるじゃないですか!) 「んぅっ、れろ」 (って、京太郎くんが動揺してる隙に何普通にちゅーしてるんですか!べろちゅー駄目!舌絡めるの禁止ですうぅぅぅっ!) (!?今こっち見て笑いました!う~!やっぱり私への当て付けじゃないですか!) (そんなにキスしちゃ駄目です!あああ…京太郎くん目がハートになってます…!) 「京…好き。大好き」 「鹿児島から一人出てきて知り合いもいなかった私に京は声をかけてくれて、優しくしてくれた」 「黒糖食べてばかりで浮いてた私に、好きなら別にいいんじゃねぇかって言ってくれた」 「薦めた黒糖があまり舌に合わなかった様子なのは残念だけど」 「あの時の事はずっと覚えてる。人と違っても好きな物は好きって言っていいって教えてくれた」 「あの時から貴方の事が好き。喋るのは得意じゃないけど…この気持ちは伝わって欲しい」 (何胸押し付けて告ってんですか!私だって起きてる時にやった事ないのに!) 「は、春…」 「いっぱいちゅーしよ…?んん、んむっ」 「も、もう食べかすは取れたでしょう!往来でいちゃつきすぎです!ほら、行きますよ!」 「う…。お…俺、焼きそば買ってくるよ、二人はちょっと待っててくれ!」 「残念」 (私にもあれ位の積極性があれば今頃は京太郎くんと…はぁ) (京太郎くんが屋台に並んでる間、暫く私たち二人だけ…少し、話をしてみましょうか) 「春さんは京太郎くんが…その、胸の豊かな女性に目がないのは知ってますよね?」 「春さんは胸ばかり見られるのは平気なんですか?」 「…話してる時、目線が顔から下へ向かうのは感じる。でも別にそればっかりな訳でもない」 「それに、好きな人の好みに偶々自分が当てはまるのは僥倖だと思う…」 (その通り過ぎて何も言えません…彼が胸しか見ないような人ではないって事は、私が一番知ってる筈です) (昔ゆーきにも贅沢な悩みだと言われれました。意中の男の目が自分に向くことの何が不満なんだ、と) 「和も京の事、好きだよね?」 「…突然の反撃ですね」 (まあ、さっきこっち見て笑ってましたしたね春さん。思ったよりいい性格をしています) (私も流石に本人以外にはバレてるとは思いましたが。…なぜ本人は気付かないのでしょうか…) 「高校の時、京が寝てる間にキスしてたって聞いた」 「な、なな…誰からそんな…」 「昔、竹井さんに…」 (…あの先輩に隠し事って可能なんでしょうか…) 「…京は。どう見ても和の事が好きだよね」 「う…」 (ド直球で来ますか…) 「とぼけるのは無し。見れば分かるし…みんなそう言ってる」 「清澄時代、京に告白されたとも聞いた。…はっきりと好きって言ったんじゃないみたいだけど」 「…ええ。その時は臆病な私は逃げ出してしまいましたが」 「ふぅん…でも、和が今の態度のままなら私がとっちゃうから」 「手段選ぶつもりないよ…部屋に通ってご飯作って、キスして誘惑する」 「胸、誰も触らせてあげないみたいだし…私が触らせてあげるんだ。それで…揉ませて、挟む」 (も、揉ま…挟ッ!?) 「京にはおっぱいをゲットさせて、私は京のハートをゲットって言う寸法」 「因みに、和に負けたら二号狙いにシフトしていくからそのつもりでよろしく」 「…春さんは意外に破天荒な方だったんですね」 「京が認めてくれたこの性格が、今の私の自慢…」 (迷いの無い笑顔…全く、自分の悩みがとことん矮小なものに思えてきますね) 「敵に塩を与えて良かったんですか?…負けませんよ、私」 「勝負の相手は本気の方がいい…勝つのは私だけど」 (勝負の場に引き上げてくれた事へのお礼は言いいません。彼女の気持ちには全力で戦う事で応えてみせます) 「お待たせー。何か二人していい笑顔だな、何話してたんだ?」 (彼が戻って来て、私たちは悪戯好きな子供のように目配せをしました。返事は勿論こうです) 「「おっぱいの話」」 「俺も混ぜて!!」 カンッ

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