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 ――誕生日。  自分が歳をとったということは、もちろん相手だって同じように歳を取っているという こと。  だから歳の差が縮まるなんてことはないけれど、また広がることだって無いはずなのに。 どうして誕生日を迎えると、こんなにも彼との間に距離を感じてしまうのだろうか。  ――鬼も十八、番茶も出花。  なんていうつもりは無いけれど。何事にも盛り、あるいは青春というものがあって。  郁乃の年下の彼氏はもちろんのこと、化粧なんてまるで意識したこと無さそうな、愛宕 の色気のないほうだって、ただ盛りと言うだけで輝くような肌から花の香り。  それに引き換え、自分はと言えば、最近では基礎化粧品にかける金額ばかりが増え続け る始末。  自分の盛りはすでに遠い過去で、彼と、それを取り囲む少女たちはその盛りの真っ只中 であることを認めざるをえない。  例えるならば、これから咲き誇る花と、咲き切ってもう萎びていくしかない花のような もの。結局のところ、同じ時を生きているようで、違う時を生きているということなのだ。  皮肉なことに彼を想えば想うほど、彼に想われれば想われるほど、それを実感してしま うのだ。それが寂しくて、辛くて。 (そんなん、京くんに告白した時から分かっているつもりはずなんやけどなあ……)  それでも、あと十年ばかり、遅く産まれてきてさえいれば。同じように笑い合えたはず なのに、同じ季節を生きていられたはずなのに。――こんな感傷とは無縁でいられたはず なのに。 (恨むで……。おとん、おかん……)  どうしようもない逆恨みがじくじくと胸を締め付ける。振り払うかのようにぎゅっ、 と京太郎の背中に抱きつく。  それまでマンガを読んでいた年下の彼氏が「郁乃さん? どうしたんですか? 急に」 とのんびりと振り返ってきた。 「あんなー? 京くーん。あんま私を置いていかんといてなー?」 「何当たり前のこと言ってんですか、それにそっちからくっついて来ているじゃないですか」  そう苦笑する年下の彼氏の背中に郁乃はさらに顔を埋めると大きく息を吸って、目を閉 じた。 カン

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